ジロ・デ・イタリア2022第19ステージはボーマンが区間2勝目

  • photo LaPresse (Alpozzi/D`Alberto/Ferrari/Paolone)

イタリアで開催中の第105回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月27日にマラーノ・ラグナーレからサンチュアリオ・ディ・カステルモンドまでの178kmで、丘越え区間の第19ステージを競い、山岳賞のマリア・アッズーラを着たオランダのクーン・ボーマン(ユンボ・ヴィスマ)が、逃げグループでのゴールスプリントを制し、今大会2勝目を上げた。
 

ジロ・デ・イタリア2022

■マリア・アッズーラのボーマンが区間2勝目を上げた (photo : LaPresse)

 
区間2位はスイスのマウロ・シュミット(クイックステップ・アルファヴィニル チーム)、3位はイタリアのアレッサンドロ・トネッリ(バルディアーニ・CSF・ファイザネ)だった。総合リーダーのマリア・ローザは、エクアドルのリチャル・カラパス(イネオス・グレナディアズ)が守った。
 

ジロ・デ・イタリア2022

■マリア・ローザを守ったカラパスは表彰台で子供たちと記念撮影に収まった (photo : LaPresse)

 
第19ステージは151選手が出走。この日は途中、スロベニアに越境するコースになっていた。スタートして10kmで12選手が逃げ出し、ボーマンはそこにチームメイトのエドアルド・アッフィーニ(ユンボ・ヴィスマ)と一緒に加わっていた。山岳賞受賞を確実にしたいボーマンは、前日のゴール後に、TVのインタビューでこのステージも逃げると宣言していた。

逃げ集団には総合上位の選手が入っていなかった為、50kmを過ぎた所で集団とのタイム差は一時11分を超えていた。最初のカテゴリー3の坂はボーマンが先頭で通過。集団では、カラパスの山岳アシストを務めるリッチー・ポート(イネオス・グレナディアズ)が遅れ始めた。彼は胃の調子が悪く、結局次の山でレースを途中リタイアしてしまった。

94.3km地点のカテゴリー3の峠もボーマンが先頭で通過し、着実に山岳ポイントを稼いだ。その後、コースはスロベニアへと入り、この日最大の難所だったカテゴリー1のコロブラット峠越えが始まった。ここで逃げ集団はボーマン、シュミット、トネッリ、アティラ・ヴァルタ(グルパマ・FDJ)の4人になった。山頂をトップで通過したボーマンは、誰にもマリア・アッズーラを奪われないだけのポイントを稼ぐ事ができた。

下りでアンドレーア・ヴェンドラーメ(AG2R・シトロエン チーム)が追いつき、先頭の逃げは5人になった。ゴールへと向かうカテゴリー2の坂を上がり始めた時、マリア・ローザ集団との差は8分以上あり、この5人の誰かが区間優勝できる事が確実になった。7kmの登坂で区間争いの激しい戦いが演じられたが、決着は付かなかった。
 

ジロ・デ・イタリア2022

■マリア・アッズーラのボーマンが最終コーナーを先頭で通過した (photo : LaPresse)

 
最後は5人でのゴールスプリント勝負に持ち込まれた。残り200mで最初にスプリントを開始したのはマリア・アッズーラのボーマンで、シュミットを追い越し、残り50mの手前にあった最後のコーナーを先頭で通過した。ここで3番手を走っていたベンドラーメがコースアウトするアクシデントが発生したが、ボーマンは大差を付けてフィニッシュラインに飛び込み、第7ステージに続いて今大会2勝目を上げた。

マリア・ローザの集団は、最後の坂でイネオス・グレナディアズが先頭を引き続け、アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム)、フアンペドロ・ロペス(トレック・セガフレード)、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)が遅れてしまった。

ゴールまで残り2kmで、最初に仕掛けたのはマリア・ローザのカラパスだったが、総合2位のジャイ・ヒンドリー(ホーラ・ハンスグローエ)、総合3位のミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス)も遅れを取る事はなかった。3人は一緒にゴールし、総合上位のタイム差に変動はなかった。
 

ジロ・デ・イタリア2022

■総合争いは決着が付かず、残り2ステージに持ち越された (photo : LaPresse)

 
■山岳賞受賞を確実にし、今大会区間2勝目も上げたボーマンのコメント
「1ステージ勝った後、他の何かはボーナスになるだろうとボクは言っていた。今日はマリア・アッズーラのために走って、それを確保できて嬉しいよ。最後のコーナーの事は知っていたが、あれほど鋭角になるとは思わなかった。ブレーキをかけなければならなかったが、そこでボクは最高の位置取りだったから素晴らしい。それがボクに勝利をもたらした。嬉しいよ」
 

ジロ・デ・イタリア2022

■オランダのボーマンは山岳賞受賞が確実になった (photo : LaPresse)


■第19ステージ結果

[5月27日/マラーノ・ラグナーレ~サンチュアリオ・ディ・カステルモンド/178 km]
1. BOUWMAN Koen (JUMBO-VISMA / NED) 4:32:55
2. SCHMID Mauro (QUICK-STEP ALPHA VINYL TEAM / SUI)
3. TONELLI Alessandro (BARDIANI CSF FAIZANE’ / ITA) +0:03
4. VALTER Attila (GROUPAMA – FDJ / HUN) +0:06
5. VENDRAME Andrea (AG2R CITROEN TEAM / ITA) +0:10
6. BAYER Tobias (ALPECIN-FENIX / AUT) +2:45
7. MARTIN Guillaume (COFIDIS / FRA) +3:49
8. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +3:56
9. HINDLEY Jai (BORA – HANSGROHE / AUS) +3:56
10. LANDA MEANA Mikel (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +3:56

■第19ステージまでの総合成績(マリア・ローザ)
1. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) 81:18:12
2. HINDLEY Jai (BORA – HANSGROHE / AUS) +0:03
3. LANDA MEANA Mikel (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +1:05
4. NIBALI Vincenzo (ASTANA QAZAQSTAN TEAM / ITA) +5:53
5. BILBAO LOPEZ DE ARMENTIA Pello (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +6:22
6. HIRT Jan (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / CZE) +7:15
7. BUCHMANN Emanuel (BORA – HANSGROHE / GER) +8:21
8. POZZOVIVO Domenico (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / ITA) +12:55
9. LOPEZ PEREZ Juan Pedro (TREK – SEGAFREDO / ESP) +15:29
10. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION – EASYPOST / GBR) +17:10

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):DEMARE Arnaud (GROUPAMA – FDJ / FRA)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):BOUWMAN Koen (JUMBO-VISMA / NED)
■新人賞(マリア・ビアンカ):LOPEZ PEREZ Juan Pedro (TREK – SEGAFREDO / ESP)


ドロミテ山塊で山岳最終決戦

ジロ・デ・イタリア2022

■第20ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)

 

今年のジロもいよいよ残り2ステージ。5月28日はベッルーノからドロミテ山塊のマルモラーダ頂上までの168kmで、最後の山岳区間となる第20ステージが行われる。標高1918mでカテゴリー1のサン・ペッレグリーノ峠と、標高2239mでチマ・コッピ(最高峰)のポルドイ峠を越え、マルモラーダの標高2057mのフェダイア峠にゴールするこのステージは、間違いなく今年のジロで最大のステージ、イタリア語でタッポーネだ。

ゴールのフェダイア峠は全長14kmで、平均勾配は7.6%。後半に最大18%の難所がある。このタッポーネでマリア・ローザ争いに決着が付くのか、あるいは最終日の個人タイムトライアルまでもつれ込むのか。今年もジロは最後まで目が離せない。
 

ジロ・デ・イタリア2022

(photo : LaPresse)

 

ジロ・デ・イタリア公式サイト

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