ブエルタ・ア・エスパーニャ2021第3ステージはタラマエが逃げ勝って総合首位

スペインで開催中の第76回ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)は、8月16日にサント・ドミンゴ・デ・シロスからエスピノサ・デ・ロス・モンテロスのピコン・ブランコ頂上までの202.8kmで第3ステージを競い、エストニアのレイン・タラマエ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)が独走で逃げ切り、10年ぶりのブエルタ区間優勝を果たした。
 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

エストニアのタラマエが逃げ切り、ブエルタ初登場のピコン・ブランコ頂上ゴールを制した

区間2位は米国のジョゼフロイド・ドンブロウスキー(UAEチーム・エミレーツ)、3位はフランスのケニー・エリッソンド(トレック・セガフレード)だった。

総合リーダーのラ・ロハを着たスロベニアのプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)は、1分48秒遅れのメイングループでゴール。1分28秒遅れの総合97位でこのステージをスタートしていた34歳のタラマエが総合首位になった。

バルト三国エストニア出身の選手がグランツールで総合リーダージャージを着るのは、1999年のツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)で6日間マイヨ・ジョーヌを着用したヤーン・キルシプー以来だった。タラマエはカテゴリー1頂上ゴールで10ポイント獲得し、山岳賞でも総合首位になった。
 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

34歳のタラマエは総合首位に立ち、真紅のラ・ロハを獲得した


今年最初の頂上ゴール

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

●第3ステージのコースプロフィール(MAP : UNIPUBLIC)

第3ステージは182選手が出走。前日の落車で鎖骨を骨折したアレクサンダー・カタフォード(イスラエル・スタートアップネーション)と、フレデリク・フリゾン(ロット・スーダル)がスタートしなかった。フリゾンは第2ステージ終了後に高熱が出て、チームと主催者が行った新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査はどちらも陰性だったが、チームは彼の安全を考慮し、ブエルタを棄権させる事にしたと発表している。
 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

第3ステージは8人が逃げ、その中の4人が最後まで逃げ切った

15km地点で集団からトビアス・バイエル(アルペシン・フェニックス)、ユレン・アメスケタ(カハルラル・セグロスRGA)、アントニオヘスス・ソト(エウスカルテル・エウスカディ)、タラマエ、ドンブロウスキーの5人が逃げ出し、リリアン・カルムジャーヌ(AG2R・シトロエンチーム)、イェツェ・ボル(ブルゴス・BH)、エリッソンドが合流して8人の逃げグループが形成された。彼らは最初の上りのふもとで、ユンボ・ヴィスマが引く集団に3分差を付けていた。

39.2kmのプエルト・デル・マンキーリョ峠(カテゴリー3)の頂上はエリッソンドが先頭で通過し、バイエルが続いた。集団はここですでに5分遅れていた。その後も8人の逃げは集団とのタイム差を広げ続け、ゴールまで残り76kmで最大9分になった。ここで集団の先頭はバーレーン・ヴィクトリアス、イネオス・グレナディアズ、EFエデュケーション・NIPPOも引き始めた。

終盤に設定されていたカテゴリー3のアルト・デ・ボコスはバイエルが先頭で通過し、山岳賞で暫定トップになった。バーレーン・ヴィクトリアスが引くメイン集団は、ここで4分半遅れていた。

ゴールまで残り14.9kmで、逃げグループからカルムジャーヌがアタックし、後続に19秒差を付けて最後のカテゴリー1のピコン・ブランコを上り始めた。しかし、彼はゴールまで残り6.7kmで、タラマエが引くグループに追いつかれてしまった。ここでメイン集団とのタイム差はまだ3分半あった。

先頭の逃げはドンブロウスキーが引き続け、残り4.4kmでタラマエとエリッソンド以外の選手は遅れてしまった。ドンブロウスキーはアタックをかけ続けたが、2人を蹴落とす事はできなかった。残り2.8kmで今度はタラマエがアタックし、2人を置いて単独でゴールを目指した。彼はそのまま逃げ切り、2011年以来、実に10年ぶりの区間優勝を果たした。

メイン集団では総合争いの戦いが早くもスタートし、バーレーン・ヴィクトリアスやUAEチーム・エミレーツが先頭を引き続け、ラ・ロハを着たログリッチはアシストを失って1人になってしまった。更にメイン集団からはリチャル・カラパス(イネオス・グレナディアズ)も遅れてしまった。
 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

カラパスは最初の頂上ゴールで遅れてしまった

メイン集団は41歳のアレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム)が引いてゴールを目指し、最後はエンリク・マス(モビスターチーム)が飛び出し、ライバルたちよりも3秒先行してゴールした。
 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

マスはライバルたちよりも3秒先行してゴールした

■カテゴリー1頂上ゴールで逃げ切り、総合首位に立ったタラマエのコメント
「昨日、このステージで勝ってリーダージャージを獲得する事についてピーヴァ監督と話していた。今日は調子が良いから、自分をとても信じていた。全ては集団が我々を捕まえるかどうかの問題だった。我々がやり遂げられそうだと分かった時、ドンブロウスキーとエリソンドがどれ位調子が良いのかを考えていた。でも、すでに彼らを打ち負かした事があったから、自分自身を信じていた。

(リーダージャージは)とてつもない。ボクは34歳で、挑戦できる年月はあまり残っていないからね。ブエルタとジロで区間優勝していたけど、グランツールでリードするのを夢見ていた。少なくとも数日はこれを楽しみ、どんなものなのか感じるよ」


■第3ステージ結果[8月16日/サント・ドミンゴ・デ・シロス~ピコン・ブランコ(エスピノサ・デ・ロス・モンテロス)/202.8km]

1. TAARAMÄE Rein (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / EST) 5:16:57
2. DOMBROWSKI Joseph Lloyd (UAE TEAM EMIRATES / USA) +21
3. ELISSONDE Kenny (TREK – SEGAFREDO / FRA) +36
4. CALMEJANE Lilian (AG2R CITROEN TEAM / FRA) +1:16
5. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +1:45
6. LOPEZ MORENO Miguel Angel (MOVISTAR TEAM / COL) +1:48
7. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) +1:48
8. YATES Adam (INEOS GRENADIERS / GBR) +1:48
9. LANDA MEANA Mikel (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +1:48
10. CICCONE Giulio (TREK – SEGAFREDO / ITA) +1:48

11. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +1:48
12. VALVERDE Alejandro (MOVISTAR TEAM / ESP) +1:48
13. ARU Fabio (TEAM QHUBEKA NEXTHASH / ITA) +1:55
19. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION – NIPPO / GBR) +2:09
38. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +2:48
179. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +21:53

■第3ステージまでの総合成績(ラ・ロハ)
1. TAARAMÄE Rein (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / EST) 9:25:44
2. ELISSONDE Kenny (TREK – SEGAFREDO / FRA) +25
3. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) +30
4. CALMEJANE Lilian (AG2R CITROEN TEAM / FRA) +35
5. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +45
6. LOPEZ MORENO Miguel Angel (MOVISTAR TEAM / COL) +51
7. VALVERDE Alejandro (MOVISTAR TEAM / ESP) +57
8. CICCONE Giulio (TREK – SEGAFREDO / ITA) +57
9. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +57
10. LANDA MEANA Mikel (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +1:09

13. ARU Fabio (TEAM QHUBEKA NEXTHASH / ITA) +1:14
16. YATES Adam (INEOS GRENADIERS / GBR) +1:21
24. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION – NIPPO / GBR) +2:02
27. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +2:15
173. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +22:13

[各賞]
■ポイント賞 : PHILIPSEN Jasper (ALPECIN-FENIX / BEL)
■山岳賞 : TAARAMÄE Rein (INTERMARCHÉ – WANTY – GOBERT MATÉRIAUX / EST)
(※第4ステージは ELISSONDE Kenny (TREK – SEGAFREDO / FRA) が着用)
■新人賞 : BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL)
■チーム成績 : UAE TEAM EMIRATES (UAE)
■敢闘賞 : AMEZQUETA MORENO Julen (CAJA RURAL-SEGUROS RGA / ESP)


第4ステージは平坦区間

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

●第4ステージのコースプロフィール(MAP : UNIPUBLIC)

8月17日はエル・ブルゴ・デ・オスマからモリナ・デ・アラゴンまでの163.9kmで、平坦区間の第4ステージが行われる。山岳ポイントが1つもなく、集団ゴールスプリントになると予想されているが、ゴールは残り1kmから上りになっている。
 

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

集団をコントロールするユンボ・ヴィスマ

ブエルタ・ア・エスパーニャ公式サイト

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021開幕情報(スタートリスト)

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021はJ SPORTSで全21ステージ生中継&ライブ配信!