ジロ・デ・イタリア2023 頂上ゴールの第16ステージはアルメイダが初優勝/トーマス総合首位

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イタリアで開催中の第106回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、休養日明けの5月23日にサッビオ・キエーゼから標高1631mでカテゴリー1のモンテ・ボンドーネ頂上までの203kmで第16ステージを競い、新人賞のマリア・ビアンカを着たポルトガルチャンピオンのジョアン・アルメイダ(UAEチーム・エミレーツ)が、英国のゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアズ)を一騎打ちのゴールスプリントで下し、グランツール区間初優勝を果たした。
 

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■アルメイダがゴールスプリントでトーマスを下し、遂にグランツール区間初優勝を手中に収めた (photo : LaPresse)

 
区間3位は25秒遅れでスロベニアのプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)だった。総合リーダーのマリア・ローザを着ていたフランスのブルーノ・アルミライユ(グルパマ・FDJ)は、4分24秒遅れでゴールし、区間2位のトーマスが総合首位に返り咲いた。
 

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■木曜日に37歳の誕生日を迎えるトーマスが総合首位に返り咲いた (photo : LaPresse)


最終週へ突入

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■ガルダ湖湖畔を走る集団 (photo : LaPresse)

 
2度目の休養日が終わり、いよいよ今年のジロは最終週がスタート。第16ステージはダヴィデ・バッレリーニ(スーダル・クイックステップ)、サイモン・クラーク(イスラエル・ブルミエテック)、アマヌエル・ゲブラーザービエ(トレック・セガフレード)がスタートせず、129選手が出走した。ベルギーのスーダル・クイックステップは、参加選手が2人だけになってしまった。

スタートからアタックがかかり、26人の大きな逃げ集団が形成された。総合成績が最も上位だったのはオレリアン・パレパントル(AG2R・シトロエン チーム)で、4分30秒遅れの総合13位だった。逃げ集団にはイネオス・グレナディアズの選手が2人入っていたが、ユンボ・ヴィスマは誰も入っていなかったため、集団はエドワルド・アッフィーニ(ユンボ・ヴィスマ)がコントロールし、逃げとの差を最小限に抑えた。

第16ステージは平坦なガルダ湖湖畔を走った後、カテゴリー1の峠を1カ所、カテゴリー3の峠を1カ所、カテゴリー2の峠を2カ所越え、全長21.4kmのモンテ・ボンドーネ(カテゴリー1)の登坂に挑むレイアウトだった。逃げ集団に山岳賞のマリア・アッズーラを着たダヴィデ・バイス(エオロ・コメタ サイクリングチーム)の姿はなく、36ポイント差で総合4位のベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)が加わっていた。

ヒーリーは最初のサンタ・バルバラ峠(カテゴリー1)頂上を先頭で通過し、40ポイント獲得して山岳賞総合首位に立った。103.5km地点の中間スプリントは、逃げに加わっていたマリア・チクラミーノのジョナタン・ミラン(バーレーン・ヴィクトリアス)が先頭で通過してポイントを稼いだ。集団の後方では落車が続いたパヴェル・シバコフ(イネオス・グレナディアズ)がレースを棄権した。

ゴールまで残り21.4kmで最後のモンテ・ボンドーネの登坂が始まった時、12人に減った逃げ集団と、30人ほどに絞られたマリア・ローザ集団のタイム差はまだ3分44秒あった。しかし、マリア・ローザ集団はローハン・デニス(ユンボ・ヴィスマ)が引き続け、タイム差をみるみる縮めていった。

残り15kmでデニスが仕事を終えた後は、ダヴィデ・フォルモロ(UAEチーム・エミレーツ)が先頭を引き、後方で耐え続けていたマリア・ローザのアルミライユは残り10kmの手前で遂に力尽きて遅れてしまった。逃げは残り8.5kmでメイン集団に全員吸収された。
 

総合争いがスタート

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■カテゴリー1のモンテ・ボンドーネで総合争いがスタート (photo : LaPresse)

 
ここで先頭はマリア・ビアンカのアルメイダ、トーマス、ログリッチとセップ・クース(ユンボ・ヴィスマ)、エドワード・ダンバー(チームジェイコ・アルウラー)、そして序盤から逃げ続けていたイタリアチャンピオンのフィリッポ・ザーナ(チームジェイコ・アルウラー)の6人になった。ザーナはリーダーのダンバーのために先頭を引いた。総合争いを更に厳しくするかのように、モンテ・ボンドーネは雨が降り始めた。

ザーナが仕事を終えた後、残り6kmでアルメイダがアタックしたが、誰も追いかけず、クースが先頭を引き始めた。ゴールまで残り4.6kmでトーマスがアタックしてアルメイダに追いついたが、ログリッチは反応できず、クースと2人でゴールを目指した。一度は遅れたダンバーは、ユンボ・ヴィスマの2人と一緒にゴールを目指す事ができた。

雨の中、トーマスとアルメイダは総合で最大のライバルであるログリッチに25秒のタイム差を付けてモンテ・ボンドーネを上り切り、最後は一騎打ちのゴールスプリントを競ってアルメイダが区間初優勝、トーマスがマリア・ローザを獲得した。

休養日明けの不調な日になってしまったログリッチは、クースの献身的なアシストのお陰で何とかタイム差を最小限に抑え、最後はダンバーとゴールスプリントを競って区間3位に入り、わずかなボーナスタイムを獲得する事ができた。第16ステージを終えて、総合争いはマリア・ローザのトーマスにアルメイダが18秒差、ログリッチが29秒差になった。
 

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■終盤に降り出した雨の中、2人でゴールを目指すアルメイダとトーマス (photo : LaPresse)

 
■グランツール区間初優勝を果たしたアルメイダのコメント
「特別な勝利で、夢が実現した。調子が良いと感じていて、チーム全体が並外れていた。トーマスと一緒に協力して、ログリッチに数秒の差を付けたが、ボクの最大の目標は区間優勝だった。自分自身の最高のバージョンが来るように、日々精進していくつもりだ」

■ログリッチにタイム差を付け、マリア・ローザを取り戻したトーマスのコメント
「上りがたくさんあって、非常に厳しい一日だった。結果には満足しているよ。気がついたらアルメイダと一緒に前に居た。彼はスプリントで優れていた。彼には驚かない。彼は非常に強い選手で、マリア・ローザ争いの強力なライバルだ」
 

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■区間初優勝したポルトガルチャンピオンのアルメイダ (photo : LaPresse)


■第16ステージ結果

[5月23日/サッビオ・キエーゼ~モンテ・ボンドーネ/203km]
1. ALMEIDA Joao Pedro (UAE TEAM EMIRATES / POR) 5:53:27
2. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR)
3. ROGLIC Primoz (JUMBO-VISMA / SLO) +0:25
4. DUNBAR Edward (TEAM JAYCO ALULA / IRL) +0:25
5. KUSS Sepp (JUMBO-VISMA / USA) +1:03
6. VAN WILDER Ilan (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) +1:16
7. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +1:16
8. RUBIO REYES Einer Augusto (MOVISTAR TEAM / COL) +1:16
9. DE PLUS Lauren (INEOS GRENADIERS / BEL) +1:16
10. ARENSMAN Thymen (INEOS GRENADIERS / NED) +1:16
19. ARMIRAIL Bruno (GROUPAMA – FDJ / FRA) +4:24
102. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +42:44

■第16ステージ後の総合成績(マリア・ローザ)
1. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) 67:32:35
2. ALMEIDA Joao Pedro (UAE TEAM EMIRATES / POR) +0:18
3. ROGLIC Primoz (JUMBO-VISMA / SLO) +0:29
4. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +2:50
5. DUNBAR Edward (TEAM JAYCO ALULA / IRL) +3:03
6. KÄMNA Lennard (BORA – HANSGROHE / GER) +3:20
7. ARMIRAIL Bruno (GROUPAMA – FDJ / FRA) +3:22
8. LEKNESSUND Andreas (TEAM DSM / NOR) +3:30
9. ARENSMAN Thymen (INEOS GRENADIERS / NED) +4:09
10. DE PLUS Lauren (INEOS GRENADIERS / BEL) +4:32
125. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +3:50:44

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):MILAN Jonathan (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):HEALY Ben (EF EDUCATION – EASYPOST / IRL)
■新人賞(マリア・ビアンカ):ALMEIDA Joao Pedro (UAE TEAM EMIRATES / POR)
 

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(photo : LaPresse)

 

ジロ・デ・イタリア公式サイト

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