ツール・ド・フランス2020第5ステージはヴァンアールトが優勝/アラフィリップはペナルティタイムで総合首位から陥落

第107回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、9月2日にガップからプリバまでの183kmで平坦区間の第5ステージを競い、ベルギーのウァウト・ヴァンアールト(チームユンボ・ヴィスマ)が集団ゴールスプリントを制して区間優勝した。

ツール・ド・フランス2020

集団ゴールスプリントはヴァンアールトが制した

地元フランスのジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)は、ゴールまで残り20kmを切った許可されていない場所でスタッフからボトルの補給を受けたため、20秒のペナルティタイムを課され、マイヨ・ジョーヌを失ってしまった。

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アラフィリップはまさかのペナルティタイムでマイヨ・ジョーヌを失った

アタックのない一日

快晴の下、第5ステージは172選手が出走。オフィシャルスタートでアタック選手がいない珍しいステージになった。4km地点でデンマークチャンピオンのカスパ・アスグレーン(ドゥクーニンク・クイックステップ)が飛び出したがすぐに吸収され、集団はサドルの上の休養日を選んだようだった。

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●第5ステージのコースプロフィール(MAP : ©A.S.O.)

しかし、47.5kmの中間スプリント地点では大きな動きがあった。先頭通過で20ポイント稼いだのはアイルランドチャンピオンのサム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ)で、マイヨ・ベールを着たスロバキアのペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)は4位通過に留まり、13ポイントしか稼ぐ事ができなかった。前日の時点で2人のポイントは同じ83ポイントだったため、ここでベネットがポイント賞のバーチャルリーダーになった。

後半に2カ所設定されていたカテゴリー4の山岳ポイントは、どちらもマイヨ・アポワを着たブノワ・コスヌフロワ(AG2R・ラモンディアル)が先頭で通過し、わずかながらポイントを増やした。

そのままアタックを試みる選手はなく、集団ゴールスプリントを迎えるのかと思われた矢先、急に横風が吹き始めた残り9kmで、イネオス・グレナディアズが集団の先頭を引き始めて分断を試みる場面があったが、成功はしなかった。

最後はチームサンウェブが先頭で白い列車を組み、残り1kmのフラム・ルージュへと突入。ヴァンアールトはまんまとこの列車を利用し、最後は発射台のチームメートの後方からスパートしたケース・ボル(チームサンウェブ)を抜き去り、昨年に続いて2度目の区間優勝を手中に収めた。

区間3位にはベネットが入り、さらにポイントを稼いでマイヨ・ベールを獲得した。第5ステージの終わりにベネットのポイントは123ポイント、サガンは114ポイントで追いかける形になっている。

アラフィリップは無許可の補給でペナルティ

この日、メイン集団でゴールしたアラフィリップは、当初暫定成績で総合1位と発表されていた。しかし、ゴールまで残り17kmで、彼は沿道に居たチームスタッフからボトルの補給を受けていた事がわかり、コミッセール審判により、ルールどおり20秒のペナルティタイムが課せられた。UCIの規則では通常、ステージで補給を受けられるのは残り20kmまでになっている。

アラフィリップは総合16位まで陥落し、4秒差で総合2位だった英国のアダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)が総合首位に浮上し、マイヨ・ジョーヌを受け取った。28歳のイェーツにとって、それは初めてのマイヨ・ジョーヌだった。

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アラフィリップがペナルティタイムを課され、アダム・イェーツがマイヨ・ジョーヌになった

■ツールで区間通算2勝目を上げたヴァンアールトのコメント
「去年ポーで落車した時には、このレベルまで戻れるとは思っていなかった。その後の数カ月は本当にタフだった。ボクは本当に一生懸命働かなければならなかった。8月にレースに戻って以来、レースごとにまだ脚がある。我々は素晴らしいツール・ド・フランスの準備ができているみたいだ。ログリッチとデュムランはとても強く見える。我々はモチベーションもたくさん抱いている」

■ペナルティでマイヨ・ジョーヌを失ったアラフィリップのコメント
「それはレース役員の決定で、ただそういう事だ。ボクはそれが許可されていないとは全く気が付かなかった。とても長く、退屈なステージだったが、最後はすごくナーバスだった。我々はマイヨ・ジョーヌを守る事と、ベネットの区間優勝に集中し続けようと努力した。彼がマイヨ・ベールを獲得したのは良いニュースだ。問題はない。明日はまた、取りに行くよ。我々はこの事を忘れるだろう」

■総合首位になったイェーツのコメント
「最初は自分が新しいマイヨ・ジョーヌだという事が理解できなかった。ボクはバスに戻ってシャワーを浴びて、ホテルに向かう準備ができていた。でも、誰かが呼びに来て、ボクは表彰台に行かなければならないと言ったんだ。マイヨ・ジョーヌは別の形で取りたかったけど、今は手に入れたからには守るよ。明日、モン・テグアルは戦いの地獄になるだろう」

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マイヨ・ベールはベネットが獲得した

■第5ステージ結果[9月2日/ガップ~プリバ / 183km]
1. WOUT VAN AERT (TEAM JUMBO – VISMA / BEL) 04h 21′ 22”
2. CEES BOL (TEAM SUNWEB / NED)
3. SAM BENNETT (DECEUNINCK – QUICK – STEP / IRL)
4. PETER SAGAN (BORA – HANSGROHE / SVK)
5. JASPER STUYVEN (TREK – SEGAFREDO / BEL)
6. LUKA MEZGEC (MITCHELTON – SCOTT / SLO)
7. BRYAN COQUARD (B&B HOTELS – VITAL CONCEPT P / B KTM / FRA)
8. CALEB EWAN (LOTTO SOUDAL / AUS)
9. CLÉMENT VENTURINI (AG2R LA MONDIALE / FRA)
10. HUGO HOFSTETTER (ISRAEL START-UP NATION / FRA)

■第5ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. ADAM YATES (MITCHELTON – SCOTT / GBR) 22h 28′ 30”
2. PRIMOŽ ROGLIC (TEAM JUMBO – VISMA / SLO) + 03’’
3. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 7’’
4. GUILLAUME MARTIN (COFIDIS / FRA) + 9’’
5. EGAN BERNAL (INEOS GRENADIERS / COL) + 13’’
6. TOM DUMOULIN (TEAM JUMBO – VISMA / NED) + 13’’
7. NAIRO QUINTANA (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) + 13’’
8. ESTEBAN CHAVES (MITCHELTON – SCOTT / COL) + 13’’
9. MIGUEL ANGEL LOPEZ (ASTANA PRO TEAM / COL) + 13’’
10. ROMAIN BARDET (AG2R LA MONDIALE / FRA) + 13’’
16. JULIAN ALAPHILIPPE (DECEUNINCK – QUICK – STEP / FRA) + 16’’

[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):SAM BENNETT (DECEUNINCK – QUICK – STEP / IRL)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):BENOIT COSNEFROY (AG2R LA MONDIALE / FRA)
■新人賞(マイヨ・ブラン):TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■チーム成績:EF PRO CYCLING (USA)
■敢闘賞:WOUTER POELS (BAHRAIN – MCLAREN / NED)

 

第6ステージは標高1560mのモン・テグアル頂上ゴール

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●第6ステージのコースプロフィール(MAP : ©A.S.O.)

9月3日はル・テイユからモン・テグアルまでの191kmで、丘越え区間の第6ステージが行われる。スタートから3分の2は平坦だが、レース終盤に丘越えが集中するユニークなレイアウトで、標高1351mでカテゴリー1のリュゼット峠を上り切った後、わずかに下り、8km上って標高1560mのモン・テグアルのゴールを目指す。

 

 

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