ツール・ド・フランス2021開幕 初日は地元のアラフィリップ優勝

世界最大の自転車レースである第108回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)が、6月26日にフランス北西部のブルターニュ地方で開幕した。

ツール・ド・フランス2021

地元のアラフィリップが第1ステージを制した

初日はブレストからランデルノーまでの197.8kmで、カテゴリー3頂上ゴールの第1ステージを競い、アルカンシェルを着た世界チャンピオンのジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が、残り2.3kmからの単独アタックを決めて区間優勝し、地元フランスに最初のマイヨ・ジョーヌをもたらした。

メイングループは8秒遅れでゴールし、区間2位にはオーストラリアのマイケル・マシューズ(チームバイクエクスチェンジ)、3位にはスロベニアのプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)が入った。

今年のツールは初日から集団で大きな落車事故が2度あった。ゴールまで残り7.6kmで発生した2度目の落車には、英国のクリストファー・フルーム(イスラエル・スタートアップネーション)や、昨年総合3位になったオーストラリアのリッチー・ポート(イネオス・グレナディアズ)が巻き込まれた。彼らはレースを再開できたが、ポートは2分、フルームは14分以上遅れてゴールした。


初日から大きな落車事故が2度発生

ツール・ド・フランス2021

●第1ステージのコースプロフィール(MAP : ASO)

第1ステージは曇天の下、23チームの184選手がスタート。ベルギーのアルペシン・フェニックス(UCIプロチーム)は、故レイモン・プリドール(フランス)を称えた紫と山吹色のスペシャルジャージを、チームプレゼンテーションだけで着用する予定だったが、国際自転車競技連合(UCI)は特例で第1ステージのみ着用を許可した。

ツール・ド・フランス2021

アルペシン・フェニックスはプリドール・ジャージを第1ステージだけ着用する事を許可された

オフィシャルスタートからアタックが続いた後、12km地点でブルターニュ地方出身のフランク・ボナムール(B&Bホテルズ・P/B KTM)がアタックし、ダニー・ファンポッペル(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)、クリスティアン・ロドリゲス(トタルエナジーズ)、アントニー・ペレス(コフィディス)、イーデ・スヘリン(ボーラ・ハンスグローエ)、コナー・スウィフト(チームアルケア・サムシック)が合流して逃げグループを形成した。

ツール・ド・フランス2021

今年のツールはフランス北西部ブルターニュで開幕した

しかし、集団はドゥクーニンク・クイックステップとアルペシン・フェニックスがコントロールし、逃げのタイム差は4分以上には開かなかった。116.5km地点にあったカテゴリー4の丘のふもとで、6人の逃げグループからスヘリンが単独でアタックし、丘の頂上を単独で通過した。

ゴールまで残り66kmで他の5選手は集団に吸収されたが、スヘリンは2分以上のタイム差を付けて単独で逃げ続けた。集団ではゴールまで残り43km地点で、トニー・マルティン(ユンボ・ヴィスマ)がメッセージボードを掲げた観客に衝突し、大勢の選手が巻き込まれる大事故が発生した。この事故に巻き込まれたヤッシャ・ズッターリン(チームDSM)は、今年最初のリタイア選手になった。

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集団をコントロールするドゥクーニンク・クイックステップのデクレルク

集団は速度を落として遅れた選手を待ち、ウァウト・ヴァンアールト(ユンボ・ヴィスマ)やソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス)は集団に戻る事ができた。スヘリンは残り28kmで集団に吸収されたが、山岳賞のマイヨ・アポワと敢闘賞を獲得できた。オランダ出身の選手がマイヨ・アポワを着用するのは、2011年のジョニー・ホーヘルラント以来だった。

ゴールまで残り7.6kmで2度目の大落車事故が発生し、集団は50人ほどに減ってしまった。この落車では、シリル・ルモワーヌ(B&Bホテルズ・P/B KTM)とイグナタス・コノヴァロヴァス(グルパマ・FDJ)がリタイアした。残り3kmで“狼の穴”を意味するフォス・オー・ルーの丘の登坂が始まった時、集団の先頭はウルフパックことドゥクーニンク・クイックステップが引いていた。

ドリース・デヴェニンス(ドゥクーニンク・クイックステップ)に引かれたアルカンシエルのアラフィリップは、ゴールまで残り2.3kmでアタック。すぐ後方を走っていたヴァンアールト、コルブレッリ、マテュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)は反応できなかった。

ピエール・ラトゥール(トタルエナジーズ)だけが追走を試みたが、アラフィリップとの差は開く一方だった。後続に大差を付けた世界チャンピオンは、おしゃぶりポーズを見せた後、両手を上げてフィニッシュラインを通過した。彼は2週間前に息子が生まれたばかりだった。

地元フランスの選手がツール初日に勝ったのは、2001年のクリストフ・モロー以来、実に20年ぶりの事だった。さらに世界チャンピオンがツールの第1ステージで勝ち、アルカンシエルからマイヨ・ジョーヌに着替えたのは、1934年のジョルジュ・スペシェ(フランス)、1981年のベルナール・イノー(フランス)に続いて3人目だった。

そしてベルギーのドゥクーニンク・クイックステップにとって、アラフィリップの勝利はグランツール通算100勝目でもあった。

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ツール初日に地元フランスの選手がマイヨ・ジョーヌを着たのは20年ぶりだった

■初日に勝ってマイヨ・ジョーヌを獲得したアラフィリップのコメント
「チームがものすごく働いてくれた後で、今日は本当に成功したかった。彼らは一日中ボクを信じていた。落車に巻き込まれてしまったが、慌てずに戻る事ができた。我々はスプリンターを排除しなければならなかった。最後は遠くからアタックしてライバルたちの様子を見たかった。少し差が開き、皆がいっぱいになっているのを見て、ゴールまで全力を尽くした。とても長かったが、こんな風な大成功になった。言葉にはできない感動で、この勝利はボクにとってとても特別だ」


■第1ステージ結果[6月26日/ブレスト~ランデルノー/197.8 km]

1. ALAPHILIPPE Julian (DECEUNINCK – QUICK-STEP / FRA) 4:39:05
2. MATTHEWS Michael (TEAM BIKEEXCHANGE / AUS) +8
3. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) +8
4. HAIG Jack (BAHRAIN VICTORIOUS / AUS) +8
5. KELDERMAN Wilco (BORA – HANSGROHE / NED) +8
6. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) +8
7. GAUDU David (GROUPAMA – FDJ / FRA) +8
8. HIGUITA GARCIA Sergio Andres (EF EDUCATION – NIPPO / COL) +8
9. MOLLEMA Bauke (TREK – SEGAFREDO / NED) +8
10. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) +8

20. VAN DER POEL Mathieu (ALPECIN-FENIX / NED) +8
65. PORTE Richie (INEOS GRENADIERS / AUS) +02:16
75. YATES Simon Philip (TEAM BIKEEXCHANGE / GBR) +03:17
123. GEOGHEGAN HART Tao (INEOS GRENADIERS / GBR) +05:33
171. FROOME Chris (ISRAEL START-UP NATION / GBR) +14:37

■第1ステージの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. ALAPHILIPPE Julian (DECEUNINCK – QUICK-STEP / FRA) 4:38:55
2. MATTHEWS Michael (TEAM BIKEEXCHANGE / AUS) +12
3. ROGLIČ Primož (JUMBO-VISMA / SLO) +14
4. HAIG Jack (BAHRAIN VICTORIOUS / AUS) +18
5. KELDERMAN Wilco (BORA – HANSGROHE / NED) +18
6. POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO) +18
7. GAUDU David (GROUPAMA – FDJ / FRA) +18
8. HIGUITA GARCIA Sergio Andres (EF EDUCATION – NIPPO / COL) +18
9. MOLLEMA Bauke (TREK – SEGAFREDO / NED) +18
10. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) +18
20. VAN DER POEL Mathieu (ALPECIN-FENIX / NED) +18
65. PORTE Richie (INEOS GRENADIERS / AUS) +02:26
75. YATES Simon Philip (TEAM BIKEEXCHANGE / GBR) +03:27
123. GEOGHEGAN HART Tao (INEOS GRENADIERS / GBR) +05:43
171. FROOME Chris (ISRAEL START-UP NATION / GBR) +14:47

[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):ALAPHILIPPE Julian (DECEUNINCK – QUICK-STEP / FRA)
(※第2ステージは MATTHEWS Michael (TEAM BIKEEXCHANGE / AUS) が着用
■山岳賞(マイヨ・アポワ):SCHELLING Ide (BORA – HANSGROHE / NED)
■新人賞(マイヨ・ブラン):POGAČAR Tadej (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■チーム成績:JUMBO-VISMA (NED)
■敢闘賞:SCHELLING Ide (BORA – HANSGROHE / NED)

ツール・ド・フランス2021

逃げたスヘリンがマイヨ・アポワを獲得した


第2ステージはミュール・ド・ブルターニュがゴール

 

ツール・ド・フランス2021

●第2ステージのコースプロフィール(MAP : ASO)

6月27日はペロス・ギレックから、ゲルレダンにあるカテゴリー3の激坂ミュール・ド・ブルターニュまでの183.5 kmで第2ステージが行われる。ミュール・ド・ブルターニュは全長2kmで平均勾配は6.9%。2018年にゴールになった時と同じように、最後はローカルラップで、この激坂を2回上るレイアウトになっている。

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ツール・ド・フランス公式サイト

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