シクロクロスを楽しみ尽くした2日間「ラファ+弱虫ペダル スーパークロス野辺山」

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自転車漫画『弱虫ペダル』を新たに冠協賛に迎え、「ラファ+弱虫ペダル スーパークロス野辺山」が2021年11月13日(土)〜14日(日)の2日間にわたって開催された。国内シクロクロスシーンを牽引する人気大会の復活に、全国のシクロクロッサーが心と息を弾ませた。

野辺山シクロクロス2021

長野県のほぼ東端、八ヶ岳の麓にある南牧村・野辺山を舞台に、2010年から「野辺山シクロクロス」として親しまれる本大会は、国内における昨今のシクロクロス人気の嚆矢(こうし)となったイベント。一般シクロクロッサーには広大なロケーションと走ってよしのテクニカルなコースが、トップレーサーにはUCI公認大会として国内外のトップ選手を集めるハイレベルなレースが、それぞれ魅力となっている。

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中止されたが、2021年は2年ぶりに滝沢牧場にシクロクロスが帰ってきた。思うようにレースを走れない昨シーズンを過ごしたシクロクロッサーにとっては待望のレース開催だ。

野辺山シクロクロス2021会場の様子

ラファ+弱虫ペダル スーパークロス野辺山のコースの様子

 

大会は2日間にわたって開催され、のべ人数でおよそ950人のライダーがエントリー。入場エリアを2か所に絞り、消毒と検温を実施したほか、大会前2週間の検温チェックシートの書面提出を求めるなど徹底した感染対策を講じたうえでの開催であった。

国内屈指の泥レースで知られる現地だが、今年は2日間とも晴れ模様でコースはドライコンディション。朝方には-5℃まで下がった気温に、一部路面が凍結する場面もあったがおおむね走りやすいコースコンディションとなった。

 

誰もが野辺山の喜びを味わったDAY1

大会初日は、カテゴリーC4からスタート。大会スポンサーの『弱虫ペダル』作者、渡辺航さんもエントリーしたこのレースでは、朝の気温上昇による路面コンディションの変化に対応できず落車が頻発。渡辺さんも落車に見舞われ、リタイヤに。レースをリタイヤするのは自身初ということで悔しい表情を浮かべていた。

この日のトピックは、今シーズンより新設された女子マスターズカテゴリー「レディースマスター CLM」の開催。既に他のレースでは競われているが、シクロクロスの競技人口の拡大を目指し野辺山にも採用された。参加は3人とやや寂しい人数ではあったが、昨シーズンまでL1でトップ争いを繰り広げていた唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)がエントリーするなど、今後のカテゴリーの活性化に期待がかかる。レースは唐見が順当に勝利を収めている。

冠スポンサーに『弱虫ペダル』が加わったことで、関連イベントも多種開催された。自身のレースを負傷リタイヤした渡辺さんだが、その後日中に行われたファンとのライドイベントには参加。八ヶ岳東麓の広大な景色の中を、ファンとともにライドを楽しんだほか、サイン・写真撮影会も開きサイクリングファンとの交流を温めた。

 

『弱虫ペダル』筆者の渡辺航さんを囲んでの記念撮影

『弱虫ペダル』筆者の渡辺航さんを囲んでの記念撮影

 

ギヤが1枚だけのシングルスピード(SS)カテゴリーも野辺山ならでは。お祭り騒ぎと縁遠かった昨今の風潮もあってか、名物の仮装で繰り出すライダーこそ少なかったものの、シングルギアのスタイルあるバイクを駆るテクニシャンたちが会場を沸かせた。

 

野辺山シクロクロス2021シングルスピードクラスの様子

シングルスピードカテゴリーの様子

 

JCXシリーズ第3戦として開催された男女エリートレースには、国内のトップ選手が集結。シクロクロス全日本チャンピオンにして野辺山を得意とする女王、今井美穂不在の中で存在感を見せたのは昨年のジュニア全日本チャンピオンの渡部春雅(わたべ かすが/明治大学)。序盤から独走に持ち込むと追いすがるライバルを寄せ付けず勝利を飾った。

 

渡辺春雅

エリート女子を走る渡辺春雅(明治大学)

 

エリート男子は全日本チャンピオン沢田時(さわだ とき/チームブリヂストンサイクリング)と織田聖(おだ ひじり/弱虫ペダルサイクリングチーム)のマッチレースに。最終周回まで繰り広げられた一進一退の攻防は、間隙をついて差を開いた沢田が逃げ切り勝利。高校生の頃から参加しているが勝利のなかった野辺山でうれしい初優勝を飾った。

 

エリート男子を走る澤田時

エリート男子を走る沢田時(チームブリヂストンサイクリング)

 

【エリート男子リザルト】
1位:沢田時(チームブリヂストンサイクリング)
2位:織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)
3位:小阪光(宇都宮ブリッツェン)

【エリート女子リザルト】
1位:渡部春雅(明治大学)
2位:福田咲絵(AX cyclocross team)
3位:矢吹優夏(B.B.Q)

DAY2 UCIレースとしてよりハイレベルな争いに

大会2日目は、キッズレースからスタート。今大会は家族で出場する選手も多く、家族ぐるみのアクティビティとしてのシクロクロスの可能性を感じた。当日エントリーOKの未就学児レース「キンダーガーデン」も野辺山ならでは。11年目を迎え、家族が増えたシクロクロッサーが自身の子どもとともに駆ける姿に、時間の移り変わりと、どんなライフステージでも楽しめる大会のあり方を見た。

 

家族ぐるみで参加する選手

家族ぐるみで参加する選手

 

 

UCI公認レースとなった男女エリートレースは、前日よりも多くの選手を集め、名実ともに国内トップ選手が集結。女子エリートは前日と同じく、渡部が序盤から独走態勢に持ち込むと、食らいつく福田咲絵(AX cyclocross team)を振り切って連日の優勝を遂げた。福田は2日連続の2位に。

 

 

レース後握手を交わす渡辺春雅(明治大学)と福田咲絵(AX cyclocross team)

レース後握手を交わす渡辺春雅(明治大学)と福田咲絵(AX cyclocross team)

 

男子エリートは、前日の雪辱を期す織田が2周目から独走を開始。攻めの姿勢と毎周回のバニーホップで観衆を魅了する走りを見せると、数度の変速トラブルで後退した沢田に追いつかせる隙を与えず、野辺山での自身初勝利を飾った。後半にかけてタイム差を詰めた沢田が2位、粘りの走りを強いられた小坂光(宇都宮ブリッツェン)は2日続けての3位に入った。

 

UCI男子エリートで勝利した織田聖

UCI男子エリートで勝利した織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)

 

2年ぶりの開催となった「ラファ+弱虫ペダル スーパークロス野辺山」は、出展ブースや飲食ブースこそ例年より少なかったものの、訪れた参加者やその仲間、家族が再会を喜ぶ姿が会場の至るところで見られるなど、交流の温かさはブランクを挟んで例年以上に感じられた。競技目線では男女エリート、とりわけ織田と沢田によるハイレベルな応酬は国内レースのレベルを牽引するものであるとともに、観戦型イベントとしての可能性も提示するものであった。シクロクロスイベントのアイコンたる「野辺山」がこの先に見せるこのスポーツの楽しみに、引き続き注目していきたい。

UCIエリート男子上位3人

UCI男子エリート優勝の織田聖(中央)、2位の沢田時(左)、3位の小阪光(右)

【UCI男子エリートリザルト】
1位:織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)
2位:沢田時(チームブリヂストンサイクリング)
3位:小阪光(宇都宮ブリッツェン)

【UCI女子エリートリザルト】
1位:渡部春雅(明治大学)
2位:福田咲絵(AX cyclocross team)
3位:松本璃奈(RIDE MASHUN SPECIALIZED)