ツール・ド・フランス2021第18ステージはポガチャルが連勝

2021.07.16
レース

第108回ツール・ド・フランス（ＵＣＩワールドツアー）は、７月15日にポーから標高1715mのリュス・アルディデンまでの129.7kmで、今年最後の山岳区間だった超級頂上ゴールの第18ステージを競い、マイヨ・ジョーヌを着たスロベニアのタデイ・ポガチャル（ＵＡＥチーム・エミレーツ）が連勝し、今大会区間３勝目を上げた。

ピレネー超級頂上ゴールを２日連続で制したポガチャル(©Bettiniphoto)

区間２位は新人賞総合２位でマイヨ・ブランを着たデンマークのヨーナス・ヴィンゲゴール（ユンボ・ヴィスマ）、３位はエクアドルのリチャル・カラパス（イネオス・グレナディアズ）だった。

11枚目のマイヨ・ジョーヌを獲得したポガチャル

アラフィリップとモホリッチが逃げた

●第18ステージのコースプロフィール(MAP : ASO

第18ステージは144選手が出走。オフィシャルスタートと同時にショーン・ベネット（チームクベカ・ネクストハッシュ）、マテイ・モホリッチ（バーレーン・ヴィクトリアス）、クリス・ユールイェンセン（チームバイクエクスチェンジ）がアタックし、7km地点で1分差を付けた。

集団からは更にアタックがかかり、世界チャンピオンのジュリアン・アラフィリップ（ドゥクーニンク・クイックステップ）が、ピエールリュック・ペリション（コフィディス）と共に先頭の３人を追走した。

アラフィリップとペリションは32.5kmで合流し、先頭は５人になった。集団は1分30秒後方だった。ユールイェンセンは集団に戻り、62.7kmの中間スプリントはアラフィリップが先頭で通過した。集団ではマイヨ・ベールを着たマーク・カヴェンディッシュ（ドゥクーニンク・クイックステップ）がスプリントで競り勝って5位で通過し、11ポイントを稼いだ。

ツールマレーで追走グループに捕まったモホリッチとアラフィリップ

17km続くツールマレー峠の登坂が始まる前に、ペリションとベネットは遅れ、先頭はアラフィリップとモホリッチの２人になり、ＵＡＥチーム・エミレーツが引く集団は1分10秒後方だった。しかし、頂上まで6kmで、アラフィリップとモホリッチは追走してきた６人に追いつかれてしまった。頂上まで残り3.4kmで、先頭はダヴィド・ゴデュ（グルパマ・ＦＤＪ）、ルーベン・ゲレイロ（ＥＦプロサイクリング・NIPPO）、ピエール・ラトゥール（トタルエナジーズ）になった。

集団はツールマレー峠でイネオス・グレナディアズが引き始め、脱落する選手が続出。総合４位のリゴベルト・ウラン（ＥＦエデュケーション・NIPPO）もここで遅れてしまった。先頭は頂上まで1.2kmでゲレイロが遅れ、ラトゥールが先頭で頂上を通過してジャック・ゴデ賞を受賞した。

集団からはマイケル・ウッズ（イスラエル・スタートアップネーション）がアタックしたが、すぐにマイヨ・アポワを着たウァウテル・プールス（バーレーン・ヴィクトリアス）が反応し、4位通過で10ポイントを獲得した。

ツールマレー峠の下り坂で先頭はゴデュだけになり、単独でゴールのリュス・アルディデンを目指した。しかし、13.3km続く最後の登坂のふもとで、彼のアドバンテージはたった17秒だった。ゴデュはゴールまで残り9kmで吸収されたが、この日の敢闘賞を受賞する事ができた。

イネオス・グレナディアズが引き続けていたマイヨ・ジョーヌ集団は、ゴールまで残り5.4kmでラファウ・マイカ（ＵＡＥチーム・エミレーツ）が先頭に出て加速すると、14人に絞られた。このグループにマイヨ・アポワのプールスは付いて行けなかった。

ゴールまで残り3.3kmで、最初にアタックしたのはマイヨ・ジョーヌのポガチャルだった。カラパスはジョナタン・カストロビエホ（イネオス・グレナディアズ）、ヴィンゲゴールはセップ・クース（ユンボ・ヴィスマ）と一緒にポガチャルを追い、エンリク・マス（モビスターチーム）も加わって先頭は５人になった。

クースがコントロールし続けたこの先頭グループから、残り1kmのフラム・ルージュでマスがアタックしたが、成功しなかった。マスは残り700mでもう一度トライしたが、あっさりポガチャルに追い抜かれてしまった。

マイヨ・ジョーヌのポガチャルは2秒差を付けてゴール。彼は超級ゴールの40ポイントを稼ぎ、山岳賞でも総合首位に立ってしまった。これで彼は、昨年同様マイヨ・ジョーヌ、マイヨ・アポワ、マイヨ・ブランを受賞する事が確実になった。

ポイント賞のマイヨ・ベールを着たカヴェンディッシュは、32分04秒遅れの最下位で無事ゴール。タイムオーバーを心配されていたピレネー山岳区間を、チームメートたちの献身的なサポートで乗り切った。彼はマイヨ・ベールを着てパリに凱旋できそうだ。

■区間３勝目を上げたポガチャルのコメント
「信じられない。昨日の後で、今日は調子が良いと感じていた。この勝利は本当に嬉しい。クレイジーだ。自転車レースを初めて以来、それはボクにとってはゲームなんだ。プレイする事を楽しみ、とてもハッピーだ。このツール・ド・フランスの勝利は、すでに50％ボクのものだ。まだ何が起こるか分からないからね！

なぜタイムトライアルでヴィンゲゴールを心配しなければならないのか？　個人ＴＴで６分失う事は起こり得る。そうはならないことを願うよ。それはボクが100％を出せる種目だ。（マイヨ・ジョーヌを着て個人ＴＴを走るのは）新しい経験で、待ちきれないよ」

ポカチャルはマイヨ・アポワも獲得した

■第18ステージ結果［７月15日／ポー〜リュス・アルディデン／129.7km］
1. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 3:33:45
2. VINGEGAARD Jonas (JUMBO-VISMA / DEN) +02
3. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +02
4. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +13
5. MARTIN Daniel (ISRAEL START-UP NATION / IRL) +24
6. KUSS Sepp (JUMBO-VISMA / USA) +30
7. HIGUITA GARCIA Sergio Andres (EF EDUCATION – NIPPO / COL) +33
8. O’CONNOR Ben (AG2R CITROEN TEAM / AUS) +34
9. KELDERMAN Wilco (BORA – HANSGROHE / NED) +34
10. VALVERDE Alejandro (MOVISTAR TEAM / ESP) +40
43. URAN Rigoberto (EF EDUCATION – NIPPO / COL) +08:58

■第18ステージまでの総合成績（マイヨ・ジョーヌ）
1. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 75:00:02
2. VINGEGAARD Jonas (JUMBO-VISMA / DEN) +05:45
3. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +05:51
4. O’CONNOR Ben (AG2R CITROEN TEAM / AUS) +08:18
5. KELDERMAN Wilco (BORA – HANSGROHE / NED) +08:50
6. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +10:11
7. LUTSENKO Alexey (ASTANA – PREMIER TECH / KAZ) +11:22
8. MARTIN Guillaume (COFIDIS / FRA) +12:46
9. BILBAO LOPEZ DE ARMENTIA Peio (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +13:48
10. URAN Rigoberto (EF EDUCATION – NIPPO / COL) +16:25

［各賞］
■ポイント賞（マイヨ・ベール）：CAVENDISH Mark (DECEUNINCK – QUICK-STEP / GBR)
■山岳賞（マイヨ・アポワ）：POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
（※第19ステージは POELS Wouter (BAHRAIN VICTORIOUS / NED) が着用）
■新人賞（マイヨ・ブラン）：POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
（※第19ステージは VINGEGAARD Jonas (JUMBO-VISMA / DEN) が着用）
■チーム成績：BAHRAIN VICTORIOUS (BRN)
■敢闘賞：GAUDU David (GROUPAMA – FDJ / FRA)