ツール・ド・フランス2022 第15ステージはフィリプセンが区間初優勝

  • photo A.S.O./Charly Lopez/ ©SprintCycling

フランスで開催中の第109回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月17日にロデーズからカルカッソンヌまでの202.5kmで第15ステージを競い、ベルギーのヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)が集団ゴールスプリントを制し、区間初優勝を果たした。
 

ツール・ド・フランス2022

■フィリプセンが集団ゴールスプリントを制し、ツール区間初優勝した (©SprintCycling)

 
区間2位はマイヨ・ベールを着たベルギーのウァウト・ヴァンアールト(ユンボ・ヴィスマ)、3位はデンマークのマス・ピーダスン(トレック・セガフレード)だった。マイヨ・ジョーヌはデンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)が守った。


ログリッチが不出走

ツール・ド・フランス2022

■熱波の影響で第15ステージも暑い一日になった(photo : A.S.O./Charly Lopez)

 
第15ステージは154選手が出走。スロベニアのプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)、デンマークのマウヌスコート・ニルスン(EFエデュケーション・イージーポスト)、オーストラリアのサイモン・クラーク(イスラエル・プルミエテック)がスタートしなかった。

ニルスンは朝、頭痛と発熱があり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査で陽性になった。クラークはチームが行った新型コロナの定期検査で陽性になった。ログリッチは石畳区間だった第5ステージで落車した際に負った怪我の治療に専念するため、レースを棄権する事にした。彼はすでに総合成績で33分39秒遅れていた。

フランスは熱波に見舞われ、この日も気温は38℃近くにまで上がる予報になっていたため、主催者はゴールの制限時間を緩和するなどの特別措置を取った。5km地点でマイヨ・ベールのヴァンアールト、ドイツチャンピオンのニルス・ポリッツ(ボーラ・ハンスグローエ)、ミゲル・ホノレ(クイックステップ・アルファヴィニル チーム)が逃げ出し、30km地点で集団に1分50秒差を付けた。

集団はバイクエクスチェンジ・ジェイコとアルペシン・ドゥクーニンクが引き始めた。41km地点で、ヴァンアールトはチームに呼び戻され、先頭はポリッツとホノレの2人になった。69km地点のカテゴリー3の丘はポリッツが先頭で通過した。
 

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■マイヨ・ベールのヴァンアールト、ポリッツ、ホノレがこの日最初の逃げグループになった (photo : A.S.O./Charly Lopez)

 
クライスウエイクが落車で棄権

ゴールまで残り64.6km地点で、コース上で小規模なデモ活動があったが、大きな混乱はなく、先頭の2人は1分50秒差で逃げ続けた。その直後、集団では落車が発生し、スティーブン・クライスウエイク(ユンボ・ヴィスマ)、ヴァンアールト、ヤコブ・フルサン(イスラエル・プルミエテック)、マルティン・トゥースベルト(チームDSM)が巻き込まれた。

この落車でクライスウエイクは鎖骨を骨折した疑いがあり、救急車で搬送され、レースを棄権した。集団では10kmも進まないうちに再び事故が発生し、今度はマイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーとティシュ・べノート(ユンボ・ヴィスマ)が落車した。ヴィンゲゴーはチームメイトたちに引かれて集団に復帰し、事なきを得た。

2つ目のカテゴリー3の丘が始まる前に逃げていた2人は吸収され、5km続く坂はトレック・セガフレードが列車を組んで先頭を引き続け、スプリンターたちは集団から遅れ始めた。ゴールまで残り47.6kmの頂上は、バンジャマン・トマ(コフィディス)が先頭で通過。アレクシー・グジャール(B&Bホテルズ・KTM)が合流し、そのまま2人で逃げ出した。
 

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■終盤はトマとグジャールが逃げ続けた (photo : A.S.O./Charly Lopez)

 
トマとグジャールのフランス人コンビは20秒ほどのタイム差を付けてカルカソンヌまで逃げ続けた。ゴールまで残り4.6kmで先頭はトマ1人になり、単独でゴールを目指したが、ゴールまでたった450mで集団に吸収されてしまった。

最後はヤスペル・ストゥイヴェン(トレック・セガフレード)が牽引する集団から、ピーダスンが最初にスプリントを開始したが、その後方から飛び出したフィリプセンがフィニッシュラインで車体を投げ出し、マイヨ・ベールのヴァンアールトを打ち負かした。彼はこれまでツールのスプリントステージで8回トップ3に入っていて、24歳で遂に初優勝を上げる事ができた。
 

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■24歳で遂にツール区間優勝を果たしたフィリプセン (photo : A.S.O./Charly Lopez)

 
■遂にツールで区間初優勝を果たしたフィリプセンのコメント
「信じられない。何度も挑戦していた。今日はうまくいった。ヴァンアールトは後ろから来ると思っていた。最後のコーナーの前にちょっと閉じ込められてしまった。去年からこのフィニッシュラインは、最後のカーブの後はそんなに長くないと知っていた。ピーダスンを追い抜けて良かった。

ツール・ド・フランスでの勝利はものすごく探し求めていた。チームと一緒に第15ステージで遂にやり遂げる事ができて、まったく誇らしいよ。皆がそれは可能だと信じ続けた。自分が良い脚を持っているのは分かっていた。我々はただ、正しい瞬間と正しいチャンスを待たなければならず、今日がその日だったんだ」
 

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■ヴィンゲゴーはマイヨ・ジョーヌを守ったが、最終週を前にチームメイト2人を失った (photo : A.S.O./Charly Lopez)


■第15ステージ結果

[7月17日/ロデーズ~カルカッソンヌ/202.5 km]
1. JASPER PHILIPSEN (ALPECIN – DECEUNINCK / BEL) 4h 27’ 27’’
2. WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL)
3. MADS PEDERSEN (TREK – SEGAFREDO / DEN)
4. PETER SAGAN (TOTALENERGIES / SVK)
5. DANNY VAN POPPEL (BORA – HANSGROHE / NED)
6. DYLAN GROENEWEGEN (TEAM BIKEEXCHANGE-JAYCO / NED)
7. FLORIAN SENECHAL (QUICK-STEP ALPHA VINYL TEAM / FRA)
8. LUCA MOZZATO (B&B HOTELS – KTM / ITA)
9. ANDREA PASQUALON (INTERMARCHE – WANTY – GOBERT MATERIAUX / ITA)
10. FRED WRIGHT (BAHRAIN VICTORIOUS / GBR)

■第15ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN) 59h 58’ 28’’
2. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 02’ 22’’
3. GERAINT THOMAS (INEOS GRENADIERS / GBR) + 02’ 43’’
4. ROMAIN BARDET (TEAM DSM / FRA) + 03’ 01’’
5. ADAM YATES (INEOS GRENADIERS / GBR) + 04’ 06’’
6. NAIRO QUINTANA (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) + 04’ 15’’
7. LOUIS MEINTJES (INTERMARCHE – WANTY – GOBERT MATERIAUX / RSA) + 04’ 24’’
8. DAVID GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 04’ 24’’
9. THOMAS PIDCOCK (INEOS GRENADIERS / GBR) + 8’ 49’’
10. ENRIC MAS (MOVISTAR TEAM / ESP) + 9’ 58’’

[各賞]
■ポイント賞:WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL)
■山岳賞 : SIMON GESCHKE (COFIDIS / GER)
■新人賞:TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■チーム成績:INEOS GRENADIERS (GBR)
■敢闘賞 : NILS POLITT (BORA – HANSGROHE / GER)
 

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■敢闘賞はドイツチャンピオンのポリッツが獲得した (photo : A.S.O./Charly Lopez)


最終週は丘越え区間でスタート

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●第16ステージのコースプロフィール(MAP : A.S.O.)

 
7月18日は南仏カルソッソンヌで最後の休養日を過ごし、19日からいよいよ最終週に突入。休養日明けはカルカッソンヌからフォワまでの178.5 kmで、丘越え区間の第16ステージが行われる。丘越え区間にはなっているが、レース後半はカテゴリー1の峠を2カ所越えるレイアウトだ。
 

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(photo : A.S.O./Pauline BALLET)

 

ツール・ド・フランス 公式サイト

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