ジロ・デ・イタリア2021第20ステージはカルーゾが初優勝

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イタリアで開催中の第104回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月29日にヴェルバニアから標高1727mでカテゴリー1のアルペ・モッタ(ヴァッレ・スプルーガ)までの164kmで第20ステージを競い、地元イタリアのダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス/33歳)が独走で逃げ切り、区間初優勝を果たした。
 

ジロ・デ・イタリア

33歳のカルーゾがジロ区間初優勝を果たした(photo : LaPresse)

総合リーダーのマリア・ローザを着たコロンビアのエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアズ)は、24秒遅れの区間2位でゴール。総合2位のカルーゾに1分59秒差を付けたまま、最終日の個人タイムトライアルを迎える事になった。
 

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ベルナルが最後の山岳ステージでマリア・ローザを守った(photo : LaPresse)

最後の山岳区間だった第20ステージは、143選手が出走。この日の朝、息子が生まれたファビオ・フェッリーネ(アスタナ・プルミエテック)がスタートしなかった。オフィシャルスタートからアタックが始まり、16.9kmの最初の中間スプリント地点を通過した後、7人が逃げ出した。53km地点で逃げグループは集団に5分差を付けていた。

サン・ベルナルディーノ峠(カテゴリー1)の登坂が始まると、先頭は逃げから抜け出したジョヴァンニ・ヴィスコンティ(バルディアーニ・CSF・ファイザネ)、ヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(エオロ・コメタ サイクリングチーム)、フェリックス・グロースシャルトナー(ボーラ・ハンスグローエ)、ルイス・ヴェルヴァーケ(アルペシン・フェニックス)の4人になった。集団はチームDSMが列車を組んで先頭を引き続けた。

ゴールまで残り57.8kmの山頂はヴィスコンティが先頭で通過。1分後に通過した集団からはマリア・アッズーラを着たジョフレ・ブシャール(AG2R・シトロエンチーム)がアタックし、6位通過の4ポイントを獲得した。
 

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下りでバルデとカルーゾがアタック

サン・ベルナルディーノ峠の下りでロマン・バルデ(チームDSM)がチームメートたちと一緒にアタックし、さらに総合2位のカルーゾがペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス)とそれを追った。彼らは先頭の逃げグループに追いつき、マリア・ローザの集団に24秒差を付け、この日2つ目の峠だったスプルーガ(カテゴリー1)のふもとに到着した。

スプルーガ峠ではビルバオが逃げグループを引き、カルーゾ、バルデ、マイケル・ストーラー(チームDSM)の4人になった。マリア・ローザの集団では、ベルナルにはまだ3人のチームメートが残っていた。スプルーガ峠の山頂で、タイム差は40秒にしか開いていなかった。

ゴールまで残り7.3kmで、今年最後のアルペ・モッタの登坂がスタートした時、先頭を逃げるカルーゾのグループとマリア・ローザのグループのタイム差は40秒のままだった。最後の登坂が始まると、アシストたちは仕事を終え、先頭はカルーゾとバルデの2人になった。

マリア・ローザのグループは、ダニエルフェリペ・マルティネス(イネオス・グレナディアズ)が引き続け、サイモン・イェーツ(チームバイクエクスチェンジ)、アレクサンドル・ウラソフ(アスタナ・プルミエテック)、ジョアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)、ヒュー・カーシー(EFプロサイクリング・NIPPO)だけが残った。しかし、残り4kmでマルティネスが加速すると、ついて行けたのはイェーツだけだった。
 

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マリア・ローザ集団を引くマルティネス(photo : LaPresse)

残り2kmでバルデが力尽き、先頭はカルーゾだけになったが、まだタイム差は18秒あった。後方ではイェーツが遅れ、ベルナルはマルティネスに引かれてゴールを目指した。残り1kmのフラム・ルージュでマルティネスは仕事を終え、ベルナルは単独でゴールを目指したが、先行するカルーゾを捉える意思は見られなかった。

カルーゾはそのまま単独で逃げ切り、両手を上げてフィニッシュラインを通過した。彼はツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャのチームタイムトライアルで区間優勝した事はあったが、グランツールの通常の区間で優勝したのは初めてだった。

■区間初優勝したカルーゾのコメント
「フィニッシュライン前の最後の数mで、たくさんの事を考えた。自分の犠牲、トレーニング、チームメートたちが成し遂げた仕事の全て。今日我々は模範的なやり方で走った。特にビルバオは信じられないほどの仕事をしてくれた。彼はこの勝利の主要な役割を演じた。今日、夢が現実になった。ボクは世界で最も幸せな男だと思うよ」

■最後の山岳区間でマリア・ローザを守ったベルナルのコメント
「今日、我々はチームとしてとても良く走り、可能な限り最高の方法でレースをコントロールした。チームメートたちは素晴らしい仕事をした。特にカストロビエホには感謝する。脚の調子は良く、チームメートたちが側にいると分かっていたが、カルーゾがアタックしてタイム差が開いた時、心配した事は認める。今ボクは明日の最終ステージに向けて自信がある。総合成績で2分リードしているから、タイムトライアルでは全力を出すよ」


■第20ステージ結果

[5月29日/ヴェルバニア~アルペ・モッタ(ヴァッレ・スプルーガ)/164km]
1. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) 4:27:53
2. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) +24
3. MARTINEZ POVEDA Daniel Felipe (INEOS GRENADIERS / COL) +35
4. BARDET Romain (TEAM DSM / FRA) +35
5. ALMEIDA João (DECEUNINCK – QUICK-STEP / POR) +41
6. YATES Simon Philip (TEAM BIKEEXCHANGE / GBR) +51
7. VLASOV Aleksandr (ASTANA – PREMIER TECH / RUS) +1:13
8. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION – NIPPO / GBR) +1:29
9. FORTUNATO Lorenzo (EOLO-KOMETA CYCLING TEAM / ITA) +2:07
10. PEDRERO Antonio (MOVISTAR TEAM / ESP) +2:23
82. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +31:17

■第20ステージまでの総合成績(マリア・ローザ)
1. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) 85:41:47
2. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +1:59
3. YATES Simon Philip (TEAM BIKEEXCHANGE / GBR) +3:23
4. VLASOV Aleksandr (ASTANA – PREMIER TECH / RUS) +7:07
5. BARDET Romain (TEAM DSM / FRA) +7:48
6. MARTINEZ POVEDA Daniel Felipe (INEOS GRENADIERS / COL) +7:56
7. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION – NIPPO / GBR) +8:22
8. ALMEIDA João (DECEUNINCK – QUICK-STEP / POR) +8:50
9. FOSS Tobias S. (JUMBO-VISMA / NOR) +12:39
10. MARTIN Daniel (ISRAEL START-UP NATION / IRL) +16:48
77. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +3:34:22

[各賞]

■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):SAGAN Peter (BORA – HANSGROHE / SVK)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):BOUCHARD Geoffrey (AG2R CITROEN TEAM / FRA)
■新人賞(マリア・ビアンカ):BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL)
※第21ステージは VLASOV Aleksandr (ASTANA – PREMIER TECH / RUS)が着用
■チーム成績 : INEOS GRENADIERS (GBR)


最終日はミラノがゴールの個人TT

ジロ・デ・イタリア

●第21ステージのコースプロフィール(MAP :RCS Sport)

5月30日はロンバルディア州のセナーゴからミラノまでの30.3kmで、最終区間となる個人タイムトライアルの第21ステージが行われる。

ジロ・デ・イタリア公式サイト

ジロ・デ・イタリア2021はJ SPORTSで全21ステージ生中継/ライブ配信
 
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