ドロミテ頂上ゴールのジロ・デ・イタリア2022第20ステージはコーヴィが区間初優勝/ヒンドリー総合首位

  • photo LaPresse (Alpozzi/D`Alberto/Ferrari/Paolone)

イタリアで開催中の第105回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月28日にベッルーノからドロミテ山塊のマルモラーダ(フェダイア峠)頂上までの168kmで、第20ステージを競い、地元イタリアのアレッサンドロ・コーヴィ(UAEチーム・エミレーツ)が独走で逃げ切り、区間初優勝を果たした。
 

ジロ・デ・イタリア2022

■23歳のコーヴィが独走で逃げ勝った (photo : LaPresse)

 
区間2位はスロベニアのドメン・ノヴァーク(バーレーン・ヴィクトリアス)、3位はイタリアのジューリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)だった。

総合争いは最後のフェダイア峠で、マリア・ローザを着たエクアドルのリチャル・カラパス(イネオス・グレナディアズ)が力尽き、オーストラリアのジャイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグローエ)がカラパスに1分28秒差を付けてゴールし、2020年と同じく最終日前日に総合首位に立った。
 

ジロ・デ・イタリア2022

■ケムナに牽引されたヒンドリー(左)が、カラパスを蹴落とした (photo : LaPresse)


ドロミテ山塊で最後の戦い

イタリア北東部のドロミテ山塊が舞台となった山岳最終決戦の第20ステージは、150選手が出走した。いつものようにスタートからアタックが始まり、27km地点で14人の大きな集団が逃げ出した。前日に山岳賞受賞を確実なものにしたクーン・ボーマン(ユンボ・ヴィスマ)は入っていなかったが、マテュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)やジューリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)が顔を揃え、ここに23歳のコーヴィも加わっていた。総合上位の選手は入っていいなかった為、すぐに集団とのタイム差は4分になった。

81.6km地点のサンペッレグリーノ峠(カテゴリー1)は、ダヴィデ・フォルモロ(UAEチーム・エミレーツ)が先頭で通過した。今大会最高峰のチマ・コッピだったポルドイ峠の上りが始まり、ゴールまで残り53.4kmで逃げ集団からコーヴィがアタックし、独走を開始した。彼はポルドイ山頂で追走グループに1分半、バーレーン・ヴィクトリアスが引くマリア・ローザ集団に5分50秒差を付けていた。

ゴールまで残り14kmで、マルモラーダ山のフェダイア峠が始まった時、コーヴィは追走グループに2分20秒差を付けていた。追走グループからは、残り4.8kmでノヴァックがアタックし、単独で先頭のコーヴィを追いかけ始めたが、残り3kmでペースは落ち、結局追いつく事はできなかった。コーヴィはそのまま単独で逃げ切り、グランツールの区間初優勝を地元のジロで勝ち取った。
 

ジロ・デ・イタリア2022

■今年のジロで最大の区間『タッポーネ』をイタリア人のコーヴィが制した (photo : LaPresse)


ヒンドリーがアタック

 
マリア・ローザ集団はフェダイア峠の登坂が始まると、イネオス・グレナディアズが先頭を引き始め、パヴェル・シヴァコフ(イネオス・グレナディアズ)、カラパス、ヒンドリー、ランダ、ヒュー・カーシー(EFエデュケーション・イージーポスト)、ヤン・ヒルト(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)の8人になった。

そこから最初にアタックしたのはヒンドリーだった。マリア・ローザのカラパスはすぐに反応したが、ランダは動けず、カーシーと一緒にゴールを目指した。総合を争う2人に合流したのは、この日の逃げに加わっていたレナート・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ)だった。彼はチームメートのヒンドリーを牽引し、カラパスは2人に付いて行けなくなった。そこからアタックしたヒンドリーは、総合優勝に向かって単独でゴールを目指した。

今年のジロ最後の峠の数kmで力尽きたカラパスは、ランダにも抜かれてしまい、結局ヒンドリーよりも1分28秒遅れでゴールし、最終日前日にマリア・ローザを失ってしまった。ヒンドリーが2年前に同じ戦況でマリア・ローザを獲得した時には、タイム差はゼロだったが、今回は総合2位のカラパスに1分25秒差という十分なアドバンテージを得て、最終日の個人タイムトライアルに挑む事になった。
 

ジロ・デ・イタリア2022

■総合優勝を確実にするために、ゴールを目指すヒンドリー (photo : LaPresse)

 
■区間初優勝したコーヴィのコメント
「昨年はジロの区間で2回優勝に近づき、今年も勝ちたかったが、ボクは毎日アルメイダを助けるために走っていた。不運にも彼は新型コロナでレースを去らなければならなくなり、チームの目標も変わった。今日はチャンスだった。ボクはクライマーではないから、遠くからアタックした。最後の上りはとても良く走れた。区間優勝はチームにとって素晴らしい。特にここは伝説的な山々の区間だったからね」

■最終日前日に総合首位に立ったヒンドリーのコメント
「厳しいゴールで、正念場のステージになるのは分かっていた。自分に脚があれば、差を付けられた。そしてボクはそうした。ボクたちは今日のために自分自身をセーブし、全ては完璧に運んだ。前にケムナがいた。彼を捕まえた時、彼は素晴らしい助けになった。あれより良いタイミングはなかっただろう。物凄いステージだった。3週間のレースの終わりに、個人タイムトライアルがどうなるかは言い難いが、ボクはマリア・ローザのために死ぬ気で走るよ」
 

ジロ・デ・イタリア2022

■2年前と同じく、最終日前日にマリア・ローザを獲得したヒンドリー (photo : LaPresse)


■第20ステージ結果

[5月28日/ベッルーノ~マルモラーダ(パッソ・フェダイア)/168 km]
1. COVI Alessandro (UAE TEAM EMIRATES / ITA) 4:46:34
2. NOVAK Domen (BAHRAIN VICTORIOUS / SLO) +0:32
3. CICCONE Giulio (TREK – SEGAFREDO / ITA) +0:37
4. PEDRERO Antonio (MOVISTAR TEAM / ESP) +1:36
5. ARENSMAN Thymen (TEAM DSM / NED) +1:50
6. HINDLEY Jai (BORA – HANSGROHE / AUS) +2:30
7. LEEMREIZE Gijs (JUMBO-VISMA / NED) +3:04
8. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION – EASYPOST / GBR) +3:19
9. LANDA MEANA Mikel (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +3:19
10. KÄMNA Lennard (BORA – HANSGROHE / GER) +3:39
11. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +3:58

■第20ステージまでの総合成績(マリア・ローザ)
1. HINDLEY Jai (BORA – HANSGROHE / AUS) 86:07:19
2. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +1:25
3. LANDA MEANA Mikel (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +1:51
4. NIBALI Vincenzo (ASTANA QAZAQSTAN TEAM / ITA) +7:57
5. BILBAO LOPEZ DE ARMENTIA Pello (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +8:55
6. HIRT Jan (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / CZE) +9:07
7. BUCHMANN Emanuel (BORA – HANSGROHE / GER) +11:18
8. POZZOVIVO Domenico (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / ITA) +16:04
9. LOPEZ PEREZ Juan Pedro (TREK – SEGAFREDO / ESP) +17:29
10. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION – EASYPOST / GBR) +17:56

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):DEMARE Arnaud (GROUPAMA – FDJ / FRA)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):BOUWMAN Koen (JUMBO-VISMA / NED)
■新人賞(マリア・ビアンカ):LOPEZ PEREZ Juan Pedro (TREK – SEGAFREDO / ESP)
 

最終日はヴェローナで個人タイムトライアル

ジロ・デ・イタリア2022

■第21ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)

 
5月29日の最終日は、ヴェローナで17.4kmの個人タイムトライアルが行われる。コースは旧市街地の郊外からスタートし、中盤にカテゴリー4のトリチェッラの丘を越え、最後は旧市街の美しいアレーナにゴールする。
 

ジロ・デ・イタリア2022

(photo : LaPresse)

 

ジロ・デ・イタリア公式サイト

ジロ・デ・イタリア2022はJ SPORTSで全21ステージ生中継&LIVE配信!

チクリッシモ no.65 選手名鑑2022 好評発売中!