ジロ・デ・イタリア2026 コース発表

来年5月に開催される第109回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)のコース発表会が、2025年12月1日にイタリアの首都ローマで開催された。
 

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ジロ・デ・イタリア2026のコース発表会はローマのアウディトリウム・パルコ・デッラ・ムージカで行われた (©SprintCycling)

 
東欧のブルガリアで開幕

2026年のジロは東欧のブルガリアが開幕地に選ばれた。ジロがイタリア国外からスタートするのは16回目で、ブルガリアは13カ国目となる。国外からのスタートとなるため、来年のジロは通常よりも1日早い5月8日の金曜日に開幕し、5月31日に首都ローマで閉幕する。

グランデ・パルテンツァ(開幕地)のブルガリアでは3ステージが行われ、初日は黒海沿岸のネセバルとブルガスがスタートとゴールの156kmで平坦ステージが競われる。2日目はブルガスからヴェリコ・タルノヴォまでの220kmで、カテゴリー3の峠を3カ所越える中級山岳ステージが行われる。最終日の第3ステージはプロヴディフをスタートし、ブルガリアの首都ソフィアでゴールする174kmの平坦区間となる。5月11日は休養日となり、イタリア南部カラブリア州へと移動する。
 

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来年のジロの開幕地となるブルガリアのジェリャズコフ首相(左から2人目)がコース発表会に招待された (photo : LaPresse)

 
1週目は長靴の形をしたイタリア半島のつま先から北上を開始し、最初の難所は中部アブルッツォ州にあるアペニン山脈のブロックハウス(標高1665m)頂上にゴールする第7ステージになる。1週目は中部マルケ州のフェルモがゴールの『壁のステージ』と、アペニン山脈のコルノ・アッレ・スカーレ(標高1471m)頂上にゴールする中級山岳ステージで締めくくられる。
 

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●第7ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)

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●第9ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)

 
2回目の休養日の後、2週目は中部トスカーナ州のヴィアレッジョからマッサまでの海岸線で個人タイムトライアルを競う第10ステージで始まる。来年のジロはタイムトライアルがこの平坦な1ステージしかないが、距離は40.2kmと長い。2週目の週末は北部のアオスタ渓谷が舞台となり、標高1793mでカテゴリー1のピーラ頂上にゴールする第14ステージが行われる。このステージはたった133kmしかないが、カテゴリーの付いた坂が5カ所あり、獲得標高は4400mになる。その翌日はミラノがゴールの平坦区間で、最後の休養日の後は厳しい最終週が待ち構えている。
 

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●第14ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)

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●第16ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)


チマ・コッピはジャウ峠

最終週はスイスへと越境し、標高1644mのカリ頂上にゴールする山岳ステージで幕を開ける。首都ローマへと移動する前には2つの厳しい山岳ステージがあり、ドロミテ山塊のクイーンステージとなる第19ステージは中盤に第109回大会のチマ・コッピ(最高峰)となるジャウ峠(標高2233m)を越え、標高1456mでカテゴリー2のピアーニ・ディ・ペッツェ(アッレゲ)頂上にゴールする。ピアーニ・ディ・ペッツェは、故マルコ・パンターニが1992年のベビー・ジロで優勝した場所だ。

そして最終日前日には、標高1290mのピアンカヴァッロを2回上がる最後の山岳決戦となる第20ステージが行われる。最終日はローマで平坦ステージが競われる。ローマがジロのグランデ・アッリーヴォ(閉幕地)になるのは109回の歴史で8回目だ。
 

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●第19ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)

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●第20ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)

 
21ステージの総距離は3459.2kmで、ステージの平均距離は164.7km。ステージの内訳は個人タイムトライアルが1、平坦ステージが8、中級山岳ステージが7、山岳ステージが5で、頂上ゴールは7ステージある。頂上ゴールは多いが、累積標高は49150mで今年よりも少ない。
 

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今年のジロ・デ・イタリアで総合優勝したサイモン・イェーツと、ジロ・デ・イタリア・ウイメンで総合優勝したロンゴボルギーニ (photo : LaPresse)

 
今年のジロで総合初優勝した英国のサイモン・イェーツ(チーム ヴィスマ・リースアバイク)のコメント
「今年のジロの終わりに感じた感動は信じられないもので、あれをもう一度味わいたいと願っている。2018年にボクは素晴らしいレースをしたが、最終ステージの危機で辛い結末にもなった。数年後にリベンジをしようと戻ったが、それは決してうまくいかなかった。それでも常にもう一度挑戦したいと心の底で思っていた。そして今年、遂にそれをやり遂げた。コースにフィネストレ峠を見つけた時、ボクの最初の反応は、ああ、またか、だった。でも、闘いに戻る事ができて、特別な事をやり遂げた。次回のコースはとてもキツい。ブロックハウスはとてもタフな上りで、2022年に走ったが、本当にレースを変える可能性がある。アオスタのステージはおそらく鍵になるだろう。ものすごくハードだが、ボクのキャラクターにとても合っているよ」
 

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RCSメディア・グループのカイロ会長から終わりのないトロフィーのレプリカをプレゼントされたブルガリアのジェリャズコフ首相 (©SprintCycling)

 
■RCSメディア・グループのウルバーノ・カイロ会長のコメント
「ジロ・デ・イタリアは偉大な感動だ。子供の頃、それは絶対に見逃せないものだった。今日、それは経済の強力な牽引力でもあり、イタリアの輸出額を25億ユーロ以上増加させている。ジロが海外でスタートするのは16回目で、それは世界におけるイタリアの親善大使としての我々の役割を完璧に反映し、イタリアの美しさと優秀さを紹介する特別な場ももたらし、経済、観光、スポーツに多大な影響を及ぼしている」

■ブルガリアのロセン・ジェリャズコフ首相のコメント
「今夜、この場に居られる事を嬉しく思い、ブルガリアが世界で最も重要なスポーツイベントの1つの開幕地になる事を光栄に思う。ジロ・デ・イタリアは単なるレースではなく、競技と文化を融合させた伝統とスポーツの国際的なシンボルだ。こうしたイベントは今日の世界において不可欠なもので、それは対話、誠実さ、友情、そして相互尊重を促進する。我が国での開催は、国際的なスポーツにおけるブルガリアの成長する役割を改めて示している。これは我々の歴史、伝統、そして開催国としての価値をアピールするまたとない機会であり、思い出に残るグランデ・パルテンツァのために必要なもの全てを提供する準備はできている」
 

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コースディレクターのマウロ・ヴェンニ(左)は67歳になる来年2月に引退すると報じられている (photo : LaPresse)

 
■コースディレクターのマウロ・ヴェンニのコメント
「今年、我々はより現代的なジロをデザインし、総合成績を争う選手たちにとって厳しさは減っていない短距離のステージと、長距離の逃げでインパクトを残したい選手たちに合ったステージを交互に配置した。頂上ゴールは7回で、スプリンターのステージも同じ数、そして個人タイムトライアルはたった1回だが、近年ではより長距離なものだ。長年にわたって私と共に働き、サポートしてくれた全ての人々、特に私のチームと法執行機関、とりわけ始まりからずっとジロをエスコートしてくれている交通警察に感謝したい」

 
ジロ・デ・イタリア 2026 全日程

5月8日(金) 第1ステージ[ネセバル(ブルガリア)~ブルガス(ブルガリア)]156 km(平坦 ★★)

5月9日(土) 第2ステージ[ブルガス(ブルガリア)~ヴェリコ・タルノヴォ(ブルガリア)]220 km(中級山岳 ★★★)

5月10日(日) 第3ステージ[プロヴディフ(ブルガリア)~ソフィア(ブルガリア)]174 km(平坦 ★★)

5月11日(月) 休養日

5月12日(火) 第4ステージ[カタンツアーロ~コゼンツァ]144 km(平坦 ★★)

5月13日(水) 第5ステージ[プラーイア・ア・マーレ~ポテンツァ]204 km(中級山岳 ★★★)

5月14日(木) 第6ステージ[パエストゥム~ナポリ]161 km(平坦 ★★)

5月15日(金) 第7ステージ[フォルミア~ブロックハウス]246 km(山岳▲ ★★★★)

5月16日(土) 第8ステージ[キエーティ~フェルモ]159 km(中級山岳▲ ★★★)

5月17日(日) 第9ステージ[チェルヴィア~コルノ・アッレ・スカーレ]184 km(中級山岳▲ ★★★)

5月18日(月) 休養日

5月19日(火) 第10ステージ[ヴィアレッジョ~マッサ]40.2 km(個人TT)

5月20日(水) 第11ステージ[ポルカーリ~キアーヴァリ]178 km(中級山岳 ★★★)

5月21日(木) 第12ステージ[インペリア~ノヴィ・リーグレ]177 km(平坦 ★★)

5月22日(金) 第13ステージ[アレッサンドリア~ヴェルヴァニア]186 km(中級山岳 ★★★)

5月23日(土) 第14ステージ[アオスタ~ピーラ]133 km(山岳▲ ★★★★★)

5月24日(日) 第15ステージ[ヴォゲーラ~ミラノ]136 km(平坦 ★)

5月25日(月) 休養日

5月26日(火) 第16ステージ[ベッリンツォーナ(スイス)~カリ(スイス)]113 km(山岳▲ ★★★★)

5月27日(水) 第17ステージ[カッサーノ・ダッダ~アンダロ]200 km(中級山岳▲ ★★★)

5月28日(木) 第18ステージ[ファーイ・デッラ・パガネッラ~ピエーヴェ・ディ・ソリーゴ]167 km(平坦 ★★)

5月29日(金) 第19ステージ[フェルトレ~アッレゲ(ピアーニ・ディ・ペッツェ)]151 km(山岳▲ ★★★★★)

5月30日(土) 第20ステージ[ジェモーナ・デル・フリウーリ1976-2026~ピアンカヴァッロ]199 km(山岳▲ ★★★★)

5月31日(日) 第21ステージ[ローマ~ローマ]131 km(平坦 ★)
(▲…頂上ゴール/★…難易度)

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●ジロ・デ・イタリア2026のコースマップ (MAP : RCS Sport)

 

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(photo : LaPresse)

 

ジロ・デ・イタリア公式サイト