ツール・ド・フランス2021第15ステージはクースが初優勝

第108回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月11日にセレからアンドラ公国のアンドラ・ラ・ヴィエイユまでの191.3 kmで、ピレネー山岳初日の第15ステージを競い、米国のセップ・クース(ユンボ・ヴィスマ)が独走で逃げ切って区間初優勝を上げた。
 

ツール・ド・フランス2021

クースが独走で逃げ切って区間初優勝した(©Bettiniphoto)

米国出身の選手がツールで区間優勝したのは、2011年のタイラー・ファーラー以来、実に10年ぶりの事だった。

区間2位はスペインのアレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム)、3位はオランダのウァウテル・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス)だった。マイヨ・ジョーヌはスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)が守った。

7月12日はアンドラで2度目の休養日を過ごし、13日からはいよいよ最終週がスタートする。
 
ツール・ド・フランス2021


山岳賞争いが白熱

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ピレネー山岳区間初日の第15ステージは149選手が出走。オフィシャルスタートからマイヨ・アポワを着たマイケル・ウッズ(イスラエル・スタートアップネーション)がアタックし、逃げ合戦が開始した。12km地点でトマス・デヘント(ロット・スーダル)が逃げ出したのをきっかけに、32km地点で32人の大きな逃げ集団が形成され、クースはここに加わっていた。47km地点でUAEチーム・エミレーツがコントロールする集団は5分遅れていた。

66.9km地点の中間スプリントはマイケル・マシューズ(チームバイクエクスチェンジ)が先頭で通過。集団はここで8分45秒遅れていた。集団の後方では、ナセル・ブアニ(チームアルケア・サムシック)がレースを棄権した。これでチームアルケア・サムシックは3人になってしまった。

86.3km地点のモンテー・ド・モン・ルイ(カテゴリー1)はプールスが先頭で通過し、モン・ヴァントゥ区間で優勝したベルギーチャンピオンのウァウト・ヴァンアールト(ユンボ・ヴィスマ)が2位で通過した。マイヨ・アポワのウッズは3位通過だったが、1ポイント差で辛うじて山岳賞総合首位は守った。集団は9分20秒遅れで頂上を通過した。

次に越えたコル・ド・ピュイモランス(カテゴリー2)の頂上はヴァンアールトが先頭で通過し、プールス、ウッズが続いた。ここで山岳賞総合はプールスとウッズが同ポイントになった。集団はイネオス・グレナディアズとモビスターチームが引き始め、タイム差は縮まり始めた。
 

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山岳賞ポイントを争うプールスとヴァンアールト

エンバリーラ峠の途中でアンドラ公国へと越境。頂上まで残り1.5kmで、逃げ集団からナイロ・キンタナ(チームアルケア・サムシック)がアタックし、アンリ・デグランジュ賞がかけられていた頂上を単独で通過した。20秒ほど遅れてヴァンアールト、プールス、ウッズが続き、プールスは山岳賞総合でウッズよりも2ポイント上回り、首位に立った。

マイヨ・ジョーヌ集団はイネオス・グレナディアズが引き続け、18人に絞られていたが、総合トップ10は全員残っていた。しかし、エンバリラ峠の下りでギヨーム・マルタン(コフィディス)がマイヨ・ジョーヌ集団から遅れてしまった。彼は前日逃げ切って4分4秒遅れの総合2位になったばかりだった。彼はそのままマイヨ・ジョーヌ集団には戻れず、総合2位の座を1日で失ってしまった。


クースがアタック!

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ゴールまで残り19.6kmでアタックし、独走を開始したクース

この日最後の峠だったカテゴリー1のベイシャリス峠のふもとで、先頭の逃げグループは20人生き残っていた。そこから頂上まで残り5kmでクースがアタック。バルベルデが反応したが、付いていく事はできなかった。クースはベイシャリス峠の頂上を単独で通過し、追走するバルベルデに20秒差を付けていた。

5分遅れのマイヨ・ジョーヌ集団では、ベイシャリス峠の登坂で総合争いの戦いがスタート。最初に攻撃したのは集団をコントロールし続けていたイネオス・グレナディアズのリチャル・カラパスだった。新人賞総合2位でマイヨ・フランを着ていたヨーナス・ヴィンゲゴール(ユンボ・ヴィスマ)も繰り返しアタックしたが、結局ここで抜け出せる選手は居なかった。

クースはそのまま独走で逃げ切り、区間初優勝を果たした。彼は2019年にブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)で区間優勝していたが、ツールで区間優勝したのは初めてだった。バルベルデは下りでクースに追いつけず、41歳で区間優勝する事はできなかった。

最後のベイシャリス峠頂上を3番手で通過したプールスは、山岳賞総合で74ポイントとなり、第9ステージで失ったマイヨ・アポワを取り戻す事ができた。しかし、ウッズは8ポイント差、キンタナとヴァンアールトは10ポイント差で、山岳賞争いはまだまだ続くに違いない。
 

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プールスがマイヨ・アポワを取り返した

■ツール区間初優勝を果たしたクースのコメント
「信じられない。言葉を失うよ。実はこのツール・ド・フランスでは、かなり苦しんでいた。脚にスパイスが入っているようには感じていなかった。今日は自分が住んでいる場所でゴールすると分かっていたから、このステージはモチベーションが上がった。とても嬉しいよ。ガールフレンドと彼女の家族が最後の上りで応援していたんだ。

逃げに居て大変な一日だった。最後はよく知っていた。ベイシャリス峠はとてもハードだから、トレーニングではあまり走らない。でも、十分な差があれば、ゴールまで逃げ切れる事はわかっていた。谷ではヴァンアールトが素晴らしい仕事をしてくれた。ツールの区間で優勝する事は、ボクにとって大きな意味がある」
 

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マイヨ・ジョーヌはポガチャルが守った

■第15ステージ結果[7月11日/セレ〜アンドラ・ラ・ヴィエイユ(アンドラ)/191.3 km]
1. KUSS Sepp (JUMBO-VISMA / USA) 5:12:06
2. VALVERDE Alejandro (MOVISTAR TEAM / ESP) +23
3. POELS Wouter (BAHRAIN VICTORIOUS / NED) +01:15
4. IZAGUIRRE INSAUSTI Ion (ASTANA – PREMIER TECH / ESP) +01:15
5. GUERREIRO Ruben (EF EDUCATION – NIPPO / POR) +01:15
6. QUINTANA Nairo (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) +01:15
7. GAUDU David (GROUPAMA – FDJ / FRA) +01:15
8. MARTIN Daniel (ISRAEL START-UP NATION / IRL) +01:22
9. BONNAMOUR Franck (B&B HOTELS P/B KTM / FRA) +01:22
10. PARET PEINTRE Aurélien (AG2R CITROEN TEAM / FRA) +01:22

■第15ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 62:07:18
2. URAN Rigoberto (EF EDUCATION – NIPPO / COL) +05:18
3. VINGEGAARD Jonas (JUMBO-VISMA / DEN) +05:32
4. CARAPAZ Richard (INEOS GRENADIERS / ECU) +05:33
5. O’CONNOR Ben (AG2R CITROEN TEAM / AUS) +05:58
6. KELDERMAN Wilco (BORA – HANSGROHE / NED) +06:16
7. LUTSENKO Alexey (ASTANA – PREMIER TECH / KAZ) +07:01
8. MAS NICOLAU Enric (MOVISTAR TEAM / ESP) +07:11
9. MARTIN Guillaume (COFIDIS / FRA) +07:58
10. BILBAO LOPEZ DE ARMENTIA Peio (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) +10:59

[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):CAVENDISH Mark (DECEUNINCK – QUICK-STEP / GBR)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):POELS Wouter (BAHRAIN VICTORIOUS / NED)
■新人賞(マイヨ・ブラン):POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
(※第16ステージは VINGEGAARD Jonas (JUMBO-VISMA / DEN) が着用)
■チーム成績:BAHRAIN VICTORIOUS (BRN)
■敢闘賞:VAN AERT Wout (JUMBO-VISMA / BEL)


第16ステージは丘越え区間

ツール・ド・フランス2021

最後の休養日をアンドラで過ごした後、7月13日はアンドラのパ・ド・ラ・カーズをスタートし、再びフランスに戻ってオート・ガロンヌ県のサン・ゴダンスにゴールする、169kmの第16ステージが行われる。ピレネー2日目は丘越え区間に分類されているが、カテゴリー2の峠を2カ所、カテゴリー1の峠を1カ所越えるステージだ。
 
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