チームユーラシア-IRCタイヤ サイクリングアカデミー報告会 2019ジャパンカップで開催

目次

中高生を対象にした「チームユーラシア-IRCタイヤ サイクリングアカデミー」が2019年7月21日〜8月22日の夏休み期間中にベルギー・コルトレイク市を拠点に行われた。

このサイクリングアカデミーは今年で5回目。レースに参加し結果を残す事は重要な課題ではあるが、同時に「戦略」「テクニック」「安全」など自転車に必要なスキルや知識を学びながら、現地で競技生活を送っているチームユーラシアの選手たちと一緒に生活することで、集団生活の基本的な経験も積むことができる。

この「サイクリングアカデミー報告会」は、2019ジャパンカップ サイクルロードレースのIRCブースにて2019年10月19日(土)、20日(日)の2日間開催される。アカデミーに参加した選手、保護者が、アカデミーに関する事、落車、育成など多岐にわたり質問に応える。

10月19日(土)13:00 2019ジャパンカップ 宇都宮森林公園会場内 IRCタイヤ ブース
10月20日(日)13:00 2019ジャパンカップ 宇都宮森林公園会場内 IRCタイヤ ブース

 

チームユーラシア-IRCタイヤ

 

全日程33日間で15レースに参加

10位以内入賞の成績は以下のとおり。

7月29日 Izegem 6位 津田悠義

8月10日 Denderwindeke 3位 鳥海祐甫

8月13日 BRASSCHAAT 6位 鳥海祐甫

8月14日 Lessin 3位 川崎三織

8月14日 Lessin 6位 西本健三郎

8月14日 Lessin 8位 留目夕日

8月18日 GP Philip Gilbert(UCI1.1)9位 川崎三織

8月21日 Ruiselede 7位 鳥海祐甫

全レースのレポートはこちら

 

チームユーラシア

8月10日 Denderwindeke で3位に入賞した鳥海祐甫。欧州レース初参戦ながらラスト1kmでメイン集団から抜け出し3位入賞を果たした。

 

落車事故への取り組みについて

サイクリングアカデミー期間中は様々な取り組みを行っているが、とくに力を入れているのは「落車」について。トレーニング中はもちろん、レース中であっても落車は「赦されるものではない」と捉え、「落車事故」の低減に努めている。

トレーニング中の落車はここ4年間で1回と成果を上げている。レース中の落車については2017年から力を入れて取り組んでおり、2週間程度の滞在期間中では落車の確率を下げることに限界があるが、2018年以降では約半分にまで減りその成果が表れてきている。

 

チームユーラシア

 

年によって参加者数、参加レース数、参加期間が異なるので、それぞれのレース参加者数を足したものが「ユニット」。例えばRR年のXXのレースでエントリーが4人、YYのレースでエントリーが6人の場合はユニットが10となる。

落車数をユニットで割ったものが「1人の選手が1レースで落車する確立」。2016、2017年では12~13%発生していた落車が6~7%台に減っている。

また、落車を防ぐための指導をチームユーラシア所属の選手たちも参加して行うことで、ユーラシアの選手たちの落車の確率も低減している(2019年のユーラシアの選手たちが参加したレース数は228で落車している確率は平均して2.19%)。

 

チームユーラシア

 

高木秀彰サポートプログラムで川崎三織の欧州遠征が実現

チームユーラシア‐IRCタイヤ サイクリングアカデミーでは、高木秀彰サポートプログラムよりサポートを受けた川崎三織の欧州遠征が実現した。

8月6日ベルギー入り。17日間で6レースに参戦する予定だったが、インターハイ後に体調を崩し、2レースをキャンセル。初戦は8月14日 Lessinとなった。

8月14日/Lessin U19/8.9kmX10周 89km

Kawasaki Miori 3位

Nishimoto Kensaburo 6位

Todome Yuhi 8位

3周目に2人が抜け出し、そこに反応することができずに逃してしまい、最後まで逃げ切られてしまった。3位以降は約15人の集団のまま最終周回となり、ラスト1kmで集団から抜け出した川崎が逃げ切り3位に入賞した。

 

チームユーラシア

 

8月18日 ラ フィリップ ジルベール UCI1.1 ジュニア 126km 出走127人

9位 川崎 三織

DNF 五十嵐 洸太
DNF 留目 夕陽
DNF 西本 健三郎
DNF 堀川 敬太郎
DNF 上野 颯斗

 

このレースはフィリップ・ジルベールのファンクラブが主催し、リエージュ・バストーニュ・リエージュで有名な「ラ ルドゥ」の丘(1500m 平均勾配9.4%、最大勾配13.7%)を2回通過する。

コースは山岳賞のかかった登り6ヵ所に加え、フィニッシュは6回目の山岳ポイント「ラ ルドゥ」の中腹に設定され登りゴールとなる。126kmのコースで獲得標高は2050m。上りと下りしか無いコースレイアウト。とくにレース後半となる80km過ぎから厳しい上りが待ち構える。

参加選手は川崎三織、五十嵐洸太、留目夕陽、西本健三郎、堀川敬太郎、上野颯斗の6人。

チームとしての目標は序盤の逃げに加わることを第一とし、逃げに加われなかった場合は各上りでの千切れに注意しつつ、80km以降の後半に備えて温存し完走する事とした。

スタートして40kmで集団落車が発生。上野と留目が落車。留目はすぐに立ち上がり集団を追い、集団に復帰したが、上野は追いつく事ができずにリタイヤとなった。

メイン集団では常にアタックが掛かっている状態で、20秒以下の小さなギャップで先行するグループができても集団が吸収していた。

レースは80km過ぎに9人が最大で90秒先行し、ここから本当のレースが始まった。この時点でメイン集団は50人前後に絞られ、残っていたのは川崎のみ。

104km地点の上りで後続集団のペースが上がり約15人が飛び出し、川崎がここに加わった。川崎を含む15人は120km地点の「ラ ルドゥ」の上りの麓で先行する選手たちを吸収し、レースを振り出しに戻した。

ラ ルドゥの上りを先頭で通過した川崎だったが、残り5kmの下り区間で8人の先行を許し、逃げ切られてしまった。川崎は後続の集団の先頭でフィニッシュし9位に入賞した。

チームユーラシア

 

川崎は得意な上りでその実力を如何なく発揮することができた。ただし夢中で走り続け、自分でレース展開を組み立てながら進行させることはできなかった。今回は展開にも助けられた中での9位入賞であったが、今後も実力を発揮し国際大会でよい成績を残していくには「展開力」も求められてくる。

残る高校生活および来るべきU23としての競技生活の中でより積極的にレースを展開して欲しい。

このレースには世界選手権ジュニアロードレースで7位に入賞した英国代表のAlfred George や同4位、個人TTで2位のオランダ代表のEnzo Leijnse 以外にも数人が各国の代表として走っており、とてもコースのみならずとてもレベルの高いレースだった。

 

1 BROUWERS Emile AVI les 126 km en 3h09’04” (moy. 39,986 km/h)

2 GELDERS Gil OOP 00:02

3 REINDERINK Pepijn BAL 00:02

4 ANDREASEN Jeppe VKO 00:02

5 STOCKWELL Oliver GBR 00:05

6 ASKEY Lewis GBR 00:08

7 PEATFIELD Isaac FEN 00:08

8 VAN OOSTEN Koert BAL 00:08

9 KAWASAKI Miori EUR 00:17

10 LEIJNSE Enzo WPG 00:17

 

今回のこの大会は、故・高木秀彰氏の「若い選手を応援したい」と言う意思と、ご遺族の方々、関係者の支援により実現させることができた。ナショナルチームの海外遠征が減っていくなか、若い選手が欧州の国際レースに参加できた事は、今回の結果に関わらず参加した選手達にとって大きな「自信」「課題」「希望」を残しただろう。いまのこの気持ちを忘れずに突き進んで欲しいと思う。