女子Qリーグ、中学生Nリーグ2025-2026シーズン第9戦:箱根ヒルクライム2025結果

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サイクルロードレースの女子リーグ「クイーン・リーグ(Qリーグ)」、中学生リーグ「ニュー・エイジ・リーグ(Nリーグ)」第6期 2025-2026 第9戦:箱根ヒルクライム2025が10月5日(日)、神奈川県小田原市のアネスト岩田ターンパイク箱根で開催された。

女子Qリーグ、中学生Nリーグ2025-2026シーズン第9戦:箱根ヒルクライム

男子中学生クラスを含む第1ウェーブでスタートする参加選手たち(Photo: k.kazuma)

 

今大会のコースは普段、自転車では走行できないアネスト岩田ターンパイク箱根を、レース当日のみ特別に閉鎖して行うコース。距離13.4kmで平均勾配7.2%という、日本国内で開催されているヒルクライムレースの中でも、かなり走りごたえのある登坂コースで、見通しの良い直線の急勾配が続くのが特徴。そのためいったん後続を引き離したとしても、なかなか視界から消えないので、ペース配分や折れないメンタルが必要になる。またスタートから約10km地点までは斜度がきつい一方、後半には下りもあり、ゴール直前でスプリントになることもある。

この大会の歴史は長く、2010年から2年開催された後、2年間の中断期間を経て地元の小田原市職員による呼びかけで 2015年に復活。そして主催の一般社団法人 GRサイクリングが今回 11年目の開催を引き継ぎ、自転車での地域活性を実現している。そのレース運営はもちろんのこと、前日受付会場では会場近くの宿泊施設・ヒルトン小田原リゾート&スパのチャリティー募金活動「クリスマストレイン」にも協力。大会で集まった募金は「箱根ヒルクライム参加者一同」として寄付され、地域の子どもたちの遊びや教育、学習支援、地域貢献活動に使用されている。

このような地元や子供達への貢献活動にも熱心な大会に、昨シーズンからはQNリーグのシリーズ戦として、Qリーグと Nリーグ中学生女子NWは女子チャンピオン、そしてNリーグの中学生男子Nは中学生クラスを対象レースに組み入れた。

その狙いとして、女子チャンピオンクラスについては「QリーグやNリーグの中学生女子とともに走ることで女子チャンピオンクラスへの参戦をさらに促し、ヒルクライムを得意とする女子選手達にとって目標大会の1つにしたい」、中学生クラスについては「長く男子については中学生、そして高校生それぞれのクラスを設定しているので、そのクラスに一層の充実を図りたい」と考え、引き続き協力いただくこととなった。

また、同大会では気軽に自転車レースへチャレンジしてもらうためにクラス設定を工夫している。脚力別や年齢別を基本に、体重別クラスや自転車の種別にした「鉄の漢クラス」に「e-bikeクラス」、更には小径車のクラスも設定。そして 2021年からはアニメ、コミック、ゲームなどのコンテンツやキャラクターをモチーフにしたコスプレやサイクルジャージ着用、仮装を条件とした「キャラクターヒルクライム部門」も同時開催されている。 大会当日は、前の晩に降った雨が早朝には上がり、雲は残るものの秋らしい爽やかなコンディション。昨年大会では土砂降りからの濃霧で、スタート時には震えるほどの肌寒い状況だったことに比べると良い条件下となった。

さて、小学生チャンピオンクラス以外の参加選手達がゴール地点のアネスト岩田スカイラウンジ前の集合場所に集まってくる。この箱根ヒルクライムでは特殊で、まずスタート地点へ向かいコースを下山してから、再びコースを上る手順となる。バイクとスタッフ自転車の安全管理誘導で、ブロックごとに分けて下山を開始した。

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オートバイの先導で安全管理しながら班分けして下山する。途中で強制休憩箇所もあるので安心(Photo:QNリーグ事務局)

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預かった手荷物はトラックで頂上へ。クラスごとに振り分けして並べておく(Photo:QNリーグ事務局)

 

柬理が中学生クラスで優勝、バトルマリンジャージ奪還

9時半に第1スタートとなる男子チャンピオン、男子高校生、そしてリーグ対象レースとなる女子チャンピオンと男子中学生の各クラスが同時スタートした。今大会以降は大磯、しもふさと平坦なクリテリウムレースが続くので、クライマーにとっては最後のチャンスにもなる。

ゴール地点から見ていると想定よりも早いタイミングで、しばらくすると最後の下りセクションから上り返す選手の姿が遠くに確認できた。そして男子チャンピオンクラスの優勝選手がゴールし、あまり間を置かずにNリーグの中学生男子Nが対象となっている中学生クラスのトップとなるTeamFITTEの柬理日楠詩が、男子チャンピオンクラスの選手とともに姿を現した。

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男子チャンピオンクラスの選手とともにハイペースで走るFITTE柬理(Photo: k.kazuma)

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柬理はカメラマンとの約束を果たす形で、レース中に笑顔を見せた(Photo: k.kazuma)

 

中学生クラスの優勝を確信した柬理は、天を仰ぐポーズを応援する家族の前で決めながらゴールラインを切った。

「昨年よりもスタートから凄く速かったです。男子チャンピオンクラスのトップの選手に付いてできるだけ前をキープしたかったけど、中盤で集団から落ちてしまったのが敗因」と、44分台という中学生クラスの記録更新を逃したことを悔いていたが、昨年のレースではスタート前の冷えや補給の不備など準備不足で思う力が出し切れてなかったのが、今回は1年でさまざまなレースで経験を積み成長したことで、昨年タイム50分05秒から今回は46分13秒と自己新記録。しかも後続には約2分のタイム差をつけた優勝で、2ヵ月ぶりに再びポイントリーダーとなった。

女子Qリーグ、中学生Nリーグ2025-2026シーズン第9戦

昨年に続く中学生クラスの優勝、そして自己記録更新にバトルマリンジャージ奪還も達成したFITTE柬理(Photo: k.kazuma)

 

また、2位と3位はNリーグ登録ではない選手が入ったが、4位にはコンスタントに毎シリーズ戦で結果を残し続けている保土ヶ谷.Broの神戸雅渡が入り、ポイントを積み上げてランキング 3位に浮上した。

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惜しくも表彰台は逃したものの、シリーズ戦を通してポイントを着実に積み重ね Nリーグランキング 3位に浮上した保土ヶ谷.Bro神戸。ゴール直前の上り返しでも力強い走りを見せた(Photo: k.kazuma)

 

7月末のリーグ第5戦で、獲得したバトルマリンジャージを奪われていた柬理は、ポイントリーダー授与式で2014年の全日本選手権ロードレース覇者である佐野淳哉氏からジャージを着せてもらいながら「ゴールタイム45分以内という目標は達成できなかったんですが、自己ベストタイムでFTPも更新したので良いレースだったのかなあ?とは思います」と再び手に入れたリーダージャージを身に着けコメント。

このところの調子の良さの秘訣として「アールエルの靴下のおかげかもしれません。最近、調子がどんどん上がっています!」と会場でも多く見かけたアールエル・ソックスのファンにもアピールしてくれた。

女子Qリーグ、中学生Nリーグ2025-2026シーズン第9戦

FITTE柬理に奪還したバトルマリンジャージを手渡すプレゼンターの佐野氏は、レースにもゲスト参加(Photo:QNリーグ事務局)

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副賞のアールエル目録を手に、喜びのコメントをする柬理(写真左)(Photo:QNリーグ事務局)

 

次の目標としては10月26日に三重県四日市市で開催される「四日市ジュニアロードレース(第 21回全国ジュニア自転車競技大会)」を挙げていたので、Nリーグ・ポイントリーダーを巡る闘いの経験を活かして結果を出してほしい。

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男子中学生クラスの表彰式、左より 2位・木村孔南、優勝の FITTE柬理、3位・木村仁毘(Photo:QNリーグ事務局)

 

そんな熱い闘いとなった、男子中学生クラスのゴール後にNリーグ上位陣、そして入賞した選手達を集めて改めてコメントを聞いた。

「今回は作戦とかは無く、中学生クラスの新記録となる44分台を達成するように限界突破で頑張りました!」とコメントしてくれたのは愛知県は名古屋市から参戦した、56サイクルの兄弟選手。元・乗鞍ヒルクライムのチャンピオンであり、現在はシクロクロスのマスターズクラスで活躍する筧五郎選手のローラー教室の生徒で、兄の木村孔南(コナン)は「目標は昨年のタイムを上回ること」だったようであるが、昨年の50分33秒から大幅に更新し48分01秒という素晴らしいタイムでゴールを果たして2位となった。

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ゴール直後、QNリーグムービー収録にてコメントしてくれた中学生クラスの参加選手たち。左から木村(弟)、FITTE柬理、PRIMERA富永と佐谷、木村(兄)(Photo:QNリーグ事務局)

 

また、弟の木村仁毘(シノブ)は「兄と小学生の頃から 3年連続で箱根ヒルクライムには出場していて、昨年は小学生クラスで優勝している」という強豪。「今回の目標は中学生クラスでの入賞と昨年のタイム更新だったので、両方果たせた」と昨年の53分44秒からの大幅更新で50分15秒というタイムと3位入賞を喜んでいた。

普段、どんなことを筧選手から教わっているのか聞くと「五郎さんは、とても頼もしいし、すごくいろんなことを教えてくれるので、非常にためになります!」と言う。特にヒルクライムレースを得意とする筧選手だけに、その指導が今回のタイム更新に繋がっていたようだ。

また、現在JBCFなどのレースで活躍を見せる茂木陽向選手も所属する#1-PRIMERA-(ナンバーワン・プリメーラ)の冨永和彦と佐谷輝成の2人からもコメントを聞いた。この 2人はリーグ後半から活躍をみせているが、7位に入った冨永は「うーん、ちょっと悔しいです」と苦い顔だったが、前回レースに続いて順調にラインキングポイントを獲得。9位の佐谷は初のヒルクライムレースということもあり「(集団やペースに)付いていけるかな?って不安でした。タイムとか納得できる結果ではなかったのですが、次に活かしたいと思います」と今後も目標に向かって頑張る気合をコメントしてくれた。

 

女子チャンピオンクラスに出場した岡田は、メカトラで2位に

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トラブルで思うような走りが出来なかったブラウ岡田は、少し無念そうにゴール(Photo: k.kazuma)

 

男子中学生達と同時スタートの女子チャンピオンクラスに出場した中学生女子NW・岡田愛裕來(ブラウ・ブリッツェン U15)は、昨年のレースタイムからの更新を目指していたが「スタートして1kmぐらいでメカトラが発生してしまって、ロー側にギヤが変わらなくなってしまったんです」という突然のメカトラブルで、非常に苦心した模様。

しかし「タイムは更新できなかったんですが、自分なりにゴールまで頑張れたので良かったです」と、ポイントリーダー授与式では安堵の表情を見せた。夏ごろから腰の不調も抱えるなかでのリーグ戦へ参加となったが、次回からの大磯クリテリウム2連戦を前に「大磯でも自分の全力を出せるように頑張ります!」と元気にコメントしてくれた。

※Qリーグは出走無し

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女子チャンピオンクラスの表彰式。左から2位のブラウ岡田、優勝の池田由美(ヤビツ百参るの会)(Photo:QNリーグ事務局)

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エクスルブの副賞目録を手に笑顔のブラウ岡田。次回は雪辱を果たして欲しい(Photo:QNリーグ事務局)

 

次戦(11/16)は大磯クリテリウム第2戦

次戦は第10戦の11月16日(日)に神奈川県の大磯プリンスホテル特設クリテリウムコースで開催される「大磯クリテリウム第2戦」となる。平坦でスプリント勝負をかけやすいコースレイアウトであるが、一方で見晴らしが良く、常にお互いの位置が確認できるため逃げ続ける場合は、ライバルを泳がしたり、泳がされたりを利用することも必要だ。

また集団にいる場合は、コース周りに障害物が無いので風の影響を受けやすいため位置取りが重要。そしてコーナーワークでのライン取りやバイクコントロールも勝負を左右するだろう。

女子Qリーグ、中学生Nリーグ2025-2026シーズン第9戦

昨年の大磯クリテリウム、中学生クラスレースの模様(Photo: k.kazuma)

 

各リーグ ポイントリーダー

女子Qリーグ、中学生Nリーグ2025-2026シーズン第9戦

<写真左よりQ リーグ岡本、N リーグ柬理、NW 岡田の各ポイントリーダー>

 

Qリーグポイントリーダー:アメジストジャージ

Nリーグポイントリーダー:バトルマリンジャージ

提供:Bioracer

アスリチューン賞 Qリーグ(高校生以上女子)
ポイントリーダー:岡本 彩那(SPECIALIZED UTSUNOMIYA)・68p
ランキング2位:根本 香織(Team 一匹狼)・28p
ランキング3位:増輪 心(Team 一匹狼)・10p

RxL賞 Nリーグ・N(中学生男子)
ポイントリーダー:柬理 日楠詩(Team FITTE)・144p
ランキング2位:渡邉 公太(ブラウ・ブリッツエンU15)・128p
ランキング3位:神⼾ 雅渡(保土ヶ谷.Bro)・61p

EXLUB賞 Nリーグ・NW(中学生女子)
ポイントリーダー:岡田 愛裕來(ブラウ・ブリッツェンU15)・151p
ランキング2位:板垣 美希(BELLE EQUIPE)・86p

年間総合ポイントリーダー特別賞:Airfly(株式会社ジゴスペック)

※ランキングにおいて同点者が出た場合、最新のレース着順が優位の選手を上位とする。

※最終戦終了時において、同点者が出た場合は、最終戦直前のランキングで優位の選手を上位とする。

※最終戦については、ポイントテーブルに5 点ずつ加算した点数を付与する(最終戦ボーナス)。

女子Qリーグ、中学生Nリーグ2025-2026シーズン第9戦

表彰式ステージは芦ノ湖や箱根の山々を見渡す、素晴らしい背景が広がった(Photo: k.kazuma)

 

<レポート概要>
写真撮影:k.kazuma、QNリーグ事務局
テキスト:須藤むつみ(QNリーグ事務局)
協力:一般社団法人 GRサイクリング

 

*箱根ヒルクライム 2025公式ホームページ
https://hakone.gr-cycling.online/

2025-2026シーズン Qリーグ・Nリーグ対象レーススケジュールはこちら
http://www.jbrain.or.jp/q-n-league/race-profile.html

次戦は第10戦となる11月16日(日)「大磯クリテリウム第2戦」
https://oiso.gr-cycling.online/

Qリーグ・Nリーグ登録はこちら。各対象レース開催日の 3日前まで登録完了すればポイントランキングに反映。今後も女子とジュニア中学生が活躍するリーグにご声援のほどよろしくお願いします!
https://moshicom.com/122291/

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