雨に見舞われた頂上ゴールのジロ・デ・イタリア2020 第9ステージはゲレイロが区間初優勝

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イタリアで開催中の第103回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、10月11日にサン・サルボから標高1658mでカテゴリー1のロッカラーゾ(アレモーニャ)までの208kmで、頂上ゴールの第9ステージを競い、冷たい雨の中を逃げ切ったポルトガルのルーベン・ゲレイロ(EFプロサイクリング)が、スペインのジョナタン・カストロビエホ(イネオス・グレナディアズ)をゴール勝負で打ち負かし、ワールドツアーで初優勝となる区間初優勝を果たした。

ジロ・デ・イタリア2020

ゲレイロがジロで区間優勝した2人目のポルトガル人選手になった

区間3位にはデンマークのミゲル・ビェアウ(UAEチーム・エミレーツ)が入った。総合を争うメイングループはオランダのウィルコ・ケルデルマン(チームサンウェブ)が、ライバルたちよりもわずかに先にゴールし、総合2位に浮上した。マリア・ローザを着たポルトガルのジョアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ)は善戦し、遅れを最小限に留めて総合首位の座を守る事ができた。

ジロ・デ・イタリア2020

22歳のアルメイダが雨の山岳区間でマリア・ローザを死守した(©Bettiniphoto)

10月12日の月曜日は最初の休養日となり、日曜日の夜から新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のPCR検査が行われる。結果は13日に行われる第10ステージのスタート前に発表される予定だ。

 
過酷な雨の山岳ステージ

第9ステージはスタートから雨になり、161選手が出走。リュディ・バルビエ(イスラエル・スタートアップネイション)がスタートしなかった。この日集団はなかなか逃げを許さず、ゲレイロとカストロビエホが加わっていた4人のグループが逃げ出せたのは、すでに75kmを消化した後だった。

その後、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(ヴィーニザブ・KTM)を含めた3人が合流し、91km地点で先頭は7人の逃げになっていた。メイン集団からはビェアウがアタックし、単独で逃げグループを追いかけた。

100.4km地点のカテゴリー1のランチャーノ峠はヴィスコンティが先頭で通過し、暫定で山岳賞総合トップに立った。ここで集団とのタイム差は6分半になっていた。ランチャーノ峠を下りきった所でビェアウが追いつき、先頭の逃げグループは8人になった。

カテゴリー2のボスコ・ディ・サンタントーニオの上りが始まった残り35kmで、先頭の逃げグループではビェアウがアタックし、ヴィスコンティらが脱落して5人になった。山頂はゲレイロが先頭で通過し、トレック・セガフレードがコントロールするメイン集団とのタイム差は3分20秒に減っていた。

ゴールまで残り9.6kmから、最後のロッカラーゾの登坂がスタート。残り6.3kmでカストロビエホがアタックし、付いて行けたのはゲレイロだけだった。最後は12%の傾斜の残り200mでゲレイロがスパートし、カストロビエホにはもう反応する力が残っていなかった。

ジロ・デ・イタリア2020

雨の中、ロッカラーゾ頂上のゴールを目指すカストロビエホ(左)とゲレイロ(©Bettiniphoto)

26歳のゲレイロは、ジロで1985年から1989年までに通算5勝したアカシオ・ダシルバに続き、2人目のポルトガル人区間優勝者になった。彼はステージの途中で暫定首位になったヴィスコンティを抜いて山岳賞でも総合首位になり、マリア・アッズーラを獲得した。

マリア・ローザを7日間守った22歳のアルメイダは、ダシルバの記録(ツール・ド・フランスで4日、ジロで2日)を抜き、グランツールで最も多く総合をリードしたポルトガル人選手になった。
 
■区間初優勝したゲレイロのコメント
「ジロで区間優勝するのはボクにとって大きな意味がある。これは2回目のグランツールだ。今日の過酷なスタートの後で、逃げを作る事ができて満足だ。カストロビエホは平坦セクションで最強だった。だからボクは自分にとても合っていた最後1kmのためにエネルギーを節約しなければならなかった。アルメイダはボクにとって弟のようなものだ。ボクらはかつて、アクセル・メルクスのチーム(ハーゲンスバーマン・アクセオン)で一緒に走っていたんだ。ジロで2人揃って成功とジャージを手に入れるなんて素晴らしいよ」

■マリア・ローザを守って1週目を終えたアルメイダのコメント
「マリア・ローザを失う事も含めて、今日は最悪を予想していた。ものすごく苦しんだけど、チームメートたちのために戦った。彼らは今日もボクのために素晴らしい仕事をしてくれたからね。ボクはチームと、祖国ポルトガルのためにこれをやっている。もし、ゲレイロと一緒に何かを祝うとしたら、ジロが終わった後になるだろう。ボクたちは今のところ、このレースに集中しているからね」

ジロ・デ・イタリア2020

ゲレイロは山岳賞のマリア・アッズーラも獲得した

 
■第9ステージ結果[10月11日/サン・サルボ〜ロッカラーゾ(アレモーニャ)/ 208km]

1. GUERREIRO Ruben (EF PRO CYCLING / POR) 5:41:20
2. CASTROVIEJO Jonathan (INEOS GRENADIERS / ESP) +8
3. BJERG Mikkel (UAE TEAM EMIRATES / DEN) +58
4. FRANKINY Kilian (GROUPAMA – FDJ / SUI) +1:16
5. WARBASSE Lawrence (AG2R LA MONDIALE / USA) +1:16
6. GEOGHEGAN HART Tao (INEOS GRENADIERS / GBR) +1:19
7. HAMILTON Lucas (MITCHELTON – SCOTT / AUS) +1:32
8. KELDERMAN Wilco (TEAM SUNWEB / NED) +1:38
9. FUGLSANG Jakob (ASTANA PRO TEAM / DEN) +1:38
10. HINDLEY Jai (TEAM SUNWEB / AUS) +1:38
11. MAJKA Rafal (BORA – HANSGROHE / POL) +1:41
12. KONRAD Patrick (BORA – HANSGROHE / AUT) +1:41
14. POZZOVIVO Domenico (NTT PRO CYCLING / ITA) +1:44
16. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +1:52
17. BILBAO Pello (BAHRAIN – MCLAREN / ESP) +1:52
19. ALMEIDA Joao (DECEUNINCK – QUICK – STEP / POR) +1:56
23. VANHOUCKE Harm (LOTTO SOUDAL / BEL) +1:59
24. KRUIJSWIJK Steven (TEAM JUMBO – VISMA / NED) +1:59
77. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN – MCLAREN / JPN) +16:09

■第9ステージまでの総合成績(マリア・ローザ)
1. ALMEIDA Joao (DECEUNINCK – QUICK – STEP / POR) 35:35:50
2. KELDERMAN Wilco (TEAM SUNWEB / NED) +30
3. BILBAO Pello (BAHRAIN – MCLAREN / ESP) +39
4. POZZOVIVO Domenico (NTT PRO CYCLING / ITA) +53
5. NIBALI Vincenzo (TREK – SEGAFREDO / ITA) +57
6. FUGLSANG Jakob (ASTANA PRO TEAM / DEN) +1:19
7. VANHOUCKE Harm (LOTTO SOUDAL / BEL) + +1:01
8. KONRAD Patrick (BORA – HANSGROHE / AUT) +1:02
9. HINDLEY Jai (TEAM SUNWEB / AUS) +1:15
10. MAJKA Rafal (BORA – HANSGROHE / POL) +1:17
11. KRUIJSWIJK Steven (TEAM JUMBO – VISMA / NED) +1:24
94. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN – MCLAREN / JPN) +1:02:24

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):DEMARE Arnaud (GROUPAMA – FDJ / FRA)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):GUERREIRO Ruben (EF PRO CYCLING / POR)
■新人賞(マリア・ビアンカ):ALMEIDA João (DECEUNINCK – QUICK – STEP / POR)
(※第10ステージはVANHOUCKE Harm (LOTTO SOUDAL / BEL)が着用)
■チーム成績 : INEOS GRENADIERS (GBR)

ジロ・デ・イタリア2020

今年のジロで成功を修めた2人のポルトガル人選手は、かつて同じ米国のチームで走っていた

ジロ・デ・イタリア公式サイト