ブエルタ・ア・エスパーニャ2021第18ステージはロペスが優勝
スペインで開催中の第76回ブエルタ・ア・エスパーニャ（ＵＣＩワールドツアー）は、9月2日にサラスからカテゴリー超級のアルトゥ・デル・ガモニテイル頂上までの162.6kmで、今大会のクイーン・ステージとなる第18ステージを競い、コロンビアのミゲルアンヘル・ロペス（モビスターチーム）が深い霧の中を独走で区間優勝した。
今大会のクイーン・ステージはロペスが制した
区間２位は14秒遅れで総合リーダージャージのラ・ロハを着たプリモシュ・ログリッチ（ユンボ・ヴィスマ）、３位は20秒遅れでスペインのエンリク・マス（モビスターチーム）だった。
霧のクイーン・ステージ
●第18ステージのコースプロフィール(MAP : UNIPUBLIC)
第18ステージは151選手が出走。前日に落車したカルロス・ベロナ（モビスターチーム）と、オランダのディラン・ファンバールレ（イネオス・グレナディアズ）がスタートしなかった。
レース開始の合図からアタックが続き、2km地点でジェイムズ・ピッコリ（イスラエル・スタートアップネーション）が逃げ出したのをきっかけに、32人の大きな逃げ集団が形成された。ここにはラファウ・マイカ（ＵＡＥチーム・エミレーツ）、マイケル・ストーラー（チームＤＳＭ）、レイン・タラマエ（アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー）といった、今大会で既に区間優勝した選手たちが加わっていた。
54.1km地点の、最初のカテゴリー１のプエルトゥ・デ・サン・リャウリエンス峠は、ストーラーが先頭で通過して10ポイントを獲得。バーレーン・ヴィクトリアスが引くメイン集団は5分近く遅れていた。続くカテゴリー１のアルトゥ・デ・ラ・コベルトリアで、ティメン・アレンスマン（チームＤＳＭ）が先頭を引き、逃げ集団は小さくなって行った。
そこからゴールまで残り70km、山頂まで残り1.7kmの地点でストーラーがアタックし、独走を開始した。彼はすでに第７ステージと第10ステージでも同じスタイルで区間優勝していた。ストーラーはカテゴリー１の頂上を先頭で通過して更に10ポイント稼ぎ、チームメートで山岳賞ジャージを着ているロマン・バルデ（チームＤＳＭ）のポイントを上回り、山岳賞総合首位に立った。
雨の多いアストゥリアス地方らしく、前日に続いてこのステージも後半は断続的に降り続く雨に見舞われ、山頂は霧がかかっていた。ストーラーはゴールのガモニテイルの前に越えたカテゴリー２のアルトゥ・ラ・セガ・オ・デル・コルダル峠で更に５ポイントを獲得した。この日の逃げは、先頭を逃げるストーラーを残して全員この峠で集団に吸収された。
メイン集団からはアルトゥ・ラ・セガ・オ・デル・コルダル峠でバルデがアタックし、２番手で頂上を通過して３ポイントを稼いだ。これで山岳賞総合首位のストーラーとのポイント差は５ポイントになった。ゴールまで残り14.6kmのガモニテイルのふもとで、先頭を逃げるストーラーにバルデは２分差、メイン集団は２分半差だった。
ガモニテイルの登坂がスタートし、メイン集団はモビスターチームが引き始め、バルデは残り13kmで吸収された。残り12.2kmでメイン集団からジョフレ・ブシャール（ＡＧ２Ｒ・シトロエンチーム）がアタックして先行したが、残り10kmでダビ・デラクルス（ＵＡＥチーム・エミレーツ）に追い越された。
デラクルスは残り7kmで先頭のストーラーに追いついたが、ラ・ロハの集団とのタイム差は1分を切っていた。ゴールまで残り5.5kmでストーラーは力尽き、デラクルスが単独でゴールを目指した。10人ほどになったラ・ロハの集団では、残り4.8kmで新人賞ジャージを着たエガン・ベルナル（イネオス・グレナディアズ）がアタックしたのを合図に、総合争いの戦いが始まった。
ガモニテイル頂上のゴールを目指すロペス
ゴールまで残り4kmで、セップ・クース（ユンボ・ヴィスマ）が引くラ・ロハのグループからロペスがアタックしたが、ログリッチは追わなかった。ロペスは残り2.7kmでデラクルスを追い抜いて先頭に立ち、ゴールを目指した。残り1kmのフラムルージュで、彼はログリッチ、ベルナル、マスのグループに24秒差を付けていた。
ロペスはそのまま逃げ切り、2017年の２勝と合わせてブエルタ区間通算３勝目を上げた。後方ではラ・ロハのログリッチがスパートし、区間２位でボーナスタイムをわずかに稼いだ。
今年のブエルタは、最終週のクイーン・ステージを終えてログリッチが総合首位、総合２位のマスが2分30秒遅れ、総合３位のロペスが2分53秒遅れになった。
マス（右）は総合２位をキープした
■クイーン・ステージを制したロペスのコメント
「長い間、ブエルタでもう一度勝ちたかった。チームメートたちの素晴らしい働きのお陰でそれを成し遂げる事ができた。ベロナ、バルベルデ、ヤコブスを失って、我々はたった５人になってしまったにもかかわらずだ。素晴らしい仕事をしてくれたエルビティ、オリヴェイラ、ロハス、マスに感謝する。今日みたいなステージで勝つのは、素晴らしいと我々は知っていた。ブエルタで区間優勝してから４年経ち、クイーン・ステージなのはより良い」
■クイーン・ステージでラ・ロハを守ったログリッチのコメント
「クイーン・ステージのように感じた。とくに昨日の努力の後で、これはとてもハードで、ボクにとっては物凄くハードだった。この山を上るための力が残っていて嬉しいよ。（バーレーン・ヴィクトリアスとモビスターチームが集団を引き）我々は義務を負わなかった。スタートからゴールまで厳しいペースで、厳しい一日だった。大きな山岳を終えられて嬉しいよ」
ログリッチはクイーン・ステージでラ・ロハを守る事ができた(©Bettiniphoto)
■第18ステージ結果［9月2日／サラス～アルトゥ・デル・ガモニテイル／162.6km］
1. LOPEZ MORENO Miguel Angel (MOVISTAR TEAM / COL) 4:41:21
2. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) +14
3. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +20
4. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +22
5. HAIG Jack (BAHRAIN VICTORIOUS / AUS) +58
6. DE LA CRUZ MELGAREJO David (UAE TEAM EMIRATES / ESP) +58
7. MÄDER Gino (BAHRAIN VICTORIOUS / SUI) +58
8. MEINTJES Louis (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / RSA) +58
9. KUSS Sepp (JUMBO-VISMA / USA) +1:06
10. YATES Adam (INEOS GRENADIERS / GBR) +1:07
133. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +39:28
■第18ステージまでの総合成績（ラ・ロハ）
1. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) 73:24:25
2. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +2:30
3. LOPEZ MORENO Miguel Angel (MOVISTAR TEAM / COL) +2:53
4. HAIG Jack (BAHRAIN VICTORIOUS / AUS) +4:36
5. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +4:43
6. YATES Adam (INEOS GRENADIERS / GBR) +5:44
7. KUSS Sepp (JUMBO-VISMA / USA) +6:02
8. MÄDER Gino (BAHRAIN VICTORIOUS / SUI) +7:48
9. MARTIN Guillaume (COFIDIS / FRA) +8:31
10. MEINTJES Louis (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / RSA) +9:02
120. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +4:00:05
［各賞］
■ポイント賞 : JAKOBSEN Fabio (DECEUNINCK – QUICK-STEP / NED)
■山岳賞 : STORER Michael (TEAM DSM / AUS)
■新人賞 : BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL)
■チーム成績 : BAHRAIN VICTORIOUS (BRN)
■敢闘賞 : STORER Michael (TEAM DSM / AUS)
第19ステージは中級山岳区間
●第19ステージのコースプロフィール(MAP : UNIPUBLIC)
9月3日はタピアからモンフォルテ・デ・レモスまでの191.2kmで、中級山岳区間の第19ステージが行われる。
