選手の抗議で短縮したジロ・デ・イタリア2020 第19ステージはチェルニーが逃げ切り区間初優勝

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イタリアで開催中の第103回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、10月23日に一部の選手とチームの抗議で124kmに短縮した第19ステージを競い、チェコTTチャンピオンのヨセフ・チェルニー(CCCチーム)が独走で逃げ切ってグランツール初優勝となる区間初優勝を果たした。

ジロ・デ・イタリア

独走で逃げ切ったチェコTTチャンピオンのチェルニー

区間2位はベルギーのヴィクトール・カンペナールツ(NTTプロサイクリング)、3位はイタリアのヤコポ・モスカ(トレック・セガフレード)だった。

翌日に控えた過酷な山岳ステージに備え、リラックスしたサイクリングでレースを終えたメイン集団は、11分43秒遅れでゴール。総合上位に変動はなく、マリア・ローザはオランダのウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ)が守った。

選手の抗議でコース短縮

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選手たちはモルベンニョをスタートした後、8kmだけ走ってチームバスに乗り込んだ

第19ステージはモルベンニョからアスティまでの253kmで、今大会最長距離になる予定だった。きっかけは途中の橋が崩壊した事でルートが変更し、距離が5km長くなった事だった。しかもこの日は朝から雨が降っていた。そのため、ステージが長すぎる事に反発した一部の選手とチームがスタート直前に抗議して短縮を要求した。

主催者はこれを受け入れ、第19ステージはスタートのモルベンニョから8kmだけ走ってニュートラルとなり、133.5km地点のアッビアーテグラッソから再スタートし、124kmで行われる事になった。

スタートしてすぐにチェルニーを含めた3人がアタックし、11人が追走。2つのグループは24km地点で合流し、14人の逃げグループを形成した。メイン集団はペースを落とし、77km地点で逃げは7分半のタイム差を付けていた。

ゴールまで残り22.6kmで、逃げからチェルニーが単独でアタックを決め、残り15kmで追走グループに45秒差で先行した。彼はそのまま逃げ切り、グランツール初区間優勝を成し遂げた。チェコ出身の選手がジロで区間優勝したのは、2012年のロマン・クロイツィゲル以来だった。

■ジロ区間初優勝したチェルニーのコメント
「今日が短いステージだったか長いステージだったかなんて、歴史は覚えていないだろう。ボクはジロ・デ・イタリアの区間で勝ち、両手を空中に上げるのは素晴らしかった。良い勝利だ。本当に幸せを感じる。逃げでの時間を楽しみ、勝つためにちょっと賭けに出た。昨日のステルビオの登坂の後でも、今日まだ良い脚があって嬉しいよ。ジロで勝てて良い気分だ」

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マリア・ローザはケルデルマンが守った

■第19ステージ結果[10月23日/アッビアーテグラッソ~アスティ/124km]
1. ČERNÝ Josef (CCC TEAM / CZE) 2:30:40
2. CAMPENAERTS Victor (NTT PRO CYCLING / BEL)+ 18
3. MOSCA Jacopo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +26
4. CLARKE Simon (EF PRO CYCLING / AUS) +26
5. KEISSE Iljo (DECEUNINCK – QUICK – STEP / BEL) +26
6. ARMEE Sander (LOTTO SOUDAL / BEL) +26
7. TORRES BARCELO Albert (MOVISTAR TEAM / ESP) +1:10
8. PELLAUD Simon (ANDRONI GIOCATTOLI – SIDERMEC / SUI) +1:10
9. CARBONI Giovanni (BARDIANI CSF FAIZANE’ / ITA) +1:10
10. DOWSETT Alex (ISRAEL START – UP NATION / GBR) +1:10
47. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN – MCLAREN / JPN) +11:43

■第19ステージまでの総合成績(マリア・ローザ)
1. KELDERMAN Wilco (TEAM SUNWEB / NED) 80:29:19
2. HINDLEY Jai (TEAM SUNWEB / AUS) +12
3. GEOGHEGAN HART Tao (INEOS GRENADIERS / GBR) +15
4. BILBAO Pello (BAHRAIN – MCLAREN / ESP) +1:19
5. ALMEIDA Joao (DECEUNINCK – QUICK – STEP / POR) +2:16
6. FUGLSANG Jakob (ASTANA PRO TEAM / DEN) +3:59
7. KONRAD Patrick (BORA – HANSGROHE / AUT) +5:40
8. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +5:47
9. MASNADA Fausto (DECEUNINCK – QUICK – STEP / ITA) +6:46
10. MAJKA Rafal (BORA – HANSGROHE / POL) +7:28
12. POZZOVIVO Domenico (NTT PRO CYCLING / ITA) +9:34
87. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN – MCLAREN / JPN) +3:40:56

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):DEMARE Arnaud (GROUPAMA – FDJ / FRA)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):GUERREIRO Ruben (EF PRO CYCLING / POR)
■新人賞(マリア・ビアンカ):HINDLEY Jai (TEAM SUNWEB / AUS)
■チーム成績 : INEOS GRENADIERS (GBR)

第20ステージは新型コロナウイルスの影響でコース変更

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●第20ステージのコースプロフィール(MAP : RCS Sport)

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)再流行により、フランスのオート・ザルプ県のブリアンソンが感染拡大防止対策でジロ・デ・イタリアの通過を禁止したため、10月24日に行われる第20ステージはフランス越境ができなくなり、予定していたアニェロ峠(標高2744m)、イゾアール峠(標高2360m)、モンジュネーブル峠(標高1854m)はキャンセルになった。

代わりにジロ主催者は、レース後半にセストリエーレ峠を3回上がる新たなコースを設定した。第20ステージは予定より8km短い190kmになり、アルバをスタートした後、中盤から登坂が始まり、最初にセストリエーレの標高2041m地点(カテゴリー2)を通過。後半はカテゴリー1の頂上ゴールがある標高2035mまでの登坂に2回挑むレイアウトになっている。カテゴリー1の斜面は全長11.4kmで平均勾配は5.9%だ。

フランスでは新型コロナウイルス流行の第2波が深刻な状況で、10月22日には1日の感染者数が41622人を記録した。イタリアでも22日には、16078人の感染者が判明している。

ジロ・デ・イタリア

第19ステージはRCSメディアグループのウルバーノ・カイロ会長がレースを観戦。終盤に通過したマズィオは彼の地元だった

ジロ・デ・イタリア公式サイト