ジロ・デ・イタリア2015でコンタドールが総合優勝!
第98回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、2015年5月31日にトリノからミラノまでの178kmで最終ステージを競い、スペインのアルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ)が2008年につづいて2度目の総合優勝を果たした。
総合2位は地元イタリアのファビオ・アルー(アスタナ)、総合3位はスペインのミケル・ランダ(アスタナ)が入り、表彰台の両脇はアスタナが占めた。

ミラノ市街地のローカルサーキットを7周してゴールした最終ステージはベルギーのイルヨ・ケイス(エティックス・クイックステップ)とオーストラリアのルーク・ダーブリッジ(オリカ・グリーンエッジ)が逃げ切り、最後はケイスが一騎打ちのスプリントを制して区間初優勝した。
不運をはね返して得た3度目のマリア・ローザ
イタリア北西部のリグーリア海岸で今年のジロ・デ・イタリアが開幕したとき、スペインのアルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ)がマリア・ローザを着てミラノに凱旋することは誰もが想像していた。しかし、彼にこんなにも多くの災難が降りかかるとは、誰も想像していなかったにちがいない。今年総合優勝できたのは、まるで奇跡のようだった。
コンタドールは標高1386メートルのアベトーネ山にゴールする中級山岳区間の第5ステージで、早くも総合首位に立ってマリア・ローザにソデを通した。それは初日に行なわれたチームタイムトライアルで、区間優勝したオーストラリアのオリカ・グリーンエッジにたった7秒遅れの区間2位の成績をティンコフ・サクソが出した恩恵でもあった。
その日までマリア・ローザはオリカ・グリーンエッジの選手たちがリレーするように着用していた。しかし、アベトーネ山で彼らは脱落し、前日まで総合4位だったコンタドールが首位へと浮上したのだ。マリア・ローザは着た選手に力を与えてくれるもののはずだが、今年は違っていた。コンタドールは今年初めてバラ色のジャージを着て走った第6ステージで、ゴールスプリントの落車事故に巻き込まれて左肩を脱臼してしまったのだ。
その日、表彰台に上がったコンタドールはマリア・ローザを着ることすらできなかった。そして彼が左腕を固定して主催者の移動医療車から出てきたとき、誰もが彼のジロはここで終わったと思ったにちがいない。まだジロは残り2週間もあり、終盤には厳しい山岳ステージが待ち受けていたからだ。

しかし、コンタドールは不屈の男だった。彼は今年の最長距離区間だった翌日の第7ステージを遅れることなく完走し、マリア・ローザを守ったのだ。標高1430mのカンピテッロ・マテーゼ山頂にゴールする第8ステージでも、彼は総合を争うライバルから遅れることなくゴールした。
その日はコンタドールが予想していたように、新人賞のマリア・ビアンカを着た24歳のファビオ・アルー(アスタナ)が容赦なく攻撃を仕掛けたが、マリア・ローザのコンタドールはすぐに反応し、彼に付いていくことができた。
だが、コンタドールはふたたび不運に見舞われた。ベネツィアに近いイエーゾロにゴールした第13ステージで、彼はふたたび終盤の落車に巻き込まれたのだが、それはゴールまで3.3km地点で起こった。落車で遅れたタイムが免除されるルールは、残り3kmからだった。コンタドールはこのステージを40秒遅れでゴール。前日まで総合2位のアルーとのタイム差は17秒だったため、彼は左肩の脱臼という逆境をはね返して守り続けてきたマリア・ローザを手放さなければならなくなった。
逆に19秒差でマリア・ローザのアルーを追う立場になったコンタドールを待ち構えていたのは、得意の個人タイムトライアルだった。しかも今年のTTは60km近い長距離だった。彼は区間優勝こそできなかったが、アルーよりも3分近く速いタイムを出し、たった1日で総合首位の座に返り咲いた。
「アルーに対していいタイム差を得たが、注意深くし続けなければならない。ジロはまだ長いよ」と、総合首位奪還に成功したコンタドールは決意を新たにした。

厳しい山岳ステージがつづいた最終週は、アスタナの攻撃に耐えるレースを強いられた。アスタナはアルーだけでなく、スペイン人クライマーのミケル・ランダが今年のジロで頭角をあらわし、コンタドールに攻撃を仕掛けてきたのだ。
そして最終日前日の最後の山岳ステージで、ついにコンタドールは失速。ゴールのセストリエール山の前に越えなければならなかった未舗装路のフィネストレ峠で、アルーたちのグループから脱落してしまった。
「疲れがたまっていたせいだと思う」と、レース後にコンタドールは説明していたが、彼は結局この日、区間優勝したアルーよりも2分25秒遅れでセストリエール山頂にたどり着いたが、第14ステージの個人タイムトライアルで十分なタイム差を付けていたおかげで、マリア・ローザを失うことにはならなかった。
フィネストレ峠で遅れた時に無理をして前を追わず、自分のリズムで走ることを選択したのは正しかった。「マリア・ローザが危険だと思った瞬間は、まったくなかったよ」と、コンタドールは語った。
ミラノのゴールで、コンタドールは両手とも3本の指を立ててゴールした。彼にとっては、ジロを制したのは3度目であるというアピールだったのだろう。2008年に初優勝したあと、2011年にも総合優勝したのだが、それは後にクレンブテロール陽性事件で剥奪されてしまった経緯があった。
結局コンタドールは今年のジロで区間優勝を一度も上げることはなかったが、左肩のケガを抱えてレースを戦っていたことを考えれば、それは仕方のないことだ。彼自身も「区間優勝は目指していたが、総合を守ることの方が重要だった」と、語っていた。
幾多の困難を乗り越えてマリア・ローザを手中に収めたコンタドールの次のターゲットは、1か月後に開幕するツール・ド・フランスだ。彼はすでにダブルツールを目指して準備を始めている。それは1998年のマルコ・パンターニ以来、誰も成し遂げられていない偉業だ。

■ジロで総合優勝したコンタドールのコメント
「今年のジロの準備は万全だった。2008年は最後の最後で来ることになり、このレースのことは何も知らず、自分がどんなふうに受け入れられるのかも、上りがどんなものかも知らなかった。2011年は入念な準備をしたが、それはとても強烈にシーズンをスタートした後のことだった。今年はより冷静に、思慮深くレースをすることができた。
愛情をそそいでくれたイタリアの人々に感謝している。ジロの過酷な3週間には、想像できるすべてのことが起こった。僕はここへ勝つためにやって来て、とても慎重に準備をしてきた。しかし落車して、肩を負傷してしまった。すばらしいジロで、僕にとっては特別な経験だった。回復にどれだけかかるのかはわからない。疲れているし、時間がかかることはわかっている。
僕のツール・ド・フランスは今始まった。すでに準備を始めている。今夜は可能な限り早く休むだろう。明日はスペインに戻ろうと思う。ツールのためにふたたび集中する前に3~4日必要だ。
■第21ステージ結果[2015年5月31日/トリノ~ミラノ/178km]
1 イルヨ・ケイス(エティックス・クイックステップ/ベルギー)4時間18分37秒
2 ルーク・ダーブリッジ(オリカ・グリーンエッジ/オーストラリア)
3 ローガー・クルーゲ(IAM/ドイツ)+9秒
4 アレクサンドル・ポルセフ(カチューシャ/ロシア)+9秒
5 ジャコモ・ニッゾロ(トレック/イタリア)+9秒
6 ルカ・メズジェツ(ジャイアント・アルペシン/スロベニア)+9秒
7 エリア・ビビアーニ(チームスカイ/イタリア)+9秒
8 モレノ・ホフラント(ロトNL・ユンボ/オランダ)+9秒
9 ダビデ・アポッローニオ(アンドロニジョカットリ/イタリア)+9秒
10 エリア・ファビッリ(サウスイースト/イタリア)+9秒
159 別府史之(トレック/日本)+4分50秒
[第98回ジロ・デ・イタリア 個人総合最終成績]
1 アルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ/スペイン)88時間22分25秒
2 ファビオ・アルー(アスタナ/イタリア)+1分53秒
3 ミケル・ランダ(アスタナ/スペイン)+3分05秒
4 アンドレイ・アマドール(モビスター/コスタリカ)+8分10秒
5 ライダー・ヘシェダール(キャノンデール・ガーミン/カナダ)+9分52秒
6 スティーブン・クルイスウエイク(ロトNL・ユンボ/オランダ)+10分53秒
7 レオポルト・ケーニック(チームスカイ/チェコ)+11分21秒
8 ダミアーノ・カルーゾ(BMC/イタリア)+12分08秒
9 アレクサンドル・ジュニエズ(FDJ/フランス)+15分51秒
10 ユーリ・トロフィモフ(カチューシャ/ロシア)+16分14秒
117 別府史之(トレック/日本)+5時間02分43秒
[各賞]
■ポイント賞(マリア・ロッサ):ジャコモ・ニッゾロ(トレック/イタリア)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):ジョバンニ・ビスコンティ(モビスター/イタリア)
■新人賞(マリア・ビアンカ):ファビオ・アルー(アスタナ/イタリア)
(http://www.gazzetta.it/Giroditalia/2015/it/)











