ジロ・デ・イタリア2023 第8ステージはヒーリーが逃げ切り初優勝

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イタリアで開催中の第106回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月13日にテルニからフォッソンブローネまでの207kmで第8ステージを競い、アイルランドのベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)が50kmを独走で逃げ切り、グランツール初参加で区間初優勝を果たした。
 

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■50kmを独走で逃げ切り、グランツール区間初優勝を果たしたアイルランドのヒーリー (photo : LaPresse)

 
区間2位は1分49秒遅れでカナダのデレク・ジー(イスラエル・プルミエテック)、3位はイタリアチャンピオンのフィリッポ・ザーナ(チームジェイコ・アルウラー)だった。総合リーダーのマリア・ローザは、ノルウエーのアンドレアス・レックネスン(チームDSM)が守った。
 

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■レックネスンはもう一日長くマリア・ローザを着る事ができた (photo : LaPresse)


アイルランドのヒーリーが50kmを独走

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■カプッチーニの激坂を単独で逃げるヒーリー (photo : LaPresse)

 
第8ステージは『壁のステージ』と呼ばれ、後半に春先のティレーノ~アドリアーティコ(UCIワールドツアー)で使用される壁のような坂が設定されたコースだった。

第9ステージの個人タイムトライアルで区間優勝が期待されていた地元イタリアのフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアズ)が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査で陽性になり、スタートできなかった。これで3日連続して新型コロナ陽性者が出ている。

ラース・ファンデンベルフ(グルパマ・FDJ)は前夜に胃腸疾患と発熱があったが、新型コロナの検査は陰性だった。彼もスタートせず、第8ステージは167人が出走した。

15km地点でヒーリーを含めた4人が集団から逃げ出し、最終的に13人の大きな逃げ集団が形成された。そこにはマリア・アッズーラを着たダヴィデ・バイス(エオロ・コメタ サイクリングチーム)も加わっていた。彼らは全長2.8kmの最初のカプッチーニの激坂(カテゴリー4)のふもとで集団に5分近いタイム差を付けていた。

ゴールまで残り50.3kmのカプッチーニの激坂で、先頭の逃げ集団からヒーリーがアタックし、イタリアチャンピオンのザーナが追走を試みたが失敗した。ヒーリーはそこからゴールまで単独で逃げ切った。

最初のカプッチーニ越えで小さくなったメイン集団では、ゴールまで残り5.9kmに頂上があった2度目のカプッチーニの激坂で、遂に総合争いの戦いがスタート。ボーラ・ハンスグローエが引く集団からプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)がアタックし、付いて行けたのはマリア・ローザのレックネスンだけで、世界チャンピオンのレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)は反応できなかった。
 

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■カプッチーノの激坂でアタックしたログリッチ (photo : LaPresse)

 
頂上間近でレックネスンは遅れ、ログリッチは単独で頂上を通過。下りで彼に追いついたのは、イネオス・グレナディアズのテイオ・ゲーガンハートとゲラント・トーマスだった。3人のグランツール優勝経験者は、総合のライバルたちにわずかな差を保ってゴールを目指した。

ヒーリーが独走で区間優勝を果たした4分34秒後に、3人は揃ってゴール。彼らはエヴェネプールに14秒差を付ける事ができた。総合首位のレックネスンは5分8秒遅れでゴールしたが、総合2位のエヴェネプールとのタイム差はまだ8秒あり、マリア・ローザをもう1日長く着用できる事になった。

独走で逃げ勝ったヒーリーは、今春のクラシックレースで頭角を現した22歳のアイルランド人で、UCIワールドツアーのアムステル・ゴールド・レースで2位、リエージュ~バストーニュ~リエージュで4位になっていた。

■グランツール区間初優勝を果たしたヒーリーのコメント
「遠くから行ったが、これは正しい動きだと思っていた。勝つチャンスを失いたくなかった。ずっと良い脚を持っていたんだ。今日は良い日だ。チームにとっても自分自身にとっても大きな勝利だよ。プロに転向する前から、イタリアでは常に成功していた。ここでレースするのは自分に向いていて、もっと勝てる事を望むよ」
 

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■今年春のクラシック後半戦で既に頭角を表していた22歳のヒーリーが早くも成功を収めた (photo : LaPresse)

 
■第8ステージ結果

[5月13日/テルニ~フォッソンブローネ/207 km]
1. HEALY Ben (EF EDUCATION – EASYPOST / IRL) 4:44:24
2. GEE Derek (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN) +1:49
3. ZANA Filippo (TEAM JAYCO ALULA / ITA) +1:49
4. BARGUIL Warren (TEAM ARKEA – SAMSIC / FRA) +1:49
5. VERONA QUINTANILLA Carlos (MOVISTAR TEAM / ESP) +2:12
6. BAIS Davide (EOLO-KOMETA CYCLING TEAM / ITA) +2:37
7. SKUJINS Toms (TREK – SEGAFREDO / LAT) +3:51
8. TONELLI Alessandro (GREEN PROJECT-BARDIANICSF-FAIZANE’ / ITA)  +3:56
9. RIESEBEEK Oscar (ALPECIN-DECEUNINCK / NED) +4:00
10. GEOGHEGAN HART Tao (INEOS GRENADIERS / GBR) +4:34
11. ROGLIC Primoz (JUMBO-VISMA / SLO) +4:34
12. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) +4:34
15. ALMEIDA Joao Pedro (UAE TEAM EMIRATES / POR) +4:48
19. EVENEPOEL Remco (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) +4:48
25. LEKNESSUND Andreas (TEAM DSM / NOR) +5:08
123. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +24:53

■第8ステージ後の総合成績(マリア・ローザ)
1. LEKNESSUND Andreas (TEAM DSM / NOR) 33:52:10
2. EVENEPOEL Remco (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) +0:08
3. ROGLIC Primoz (JUMBO-VISMA / SLO) +0:38
4. ALMEIDA Joao Pedro (UAE TEAM EMIRATES / POR) +0:40
5. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) +0:52
6. GEOGHEGAN HART Tao (INEOS GRENADIERS / GBR) +0:56
7. PARET PEINTRE Aurélien (AG2R CITROEN TEAM / FRA) +0:58
8. VLASOV Aleksandr (BORA – HANSGROHE / RUS) +1:26
9. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +1:39
10. KÄMNA Lennard (BORA – HANSGROHE / GER) +1:54
155. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +1:48:04

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):MILAN Jonathan (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):BAIS Davide (EOLO-KOMETA CYCLING TEAM / ITA)
■新人賞(マリア・ビアンカ):LEKNESSUND Andreas (TEAM DSM / NOR)
(※第9ステージは BUITRAGO SANCHEZ Santiago (BAHRAIN VICTORIOUS / COL) が着用)
 
第9ステージは35kmの平坦個人TT

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■第9ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)

 
1週目の最終日となる5月14日(日)は、サヴィンニャーノ・スル・ルビコーネからチェゼーナまでの35kmで、平坦コースの個人タイムトライアルが行われる。
 

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(photo : LaPresse)

 

ジロ・デ・イタリア公式サイト

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