クリテリウム・デュ・ドーフィネ2020でマルティネスが総合初優勝

  • photo ASO/Alex BROADWAY

フランスで開催されていた第72回クリテリウム・デュ・ドーフィネ(UCIワールドツアー)は、8月16日にカテゴリー2のムジェーブ頂上にゴールする最終区間の第5ステージを競い、コロンビアのダニエル・マルティネス(EFプロサイクリング)が総合初優勝した。

クリテリウム・デュ・ドーフィネ

左から総合2位のピノー、総合優勝したマルティネス、総合3位のマルタン

 
 
区間優勝はエースを失ったチームユンボ・ヴィスマのセップ・クースが独走で逃げ切って獲得した。彼は昨年ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)で区間優勝したが、クリテリウム・デュ・ドーフィネで区間優勝したのは初めてだった。クースはこの日の走りで総合10位になった。
 
クリテリウム・デュ・ドーフィネ

クースは独走で最終ステージを制した

 
オープンになった総合争い
 
今年のクリテリウム・デュ・ドーフィネは、すでにコロンビアのエガン・ベルナル(チームイネオス)が背中の痛みでレースを棄権しており、ログリッチも去った事で総合争いは非常にオープンになった。暫定ではフランスのティボ・ピノー(グルパマ・FDJ)が首位になったが、数10秒差で続く選手が6人いて、マルティネスもその1人だった。
 
最終日はスタートからハイペースになり、最初のカテゴリー2のコート・ド・ドマンシーを越えた時には、総合を争う選手が顔を揃えた先頭集団が形成されていた。そこからコロンビエール峠でパヴェル・シヴァコフ(チームイネオス)がアタックし、ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)と一緒に60km地点の山頂を通過した。
 
2人は1分ほどのタイム差を付けて逃げ続け、レース中盤のコート・ド・ラ・フラセットの山頂を通過した時にはその差は1分半に開いていた。残り32kmの下りでシヴァコフは転倒して遅れたが、すぐレースに復帰し、残り26.5kmのコート・ド・ドマンシーで先頭のアラフィリップに合流する事ができた。
 
追走グループはコート・ド・ドマンシーでタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)、ミゲルアンレル・ロペス(アスタナプロチーム)、クース、マルティネスがアタックして先頭の2人を追ったが、総合首位のピノーはこの動きについていけなかった。
 
4人は先頭の2人に合流し、最後から2番目のコート・ド・コルドン(カテゴリー2)のふもとでピノーのグループに1分以上のタイム差を付けていた。ここでアタックが始まると、アラフィリップは脱落した。ゴールまで残り10kmを切って、先頭の5人とピノーのグループのタイム差は30秒台にまで縮まったが、それもつかの間の事だった。
 
ゴールへと向かう最後の上りがスタートすると、最初にアタックしたのは負傷していたシヴァコフだったが、付いて行けなかったのはロペスだけだった。そして残り8.8kmでクースがアタック。今度は誰も付いて行けず、すぐにタイム差が付いた。
 

クースはそのまま単独で逃げ切り、不運続きのチームに今大会最後の勝利をもたらした。マルティネスはポガチャル、シヴァコフと共にゴールを目指したが、そこに彼の総合優勝を脅かす者はいなかった。そしてピノーもはるか後方にいた。区間2位でゴールしたマルティネスは、最終日に思いがけないビッグタイトルを手中に収める事になった。

クリテリウム・デュ・ドーフィネ

ピノーはドーフィネ総合優勝のまたとないチャンスを逃してしまった

 
■区間優勝したクースのコメント
「昨日の後で、朝の目覚めはちょっと奇妙だった。我々は皆ショックを受けていた。しかしそれはまた、積極的なレースをするチャンスを与えた。これまで自転車に乗ってきて、最も過酷な一日だった。スタートから全力だった。皆本当に疲れていて、ボクは自分の総合成績が低い事を利用できた。とても素晴らしい日だ。今まで以上に一生懸命トレーニングして、今は楽しく自転車に乗っている。これで自信を高め、ツール・ド・フランスに集中できる」
 
■思いがけない総合優勝を手に入れたマルティネスのコメント
「今朝、ログリッチはスタートしないと聞いた。レースはスタートから目まぐるしくなるとわかっていた。チームは序盤からボクの為にとてもよく働いてくれたから、ボクは終盤戦の為に力を温存し、勝ちに行くことができた。限界に達していたが、ゴールまでやり遂げようと決意していた。これは世界で最も大きなレースの一つで、コロンビアからやって来てここで勝てるのはとても嬉しいよ」
 
■第5ステージ結果
[8月16日/ムジェーブ~ムジェーブ/153.5km]
1. SEPP KUSS (TEAM JUMBO – VISMA / USA) 3H 58′ 39”
2. DANIEL MARTINEZ (EF PRO CYCLING / COL) +27”
3. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) +30’’
4. PAVEL SIVAKOV (TEAM INEOS / RUS)  +45’’
5. TOM DUMOULIN (TEAM JUMBO – VISMA / NED)  +51’’
6. LENNARD KÄMNA (BORA – HANSGROHE / GER)  +51’’
7. THIBAUT PINOT (GROUPAMA – FDJ / FRA) +01′ 02”
8. GUILLAUME MARTIN (COFIDIS / FRA) +01′ 04’’
9. ROMAIN BARDET (AG2R LA MONDIALE / FRA) +01′ 06’’
10. WARREN BARGUIL (TEAM ARKEA – SAMSIC / FRA) +01′ 06’’
 
第72回クリテリウム・デュ・ドーフィネ  個人総合最終成績
1. DANIEL MARTINEZ (EF PRO CYCLING / COL) 21H 44′ 58”
2. THIBAUT PINOT (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 29’’
3. GUILLAUME MARTIN (COFIDIS / FRA) + 41’’
4. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 56’’
5. MIGUEL ANGEL LOPEZ (ASTANA PRO TEAM / COL) + 01′ 38’’
6. ROMAIN BARDET (AG2R LA MONDIALE / FRA) + 01′ 43’’
7. TOM DUMOULIN (TEAM JUMBO – VISMA / NED) + 02’ 07’’
8. LENNARD KÄMNA (BORA – HANSGROHE / GER) + 02’ 14’’
9. WARREN BARGUIL (TEAM ARKEA – SAMSIC / FRA) + 02’ 49’’
10. SEPP KUSS (TEAM JUMBO – VISMA / USA) + 02’ 55’’
 
[各賞]
■ポイント賞 : WOUT VAN AERT (TEAM JUMBO – VISMA / BEL)
■山岳賞 : DAVID DE LA CRUZ (UAE TEAM EMIRATES / ESP)
■新人賞 : DANIEL MARTINEZ (EF PRO CYCLING / COL) 

■チーム成績 : TEAM JUMBO – VISMA (NED)

クリテリウム・デュ・ドーフィネ