【新連載】Fumy’s eye 別府史之が見た世界 étape01

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新年あけましておめでとうございます!

2020シーズンから、NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンスで走ることになりました、別府史之です。

これまでなかなか自分の口で近況やレース情報をお話する機会が持てなかったんですが、チームも新しくなったこの機会に、初心に帰り、ファンのみんなに自分の「今」を伝えていきたいと思ってます。僕の目線から見た世界をみんなと共有したい、そんな意味を込めてタイトルは「Fumy’s eye」。今後コンスタントにお届けしていきますので、どうぞよろしくお願いします!

地元に根差したチーム

1月9日にはマルセイユでチームプレゼンテーションが行われました。なんというか、すごく感慨深かったですね。会場には、懐かしい知り合いや、昔からずっとチームに関わってきた人たちがたくさんいた。「ああ、ここにいるみんなで育て上げて、ここまで来たんだなぁ」ってしみじみしちゃいました。だって、いきなり新しくできたチームではなくて、みんなで少しずつ積み上げてきた結果、こうしてプロチームにまで大きくなったわけですから。

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マルセイユ郊外オバーニュのシャトー・ド・ラ・ビュジーヌ城で行われたチームプレゼンテーション

スポンサーも地域に根付いた企業や自治体が多いんです。しかも小さなスポンサーも全部合わせるとなんと51社!その一つ一つのスポンサーに活動内容をしっかり理解してもらおう……ってことで、フレッド(チームのゼネラルマネージャー、フレデリク・ロスタン)が長々と説明するもんだから、若干長過ぎるチームプレゼンになったんですけど(笑)。

だからこそ、いいプレゼンでした。これまでもディスカバリーチャンネル、グリーンエッジ、トレック、とチーム立ち上げ時のプレゼンに出席してきましたけど、やっぱりワールドツアーは大規模にお金を使って、華やかで、スペクタクル。それに比べたら、もちろん、規模はこじんまりとしてたかもしれない。

まあマサ(石上優大)にとっては初めての経験なんで、「うわ〜こんな大きいところでやるんですか!」なんてびっくりしてましたけど、僕は「えっと……そう?」って感じで。

でも「これだよな」って改めて思ったんです。このチームは地域や昔ながらの関係を大切にして成り立っている。決して「切り捨て」型ではない。みんなを大切にしつつチームを組み立てていく。そんな意志をプレゼン中にもひしひしと感じました。だから終わった後、フレッドには「おめでとう」を伝えました。

古巣のチームに戻る喜び

それにプロチームになったとは言え、やっぱりベースにはラ・ポム(VCラ・ポム・マルセイユ、U23時代に所属していたアマチュアクラブ)がある。アマチュアからプロチームへと大きくなってきた歴史の一部に、僕自身も含まれている。当時お世話になった人たちから「よくぞ戻ってきてくれた」って歓迎してもらえて、幸せな気持ちになりました。改めて実感しましたよ。マルセイユに帰ってきて良かったな〜って。

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チームプレゼンテーションのスペシャルゲスト、ローラン・ジャラベールと

ただ過去に戻るわけじゃない。今回の移籍は、僕にとっては完全に新しい挑戦です。自転車レースというのは、この先も何十年も続けていけるような、生半可な競技じゃない。だったらもっと自分の経験を活かしつつ、もっと自分の走りができるようなチームで走りたい。そう考え抜いた上での決断です。

とてもポジティブ、大いなる挑戦の年

チームの規模やレベルだけを見ればステップダウンかもしれない。だけど僕としてはステップアップのつもりです。そうポジティヴにとらえてます。ニューチャレンジです!

ニューチャレンジと言えば、今シーズンの初戦はガボンのラ・トロピカル・アミッサボンゴ。生まれて初めてのアフリカレースです。興奮してます。12月には黄熱病のワクチンを打ちました。もちろんワクチンを打ったのも人生初体験。そうそう、一度打てば生涯有効らしいんで、今後アフリカ要員に決定です(笑)。

とにかくエキサイトしてます。時差もないし、距離的にも近いので、初戦としてはありがたいですし、アフリカではどんな風にレースが行われるんだろうってワクワクしてます。それにチームにもアフリカの選手が2人いるんですが、2人ともとんでもなくポテンシャルが高い。ここ数年、どんどんアフリカ系の選手たちが台頭してきてますから、今回はどんなサプライズを起こしてくれるのか、ちょっと楽しみです。

それにしても、この間、ギルマイ(ビニヤム・ギルマイ、エリトリア出身)とスプリントトレーニングしたんですけど、「うおー、まじか!?」ってびっくりしました。すっごいパワーあるんです。しかも登りも得意らしいし。まだ19歳だから、これからどんどん強くなっていくでしょう。

彼のような若い選手にとって、最初がこのチームだったのは、いい選択です。いきなりワールドチームに行っちゃうと、至れり尽くせりで、自分でやろうとしなくなっちゃう。でもこういう小さいチームは、逆に自分から動かなきゃだめ。じゃなきゃ「どうしたらいいんだ……」って慌てることになる。ここで自分でしっかり考え、自発的に行動することを覚え、セルフマネージメントができるようになりさえすれば、あとはどこに行っても大丈夫。この先にワールドツアーチームに行ったら一気に伸びますよ。

これは日本の選手たちにとっても、誰にとっても同じこと。若い選手たちが学び、ステップアップしていく場として、このチームは最高じゃないでしょうか。

目下のところはスペインで合宿中です。みんなものっすごい気合い入れて練習してます。だってフランスでのレースシーズンはGPラ・マルセイエーズで始まるんですからね。ウーヴェルチュール(ouverture、フランス語でオープニングの意、GPラ・マルセイエーズを指す)は、フランスにとってはまさに花形レースで……それが地元マルセイユで行われるんですから。気合が入るのも当然です。

だからなのか12月のキャンプからいきなり強度高くて、オイオイ飛ばし過ぎじゃないの〜ってびっくりしました。合宿10日間で獲得標高はなんと16580m。モンブランを3.45回も登る計算らしいです!

……あっと、あんまり話しすぎると、次回からのネタがなくなっちゃうんで、今回はこの辺で。そうそう、素朴な疑問や質問などがあれば、なんでもお答えするつもりです。気軽にメッセージ入れて下さい!

それでは、また。

 

 

別府史之

 

 

※質問やメッセージはinfo@cyclesports.jpで。メールタイトルには「Fumy’s eye」とご記入ください。またTwitterやFacebookコメント欄からの質問もお待ちしております!

 
(宮本あさか)