ジロ・デ・イタリア2022第16ステージはヒルトが逃げ切り区間初優勝

  • photo LaPresse (Alpozzi/D`Alberto/Ferrari/Paolone)

イタリアで開催中の第105回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、休養日明けの5月24日にサローからアプリカまでの202kmで、アルプス山岳区間の第16ステージを競い、チェコのヤン・ヒルト(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)が独走で逃げ切り、グランツール区間初優勝を果たした。
 

ジロ・デ・イタリア2022

■ヒルトが独走で逃げ切り、念願のジロ区間初優勝を果たした (photo : LaPresse)

 
区間2位はオランダのティメン・アレンスマン(チームDSM)だった。区間3位には4秒のボーナスタイム争いを制したオーストラリアのジャイ・ヒンドリー(ホーラ・ハンスグローエ)が入った。マリア・ローザを着たエクアドルのリチャル・カラパス(イネオス・グレナディアズ)は、区間4位でボーナスタイムを得られなかったが、3秒差で総合首位の座を守る事ができた。
 

ジロ・デ・イタリア2022

■区間3位のボーナスタイム争いはヒンドリー(左)が制した (photo : LaPresse)


最終週がスタート

 
今年のジロもいよいよ最終週に突入。最後の休養日明けの第16ステージは、カテゴリー1の峠を3つ越えるコースだった。出走したのは157選手で、エクアドルのジョナタン・カイセド(EFエデュケーション・イージーポスト)が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査で陽性になり、スタートしなかった。

スタートしてすぐにアタックしたのは、マテュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)だった。マーク・カヴェンディッシュ(クイックステップ・アルファヴィニル チーム)も加わった逃げは、最初の峠越えが始まる前に、トレック・セガフレードが引く集団に吸収された。

最初のゴレット・ディ・カディーノ峠で24人の大きな逃げ集団が作られ、そこには山岳賞のマリア・アッズーラを着たクーン・ボーマン(ユンボ・ヴィスマ)とジューリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)、エトナ区間で優勝したレナート・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ)、ヒュー・カーシー(EFエデュケーション・イージーポスト)、アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム)らが居た。ここにヒルトとアレンスマンも加わっていた。

59.2kmの山頂はチッコーネが先頭で通過し、山岳賞争いに名乗りを上げたかに見えた。しかし、彼は下りで先頭グループから遅れてしまい、次のモルティローロ峠はマリア・アッズーラを着たボーマンが先頭で山頂を通過し、40ポイントを稼いだ。

モルティローロ峠の下りではドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)が転倒。幸い怪我はなく、レースには復帰できたが、メイン集団から遅れてしまった。最後の峠が始まる前にボーマンは遅れ、先頭グループはバルベルデ、ヒルト、アレンスマン、カーシー、ケムナ、ウァウテル・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス)の6人になり、残り30kmでマリア・ローザ集団とのタイム差は4分近くあった。

ゴールまで残り21kmで、先頭グループからケムナがアタックし、単独で最後のヴァリコ・ディ・サンタ・クリスティーナ峠を上り始めた。残り13.6kmで追走グループからアレンスマンがアタックし、48秒先行するケムナを追った。その1km先でヒルトも単独で追走を開始し、2人は残り8.6kmでケムナを追い抜き、先頭に立った。
 

ジロ・デ・イタリア2022

■最後の峠でヒンドリー、カラパス、ランダが攻撃を掛け合った (photo : LaPresse)

 
バーレーン・ヴィクトリアスが引いていたマリア・ローザ集団では、残り9.4kmでミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス)がアタックし、マリア・ローザを着たカラパス、ヒンドリーと総合争いを開始した。

先頭では残り7.9kmでヒルトがアタックし、アレンスマンに10数秒差を付けて山頂を通過した。下りは雨が降り出したが、ヒルトは無事にゴールへと到着し、31歳でグランツール初優勝となる区間初優勝を果たし、チームに今大会区間2勝目をもたらした。

ヒルトは2019年のジロで、同じように途中モルティローロ峠を越えるステージで逃げ切りながら、ゴールスプリントでチッコーネに負けて区間2位になった経験があった。

■区間初優勝したヒルトのコメント
「このステージではいくつかのトラブルがあった。チェーンが落ちたり、下りで足が攣ったりしたんだ。でも、決して諦めなかった。何とか1人で行けて良かったよ。ボクはいつも、自分の最大の目標はジロ・デ・イタリアで区間優勝する事で、その後は辞められると言っていた。でも、今は辞めたくないよ」
 

ジロ・デ・イタリア2022

■カラパスはマリア・ローザを守ったが、総合2位のヒンドリーとのタイム差はたった3秒になった (photo : LaPresse)


■第16ステージ結果

[5月24日/サロー~アプリカ(スフォルツァート・ワインステージ)/202 km]
1. HIRT Jan (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / CZE) 5:40:45
2. ARENSMAN Thymen (TEAM DSM / NED) +0:07
3. HINDLEY Jai (BORA – HANSGROHE / AUS) +1:24
4. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +1:24
5. VALVERDE Alejandro (MOVISTAR TEAM / ESP) +1:24
6. LANDA MEANA Mikel (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +1:24
7. KÄMNA Lennard (BORA – HANSGROHE / GER) +1:38
8. GONÇALVES ALMEIDA Joao Pedro (UAE TEAM EMIRATES / POR) +1:38
9. NIBALI Vincenzo (ASTANA QAZAQSTAN TEAM / ITA) +2:06
10. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION – EASYPOST / GBR) +2:13
12. POZZOVIVO Domenico (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / ITA) +4:11
16. LOPEZ PEREZ Juan Pedro (TREK – SEGAFREDO / ESP) +7:15

■第16ステージまでの総合成績(マリア・ローザ)
1. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) 68:49:06
2. HINDLEY Jai (BORA – HANSGROHE / AUS) +0:03
3. GONÇALVES ALMEIDA Joao Pedro (UAE TEAM EMIRATES / POR) +0:44
4. LANDA MEANA Mikel (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +0:59
5. NIBALI Vincenzo (ASTANA QAZAQSTAN TEAM / ITA) +3:40
6. POZZOVIVO Domenico (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / ITA) +3:48
7. BILBAO LOPEZ DE ARMENTIA Pello (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +3:51
8. BUCHMANN Emanuel (BORA – HANSGROHE / GER) +4:45
9. HIRT Jan (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / CZE) +7:42
10. VALVERDE Alejandro (MOVISTAR TEAM / ESP) +9:06

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):DEMARE Arnaud (GROUPAMA – FDJ / FRA)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):BOUWMAN Koen (JUMBO-VISMA / NED)
■新人賞(マリア・ビアンカ):GONÇALVES ALMEIDA Joao Pedro (UAE TEAM EMIRATES / POR)
 

ジロ・デ・イタリア2022

(photo : LaPresse)

 

ジロ・デ・イタリア公式サイト

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