ツール・ド・フランス2022 第4ステージはマイヨ・ジョーヌのヴァンアールトが優勝

  • photo A.S.O./Pauline BALLET/Charly Lopez / ©SprintCycling

北欧デンマークで開幕した第109回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、フランスへの移動日を兼ねた休養日明けの7月5日に、ダンケルクからカレーまでの171.5kmで丘越え区間の第4ステージを競い、総合首位でマイヨ・ジョーヌを着たベルギーのウァウト・ヴァンアールト(ユンボ・ヴィスマ)が、最後の丘から単独で逃げ切り、区間優勝した。
 

ツール・ド・フランス2022

■ゴールまで残り10kmを独走で逃げたマイヨ・ジョーヌのヴァンアールト (©SprintCycling)

 
8秒遅れの集団は、ベルギーのヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)がゴールスプリントを制して区間2位になり、3位はフランスのクリストフ・ラポルト(ユンボ・ヴィスマ)だった。
 

ツール・ド・フランス2022

■3ステージ連続で区間2位だったヴァンアールトが遂に勝った (©SprintCycling)


マイヨ・アポワのニルスンがペレスと逃げた

デンマークでの熱狂的なグランデパールを終え、ツール一行はフランスへと移動し、ベルギー国境に近い北フランスから長い旅路を開始。開幕前には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査で陽性になる選手が続出していたが、意外にも今年のツールはまだリタイア選手が誰もおらず、第4ステージは176選手が出走した。

オフィシャルスタートの合図と共にアタックしたのは、地元フランスのアントニー・ペレス(コフィディス)だった。この日は丘越え区間で、カテゴリー4の丘が6カ所あった為、山岳賞のマイヨ・アポワを着たマウヌスコート・ニルスン(EFエデュケーション・イージーポスト)がペレスに付いて行った。集団は2人を追わず、彼らは10km地点で3分半のタイム差を付けた。
 

ツール・ド・フランス2022

■マイヨ・アポワのニルスンが地元フランスのペレスと逃げた (photo : A.S.O./Pauline BALLET)

 
ペレスはスタート前に総合成績で5分16秒遅れの161位だったため、6分以上のタイム差が付いた25km地点ですでにバーチャル・マイヨ・ジョーヌになっていた。ここで集団はクイックステップ・アルファヴィニル チームのマッテーア・カッタネオとアンドレーア・バジョーリが先頭を引き始めた。

63.2km地点の中間スプリントはペレスが先頭で通過。6分45秒遅れの集団は、ポイント賞総合2位でマイヨ・ベールを着ていたファビオ・ヤコブセン(クイックステップ・アルファヴィニル チーム)が3位で通過した。ゴールまで残り91kmで、2人の逃げのタイム差は7分を超え、集団はスプリンターを擁するチームが引き始めた。

マイヨ・アポワを着たニルスンは5カ所の丘を先頭で通過し、この日は5ポイントを稼いだ。5カ所目の丘を越えた後、ゴールまで残り44.3kmでペレスがアタックし、先頭を独走し始めた。ニルスンは間もなくして集団に吸収された。
 

ユンボ・ヴィスマがアタック

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■最後の丘でユンボ・ヴィスマがアタックを開始した (©SprintCycling)

 
最後のカップ・ブラン・ネの丘(カテゴリー4)はゴールまで残り10.8km地点にあり、900mの長さの坂だった。このふもとで先頭のペレスはすでに10数秒のアドパンテージしか持っていなかった。この丘で、集団はユンボ・ヴィスマが攻撃を開始。最初にナタン・ヴァンホーイドンクが加速し、あっという間に先頭のペレスを追い抜いてしまった。

続いてティシュ・ベノートがマイヨ・ジョーヌのヴァンアールトを引き、頂上へと運んだ。彼らに付いて行けたのは、アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアズ)とヨーナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)だけだった。しかし、頂上近くでヴァンアールトがアタックすると、誰も付いては行けなかった。

カップ・ブラン・ネの丘を単独で通過したマイヨ・ジョーヌのヴァンアールトは、すぐに20秒ほどのタイム差を付けて逃げ続けた。丘で分解した集団はほぼ1つに戻ったが、先頭はユンボ・ヴィスマがうまくブロックし、追走を許さなかった。

港町カレーのゴールに単独で到着したヴァンアールトは、羽ばたく仕草を見せた後、ガッツポーズでフィニッシュラインを通過した。彼は今年のツールを初日から3ステージ連続で区間2位になっていて、やっと優勝を手中に収める事ができた。
 

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■ヴァンアールトは総合でのリードも広げた (photo : A.S.O./Pauline BALLET)

 
■マイヨ・ジョーヌで区間優勝したヴァンアールトのコメント
「もう失うリスクは冒したくなかった。我々がチームで何かをしようとしていたのは明らかだった。我々はヴァンホーイドンクとクラウスウェイクが完璧な位置に居て、ヴァンホーイドンクが始めた。無線でいくらかのダメージを作る事ができたと聞いたので、何が起きたのかを全力で見に行った。ヴィンゲゴーとイェーツを待つべきか少し迷ったが、全力で行ったから、ヴィンゲゴーは走る必要がなかった。

最後の10kmは全力を出した。このマイヨが翼を与えてくれた。(最後の丘は)確かに厳しい上り坂だったが、このステージは集団ゴールスプリントで終わる可能性が高く、単独でゴールするのは難しかった。でも、チームメートたちの働きのお陰でやり遂げられた。それを仕上げるのはボク次第だった」
 

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■最後の丘まで逃げ続けたペレスは敢闘賞を獲得した (photo : A.S.O./Pauline BALLET)


■第4ステージ結果

[7月5日/ダンケルク~カレー/171.5 km]
1. WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL) 04h 01’ 36’’
2. JASPER PHILIPSEN (ALPECIN – DECEUNINCK / BEL) +00’ 08’’
3. CHRISTOPHE LAPORTE (JUMBO – VISMA / FRA) +00’ 08’’
4. ALEXANDER KRISTOFF (INTERMARCHE – WANTY – GOBERT MATERIAUX / NOR) +00’ 08’’
5. PETER SAGAN (TOTALENERGIES / SVK) +00’ 08’’
6. LUCA MOZZATO (B&B HOTELS – KTM / ITA) +00’ 08’’
7. DANNY VAN POPPEL (BORA – HANSGROHE / NED) +00’ 08’’
8. HUGO HOFSTETTER (TEAM ARKEA – SAMSIC / FRA) +00’ 08’’
9. MICHAEL MATTHEWS (TEAM BIKEEXCHANGE-JAYCO / AUS) +00’ 08’’
10. BENJAMIN THOMAS (COFIDIS / FRA) +00’ 08’’

■第4ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL) 13h 02’ 43’’
2. YVES LAMPAERT (QUICK-STEP ALPHA VINYL TEAM / BEL) + 00′ 25’’
3. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 00′ 32’’
4. MADS PEDERSEN (TREK – SEGAFREDO / DEN) + 00′ 36’’
5. MATHIEU VAN DER POEL (ALPECIN – DECEUNINCK / NED) + 00′ 38’’
6. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN) + 00′ 40’’
7. PRIMOŽ ROGLIČ (JUMBO – VISMA / SLO) + 00′ 41’’
8. ADAM YATES (INEOS GRENADIERS / GBR) + 00′ 48’’
9. STEFAN KÜNG (GROUPAMA – FDJ / SUI) + 00′ 48’’
10. THOMAS PIDCOCK (INEOS GRENADIERS / GBR) + 00′ 49’’

[各賞]
■ポイント賞:WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL)
(※第5ステージは FABIO JAKOBSEN (QUICK-STEP ALPHA VINYL TEAM / NED) が着用)
■山岳賞 : MAGNUS CORT NIELSEN (EF EDUCATION – EASYPOST / DEN)
■新人賞:TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■チーム成績:JUMBO – VISMA (NED)
■敢闘賞 : ANTHONY PEREZ (OFIDIS / FRA)
 


第5ステージは石畳区間

ツール・ド・フランス2022

●第5ステージのコースプロフィール(MAP : A.S.O.)

 
7月6日はリール・メトロポールからアランベール・ポルト・デュ・エノーまでの157kmで、クラシックの女王と呼ばれるパリ〜ルーベのコースに使われる石畳に挑む第5ステージが行われる。
 

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■今季で引退を表明しているベルギーのジルベールは、最後のツールで40歳の誕生日を迎えた (photo : A.S.O./Charly Lopez)

 

ツール・ド・フランス 公式サイト

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