ジロ・デ・イタリア2023 第19ステージはブイトラゴが優勝/トーマスが総合首位を守って最後の山岳個人TTへ
イタリアで開催中の第106回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月26日にロンガロネからカテゴリー1のトレ・チーメ・ディ・ラヴァレド頂上までの183kmで、ドロミテ山岳区間の第19ステージを競い、コロンビアのサンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス)が、独走で逃げ切って区間優勝した。
トレ・チーメのゴールまで残り1.5kmでブイトラゴに追い抜かれたカナダのデレク・ジー(イスラエル・プルミエテック)は、今年のジロで4回目の区間2位になった。
総合リーダーのマリア・ローザを着た英国のゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアズ)は、ゴールの上り坂でスロベニアのプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)と競り合い、最後はログリッチがわずかにリードしてゴールした。トーマスは3秒失ってしまったが、最終日前日の山岳個人タイムトライアルを前に、総合成績でログリッチとのタイム差を26秒残す事ができた。
ドロミテ山塊のクイーンステージ
第19ステージは125選手が出走。胃の問題で英国のヒュー・カーシー(EFエデュケーション・イージーポスト)がスタートしなかった。ドロミテ山塊の見事な景色が堪能できる晴天だったが、終盤に山の天気は変わりやすかった。
スタートからアタックが続いた後、1時間10分後にジーが加わった9人の逃げ集団が形成され、ブイトラゴは後からこの逃げ集団に合流した1人だった。山岳賞を狙うベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)も逃げを試みたが、マリア・アッズーラを着たティボ・ピノー(グルパマ・FDJ)がそれを阻止した。
中盤に越えたカテゴリー1のヴァルパローラ峠とジャウ峠はジーが先頭で通過し、合計80ポイントを獲得。彼はコルティナ・ダンペッツォの中間スプリントも先頭で通過した。トレ・チーメの前にあったカテゴリー2のトレ・クローチ峠では激しい雨が降ったが、逃げる選手たちの行く手を阻む事はなかった。マリア・ローザの集団では、トレ・クローチ峠のふもとでログリッチがバイクを交換した。
トレ・クローチ峠の頂上も先頭で通過して18ポイントを獲得したジーは、ゴールまで残り7kmでアタックし、単独でゴールを目指した。しかし、その後方にはブイトラゴの姿があった。昨年も山岳区間で逃げ切って区間優勝していたブイトラゴは、ゴールまで残り1.5kmでジーに追いつくと、そのまま彼を置いて先頭に立ち、2年連続で区間優勝を手中に収めた。
今年のジロで4回目の区間2位になったジーは、ポイント賞と山岳賞の総合成績でもそれぞれ総合2位になった。ポイント賞はイタリアのジョナタン・ミラン(バーレーン・ヴィクトリアス)に55ポイント差、山岳賞はピノーに28ポイント差だ。
後方のマリア・ローザ集団は、ティメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアズ)が引いて次第に小さくなり、そこからログリッチが単独でアタックし、マリア・ローザのトーマスだけが付いて行った。しかし、残り1kmのフラムルージュでマリア・ビアンカのジョアン・アルメイダ(UAEチーム・エミレーツ)、ダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス)、アレンスマンに追いつかれてしまった。
そこからゴールまで残り400mで、マリア・ローザのトーマスがアタックし、わずかな差を付けてゴールを目指したが、最後はログリッチに抜かれ、3秒失ってしまった。ログリッチは区間4位でボーナスタイムは獲得できなかった。
■ジロの山岳区間で2年連続区間優勝したブイトラゴのコメント
「完璧な日の壮大な勝利だ。逃げに入るのにとてもハードに戦っていたから、とても嬉しいよ。この群衆の前で勝つのは特別だ。区間2勝して我々のチームにとっても良いジロだった。とても満足しているよ」
■クイーンステージでマリア・ローザを守ったトーマスのコメント
「とりわけ標高のせいで難しい1日だったと思う。最後の1kmでトライしたが、ログリッチがうまく戻って来て、フィニッシュラインでは数秒失ってしまった。明日(の山岳TT)は見るには素晴らしいだろうが、やるのは最悪だろう」
■第19ステージ結果
[5月26日/ロンガロネ~トレ・チーメ・ディ・ラヴァレド/183 km]
1. BUITRAGO SANCHEZ Santiago (BAHRAIN VICTORIOUS / COL) 5:28:07
2. GEE Derek (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN) +0:51
3. NIELSEN Magnus Cort (EF EDUCATION – EASYPOST / DEN) +1:46
4. ROGLIC Primoz (JUMBO-VISMA / SLO) +1:46
5. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) +1:49
6. ALMEIDA Joao Pedro (UAE TEAM EMIRATES / POR) +2:09
7. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +2:09
8. ARENSMAN Thymen (INEOS GRENADIERS / NED) +2:09
9. PINOT Thibaut (GROUPAMA – FDJ / FRA) +2:16
10. RUBIO REYES Einer Augusto (MOVISTAR TEAM / COL) +2:26
119. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +43:20
■第19ステージ後の総合成績(マリア・ローザ)
1. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) 81:55:47
2. ROGLIC Primoz (JUMBO-VISMA / SLO) +0:26
3. ALMEIDA Joao Pedro (UAE TEAM EMIRATES / POR) +0:59
4. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +4:11
5. DUNBAR Edward (TEAM JAYCO ALULA / IRL) +4:53
6. PINOT Thibaut (GROUPAMA – FDJ / FRA) +5:10
7. ARENSMAN Thymen (INEOS GRENADIERS / NED) +5:13
8. KÄMNA Lennard (BORA – HANSGROHE / GER) +5:54
9. LEKNESSUND Andreas (TEAM DSM / NOR) +6:08
10. DE PLUS Lauren (INEOS GRENADIERS / BEL) +7:30
122. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +5:08:37
[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):MILAN Jonathan (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):PINOT Thibaut (GROUPAMA – FDJ / FRA)
■新人賞(マリア・ビアンカ):ALMEIDA Joao Pedro (UAE TEAM EMIRATES / POR)
最終決戦は山岳個人TT
5月27日はタルヴィーズィオから標高1766mでカテゴリー1のモンテ・ルッサリ頂上までの18.6kmで、マリア・ローザ争いの最終決戦となる山岳個人タイムトライアルの第20ステージが行われる。前半の11kmはほぼ平坦で、モンテ・ルッサリのふもとでのバイク交換がポイントになるだろう。