ツール・ド・フランス2020 第3ステージはユアンが区間優勝

第107回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、8月31日にニースからシステロンまでの198kmで第3ステージを競い、オーストラリアのケイレブ・ユアン(ロット・スーダル)が集団ゴールスプリントを制して区間優勝した。

ツール・ド・フランス2020

区間優勝したユアンは目が覚めるようなスプリントを見せた

マイヨ・ジョーヌは地元フランスのジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が守った。

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●第3ステージのコースプロフィール(MAP : ©A.S.O.)

フランス人トリオが逃げた

第3ステージは173選手が出走。南仏ニースを出発し、いよいよツールはフランス周遊の旅を開始した。この日はツールで初めてゴールになったシステロンを目指した。スタートの合図と共にジェローム・クザン(トタル・ディレクトエネルジー)がアタックし、山岳賞のマイヨ・アポワを着たブノワ・コスヌフロワ(AG2R・ラモンディアル)がチームメートのオリヴェル・ナーセン(AG2R・ラモンディアル)、アントニー・ペレス(コフィディス)とともに加わった。

4人は7km地点で集団に2分差を付けたが、ナーセンはチームの指示で逃げを離脱し、集団へと戻った。これでこの日の逃げは地元フランス勢だけになった。コスヌフロワとペレスは前日のステージでも逃げて山岳賞ポイント争いをし、稼いでいるポイントは同じだった。

しかし、この日は前半に越えた2つのカテゴリー3の山岳ポイントをペレスが両方トップで通過し、山岳賞の総合首位に立ってバーチャルリーダーになった。71km地点で2人は集団に戻り、逃げはクザン1人になっていた。

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第3ステージはフランス人トリオが逃げた

バーチャル山岳賞リーダーのペレスが棄権

断続的に雨が降る中、クザンはたった1人で逃げ続け、一時は集団に4分差を付けたが、ドゥクーニンク・クイックステップは終始集団をコントロールし続け、タイム差が大きく開く事はなかった。117.5km地点のカテゴリー3の峠では、コスヌフロワがチームメートの助けを借りて集団から飛び出し、2位通過で1ポイントを獲得したが、ペレスのポイントにはまだ追いつけなかった。

ところがその峠の下り坂で、バーチャル山岳賞リーダーのペレスはパンクした後、チームカーにぶつかって左鎖骨を骨折し、そのままレースを棄権する不運に見舞われてしまった。そのため、コスヌフロワはもう1日マイヨ・アポワを着られる事になった。

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バーチャル山岳賞リーダーだったペレスは不運な事故で棄権した(©Bettiniphoto)

ゴールまで残り37.5kmのスプリント地点は、クザンが通過した後の2位争いをスロバキアのペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)が制した。クザンは残り16kmで集団に吸収されたが、この日の敢闘賞を獲得できた。

集団ゴールスプリントに向かって加速する集団では、残り6kmでマイヨ・アポワのコスヌフロワが落車する事故が発生し、ウァウト・ヴァンアールト(チームユンボ・ヴィスマ)が巻き込まれて遅れてしまった。

最後はサガンが早めにスプリントを開始したが成功せず、アイルランドチャンピオンのサム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ)のスパートが決まったかに見えた。ところが後方から選手の間を縫うように飛び出したユアンが、フィニッシュラインでベネットを追い越し、勝利を奪い取ってしまった。昨年区間3勝したユアンは、これで通算4勝になった。

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区間通算4勝目を上げたユアン

■見事なスプリントで区間通算4勝目を上げたユアンのコメント
「(デゲンコルプとジルベールが居なくなって)我々は6人に減ってしまったが、皆モチベーションを維持し、居なくなった2人の代わりに110%を出してくれたから、ボクは勝てた。今日は勝てると分かっていたからだ。残り1kmでボクはとても後方にいたが、良い後輪を見つけるために、あえて下がるリスクを負った。フェンスに近づいた時もあったけど、幸運にもすり抜けられた。去年の初優勝はとても特別だったけど、これはツール・ド・フランスだ。世界で最大のレースだから、今でも勝ててすごく嬉しい。今年もそれ以降も、もっと勝てることを願っている」

■マイヨ・ジョーヌを守ったアラフィリップのコメント
「我々は一日中チームでこのステージをコントロールし、ボクのマイヨ・ジョーヌを守り、ベネットのためにスプリントをするという計画を尊重した。彼が2位だったのはちょっと残念だったが、自分がジョーヌである事は純粋な幸福だ。明日は頂上ゴールも厳しいステージだけど、ボクはもう一度このマイヨ・ジョーヌをキープするために全力を尽くすよ」

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地元フランスのアラフィリップはマイヨ・ジョーヌ通算着用日数を16日に伸ばした


■第3ステージ結果[8月31日/ニース~システロン / 198km]

1. CALEB EWAN (LOTTO SOUDAL / AUS) 05h 17′ 42”
2. SAM BENNETT (DECEUNINCK – QUICK – STEP / IRL)
3. GIACOMO NIZZOLO (NTT PRO CYCLING TEAM / ITA)
4. HUGO HOFSTETTER (ISRAEL START-UP NATION / FRA)
5. PETER SAGAN (BORA – HANSGROHE / SVK)
6. EDWARD THEUNS (TREK – SEGAFREDO / BEL)
7. CEES BOL (TEAM SUNWEB / NED)
8. MATTEO TRENTIN (CCC TEAM / ITA)
9. BRYAN COQUARD (B&B HOTELS – VITAL CONCEPT P / B KTM / FRA)
10. NICCOLÒ BONIFAZIO (TOTAL DIRECT ENERGIE / FRA)

■第3ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. JULIAN ALAPHILIPPE (DECEUNINCK – QUICK – STEP / FRA) 13h 59′ 17”
2. ADAM YATES (MITCHELTON – SCOTT / GBR) + 04”
3. MARC HIRSCHI (TEAM SUNWEB / SUI) + 07”
4. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 17”
5. DAVIDE FORMOLO (UAE TEAM EMIRATES / ITA) + 17”
6. EGAN BERNAL (INEOS GRENADIERS / COL) + 17”
7. TOM DUMOULIN (TEAM JUMBO – VISMA / NED) + 17”
8. SERGIO ANDRES HIGUITA (EF PRO CYCLING / COL) + 17”
9. GUILLAUME MARTIN (COFIDIS / FRA)
10. ESTEBAN CHAVES (MITCHELTON – SCOTT / COL) + 17”

[各賞]
■ポイント賞(マイヨ・ベール):PETER SAGAN (BORA – HANSGROHE / SVK)
■山岳賞(マイヨ・アポワ):BENOIT COSNEFROY (AG2R LA MONDIALE / FRA)
■新人賞(マイヨ・ブラン):MARC HIRSCHI (TEAM SUNWEB / SUI)
■チーム成績:TREK – SEGAFREDO (USA)
■敢闘賞:JÉRÔME COUSIN (TOTAL DIRECT ENERGIE / FRA)

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中間スプリント地点と区間5位でポイントを稼いだサガンがマイヨ・ベールを獲得


第4ステージはカテゴリー1頂上ゴール

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●第4ステージのコースプロフィール(MAP : ©A.S.O.)

9月1日はシステロンから標高1825mでカテゴリー1のオルシエール・メルレット頂上までの160.5kmで第4ステージが行われる。途中カテゴリー3の丘を3カ所、カテゴリー4の丘を1カ所越える丘越え区間ではあるが、ゴールへと向かう上り坂は全長7.1kmで平均勾配は6.7%だ。

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