ジロ・デ・イタリア2023 第18ステージはイタリアチャンピオンのザーナが初優勝

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イタリアで開催中の第106回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月25日にオデルツォからカテゴリー2のヴァル・ディ・ゾルド頂上までの161kmで第18ステージを競い、イタリアチャンピオンのフィリッポ・ザーナ(チームジェイコ・アルウラー)が、フランスのティボ・ピノー(グルパマ・FDJ)をゴールスプリントで下し、24歳でグランツール区間初優勝を果たした。
 

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■イタリアチャンピオンのザーナがゴールスプリントでピノを下し、グランツール初優勝を果たした (photo : LaPresse)

 
区間3位には50秒遅れでフランスのワレン・バルギル(チームアルケア・サムシック)が入った。この日が37歳の誕生日だった英国のゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアズ)は、スロベニアのプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)と一緒に1分56秒遅れでゴールし、総合リーダーのマリア・ローザを守った。
 

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■マリア・ローザのトーマスはログリッチと一緒にゴールした (photo : LaPresse)


ピノーが逃げて山岳賞奪還

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■第18ステージは晴天になった (photo : LaPresse)

 
晴天になった第18ステージは126選手が出走。ルーカ・コヴィーリ(グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ)とニッコロ・ボニファツィオ(アンテルマルシェ・シルキュス・ワンティ)がスタートしなかった。

カテゴリー1の峠を2カ所越えるドロミテ区間は山岳賞争いにも重要だったが、マリア・アッズーラを着たベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)は序盤に逃げを成功させる事ができず、総合成績で50ポイント差のピノーが入った5人の逃げグループにも加わる事ができなかった。

ビノーは最初に越えたカテゴリー1のパッソ・デッラ・クロゼッタ峠を先頭で通過し、40ポイントを獲得。次のカテゴリー4の峠も先頭で通過し、確実にポイントを稼いでいった。しかし、ピノーは総合成績でも6分48秒遅れの13位だったため、メイン集団は逃げが大差を付ける事を許さなかった。

ゴールまで残り25.8kmのフォルチェッラ・チビアーナ峠(カテゴリー1)を先頭で通過したピノーは更に40ポイントを加算し、山岳賞総合首位の座を取り戻した。ここでイネオス・グレナディアズが引くマリア・ローザ集団と逃げのタイム差は5分近くになっていた。
 

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■先頭でゴールを目指すピノーとイタリアチャンピオンのザーナ (photo : LaPresse)

 
先頭の逃げグループでは、ゴールまで残り9kmのコーイ峠の上り坂でイタリアチャンピオンのザーナがアタックし、ピノーだけが付いていった。マリア・ローザ集団では、コーイ峠の頂上まで残り3kmの手前でユンボ・ヴィスマが攻撃を開始。セップ・クース(ユンボ・ヴィスマ)がログリッチを連れて先頭を引き始め、マリア・ローザのトーマスとエドワード・ダンバー(チームジェイコ・アルウラー)だけが付いて行けた。

ここで新人賞のマリア・ビアンカを着たポルトガルチャンピオンのジョアン・アルメイダ(UAEチーム・エミレーツ)は付いて行けず、チームメイトのジェイ・ヴァイン(UAEチーム・エミレーツ)に引かれてゴールを目指した。
 

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■復調したログリッチのアタックに付いて行くマリア・ローザのトーマス (photo : LaPresse)

 
残り5.3kmのコーイ頂上(カテゴリー2)はピノーが先頭で通過し、マリア・ローザのグループはまだ3分以上後方だった。ピノーとザーナはそのまま逃げ切り、カテゴリー2のヴァル・ディ・ゾルド頂上でゴールスプリントを競い、イタリアチャンピオンのザーナが競り勝って初優勝を勝ち取った。

ピノーは第13ステージと同様に、最後のゴールスプリントで負けて区間優勝を逃したが、山岳賞のマリア・アッズーラを取り戻す事ができたのはせめてもの慰めになった。

後方ではコーイ峠の頂上まで残り1kmでログリッチがアタックしたが、マリア・ローザのトーマスを蹴落とす事はできなかった。2人は一緒にゴールし、山岳三連戦の初日を終えた。アルメイダは2人よりも21秒遅れてゴールし、総合2位の座をログリッチに明け渡す事になった。
 

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■区間初優勝したイタリアチャンピオンのザーナ (photo : LaPresse)

 
■区間初優勝したイタリアチャンピオンのザーナのコメント
「まだ信じられない。この機会を与えてくれたチームに感謝しなければならない。ジロには100%でやって来た。最後は自分の手札を全て出し切った。これは人生でめったに訪れないチャンスで、ボクはそれを掴み取ったんだ。トリコローレを着て勝つのは特別だ」

■マリア・ローザを守ったトーマスのコメント
「快適な一日だ。アルメイダにタイム差を付け、ログリッチに落とされなかったからね。とても調子が良いと感じていて、常にコントロールできていた。でも、ログリッチは明らかに激しく行った。簡単ではなかった。アルメイダとの差を倍にできたのは良かった。ログリッチは先日がバッド・デーで、アルメイダは今日がそれだった。ボクは最後まで同じ状態でありたいよ」
 

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■37歳の誕生日だったトーマスはマリア・ローザ色のケーキをプレゼントされた (photo : LaPresse)


■第18ステージ結果

[5月25日/オデルツォ~ヴァル・ディ・ゾルド/161km]
1. ZANA Filippo (TEAM JAYCO ALULA / ITA) 4:25:12
2. PINOT Thibaut (GROUPAMA – FDJ / FRA)
3. BARGUIL Warren (TEAM ARKEA – SAMSIC / FRA) +0:50
4. GEE Derek (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN) +1:03
5. PARET PEINTRE Aurélien (AG2R CITROEN TEAM / FRA) +1:24
6. FRIGO Marco (ISRAEL – PREMIER TECH / ITA) +1:24
7. ROGLIC Primoz (JUMBO-VISMA / SLO) +1:56
8. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) +1:56
9. ALMEIDA Joao Pedro (UAE TEAM EMIRATES / POR) +2:17
10. DUNBAR Edward (TEAM JAYCO ALULA / IRL) +2:32
98. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +34:57

■第18ステージ後の総合成績(マリア・ローザ)
1. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) 76:25:51
2. ROGLIC Primoz (JUMBO-VISMA / SLO) +0:29
3. ALMEIDA Joao Pedro (UAE TEAM EMIRATES / POR) +0:39
4. DUNBAR Edward (TEAM JAYCO ALULA / IRL) +3:39
5. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +3:51
6. KÄMNA Lennard (BORA – HANSGROHE / GER) +4:27
7. PINOT Thibaut (GROUPAMA – FDJ / FRA) +4:43
8. LEKNESSUND Andreas (TEAM DSM / NOR) +4:47
9. ARENSMAN Thymen (INEOS GRENADIERS / NED) +4:53
10. DE PLUS Lauren (INEOS GRENADIERS / BEL) +5:52
123. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +4:27:06

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):MILAN Jonathan (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):PINOT Thibaut (GROUPAMA – FDJ / FRA)
■新人賞(マリア・ビアンカ):ALMEIDA Joao Pedro (UAE TEAM EMIRATES / POR)
 

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■ピノーはまた区間優勝を逃したが、山岳賞のマリア・アッズーラを取り戻した (photo : LaPresse)

 
ドロミテ山塊のチマ・コッピにゴールするクイーン・ステージ

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■第19ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)

 
いよいよ今年のジロも残り3ステージとなり、5月26日はロンガロネから標高2304mでカテゴリー1のトレ・チーメ・ディ・ラヴァレド頂上までの183kmで、ドロミテ山塊を舞台としたクイーン・ステージの第19ステージが行われる。トレ・チーメ・ディ・ラヴァレドは、第13ステージで通過する予定だったグラン・サン・ベルナール峠(標高2469m)が降雪でキャンセルになったため、今大会最高峰のチマ・コッピになった。土曜日の第20ステージは山岳個人タイムトライアルなので、総合を争う選手たちにとっては第19ステージが最後の直接対決の場となる。
 

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ジロ・デ・イタリア公式サイト

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