ツール・ド・フランス2020 第16ステージはケムナが逃げ切り区間初優勝

第107回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、休養日明けの9月15日にラ・トゥール・デュ・パンからビラール・ド・ランスまでの164kmで山岳区間の第16ステージを競い、ドイツのレナート・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ)が独走で逃げ切り、区間初優勝を果たした。

ツール・ド・フランス2020

独走で逃げ切ってグランツール区間初優勝したケムナ

 
メイン集団は16分48秒遅れでゴール。総合上位に変動はなく、マイヨ・ジョーヌはスロベニアチャンピオンのプリモシュ・ログリッチ(チームユンボ・ビスマ)が守った。
 
 
休養日のPCR検査は全員陰性
 
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)流行のレッドゾーン地域になっているイゼールで過ごした2度目の休養日には、選手、チームスタッフ、レース・オフィシャルで構成されたレース・バブル(安全圏グループ)で、今大会4回目のPCR検査が実施され、驚いた事に785件の検査全てが陰性だったと発表された。
 

最初の休養日に実施されたPCR検査で陽性になった総合ディレクターのクリスティアン・プリュドム(フランス)は、ツールを離れて一週間の自主隔離を行い、陰性の結果を得て2度目の休養日の夜、レースに戻った。彼は第16ステージから再びオフィシャルの先導車に乗る。レキップ紙によれば、16日にはフランスのエマニュエル・マクロン大統領が来る予定だ。

ツール・ド・フランス2020

●第16ステージのコースプロフィール(MAP : ©A.S.O.)

 
新型コロナ陰性のお墨付きを得た156選手は、いよいよ最終週の旅へと出発。アルプス山岳区間初日の第16ステージは、スタートからイネオス・グレナディアズのアタックで始まった。18km地点で、昨年ジロ・デ・イタリアで総合優勝したリチャル・カラパス(イネオス・グレナディアズ)とスティーブン・ローチ(チームサンウェブ)がアタックし、15人の逃げ集団が形成された。ケムナはここに入っていた。
 
44.5kmの中間スプリントは、逃げ集団のマッテーオ・トレンティン(CCCチーム)が先頭で通過。メイン集団では、スタートしてすぐに遅れ始めたダヴィド・ゴデュ(グルパマ・FDJ)がレースを棄権した。集団からはさらにアタックが続き、ピエール・ローラン(B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)を含めた3選手が先頭の逃げに追いつき、56km地点で18人になっていた。逃げ集団に総合上位の選手はおらず、集団はこの時すでに6分後ろを走っていた。
 
カテゴリー2のポルト峠山頂まで残り1.3kmで、逃げ集団からローランがアタックし、先頭で山頂を通過してポイントを稼いだ。つづくカテゴリー2のルベル峠のふもとで、逃げは23人に膨らんでいた。ルベル峠でもローランがアタックして山頂を先頭で通過し、ここで山岳賞のポイント累計がマイヨ・アポワを着たブノワ・コスヌフロワ(AG2R・ラモンディアル)に並んだ。
 
しかし、ローランはこのステージでこれ以上ポイントは稼げなかった。2人以上の選手が同じ累積ポイントだった場合の山岳賞の規定で、コスヌフロワはロランよりも上回り、かろうじてマイヨ・アポワを守る事ができた。
 

残り40kmで、23人の逃げ集団とメイン集団のタイム差は12分半にまで開いていた。カテゴリー1のサン・ニジエール・デュ・ムシェロット山のふもとで、逃げ集団からカンタン・パシェ(B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)がアタックし、単独で山頂を目指した。しかし、彼は山頂まで残り4.5kmでケムナ、カラパス、セバスティアン・ライシェンバック(グルパマ・FDJ)、ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)の4人に追いつかれてしまった。

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クイーンステージを前にポガチャルは動かなかった

 
残り20kmでケムナがアタック
 
山頂が近づくと、先頭グループではアタックが続き、生き残ったのはカラパスとケムナの2人だった。ケムナは山頂まで残り300mでアタックし、先頭で峠を越えてそのまま独走を続けた。20km先のゴールはなだらかに下った後、2.2km上ってカテゴリー3のビラール・ド・ランス頂上にあったが、カラパスはケムナとのタイム差を縮める事ができなかった。ケムナは2位のカラパスに1分半近いタイム差を付けてゴールし、24歳でグランツール区間初優勝を果たした。
 
チームユンボ・ビスマがコントロールし続けたメイン集団は、ゴールまで残り2kmでダビ・デラクルス(UAEチーム・エミレーツ)が引き、その後方に付いたマイヨ・ブランのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)が、いつアタックするのかという緊張した状況になった。加速した集団からはコロンビアのナイロ・キンタナ(チームアルケア・サムシック)が脱落した。
 
しかし、ポガチャルはゴールまで残り300mで、脚試しのようなスパートをしただけだった。カウンターでミゲルアンヘル・ロペス(アスタナプロチーム)が飛び出したが、1秒も稼げずに終わった。
 
 
■グランツール区間初優勝を果たしたケムナのコメント
「素晴らしい気分だ。今日はボクにとって完全にすごい一日だった。勝つためには1人でゴールしなければならないのは分かっていた。上りでカラパスがアタックを続けた後、スピードを失っているのを見た。それで自分が行く瞬間だと理解した。チームにとってこの勝利は大きな安堵だ。自分としては、こんな風に勝利を収められるなんて想像もできなかったよ」
 
■総合2位のポガチャルのコメント
「数秒掠め取ろうとしたが、最高の状況ではなかった。今日は超爆発的な脚じゃなかったんだ。とにかく、今大会のクイーンステージである、明日のための良いウォームアップになった。誰もが(明日のゴールの)ローズ山を下見しに行ったと思う。ボクの意見では、それは自分が今まで走った中で最もハードな上りの1つだ。仕掛けるのが早すぎれば、自殺行為になる。
 
最後まで苦しめられるだろう。ローズ山に向かう途中、他の選手たちの様子を見る。誰に良い脚があって、誰にないのかを。タイム差が付いて、総合は入れ替わるだろう。誰もが消耗していて、日々脚はどんどん疲れてくる。自分の脚に何かを残しておきたいね」
 
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マイヨ・アポワはコスヌフロワがかろうじて守った

 
■第16ステージ結果[9月15日/ラ・トゥール・デュ・パン~ビラール・ド・ランス / 164km]
1. LENNARD KÄMNA (BORA – HANSGROHE / GER) 04h 12′ 52”
2. RICHARD CARAPAZ (INEOS GRENADIERS / ECU)  + 01′ 27”
3. SÉBASTIEN REICHENBACH (GROUPAMA – FDJ / SUI)  + 01′ 56”
4. PAVEL SIVAKOV (INEOS GRENADIERS / RUS)  + 02′ 34”
5. SIMON GESCHKE (CCC TEAM / GER)  + 02′ 35”
6. WARREN BARGUIL (TEAM ARKEA – SAMSIC / FRA) + 02′ 37”
7. TIESJ BENOOT (TEAM SUNWEB /BEL) + 02′ 41”
8. NICOLAS ROCHE (TEAM SUNWEB / IRL) + 02′ 47”
9. QUENTIN PACHER (B&B HOTELS – VITAL CONCEPT P / B KTM / FRA)  + 02′ 51”
10. JULIAN ALAPHILIPPE (DECEUNINCK – QUICK – STEP / FRA)  + 02′ 54”
 
■第16ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM JUMBO – VISMA / SLO) 70h 06’ 47’’
2. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 40’’
3. RIGOBERTO URAN (EF PRO CYCLING / COL) + 01′ 34’’
4. MIGUEL ANGEL LOPEZ (ASTANA PRO TEAM / COL) + 01′ 45’’
5. ADAM YATES (MITCHELTON – SCOTT / GBR) + 02’ 03’’
6. RICHIE PORTE (TREK – SEGAFREDO / AUS) + 02′ 13’’
7. MIKEL LANDA (BAHRAIN – MCLAREN / ESP) + 02’ 16’’
8. ENRIC MAS (MOVISTAR TEAM / ESP) + 03’ 15’’
9. TOM DUMOULIN (TEAM JUMBO – VISMA / NED) + 05’ 19’’
10. NAIRO QUINTANA (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) + 05’ 43’’
 
[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):SAM BENNETT (DECEUNINCK – QUICK – STEP / IRL) 
■山岳賞(マイヨ・アポワ):BENOIT COSNEFROY (AG2R LA MONDIALE / FRA)
■新人賞(マイヨ・ブラン):TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 
■チーム成績:MOVISTAR TEAM (ESP)
■敢闘賞:RICHARD CARAPAZ (INEOS GRENADIERS / ECU) 
 
 
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マイヨ・ジョーヌを守ったログリッチ

 
 
カテゴリー超級のローズ山頂上にゴールするクイーンステージ
 
ツール・ド・フランス2020

●第17ステージのコースプロフィール(MAP : ©A.S.O.)

 
9月16日はグルノーブルをスタートし、スキーリゾート地のメリベルにあるカテゴリー超級のローズ山山頂にゴールする170kmの第17ステージが行われる。前半は平坦だが、後半は標高2000mでカテゴリー超級のマドレーヌ峠も越えなければならず、まちがいなく今年のクイーンステージと言えるだろう。
 
ゴールのローズ山は標高2304mで今大会の最高峰となり、アンリ・デグランジュ賞がかけられ、山岳ポイントも倍になる。全長は21.5kmで、平均勾配は7.8%だが、最後の4.5kmがキツく、勾配は24%に達する。
 

マイヨ・ジョーヌを着てこのクイーンステージに挑むログリッチは「この上りを下見して、反対側にあるクールシュバルのスキージャンプ場にも行った。15日間走った脚には、地形は平坦でも上りでも、それほど重要ではない。同じさ。脚があるかどうかの問題で、明日自分にその脚があり、うまくやれることを願っている」と、語っている。

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●第17ステージのゴールとなるローズ山(MAP : ©A.S.O.)

 
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