ミラノ~サンレモ2023でオランダのファンデルプールが初優勝!

  • photo LaPresse / ©SprintCycling

イタリアに春の訪れを告げるレースとして『ラ・プリマヴェーラ(イタリア語で春)』の愛称を持ち、今シーズン最初のモニュメント・クラシックでもあるミラノ~サンレモ(UCIワールドツアー)が、3月18日に北イタリアで開催され、オランダのマテュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)が独走で初優勝した。
 

Milano-Sanremo

■オランダのファンデルプールが独走で初優勝した (©SprintCycling)

 
2位は15秒遅れで地元イタリアのフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアズ)、3位はベルギーのウァウト・ヴァンアールト(ユンボ・ヴィスマ)だった。
 

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■祖父プリドールが優勝してから62年後に勝ったファンデルプール (photo : LaPresse)

 
ミラノ郊外からスタート

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■ミラノ郊外のアッビアーテグラッソが初めてスタート地になった (photo : LaPresse)

 
第114回大会は初めてミラノ郊外のアッビアーテグラッソがスタート地になり、前日にはチームプレゼンテーションも行われた。UCIワールドチーム18チームと、UCIプロチーム7チームの合わせて25チームが参加し、昨年初優勝したスロベニアのマテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)がゼッケン1を付け、175選手がアッビアーテグラッソから294kmの長旅に出発した。

優勝候補の筆頭として名前を挙げられていたのは、先週フランスのパリ~ニース(UCIワールドツアー)で区間3勝して総合優勝したスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)だった。彼は昨年のミラノ~サンレモで5位に入っていた。
 

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■チプレッサで集団を引き続けたUAEチーム・エミレーツ (©SprintCycling)

 
ベルギーの民放局VTMのインタビューで、イタリアのパオロ・ベッティーニもポガチャルを優勝候補に上げ、彼とチームは終盤のチプレッサでアタックするだろうと語っていた。しかし、それには最後の100kmに吹き荒れるであろう強風が影響するとも話していた。

元世界チャンピオンの予想通り、序盤の逃げをふもとで吸収した集団は、チプレッサの上り坂でUAEチーム・エミレーツが5人で列車を作って引き続けた。しかし、予報されていたような強い向かい風は吹かなかったため、遅れる選手は少なく、集団は大きいままチプレッサを通過した。

フランスチャンピオンのフロリアン・セネシャル(スーダル・クイックステップ)が集団を引き続けた後、ゴールまで残り9.2kmで最後のポッジョの丘はバーレーン・ヴィクトリアスが先頭で上り始めた。そこから残り7.9kmで、ティム・ウェレンス(UAEチーム・エミレーツ)がポガチャルを連れてアタックし、ファンデルプールとガンナがすぐに反応した。
 

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■ポッジョでアタックしたポガチャル (©SprintCycling)

 
ウェレンスの働きで一列になった集団はバラバラに分解した。そこから残り6.6kmでポガチャルがアタックし、ガンナ、ヴァンアールト、ファンデルプールが続いた。しかし、ポッジョの頂上間近でファンデルプールが飛び出し、ライバルたちをあっという間に引き離してしまった。彼は単独で丘を下り始め、ポッジョのふもとで追走する3人とのタイム差は6秒になっていた。

ファンデルプールはそのまま先頭を走り切り、28歳で初優勝を果たした。彼はミラノ~サンレモで優勝した4人目のオランダ人選手になった。それは祖父であるフランスの故レイモン・プリドールが1961年に優勝してから62年後の出来事だった。
 

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■ポッジョを先頭で通過したファンデルプール (photo : LaPresse)

 
現シクロクロス世界チャンピオンのファンデルプールは、既にベルギーのロンド・バン・ブラーンデレン(ツール・デ・フランドル/UCIワールドツアー)で2回優勝していて、これで2つのモニュメント・クラシックを制した事になった。

ファンデルプールに追いつけなかった3人は表彰台争いのゴールスプリントを競い、地元のガンナが早めに飛び出して2位になり、ヴァンアールトが3位に入った。最有力優勝候補だったポガチャルは4位でレースを終えた。

スタート地がミラノから郊外のアッビアーテグラッソに変更し、最初の30kmはコースが変わったが、今年は平均時速が 45.773km/h で、史上2番目に速い大会となった。最速記録はイタリアのジャンニ・ブーニョが優勝した1990年で、45.806km/h だった。
 

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■ゴール前で振り返り、追手がいない事を確認するファンデルプール (©SprintCycling)

 
■初優勝したファンデルプールのコメント
「風のおかげでチプレッサの上りは予想していたよりも簡単だった。だからポッジョのスタートでは位置取りが重要になるとチームに伝えていた。チームメイトのヘルマンスとクラーウアナスンが良い仕事をしてくれて、ボクを前方に留めてくれた。

ポッジョで少し早めにアタックする計画だったが、差を付けた後は下りで危険を冒さないと決めた。自分で可能な力の80%で下った。落車していたら自分を許せなかっただろうが、捕まっていたとしても、勝つためのスプリントはまだできた。

ミラノ~サンレモの最初の3回の参加は、おそらく守りに入り過ぎて走っていた。これは走るのが最も簡単なモニュメントだが、勝つのは最も難しい」
 

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■左から2位のガンナ、初優勝したファンデルプール、3位のヴァンアールト (photo : LaPresse)


第114回ミラノ~サンレモ 結果

[3月18日/UCIワールドツアー/イタリア/294km]
1. VAN DER POEL Mathieu (ALPECIN-DECEUNINCK / DEN) 6:25:23
2. GANNA Filippo (INEOS GRENADIERS / ITA) +0:15
3. VAN AERT Wout (JUMBO-VISMA / BEL) +0:15
4. POGACAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) +0:15
5. KRAGH ANDERSEN Søren (ALPECIN-DECEUNINCK / DEN) +0:26
6. PEDERSEN Mads (TREK – SEGAFREDO / DEN) +0:26
7. POWLESS Neilson (EF EDUCATION – EASYPOST / USA) +0:26
8. MOHORIC Matej (BAHRAIN VICTORIOUS / SLO) +0:26
9. TURGIS Anthony (TOTALENERGIES / FRA) +0:26
10. STUYVEN Jasper (TREK – SEGAFREDO / BEL) +0:26
11. ALAPHILIPPE Julian (SOUDAL QUICK-STEP / FRA) +0:26
 

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(photo : LaPresse)

 

ミラノ~サンレモ公式サイト

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