「弱虫ペダルサイクリングチーム×ラファ」コラボの狙いとは?

2020年シーズンより、JプロツアーだけでなくMTBやJフェミニンツアーなどさまざまなレースを闘う「弱虫ペダルサイクリングチーム」。その新たなチームキットを提供するのは、ロンドン発のブランドであるラファとなった。その真意をラファとチーム、それぞれの代表に聞いた。

 


「カテゴリーや国境を越えてサイクリングの楽しさを広めることができる」

ラファジャパン&アジアマネージャー・矢野大介氏

左からラファジャパン&アジアマネージャー・矢野大介氏と、佐藤成彦GM

「2019年のジャパンカップでチーム代表の佐藤成彦GMに声をかけさせてもらって、そこから話し合いやウェアデザインの調整の末、こうして発表することができました。
ラファはこれまで国内のサイクリングチームとしては、私たちのコミュニティのチームである『ラファサイクリングクラブ』などのチームウェアの作成を行ってきたのですが、国内チームのウェアサポートとしては初めてのこととなります。
2019年から本格的にスタートした、本国のデザイナーが監修し、自分たちだけのオリジナルのデザインのウェアを制作できる『ラファ・カスタム』というサービスがあるのですが、そのラインを使用してのデザイン&制作となります。
特に注目して欲しいのが、ウェア全面にあしらわれている黒い線。これはマンガの『集中線』(注:マンガにおいてキャラクターの強調や動きを表す線)をイメージしています。その他にも原作に登場するウェアデザインのイメージを損なうことなく、それでいて十分にプロトンの中でも通用するデザインとすることができました」

「今回ラファがサポートに選んだ理由としては、一つは弱虫ペダルサイクリングチームがロードレースだけでなく、女性、MTB、シクロクロス、グラベルなどさまざまな範囲で活動しているという点です。
ラファは2019年シーズンからEFプロサイクリングチームでもサポートを行っているのですが、このチームにおいても『オルタナティブカレンダー』といった、グラベルレースなど従来のロードレースに囚われないカテゴリへの出走をしています。
それは幅広く自転車レースの楽しみを伝えたいというラファのコンセプトにマッチするもので、日本において最もそれを体現するチームがあるとすれば弱虫ペダルサイクリングチームとなるのではないかと考えました」

 

ソックスやウォーマー類などはラファの一般アイテムがサポートされる

「そしてもう一つの理由としては、やはり『弱虫ペダル』という作品であり、マンガ・アニメという表現が持つ力です。
より幅広い層へロードレースの楽しさを伝えるにはぴったりの作品ですし、何よりも日本に留まらずアジア圏、世界中でも熱狂的なファンも多く、その若い彼ら彼女らにもっとサイクリングの魅力や、ラファというブランドを知ってもらいたい。そのために、シンプルにマンガの表現方法をウェアデザインに落とし込むということで、タイトル文字を大きく使うことや、集中線のパターンをラファのテイストで取り込んでいるのです」。


「コミック的表現をリアルなロードレースの世界へ!」

『弱虫ペダル』作者・「弱虫ペダルサイクリングチーム」監督 渡辺航先生

渡辺航先生と弱虫ペダルサイクリングチームのメンバーたち

「今日の発表会で始めて実物を見ることができましたが、ロードレースのなかですごく目立ちそうでとってもいいですね。これまでのデザインに比べてロゴが大きくなり、よりチームも分かりやすくなったかと思います。是非表彰台に載せて欲しいです!
ちなみにこの集中線のパターンですが、ラファのデザイナーの方から『コミック的な表現をどこかに入れたい』という注文を受けて、そこで実際に描き下ろしたデータをもとに作ってるんです。あとは各部の配色についても相談をしましたね。

ウェア全体のデザインを引き締める「集中線」のパターン

「自転車ロードレースの中にマンガが入っていくって、けっこう表現として難しい思うんですよ。キャラクターを背中にプリントしたりというものもあるんですけど、こうしてジャージ全体でコミック感を表現するっていう試みは新しいんじゃないかなと思っています。このデザインがトピックになって、日本のロードレースがもっと盛り上がってくれればいいなと思います。

「2020年のチームの目標としては、基本的には育成ということをこれまでと変わらずやっていくんですけど、今回から20代、それ以上の経験のある選手たちと契約してもらって若手をどんどん引っ張ってもらいたいと考えています。
2019年はチームランキング6位だったので、それよりも上にいきたいですね。そしてJプロツアーをもっと盛り上げることできるかなっていう手応えはあります。昨年は逃げに乗ったりとか、いろんなところで目立ってくれたので、その上で最終的には表彰台に登ってもらいたいですね。

ロードレースだけでなく、シクロクロスも2020年はエリートに上がる全日本チャンピオンアンダー23のチャンピオン(2019年)の織田聖選手、そして全日本選手権エリート優勝の前田公平選手が引き続き在籍します。エリートではもう全力で戦ってもらって、できればうちが全日本ジャージを戦って取り合うくらいがいいのかなと思っています。そしてMTBの方でも中島渉選手には表彰台ガンガン乗って行って欲しいですね」

「マンガを描く際、登場人物達が着用するジャージは、国内だけでなく世界のレースを実際に見ながらそのパターンというものを考えています。そこで今回の弱虫ペダルとラファのデザインが、リアルの自転車界でどういったインパクト与え、影響されて行くのか、とっても楽しみですね!」


 

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