ジロ・デ・イタリア2021第16ステージはベルナルが圧勝

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イタリアで開催中の第104回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月24日にサチーレからコルティナ・ダンペッツォまでの153kmで、今大会のチマ・コッピ(最高峰)を越えるドロミテ山岳区間の第16ステージを競い、マリア・ローザを着たコロンビアのエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアズ)が、後続に27秒差を付け独走でゴールし、今大会区間2勝目を上げた。

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ゴール前でレインジャケットを脱ぎ、マリア・ローザ姿でゴールしたベルナル(photo : LaPresse)

区間2位はフランスのロマン・バルデ(チームDSM)、3位はイタリアのダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス)だった。前日まで総合2位だった英国のサイモン・イェーツ(チームバイクエクスチェンジ)は2分半以上遅れてゴールし、総合5位に後退。区間3位に入ったカルーゾが2分24秒遅れの総合2位になった。


悪天候でコース短縮

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●短縮した第16ステージのコースプロフィール(MAP :RCS Sport)

ドロミテの4つの峠を越える第16ステージは雨になり、峠では降雪の予報も出されていたため、主催者はスタート直前にコース短縮を決めた。この決定により、途中通過予定だった標高2057mのフェダイア峠と標高2239mで今大会のチマ・コッピ(最高峰)だったポルドイ峠がキャンセルされ、距離は212kmから153kmになった。

新しいコースはスタートしてすぐに標高1118mのラ・クロゼッタ峠(カテゴリー1)を越えた後、後半に標高2233mのジャウ峠を越えるレイアウトに変更し、ジャウ峠が今大会のチマ・コッピになった。

第16ステージは153選手が出走。ベルギーのトマス・デヘント(ロット・スーダル)が膝の痛みでスタートしなかった。これでベルギーのロット・スーダルは参加選手が2人になってしまった。

土砂降りにも関わらず、スタートからアタックと吸収が続き、最初のラ・クロゼッタ峠で24人の逃げ集団が形成された。ここには山岳賞のマリア・アッズーラを着たジョフレ・ブシャール(AG2R・シトロエンチーム)、ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション)、ヴィンチェンツォ・ニバリ(トレック・セガフレード)、ジョアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)、ダヴィデ・フォルモロ(UAEチーム・エミレーツ)が加わっていた。

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(photo : LaPresse)

26.1kmのラ・クロゼッタ峠頂上はマリア・アッズーラのブシャールが先頭で通過し、山岳賞総合成績でのリードを広げた。下りで先頭は6人になり、アルメイダ、ニバリ、フォルモロが加わっていた。38km地点で集団とのタイム差は2分半近くに開いていた。

逃げと集団のタイム差は中間地点で6分近くにまで開いたが、総合で最も上位のマーティンのタイム差が7分50秒だった為、それ以上にはならなかった。集団はEFエデュケーション・NIPPOのアルベルト・ベッティオールが引き続けた。2つ目の中間スプリント地点を越えた118km地点で、マリア・ローザの集団はすでに20〜30人に減り、逃げとのタイム差は2分半になっていた。

チマ・コッピになったジャウ峠の登坂がスタートし、逃げグループでアタックがスタート。ゴールまで残り26kmでフォルモロが先行した。しかし、2km先でアントニオ・ペドレロ(モビスターチーム)に抜かれてしまった。


チマ・コッピのジャウ峠でベルナルがアタック

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ベルナルのアタックには誰もついて行けなかった(photo : LaPresse)

マリア・ローザのグループでは、サイモン・カー(EFエデュケーション・NIPPO)が先頭を引き、イェーツが脱落した。ゴールまで残り22kmでマリア・ローザのベルナルがアタックすると、総合のライバルたちは誰も付いて行けなかった。ベルナルはそのまま前を逃げる選手を追い抜き、ゴールまで残り21kmで先頭に立った。

ベルナルはジャウ峠頂上(チマ・コッピ)を、追走するカルーゾに30秒の差を付けて通過。そのまま無事に坂を下りきり、単独でゴールへと到着した。彼はフィニッシュラインを通過する前にレインジャケットを脱ぎ、マリア・ローザ姿で両手を上げた。

ジロは2週目が終了し、総合首位のベルナルに地元イタリアのカルーゾが2分24秒差、米国のヒュー・カーシー(EFエデュケーション・NIPPO)が3分40秒差という展開になっている。

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チマ・コッピのジャウ峠で先頭に立ったベルナル(photo : LaPresse)

■マリア・ローザを着て区間2勝目を上げたベルナルのコメント
「これは素晴らしい勝利だ。マリア・ローザを着て勝つ事は特別で、ボクはそれを見せたかった。今日は自分がゲームに戻ってきた事を示すために、何か特別な事をしたかった。天候のせいでハードなステージだったが、ステージの始まりから正しいメンタリティーを持っていた。苦しむ準備はできていて、我々はそれを成し遂げた。とても嬉しいよ」


■第16ステージ結果[5月24日/サチーレ~コルティナ・ダンペッツォ/153km]

1. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) 4:22:41
2. BARDET Romain (TEAM DSM / FRA) +27
3. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +27
4. CICCONE Giulio (TREK – SEGAFREDO / ITA) +1:18
5. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION – NIPPO / GBR) +1:19
6. ALMEIDA João (DECEUNINCK – QUICK-STEP / POR) +1:21
7. VLASOV Aleksandr (ASTANA – PREMIER TECH / RUS) +2:11
8. IZAGIRRE INSAUSTI Gorka (ASTANA – PREMIER TECH / ESP) +2:31
9. FORMOLO Davide (UAE TEAM EMIRATES / ITA) +2:33
10. FOSS Tobias S. (JUMBO-VISMA / NOR) +2:33

11. YATES Simon Philip (TEAM BIKEEXCHANGE / GBR) +2:37
17. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +7:16
58. EVENEPOEL Remco (DECEUNINCK – QUICK-STEP / BEL) +24:05
88. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +32:26

■第16ステージまでの総合成績(マリア・ローザ)
1. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) 66:36:04
2. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +2:24
3. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION – NIPPO / GBR) +3:40
4. VLASOV Aleksandr (ASTANA – PREMIER TECH / RUS) +4:18
5. YATES Simon Philip (TEAM BIKEEXCHANGE / GBR) +4:20
6. CICCONE Giulio (TREK – SEGAFREDO / ITA) +4:31
7. BARDET Romain (TEAM DSM / FRA) +5:02
8. MARTINEZ POVEDA Daniel Felipe (INEOS GRENADIERS / COL) +7:17
9. FOSS Tobias S. (JUMBO-VISMA / NOR) +8:20
10. ALMEIDA João (DECEUNINCK – QUICK-STEP / POR) +10:01

11. FORMOLO Davide (UAE TEAM EMIRATES / ITA) +12:45
15. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +21:50
19. EVENEPOEL Remco (DECEUNINCK – QUICK-STEP / BEL) +28:07
87. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +2:26:52

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):SAGAN Peter (BORA – HANSGROHE / SVK)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):BOUCHARD Geoffrey (AG2R CITROEN TEAM / FRA)
■新人賞(マリア・ビアンカ):BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL)
※第17ステージは VLASOV Aleksandr (ASTANA – PREMIER TECH / RUS)が着用
■チーム成績 : TREK – SEGAFREDO (USA)
 

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ベルナルは総合でのリードを更に広げて2週目を終えた(photo : LaPresse)


水曜日から最終週がスタート

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●第17ステージのコースプロフィール(MAP :RCS Sport)

5月25日は2度目の休養日となり、翌日からはいよいよ最終週がスタートする。26日はトレンティーノ・アルト・アディジェ州のカナツェーイをスタートし、標高1246mでカテゴリー1のセーガ・ディ・アーラ頂上にゴールする193kmの第17ステージが行われる。休養日には新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検査が行われる。

ジロ・デ・イタリア公式サイト

ジロ・デ・イタリア2021はJ SPORTSで全21ステージ生中継/ライブ配信
 
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