中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦 結果

目次

サイクルロードレースの中学生リーグ「ニュー・エイジ・リーグ(Nリーグ)」第6期 2025-2026 第8戦:わたらせクリテリウム第2戦が9月13日(土)、蒸し暑く、時折雨も降るコンディションのなか栃木県栃木市・わたらせサイクルパーク内で開催された。

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

エスポワール Bクラスでスタートする参加選手たち(Photo:QNリーグ事務局)

 

今大会は宇都宮ブリッツェン主催で2022年からシリーズ開催がスタートした、わたらせサイクルパークの完全クローズされた1周回=約 1.1kmを走るクリテリウムレース。全4回の開催であるが、第2戦の今大会からコースが右回り(時計回り)になる。そのため広い道から狭い道に入ることが多く集団が縦に伸びやすい。また最終コーナーからゴールラインまでの距離が今までよりも若干遠いため、コーナーの立ち上がりのライン取りやスプリントを始めるタイミングも肝になりそうだ。

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

朝の試走時には宇都宮ブリッツェン小野寺選手と廣瀬GMによる初心者クリニックが行われた(Photo:QNリーグ事務局)

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

「スキルアップ!スクール」はジュニア選手を中心に参加者が集まった(Photo:QNリーグ事務局)

 

会場は朝から天候が優れないながらも、逆回りになったことでメイン会場からゴール地点への出入りがしやすくなったこともあり、観戦がしやすくなった。レース以外の企画では、QNリーグ主催スクール企画「スキルアップ!ロードレーススクール」の併催などさまざまなイベントも実施され、会場では出展ブースやキッチンカー周辺も賑わい、ゲストには宇都宮ブリッツェンから小野寺玲選手や廣瀬佳正GMの登場もあって会場は盛り上がった。

 

QNリーグ主催「スキルアップ!スクール」を開講

午前9時30分から開始のレースと並行して、周回コース内側を利用してQNリーグ主催の「スキルアップ!スクール:まもなくシーズンイン!シクロクロスから学ぶコントロール術」を開講。今回は、女子と中学生以下のジュニアに合わせた内容でスクールを実施した。

まずは自転車に乗る準備が完了してからでもできる準備運動と、ヘルメットの位置合わせや自転車のブレーキなど走行前チェックの手順を指導。その後は Uターンを含めた走行で集団走行を指導。特にブレーキだけでなくペダリングでもスピードを調整するコツを覚えてもらった。さらにシクロクロスレースでも重要な2列や3列走行もUターンを行ないながら、注意ポイントを実感させた。

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

スクール講師からの集団走行レクチャーを熱心に聞く参加選手たち(Photo:QNリーグ事務局)

 

集団走行後には、シクロクロスのレーススタートと同じ整列方法でスタンバイしてのスタートダッシュを実施。素早くペダルをキャッチし、下を向かずに真っ直ぐ前方を見てスムーズにスタートするコツを掴んでもらった。また繰り返しスタート練習をすることで、発進しやすいギヤ比の把握も含め上手なスタート方法を会得してもらえた。

その後、乗車中におけるペダル加重、および体重を自転車の上で前後・左右に移動させる感覚を覚えてもらい、休憩の後にはスクール名物にもなっている「ボトル渡し」や「サコッシュ渡し」のコツを指導しながら、何度もスムーズに渡せるように反復練習。

スクールは休憩を挟みながら約 2時間で実施。自転車レースを将来にわたり長く楽しんでもらえるよう、今後も上手にコントロールするコツをゲーム感覚で覚えられるスクールを続けていく。

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

ボトル渡し(写真左)やサコッシュ渡し(写真右)も実施しながら、自転車を上手にコントロールするコツを覚えてもらった。ゲームのように行うことで、遊び感覚で学べるのも大事。(Photo:QNリーグ事務局)

 

Nリーグ・長谷川はエスポワールBで2位

午後からはさらに気温が上がるなか、いよいよNリーグの中学生男子(N)と女子(NW)対象のエスポワール各レースがスタートとなる。

各クラスは、Cが小学4年と5年の男女、Bが小学6年と中学1年、Aが中学2・3年生と細かく分かれており、Nリーグでは中学1年生が対象の「エスポワール B」、そして中学2・3年生が対象の「エスポワール A」の 2つに分かれるため、それぞれのレース完走者にリーグポイントを付与することにしている。

これにより、わたらせクリテリウムでは、特に中学1年の Nリーグ登録選手にとって大量ポイント獲得のチャンスとなるのだ。なお今大会は女子の単独クラス設定が無いため、Qリーグは対象レースから除外している。

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

厚い雨雲が垂れ込める中、スタートに着くエスポワール Cの参加選手たち(Photo:QNリーグ事務局)

 

大きなチャンスとなる「エスポワール B」は午後2時にスタート。出走は18人で、コースインから約 3/4周回を小野寺選手の誘導でスタート地点へ、ゆっくりと走行しながらウォームアップ。そしてスタートラインに整列し、6周のレースが幕を切った。

1周目は18人が1つの集団だったが、2周目に入って間もなく5人が飛び出す。そのなかには、前回のQNリーグ第7戦「しもふさクリテリウム 9月」小学生チャンピオンクラスで、2位以降を1分半近く引き離す圧勝を決めた#1-PRIMERA-所属の山田大夢(ヤマダヒロム)も含まれており、この日も先行集団の頭を引っ張りメイン集団からタイム差が開いていく。

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

2周目から形成された先行集団。ブラウ斎藤を先頭にして5人で回して後続を引き離す(Photo:QNリーグ事務局)

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

3周目からアタックを決め単独で先頭に出た PRIMERA山田は、その勢いのままゴールし優勝(Photo:QNリーグ事務局)

 

3周目には積極的な走りを見せていたPRIMERA山田が、一緒にメイン集団から抜け出したメンバーを置き去りで単独先頭に。その後ろを追いかける4人は、山田のペースが落ちないせいかさらにバラバラに崩壊し、長谷川誠(ブラウ・ブリッツェン U15)と満山塔亜の2人、そして少し離れて斎藤時成(ブラウ・ブリッツェン U15)と宗息吹(ブラウ・ブリッツェン U15)の2人に割れる。

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

2位争い集団の満山(右)と長谷川(左)は、最終ストレートで飛び出した長谷川に軍配が上がる(Photo:QNリーグ事務局)

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

4位争いはブラウ同士の一騎打ち。ゴールスプリントで斎藤が4位に(Photo:QNリーグ事務局)

 

残り2周の時点で、山田を追いかける長谷川と満山とのタイム差が10秒、その後ろの斎藤と宗とはさらに2秒差であったが、残り1周ではそれぞれ12秒と7秒差まで開いていき、その後方は集団が分かれていた。相当、山田のペースが速い。そしてゴール直前では、山田を追う長谷川が満山を切り離し 6秒差まで迫ったものの、小学6年生の山田が単独で逃げ切りに成功し優勝した。

Nリーグのブラウ長谷川は単独2位でゴール、満山が3位に入り表彰台を獲得。続いて4位にはNリーグの斎藤、5位に宗が入りランキングポイントを多く獲得することができた。

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

エスポワール Bの表彰式。左より 2位・長谷川、優勝・山田、3位・満山(Photo:QNリーグ事務局)

 

渡邉がエスポワールAで優勝しバトルマリンジャージを防衛

続いてのスタートがエスポワール A。出走24人の中には、先週のQNリーグ第7戦「しもふさクリテリウム 9月」でバトルマリンジャージを奪還したばかりの渡邉公太(ブラウ・ブリッツェン U15)、現在Nリーグ・ポイントランキング2位の柬理日楠詩(TeamFITTE)、3位の高橋琉登(Komami.Racing)、4位の神戸雅渡(保土ヶ谷.Bro)、5位の白石大河(Komami.Racing)と、この時点でのランキング TOP5がスタートに並び、レース展開に期待が一層高まる。

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

エスポワール Aのスタートライン。前列には(左から)Komami高橋、FITTE柬理、そしてバトルマリンジャージのブラウ渡邉などNリーグランキング上位選手たちも並ぶ(Photo:QNリーグ事務局)

 

スタート直後、最初に飛び出したのは FITTE柬理。その勢いは凄まじく、約半周まで単独で先頭をキープして走る。このペースアップで集団は1列棒状となって2周目に突入したころに雨が降り始めたタイミングで、今度はFITTE柬理とブラウ渡邉の2人が集団から飛び出す。

このような先行が出現すると追う選手達はスピードアップを図りたいが、雨で少し暗くなり路面が滑りやすくなったことでコーナーのコントロールが難しくなり、追走集団は割れて先週の対象レースで3位入賞の活躍を見せた Nリーグの佐谷輝成(#1-PRIMERA-)に Komamiの高橋と白石、保土ヶ谷Bro神戸、横田壮一郎(Fine nova LAB)の5人が、柬理と渡邉の後方5秒の位置に残された。

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

先行する FITTE柬理(右)とブラウ渡邉(左)は、先頭交代しながら後続を引き離していく(Photo:QNリーグ事務局)

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

先行する2人を追う3位争いの集団もペースが落ちず、大きくタイム差が開くことが無かった(Photo:QNリーグ事務局)

 

この後は、最終周回まで先行する2人と追走集団5人のタイム差が5秒から10秒の間で変化しながらも、ほぼ状況は変わらず。

一方、女子で唯一このクラスへ出走となった、Nリーグ中学生女子NWでポイントランキング2位の板垣美希(BELLE EQUIPE)は、後方集団の男子選手達と集団を形成し走行していたが、最終周回のコーナーで濡れた路面で滑ってしまい集団から脱落。途中では20位前後で推移したが、あと僅かでトップとの同一周回を逃す惜しい結果となった。

しかしゴール後に板垣は「落車してしまいましたが、コース横の芝地に入ったので怪我は無く自転車も無事でした。次回のリーグ対象レースでも頑張ります!」と元気にコメントしてくれた。

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

QNリーグスクールにも参加した板垣(中央)は、終始良いペースで走るもスリップしてしまい集団脱落(Photo:QNリーグ事務局)

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

宮城県から参加した板垣は自転車コントロールに長けており、今後の注目株(Photo:QNリーグ事務局)

 

さてトップでは、先頭2人が後続5人の追走から逃げ切ってゴールスプリントに。早めに仕掛けた渡邉が優勝を決め、柬理が2位となりバトルマリンジャージは渡邉が防衛に成功した。

この2人に遅れること約7秒できた後方集団が5人のままゴールスプリントとなり、先頭でゴールしたFinenova横田が見事なハンドル投げで3位となり表彰台を獲得。4位にKomami白石、5位がPRIMERA佐谷、6位 Komami高橋、7位に保土ヶ谷Bro神戸となった。このレース結果により、Nリーグポイントランキング3位がKomami白石に入れ替わった。

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

今レースも思いきりの良いスプリントで決めたブラウ渡邉が優勝しバトルマリンジャージを防衛(Photo:QNリーグ事務局)

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

3位争いのゴールスプリントは、ハンドル投げを決めた横田が競り勝った(Photo:QNリーグ事務局)

 

Nリーグポイントリーダー授与式では、すっきりと頭を坊主に剃り上げた渡邉が副賞のアールエル賞品目録を手に、今回のレース展開の難しさを噛みしめながら「(柬理と)2人で逃げ続けたのは、とても楽しかった」と振り返った。

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

エスポワール Aの表彰式。左から優勝のブラウ渡邉と3位の横田。なお FITTE柬理は翌日の秩父宮ロード、翌々日 JBCF南魚沼ロードと連戦へ移動のため欠席となった(Photo:QNリーグ事務局)

 

次戦の箱根ヒルクライムについては、ヒルクライムを得意とする柬理との比較を聞いてみたところ「僕はヒルクライムが苦手なので、頑張って練習して勝てるようにしたいです!」と抱負をコメントし、声援に応えた。

そんな渡邉の活躍に、プレゼンターとして登壇した小野寺選手からは「このエスポワールの各レースは非常に楽しみにしていまして、今回もプロさながらの熱いレース展開で楽しませてくれました」とコメント。渡邉選手は宇都宮ブリッツェンの育成組織であるブラウ・ブリッツェン所属であることにも触れ「将来、宇都宮ブリッツェン加入へのステップアップという道もありますので、今後の活躍に期待しています!」と熱いエールも送った。

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

Nリーグ中学生男子の協賛アールエル賞品目録を手渡す宇都宮ブリッツェン小野寺選手(写真右)

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

日本自転車レースの将来を担うジュニア選手へエールを贈ってくれた小野寺選手(左)と笑顔の渡邉(右)

 

次戦(10/5)第9戦は箱根ヒルクライム 2025

次戦は第9戦の10月5日(日)に神奈川県小田原市・アネスト岩田ターンパイク箱根で開催される「箱根ヒルクライム 2025」となる。

箱根ヒルクライムは普段、自転車では走行できないアネスト岩田ターンパイク箱根を、レース当日のみ特別に閉鎖して開催される大会。距離は13.4kmで平均勾配は7.2%という、日本国内で開催されているヒルクライムレースの中でも、かなり走りごたえのある登坂コースで、見通しの良い直線の急勾配が続くのが特徴。そのためいったん後続を引き離したとしても、なかなか視界から消えないので、ペース配分や折れないメンタルがポイントになるだろう。

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

昨年の同大会、中学生クラス・ゴールの様子(Photo: Kensuke Yada)

 

またスタートから約10km地点までは斜度がきつい一方、後半には下りもあり、ゴール直前でスプリントになることもある。昨年の中学生クラス優勝は FITTE柬理。スプリンターである現バトルマリンのブラウ渡邉が今年どう凌ぐか注目される。

この箱根ヒルクライム以降は大磯、しもふさと平坦のクリテリウムレースが続き、クライマーにとっては最後のチャンスでもあるので、そのレース展開と結果を楽しみにしてほしい。

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

 

各リーグ ポイントリーダー

中学生Nリーグ2025-2026シーズン第8戦:わたらせクリテリウム第2戦

<写真左よりQリーグ岡本、Nリーグ渡邉、NW岡田の各ポイントリーダー>

 

Qリーグポイントリーダー:アメジストジャージ

Nリーグポイントリーダー:バトルマリンジャージ

提供:Bioracer(ビオレーサー)

 

アスリチューン賞Qリーグ(高校生以上女子)

ポイントリーダー:岡本 彩那(SPECIALIZED UTSUNOMIYA)・68p

ランキング2位:根本 香織(Team 一匹狼)・28p

ランキング3位:増輪 心(Team 一匹狼)・10p

 

RxL賞Nリーグ・N(中学生男子)

ポイントリーダー:渡邉 公太(ブラウ・ブリッツェンU15)・128p

ランキング2位:柬理 日楠詩(Team FITTE)・116p

ランキング3位:白石 大河(Komami.Racing)・53p

 

EXLUB賞Nリーグ・NW(中学生女子)

ポイントリーダー:岡田 愛裕來(ブラウ・ブリッツエンU15)・131p

ランキング2位:板垣 美希(BELLE EQUIPE)・86p

 

年間総合ポイントリーダー特別賞:Airfly(株式会社ジゴスペック)

※ランキングにおいて同点者が出た場合、最新のレース着順が優位の選手を上位とする。

※最終戦終了時において、同点者が出た場合は、最終戦直前のランキングで優位の選手を上位とする。

※最終戦については、ポイントテーブルに5 点ずつ加算した点数を付与する(最終戦ボーナス)。

 

<レポート概要>
写真撮影:QNリーグ事務局
テキスト:須藤むつみ(QNリーグ事務局)
協力:宇都宮ブリッツェン、わたらせサイクルパーク

*わたらせクリテリウム第2戦公式ホームページ
https://watarase-criterium.jp/race/1368/

2025-2026シーズン Qリーグ・Nリーグ対象レーススケジュールはこちら
http://www.jbrain.or.jp/q-n-league/race-profile.html

次戦は第9戦となる10月5日(日)「箱根ヒルクライム 2025」
https://hakone.gr-cycling.online/

Qリーグ・Nリーグ登録はこちら。各対象レース開催日の3日前まで登録完了すればポイントランキングに反映。今後も女子とジュニア中学生が活躍するリーグにご声援のほどよろしくお願いします!
https://moshicom.com/122291/