JCL三菱地所おおいたアーバンクラシック2021はマンセボが優勝

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ジャパンサイクルリーグ(JCL)がポイント付与対象レースに位置づけるUCI(国際自転車競技連合)公認の国際レース「OITAサイクルフェス!!!2021」2日目のレース、「三菱地所おおいたアーバンクラシック」が10月9日(土)、大分市で開催された。

大分スポーツ公園を発着点に、周辺の住宅地などアップダウンに富んだコースで繰り広げられたサバイバルレースは、かつて世界最高峰のロードレース、ツール・ド・フランスで総合4位に入った実力をもつ強豪、フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)が最後独走に持ち込んで優勝した。2位には53秒差で山本大喜(キナンサイクリングチーム)が入り、JCLの年間個人ランキングでは再び首位に躍り出た。

また、大会の模様はYouTubeで配信され、多くの人々にサイクルロードレースに触れてもらう機会となった。

JCLでは11月上旬まで各地で、国内トップレベルのプロ選手によるロードレース大会を実施する予定。次戦は10月31日(日)に栃木県にて第8戦「湧水の郷しおやクリテリウム」が開催される。

JCL三菱地所おおいたアーバンクラシック2021

大分市を舞台としたロードレース大会「OITAサイクルフェス!!!2021」の2日目、「三菱地所おおいたアーバンクラシック」が10月10日、150.8kmの公道レースで行われ、サバイバルの展開から抜け出した7人の先頭集団から、フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)が最終回に独走に持ち込んで優勝した。

前半逃げが決まらず激しい攻防

今年国内では2大会目のUCI(国際自転車競技連合)公認の国際レースとして行われた今大会は、UCI1.2カテゴリーのワンデーレースとして行われた。海外遠征がままならない昨今、貴重なUCIポイントを獲得できる機会だ。

JCL三菱地所おおいたアーバンクラシック2021

コースは住宅地の道路を通る国内では珍しいレイアウト

コースは大分スポーツ公園の、昭和電工ドーム大分前をスタート/フィニッシュに、周辺の丘陵地を巡る1周11.6kmの周回コースが設定された。途中は公園内の遊歩道や、住宅地「パークプレイス大分公園通り」の中心部を走るなど変化に富んだレイアウト。アップダウンや連続コーナーなどが少しずつ選手の脚を削るという、30℃を超える気温とともに厳しい展開が予想された。

大分市の佐藤樹一郎長らの号砲でレースはスタート。序盤は抜け出しを図る動きが連続するがどれも決まらず、集団内で決定的な主導権を握るチームも現れず、混沌とした展開がスタート後1時間以上続いた。1時間を過ぎてマンセボや、トマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)といった実力者も集団先頭でペースアップするが、どの動きも決まりそうで決まらない、膠着状態がさらに続いた。

JCL三菱地所おおいたアーバンクラシック2021

序盤からアタック合戦が続くが、なかなか集団が崩れない

JCL三菱地所おおいたアーバンクラシック2021

丘陵地帯のアップダウンを行くコースが徐々に選手のスタミナを削る

 

7人の逃げが先行

レースが動いたのは7周目中盤、小さな逃げのグループをメイン集団が吸収した瞬間に、マンセボを含む数人がカウンターで抜け出した。メイン集団が一瞬見合った隙にこのグループは一気に差を付け、単独で追った数人が追い付いた後に、7人の先頭集団となった。

JCL三菱地所おおいたアーバンクラシック2021

7周目に有力チームの多くが入る7人の逃げが決まった

逃げに入ったのはマンセボ、山本大喜に、小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)、小石祐馬(チーム右京相模原)、岡本隼(愛三工業レーシングチーム)、風間翔眞(シマノレーシング)、西尾勇人(那須ブラーゼン)というメンバー。

多くの有力チームが選手1人ずつ送り込んだことで、メイン集団をけん引するチームがほぼいなくなり、逃げとメイン集団の差はどんどん開き、ラスト5周では2分20秒差となった。

レース中盤過ぎまでアタック合戦が続いていたことで、メイン集団の選手も多くが消耗の色を隠せない。厳しい展開から実力のある選手がメイン集団を引き千切った形で、先頭7人の中から勝者が出るという展開は決定的になった。

JCL三菱地所おおいたアーバンクラシック2021

7人の先頭グループは順調にメイン集団からの差を開いた

 

マンセボの強力アタックで集団崩壊

安定して先頭交代を繰り返していた先頭の7人だったが、10周目に入ると西尾が苦しくなり脱落してしまう。さらにフィニッシュ直前の上りでマンセボが強力なアタック。小石が唯一追いすがってすぐ合流するが、小野寺と山本は若干遅れ、さらに岡本、風間は完全に脱落してしまう。先頭のマンセボ、小石に、しばらくして山本が小野寺を振り切って単独で追い付き、先頭は3人になった。

JCL三菱地所おおいたアーバンクラシック2021

フィニッシュ前の上りでアタックを仕掛けるマンセボ

JCL三菱地所おおいたアーバンクラシック2021

マンセボ、小石の先頭2人を、山本、小野寺が追走

JCL三菱地所おおいたアーバンクラシック2021

先頭に山本が追い付いて3人に

残るは2周半。マンセボは時折ペースを若干上げる様子を見せながら、小石、山本の脚をうかがう。しかしアタックを仕掛けることはなく、3人の集団でレースは最終周回へ突入した。このままラストの上りでスプリントかとも思われたが、しかし住宅地の上りでマンセボがアタックし、山本と小石を振り切ることに成功した。

JCL三菱地所おおいたアーバンクラシック2021

最終回途中の上り坂でマンセボが切れ味鋭いアタック

「最後の上り坂は向かい風なので、残り7〜8km地点で仕掛けることが自分の経験上、ベストな展開だと思った。スプリントになったら向かい風なので、自分も(確実に勝てるか)分からないので、先に勝負を決着したかった」 そうレース後に語ったマンセボ。

そのままゴールまでの約7kmを逃げ切り、独走優勝を飾った。2位は粘った山本、3位は小石。4位以降はメイン集団の勝負となり、地元チームの孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム)が集団先頭の4位を取った。

JCL三菱地所おおいたアーバンクラシック2021

JCL三菱地所おおいたアーバンクラシック2021

メイン集団の先頭は地元チームの孫崎が取って4位に

 

優勝したフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)のコメント:
「コース的にもハードな中で、各チーム1人ずつが乗ったいい逃げに乗り、レースを進行できていい展開だった。独走をするためにはラスト7〜8kmまで待たないといけないくらい、ハードなコースだった。たぶん2016年以来のUCIレース優勝なのでうれしい。」

2位に入った山本大喜(キナンサイクリングチーム)のコメント:
「今日は気温も暑くて、展開的にも厳しくとてもキツかったです。チームメートの協力もあり有力選手が乗った逃げに入れて、ベストな展開だったのですが、自分の力及ばずで悔しいです。力勝負で最後は負けてしまったのですけど、本当にマンセボ選手が強かったので、また次、勝てるように頑張っていきたいと思います。」

4位に入った孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム)のコメント:
「今日は自分もかなり自信のあるコースで、調子も良く狙っていたのですが、途中、集団内でチームが僕1人になってしまった時に、逃げの動きに対応しきれずに、また(上位から遠ざかる)厳しい展開になりかけてしまいました。他のチームのおかげもあって、4位を狙えるような集団だったので、せめて最後、何か魅せられるような場面を作れればと。せめて集団の頭を取って、次に繋げる。集団の頭を絶対取るぞと頑張りました。」

 

三菱地所おおいたアーバンクラシック2021結果

JCL三菱地所おおいたアーバンクラシック2021

JCL三菱地所おおいたアーバンクラシック2021

三菱地所おおいたアーバンクラシック2021
(150.8 km・平均速度43.75km/h)

1. フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ) 3:30’48”
2. 山本大喜(キナンサイクリングチーム) +53″
3. 小石祐馬(チーム右京相模原) +2’03”
4. 孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム) +5’01”
5. 阿曽圭佑(ヴィクトワール広島) +5’01”
6. 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム) +5’01”
7. 小林海(マトリックスパワータグ) +5’01”
8. トマ・ルバ(キナンサイクリングチーム) +5’01”
9. 谷順成(那須ブラーゼン) +5’01”
10. 小森亮平(マトリックスパワータグ) +5’01”

 

JCLランキングは山本大喜がリーダー返り咲き

今大会は三菱地所JCLプロロードレースツアーのポイント付与対象大会になっており、JCL登録の選手は上位10選手に、UCIポイントを10倍としたJCLポイントが与えられた。

この結果、この日2位に入った山本大喜が個人ランキングで再び首位に立ち、次戦ではランキングトップのイエロージャージを着て走ることになった。

またU23の最上位でフィニッシュした本多晴飛(VC福岡)がU23ランキングトップを守っている。

JCL三菱地所おおいたアーバンクラシック2021

JCL 個人ランキングトップ 山本大喜(キナンサイクリングチーム)

JCL三菱地所おおいたアーバンクラシック2021

JCL U23ランキングトップ 本多晴飛(VC福岡)

 

大会概要
タイトル:三菱地所おおいたアーバンクラシック
開催日:2021年10月10日(日)
開催地:大分スポーツ公園周辺特設コース(大分市大字横尾1351番地 大分スポーツ公園)
コース:11.6km×13LAP  Total 150.8km
大会主催:OITAサイクルフェス実行委員会、一般社団法人おおいたスポーツマネジメント、大分市