パリ五輪に向けたUCIトラックチーム新設 【チーム楽天Kドリームス】会見インタビュー

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3月26日(金)、トラック競技のUCIトラックチーム【チーム楽天Kドリームス】の発足記者会見がオンラインにて行われた。会見で発表された設立の目的やビジョンの紹介とともに会見に登場した5人の選手へインタビューを行った。

 

新たなUCIトラックチーム設立の意味

近年のロードレースでは、ロードレースだけでなくシクロクロスやMTBを経験してきた選手たちが成績を残している展開も多く見る。トラック競技経験者の活躍もその一端を担っていることは間違いない。
イギリスやオーストラリアが国を挙げてトラック競技から発展させ、ロードレースの競技力向上にも結果を見せる中、おそらく日本もまた、自転車競技で突破口を開くのであれば、トラック競技を中心として発展させるのがもっとも近い道のりのようにも思える。日本には競輪という大きな器もある。

ロードレースでは、ツール・ド・フランスなどUCIのレースに重きを置かれることが多いが、トラック競技ではほとんどの国がオリンピックに重きを置く。オリンピックでのメダルの数が、その国の中で各競技に配分される予算や地位を位置付けるパターンも多くあるためだ。

では改めて、トラック競技でオリンピックに出場するためには何が必要か。
オリンピックはご存知のとおり国ごとで争うものだ。各国の出場枠は、UCIが定めたレース、ルールで加算されたUCIポイントランキングによって決められる。そのため、まずはUCIレースに出場し、そこでポイントを加算していくことが絶対条件となる。

このポイントを獲得できるUCIレースに選手たちが参戦するためには、二通りの方法がある。一つ目は、ナショナルチームの選手として参戦する方法。なお、ナショナルチームとして出場できる選手数には限りがある。もう一つは、UCIトラックチームと呼ばれるUCIの登録チームから出場する方法だ。UCIトラックチームがあることで、実質、ナショナルチームとは別枠でその国の出場枠を増やす手段となり得る。
なお、UCIトラックチームとしては世界選手権や大陸別選手権、オリンピックには出場できない。これらの大会はナショナルチームからの参戦のみとなる。
日本では、2021年3月現在でUCIのHPに記述があるUCIトラックチームは、JPC(JAPAN PROFESSIONAL CYCLIST ASSOCIATION)、チームブリヂストンサイクリング、ドリームシーカーレーシングチームの3チーム。今シーズン、ここに新たなUCIトラックチームが加わることになる。

出場チームが多いほど、ポイント加算機会も増え、世界選手権やオリンピックの枠獲得に向けて有利となる。
ちなみに、オリンピック前の2019-2020シーズンでは、中国が7チームと世界最多のUCIトラックチーム(以前はトレードチームと呼ばれていた)保有国であった。今シーズンは、現時点ではイギリスの4チームが最多である。

 

チーム楽天Kドリームスの目的

3月26日、12時30分より新チーム発足の記者会見がオンラインにて行われた。会見では、代表取締役の木村美樹氏から設立の目的やビジョン、チームのGMに就任した高崎正嗣氏から所属選手が発表された。所属選手は以下の通り。

チーム楽天Kドリームス 所属選手

・松井宏佑(男子短距離)
・山崎賢人(男子短距離)

・梅川風子(女子短距離)
・佐藤水菜(女子短距離)

・鈴木奈央(女子中距離)
・古山稀絵(女子中距離)
・吉川美穂(女子中距離)
・内野艶和(女子中距離)

なお、上記8選手は、JCFが定めている強化指定AチームとBチームの選手からの選出。選出方法はJCF側に一任された形だ。
「民間のチームというよりは連盟直属のチームというイメージ」と、 JCFトラック委員会の中野浩一委員長は話した。
チームに登録できる最大人数は10人だが、今回2人分残したことで、今後、新たな有力選手たちを招き入れる余裕を持った構成となる。

チーム楽天Kドリームスは、2024年のパリオリンピックを目指す次世代の選手たちを育成し、ナショナルチームの活動をバックアップすることを目的とする。
チーム名ともなっている楽天の連結子会社であるケイドリームスは、競輪の車券を販売する会社。木村氏は、「今年から日本自転車競技連盟(JCF)とともにトラック競技の支援を通じて、自転車競技のさらなる振興につなげていきたい」と話した。まずは自転車競技の認知向上を目指し、環境整備にともなう選手の強化を行いながら収益事業へと発展させていくことを軸としていくそうだ。なお、楽天Kドリームスとチームとのスポンサー契約も2024年までをまずは見据えているという。

また、このコロナ禍により、既にネイションズカップの第1戦は中止が発表されている。東京オリンピック、そしてその先のパリオリンピックに向けて、選手たちの目標を失わせないためにも楽天Kドリームスが主催する定期的な記録会【RECORD CHALLENGE】も今後予定されている。

【RECORD CHALLENGE】

  • 世界/日本記録、自己ベストなど記録へ挑戦する記録会
  • 定期的な開催(初回は5月下旬を目処に調整中)
  • Kドリームスのサポートにより実施
  • 将来的には有観客でのイベントへ

以下からは、会見に参加した5選手のインタビューをお届けしていこう。

 

【中距離女子 強化指定Aチーム】古山稀絵

CS:パリ五輪の前に東京五輪のリザーブとしてもお名前がある状態かと思いますが、ここから東京までにパワーアップしていきたいと思うことはなんでしょうか?
今、東京オリンピックに向けて、正選手と同じトレーニングプログラムでメニューを行っている状況です。やはり、海外選手に比べてパワーであったりスキルであったり足りない部分はすごく多くあるので、そもそもの1からの面をパワーアップさせるという意味で、この半年間は頑張っていこうかなと。

CS:クレイグ・グリフィンコーチが来てから、やり方は何か変わったんですか?
クレイグコーチは、私達の予定とかにも合わせてくれるコーチなので、メンバー一人ひとりに寄り添ってチームを作ってくれるというのが印象的で。なので、みんなで切磋琢磨して強くなるという部分では、一層チームとしての団結力みたいな部分が強くなったかなとは思います。

CS:今、古山選手は大学院の1年生?
はい、そうです。

CS:ナショナルチーム自体っていつから参加されてました?
ジュニアのときからナショナルチームには参加していて、最初にナショナルチームに選抜されたのは17歳のジュニアオリンピック後なんですけど、そこから、高校3年生のときにエリートの中距離チームに選抜していただいてからはずっとエリートとして戦ってきてます。

CS:じゃあ歴としては結構長いですね。
エリートとしては、18歳からなので、4~5年という感じですかね。

CS:日本の中距離女子でいうと、梶原悠未選手が抜きん出て強いという状態かと思います。世界チャンピオンが近くにいる環境で、しかもそれが昔から競っていた相手というのは、心強くもあり、時には比べられて精神的に辛いこともあるように思えるのですが、どういう心境で日々トレーニングされているのしょうか?
やはり梶原選手の存在というのは、中距離チームにとってすごく大きくて。世界で活躍して、勝っている選手が間近にいるというのは、そのレベルで練習が一緒にできるということなので、すごく刺激をもらえているというのがまず一つあります。
高校生の頃からずっと戦う種目も一緒で、同級生で、同じように大学院に進学してっていう部分があって、比べられることもたまにあったりはするんですけれども、梶原選手って近くで見れば、なおさらすごい選手だなと感じるんですよ。彼女の努力を惜しまない姿勢というのは、近くにいる自分たちから見ても、敵わないなって思う部分が多々あって。梶原選手は梶原選手として、こういう強い選手がいるという(認識)。目標でもあり、見本でもあり、そういう存在がいて、だからこそ、それと同じようになるっていうのは無理かもしれないんですけど、そこに向けて頑張ることで、いい刺激をもらっているという意味では、私にとってはかなりプラスだなと思っています。

CS:アドバイスをもらったりとかすることもあるんですか?
よくありますね。梶原選手って、褒め上手というか、立たせるのがうまいんですよ。オーバーに褒めてくれるというか(笑)。「稀絵のあのときのあの走りがすごい良かったよ」とか、「あの動きは稀絵にしかできない!」とかを言ってくれるので、心が折れそうなときは、梶原選手の言葉に救われたりとかは何回かありました。

CS:古山選手はパリに向けてはどの競技に注力したいとかはあるんですか?
リオ五輪から東京五輪に向けても種目変更があって、オムニアムの内容が変わったりとかしたので、正直、パリ五輪に向けてどの種目が選出されるか、いろんな噂があって分からないんです。私の場合は、マディソンもオムニアムもチームパーシュートもどれもやってきた種目ではあるので、どの種目でやるとしても、フィジカル面でもそうですし、スキル面でもそうですし、まずは選出されるぐらいの選手になれるように成長していきたいなと思っています。まだ正直、何の種目で目指したいというのは持っていないんですけど。でも今は、(東京五輪に向けて)マディソンで補欠としてやっていて、マディソンで注力してやっていたので、マディソンに関しては負けたくないなという気持ちはあります。

チーム楽天Kドリームス

2020全日本トラック マディソン表彰式での古山(右)

CS:今後の予定ですが、何か出場が決まっているレースとかってあるんでしょうか?
自分は、ネイションズカップ2戦目からの参加を以前からクレイグコーチに言われていて、そこが初戦になるのかなと思っていたんですけど、ちょっと状況も状況で、出られるか分からないので、記者会見でもあったKドリームスの記録会が次かなとは思っていて。次の大きな大会だと、ネイションズカップの第3戦だったり、アジア選手権も延期になったので、トラックではないですけど、全日本ロードだったりそのあたりになるのかなと思いますね。

CS:ロードも出られるんですか?
中距離選手をもっとロード走らせる、トレーニングとしても走るようにしようっていうのは、クレイグコーチから言われているので、ロードも頑張りたいなと思っていて。今年は積極的に実業団のレースとかも出てみたいなと思っています。

CS:昨年は、中村妃智選手や梶原選手が男子の草レースのクリテリウムに混じって走られていましたけど、そういうことも今後考えていくんでしょうか?
この強度だったらちょうどいいというのを教えてくれると思うので、それがたまたま男子のレースのレベルがちょうどいいということで選ばれてたと思うんですけど。男子と走ると、刺激をもらうことがたくさんあるので、そういう機会をもらえたらすごくうれしいなと思います。

CS:一緒に走ると、男子はやっぱり違いますか?
強いです。女子で強いなと思っても、体力が落ちて、後半落ちていくようなところも男子はそのまま行き続けるので、こんなの女子じゃあり得ないのにみたいなことが多々ありますね。

CS:年明けのナショナルチームの沖縄合宿でも男子選手と一緒に走られてましたね。
クレイグコーチが男子と走ることによってスキルアップができる、フィジカルアップができると考えているので、男子の後ろにくっついて、全開まで行けみたいな感じで。上りとかで千切れたりしたらサポートしてやるから、と男子選手の心強いバックアップがありながらやっていました。女子だけで出せない速度だったり、長い距離だったりを経験できたので、すごくいい練習になりました。

CS:改めて、パリ五輪に向けて目標を教えてもらえますか?
東京オリンピックの予選会にも参加させていただいて、月日の短さっていうのをすごく感じて、だからこそ、オリンピックに向けての準備が必要だなと感じました。3年間という短い月日の中で、どこまでできるのかは分からないんですけども、楽天Kドリームスさんがサポートしてくれて、チャンスをたくさん得ることができたので、そのチャンスを無駄にしないように、1日1日しっかり積み重ねて、パリ五輪のときにはフィジカル面でもスキル面でも、選手として最高の状態で迎えられるようにしたいというのが目標です。

 

【中距離女子 強化指定Bチーム】内野艶和

CS:競輪養成所を卒業されたばかりですが、競技の面での今後の方向性について、これまで通り中距離種目で戦っていく予定ですか?
そうですね、中距離の方で活躍していきたいと思ってます。

CS:そもそも養成所に入ろうと思った理由は?
小さい頃からの夢が、スポーツが好きだったので、スポーツを職業にしたいっていうのはもともと持っていて。それで、高校生のときに自転車競技を始めていく中で、自転車競技って楽しいなと思って、これを職業にできたらいいなと考えていたら、ガールズ(ケイリン)選手というのがあるのを知って、自分もガールズの選手になって自転車を職業にできたら幸せなことだなと思ったので養成所に入りました。

CS:トラック競技の方だとジュニアのときにアルカンシェルを獲得されてるかと思うんですけれども、今後の最大の目標は何ですか?
今後は、やっぱりオリンピックですね。パリオリンピックでまずメダルを取る。4年に1回しかないっていうのもありますし、やっぱり自分が今ま目標としてきたのがオリンピックだったので。そこを目指してあと3年しかないので、しっかり仕上げていけたらいけたらいいなと思ってます。

CS:中距離女子の中で練習していて、エリートでのオムニアム世界チャンピオン(梶原悠未)が近くにいる環境というのは、どういう思いがあるんでしょうか?
すごい目標にしやすいというか。梶原選手が世界チャンピオンなら、このレベルまで上がらないといけないっていうのを日々思わせてくれるというか、近くにいてくれることで自分がどれほど足りていないかを思い知らされるいい環境だと思うので、少しでも早く強くなっていけるように練習頑張っていきたいなと思ってます。

CS:自分の立ち位置を常に世界チャンピオンを比較できるっていうのは大きいですよね。
そうですね。ありがたいことです、本当に。

CS:全日本トラックでのレースを見ていて、内野選手は2位狙いにならずに、梶原選手に向かって自ら攻撃をしていったという印象があるんですが、どのような思いで走られていたんですか?
もちろん大会出るのであれば、優勝したいという気持ちはすごくあるんですけど、この前の全日本は、悠未さんと初めて競技の中で戦えるチャンスだったので、すごい楽しみな部分があって。自分が今、どれほど悠未さんに敵うのかを試すことができるチャンスだと思って。(全日本トラックの時点では、競輪)養成所の中にいたので、十分なトレーニングができたかっていうと、微妙だったんですけど、自分のできる最大の努力をして全日本に向かっていったので、その中でしっかり悠未さんと戦えて、ダメだろうとしっかり自分から動いて仕掛けていきたいっていう気持ちがあったので、そういう走りになったんだと思います。

チーム楽天Kドリームス

CS:今後、梶原選手に追いつくため、そして追い越すためにどんなことをしていきたいなと思ってますか?
今、自分でもそれをいろいろ探っていて、悠未さんと比べるとやっぱり課題が数え切れないくらいあるので。まずは、養成所に入っていた分、中距離系というか、地脚が落ちてしまっている分があるので、そこを戻していきつつ、ダッシュ力も落とさず、やっていきたいなと思ってます。

CS:ロード練習というところですかね?
はい。養成所の頃は、(距離を)乗れなかったので、やっぱり落ちてることがあると思うので。しっかりロード練習をして、地脚つけていかないと話にならないので、まず地脚をつけていきたいなと思います。

CS:ロードレースも今後参戦される予定もあるんですか?
出ることはあると思います。トレーニングも兼ねて。

CS:今後の予定としては、トラックはネイションズカップですか?
はい。その予定です。

CS:そこで目標とするところはどこになりますか?
まずは怖がらないというところ。本当に基本なんですけど、今は自分はそこがちょっと、競技から10か月間離れてしまったので、レースの勘を戻したいなと。ネイションカップでは、結果もそうですけど、自分の力を出し切るレースをできたらいいかなと。

CS:250mバンクで高い密度の中、走るというのはやはり怖さがあるんですか?
ジュニアの世界選手権で初めて走ったときは、ポイントレース以外にも走った種目があったんですけど、やっぱり集団は一番最初に走ったときはすごく怖かったですね。落車するんじゃないかと思ってずっとヒヤヒヤしながら走った記憶があるので、しっかり慣れたいなっていうのはすごく思います。

CS:2月の競輪養成所卒業記念レースでも2着に入られていましたが、日本の競輪というものに対してのご自身の適性についてはどう考えてますか?
合ってるかというところでは難しいんですけど、でも自分の走りをすれば、優勝もできるんじゃないかと思ってるので。自分がいけると思ったタイミングでしっかり行って、走り切れたら今はいいかなと。今後走っていく中で、競輪の走り方とかをたくさん学んでいくと思うので、そこら辺を競技とは別にしっかり考えて、毎レース走っていきたいなと思ってます。

 

【短距離男子 強化指定Aチーム】山崎賢人

CS:2019年末にナショナルチーム入りしてから丸1年以上経ちました。国際大会への参加はまだ未経験だと思いますが、ご自身のTTのタイムだったり、その他実戦形式のものであったりとかをそれぞれ国内で経験されて、何か変わったと思うことはありますか?
やっている練習が間違いじゃないんだなっていうのは確信しました。方向性というか。国内だけなんですけど、その部分は経験もできました。練習の面だと、最初の頃はいろいろなメニューをしっかりやるだけという状態だったんですけど、今はもっと実戦形式に近いものを自分の中でイメージできたりとかそういう余裕もできてきたので、変化はありました。

CS:毎日行うメニューに対して、これは何のためにやってるんだとか理由づけみたいなことをされているんですか?
だいたい言われますし、自分の中でもこういう練習かなというのは考えてやってますね。

CS:昨年末の全日本トラックでのスプリントでは2位という結果を残して、強化指定のBチームからAチームにも上がられましたが。
あれ(全日本トラック)も自分が上手だったとか強かったという感じじゃなかったので、そこはまだまだ足りないものを感じました。

CS:相手チームのトラブルもありつつでしたが、全日本トラックで優勝されているチームスプリントについては、パリに向けてというところで現状で何かトレーニングされてたりするんですか?
練習の中では、そういう練習はあるんですけど、パリに向けてというところでははっきり何も決まっていないので、分からないですね。だいたい練習の中でやるのは、2走か3走ですね。

チーム楽天Kドリームス

2020全日本トラック チームスプリントで優勝したチームケイドリームス1。右が山崎

CS:まだ海外の大会には出られてないですけども、ご自身の立ち位置、現状でどういうところが狙えるかなと考えていますか?
うーん、どうですかね。まだまだ全然、(ナショナル)チーム内でも強いほうでもないと思うので。やってみないと分からないですね。立ち位置的には。

CS:全日本トラックでは、短距離全種目出場されていたかと思います。その中で、パリオリンピックに向けて注力していきたいと思う種目はあるんでしょうか?
スプリントで結果が出たのは大きいので、そこはもうちょっと。結果もですけど、楽しめるようになるぐらいまで技術を上げられればなとは思います。

CS:スプリントで言うならば、まさに深谷知大選手は一番楽しんでやっているように見えますね。
やっぱり力の差もあるんですけど、そういうのはすごく感じますね。遊んでるというか、すごく余裕を持って反応ができてるというか。やっぱりスプリントは、一瞬一瞬で自分の形勢が悪くなったりとか、一瞬の駆け引きとかもあるので、そういうのは見ていてすごく上手だな、余裕があるなというのは感じますね。

CS:深谷選手からアドバイスをもらうこともあるんですか?
ありますね。直接映像見ながら、これはどうですか?とか聞くと、いろいろ深谷さんの考えは教えてくれるので。

CS:スプリントって、実際に試してみないと難しそうですね。
説明されて、これだと良くないよねとか、頭では分かるんですけど、自分がいざやるってなると、全然追いつかないというか。その判断が全然まだまだできてないですね。

 

【短距離女子 強化指定Aチーム】梅川風子

CS:梅川選手はスピードスケート出身なんですね? 自転車とは近いところがあったりするんですか?
そうです。20年やってました。似てるところはあると思うんですけど、私的にはあんまり、別のものという感じに捉えてます。

CS:2020年からナショナルチームに合流されたかと思いますが、何かきっかけがあったんでしょうか?
きっかけは、トレーニングとか、ガールズケイリンの成績とかそういうところに自分の中で、ちょっと一段落ついちゃってるところがあって。刺激も求めてたタイミングでコロナがあって、その頃にちょうど今(ナショナルチームに)いる太田りゆ選手と同じ競輪開催があったんです。そこでトレーニングの話をする内に、自分のやる気次第ではこっち(ナショナルチーム)でトレーニングやって、他のことを挑戦できるよという話をもらったのがきっかけです。

CS:太田選手から今までもナショナルチームのお話は聞かれてたんですか?
聞いてはいたんですが、そのときに私が悩みを打ち明けたことによって深く話をするようになって、それでちょっと考えた末に私もこっちでやろうかなと決めました。

CS:これまで短距離女子は、小林優香選手と太田選手だけでトレーニングやレースを重ねる期間も長かったかと思います。梅川選手や佐藤選手が入って、少し雰囲気が変わったように思うのですが、梅川選手的には、ナショナルチームの雰囲気はどう感じていますか?
短距離の独特な雰囲気っていうのはある思っていて。結構、個人に集中してる感じですね。自分も含めてですけど、皆さんがそんな感じで。でも助けを求めると、というか悩みを相談すると、そこには5倍も10倍もかけて応えてくれるような、無性に親切というか。そういうところはすごい、包み隠さずみんな教えてくれる感じですね。

CS:手の内を見せ合って高めていく感じなんですね。
そうですね、もうここまでいると隠しても隠しきれないから、すぐに手の内を見せて、結局対戦する相手にはなるけども、そういう話もするという感じですね。シミュレーションでレースをしたりするんですけど、やっぱりそこも探り合いというか、知った上での弱点の探り合いたみいな感じですね。むしろ、こうやってやっているおかげでやりにくさみたいなものは、もうとっくになくなりました。

CS:梅川選手ご自身で思う強いところってどこでしょうか?
思い切りの良さっていうのは、自分の中ではあるかなと思ってます。レースを動かせるところとか。出し惜しみはしないけど、早めに行きすぎちゃうところが逆にウィークポイントだったりすると思うので、そこは自分の中で気をつけながらな感じですね。

CS:精神的な強さという面ではどうでしょうか?
いや、まったく(笑)。周りからは強いね、みたいに言われますけど、いろいろなきっかけの中で自分の中で落ち込んでしまう部分とか、落とし込めない部分もあったりもするので。そこ(精神的な面)は、そこまで強靭ではないですね。

CS:全日本トラックでは、小林選手や太田選手とともにチームスプリントのメンバーにもなっていたかと思いますが、パリに向けてどの競技に注力したいとかはあるんですか?
私個人としては、チームスプリントでももうちょっと世界と戦っていきたいなっていう気持ちはあるんですけど、こればっかりはやっぱりチーム力と、個人の力もまだ全然及んでない段階なので、まだどうなるか分からないところがあるんですけど。チームスプリントは頑張りたいなと個人的には思ってます。もちろんケイリンとかスプリントの方はまだまだを磨いていきたいなという感じですね。

チーム楽天Kドリームス

2020全日本トラック チームスプリントで優勝したJPCA。中央が梅川

CS:まずは国際大会に向けてですか?
国際大会に出るときには、なるべく自分の中でしょっぱなから高いレベルに持っていきたいなという思いはあるので。あんまり経験だけで出るようにはならないようにしたいと思います。

CS:全日本トラックでチームスプリント優勝された後は、「パリに向けて時間がない、まだ初めて合わせたくらいの段階」と話されてました。この期間までに、パリに向けたチームスプリントのトレーニングはされているんしょうか?
個人の力を上げるっていう面で、チームスプリントのスタート練習とかをしているんですけど、やっぱり東京オリンピックが今はメインで動いているので、今はまだチームスプリントで合わせられていないのが現状ですね。

CS:梅川選手ご自身は、競技と競輪の比重というのはどう考えているんですか?
現状、全く同じですね。むしろ私は競輪はめちゃくちゃ大事で、資金源にもなっているし、生活を支えるものなので、これなくしては競技を走れないし、競技だけでは食べていけないしというのはあって、どっちも同じ比重です。

CS:競輪と競技でやっぱり違うかとは思うんですけど、お互いに生かせるものってあるんですか?
それはめちゃめちゃあると思います。ガールズの自転車はカーボンで、ほぼ同じ素材ということで似ているので、そこは非常にいいと思います。

CS:梅川さんの最大の目標となると、競技と競輪それぞれでどこになりますか?
競輪は長く続けていくものなので、もちろんガールズグランプリもありますけど、もう1年1年の積み重ねで、あまり目標を置く感じの走りにはならないんですけど、競技の方はメダルを獲ることを目指しています。

 

【短距離女子 強化指定Bチーム】佐藤水菜

CS:2020年から中野浩一さんに誘われてナショナルチームに合流されたと聞きましたが、ナショナルチーム入りを決めた理由は何かあったんでしょうか?
私はそもそも自転車を始めたきっかけが競輪ではなくて、父親が自転車競技をやっていて。父親の姿を見て、やってみたいな、というところから入ったんです。競技を最初にやって、大会とかに出たりして、自転車が楽しいなと思っていました。大学選びか就職かのタイミングでガールズ競輪を知って、ガールズ競輪を選んだんです。なので、大元は競技をやりたいっていう気持ちが強かったので、デビューしてからもずっと競技はやっていきたいなと思っていて。デビューした年も競輪祭で中野さんとお話する機会があって、「競技とかどうなの?」とかそういう話をしてたんです。でも、なかなか都合が合わないで2年経ってしまって。それで、中野さんからお電話いただいて、「行きます行きます!」みたいな感じで入りました。

CS:自転車競技は何に出られてたんですか?
主に大会で出ていたのは、トラックなんですけれど、トラックはやっぱり練習する場所が全然ないんです。なので、普段はロードレーサーで。ロードレーサーはお金をかけずにどこへでも行けるので。ロードに乗って毎週末に横浜へ行ったり、行ったことないからスカイツリー行こうとか、競輪学校の試験の前日に伊豆に行ったら教官に会ってしまったっていうエピソードもあるんですけど(笑)。それくらいロードレーサーは楽しんで乗るのが好きで。ロードレーサーに基本ずっと乗っていて、父親が練習しているので、月に1回~2回はバンクに乗れますみたいな。今度こういう大会があるから出てみたら?と言われて、出ます!って出たら優勝できたりして。記録がどんどん更新できて楽しいな、という感じでどんどん魅力に引き込まれていきましたね。

CS:元々自転車競技やってたときから短距離種目をやられていたんですか?
種目としては、タイムトライアルが多かったんです。みんなで走ることに慣れてないし、タイムトライアルは自分との戦いだし、自分と他の人との差がはっきり出る種目なので。あとは女子が少ないので、中長距離の種目はできないんですよ。

CS:そもそも開催されないんですね。
そうです。そういう理由で出ないし、2km(TT)とかは走りたいって言って走ったりはしてました。何しても楽しかったので。

CS:去年からナショナルチームに入られて、佐藤さん的に居心地はどう感じていますか?
居心地は……(笑)。今まで競輪選手としていっぱい競輪場で練習してきましたけど、本当にここ(ナショナルチーム)は、世界を目指している場所なんです。競輪選手は本当にさまざなな考え方があって、上を目指している人、ある程度生活できればいい人、楽しく選手を続けたい人、小遣い程度でいいやっていう人、それぐらいの幅があるんですよ。だから、アットホームな感じが多くて、ピリピリした空気があまりなかったんです。(ナショナルチームは)すごいピリッピリしてるから、ウッ!ってなることは多々ありますけど、やっぱりそういう空気があるからこそ集中もより一層できるし、そういう場面を練習からやっていくことで、レースでも緊張とかもしないし、プラスの面がすごい多いですね。逆に居心地が良くなってしまうとダメかなって。常に緊張感を持って、練習に取り組める環境かなと思います。

CS:トレーニング自体も、今までご自身が他の競輪選手の方々に教わってきたのとはまた違う形で取りくんでらっしゃるかと思うんですけど、ナショナルチームに入って、トレーニング密度とか強度とか、どう変わりましたか?
本当に私、競輪選手なめてて……(笑)。

CS:そうなんですか(笑)?
競輪学校入る前、練習の“れ”の字もしてなかったんですよ。ただ自己満足のために、自分を追い込むのが好きだから追い込んでたくらいの感じだったんです。そうしたら、競輪学校入って1か月も経たない内に(熱が)40度出ました。競輪学校では毎月体調崩してて。なぜかって、体力がなくて。オーバーヒートです。
競輪学校卒業すると、練習が自由になります。ある程度はちゃんとやるんですよ。2日やったら1日休もうとか、自分で体調を考えて、無理をしないでいたから、体調を崩すことがほとんどなかったんです。もうやめとこうとか、今日はちょっとご飯行きたいからやめとこうかなとか、本当に自分がどれだけ強くなりたいかは、全部自分にかかってくる。
(所属している)川崎(競輪場)は、メニューが毎日固定で決まってるんです。ずっと何年間もそれをやっていて。良く言えば、体調とか自分のコンディションが分かるんですよ。でも悪く言えば、ワンパターンすぎちゃって。私はそれに頼り過ぎちゃって、ウエイトとかもしてなかったし、それだけの練習しかしてこなかったんです。それが、こっち(ナショナルチーム)に来ることによって、一気に変わって。また競輪学校の頃みたいに、今のところ順調に体調を崩してますね(笑)。でも、そのくらい本当に練習の強度は高いし、集中もできてるからこそ、この半年ですごい自分の成長が感じられています。

CS:パリに向けて、どの競技に注力したいとかはあるんでしょうか?
競輪選手として登録されてから競技の大会に出てなかったんです。なので、今自分の力がどれくらいか全くわかってないので、ぱっと言えるのは、スプリント。予選でハロン(TT)計測があるんですけど、今、そこでの目標しか立てられてなくて。
もちろん全日本では1回走ったんですが、ナショナルチームのメンバーだから力量も分かってるし、さらに言えばガールズの選手でガールズケイリンで走ったこともあるから、なんとなく分かっちゃってる。他の選手のことを知らない状態でまだ走ってないので、自分が今どこにいるか全然分からないんです。だから一番分かるのがタイム(の目標)。やっぱりスプリントのハロンでまずはタイムを出して、駆け引きが好きなので、そのスプリントで勝ちたいっていうのはあります。

チーム楽天Kドリームス

2020全日本トラック ケイリンでの佐藤(中央)