示された世界への道筋 グラベルクラシックやくらいレース

宮城県加美町を舞台にしたサイクルイベント「グラベルクラシックやくらい」が2025年8月30日(土)〜31日(日)に開催。初日のレース部門は世界基準のコースとルールが採用され、沢田時(宇都宮ブリッツェン)が初優勝を飾った。レース速報をお届けしよう。

グラベルクラシックやくらい 前編

初開催のグラベルレースを制した沢田時(宇都宮ブリッツェン)。2位は織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、3位は阿部嵩之(ヴェロリアン松山)だった。

 

ドリームマッチか、世紀の一戦か。界隈を知る者にとって、歴史に残る1日だったことは間違いない。東北の静かな田舎町に、グラベルレース旋風が吹き荒れた。

グラベルクラシックやくらい 前編

田園風景の向こうに薬萊山(やくらいさん)がそびえる。加美町のシンボルだ

 

グラベルクラシックやくらいは初日にレース、翌日にグループライドという2日間の祭典だ。会場は宮城県の加美町(かみまち)。仙台から50kmほど北に位置する田園エリアであり、町の平野部からは薬萊山(やくらいさん)が見通せる。

界隈でおなじみのパナレーサー、キャノンデール(インターテック)、シマノがメインスポンサーに就任し、運営には地元企業のハヤサカサイクルが参画。開催3回目で着実なステップアップを重ねる、気鋭のグラベルイベントだ。

グラベルクラシックやくらい 前編

スタートラインにはロードからMTBまで様々なライダーが勢揃いした。グラベルレースの多様さを物語るシーンだ

 

やくらい最大のトピックは、国内初となるフルタイム計測のグラベルレースであり、翌2026年にUCIワールドシリーズとして開催されることだ。すなわち、世界で着実に広がるグラベルレースの波が、いよいよ日本にも到来することを意味する。今年度はテストレースという位置付けで、プロアマ含め全国から脚自慢が集結。カテゴリー総計123人、異種目のライダーたちが火花を散らすこととなった。

 

 

 

エリートクラスは50km/1221mアップのループコースを2周回。エイジクラスは1周回で争われた。未舗装路率は6割ほど。挑戦者が口を揃えて「キツかった」と振り返るコースは、ほとんどがアップダウンで構成される非常にタフなものとなった。

グラベルクラシックやくらい 前編

パナレーサーのアーチから一斉にスタート。序盤2kmはパレード走行となる

 

スタート会場は「陶芸の里スポーツ公園」。エリートクラスは6時半、その3分後にエイジクラスが一斉にスタート。最初の舗装登坂でセレクションがかかり、先頭集団は一気に10人以下に絞られる。その中から沢田、織田、阿部の3人が飛び出しリードを拡大。このトリオは最後まで先頭パックを守り続けた。

グラベルクラシックやくらい 前編

舗装登坂から最初のセクターに入る頃には集団はバラバラに。フィジカルが求められるレースとなった

 

2周目のセクター2で織田が脚攣りに見舞われ、パックの均衡がついに崩壊。テクニカルな上りで加速した沢田がリードを広げ、7分近い差をつけてフィニッシュへと辿り着いた。2位はスプリントで先着した織田に軍配。ベテランの意地を見せつけた阿部が3位に食い込んだ。

エリート男子の完走率は約8割、レース時間は3.5〜4時間の長丁場となり、ロードレースやXCOとも異なるまさに“グラベルレース”の様相を呈した。中盤以降はほとんどのライダーが単独走となり、フィジカルとテクニックに加えメンタルの強さも試される厳しいレースとなった。タイヤ選択から補給戦略まで、初もの尽くしのレースに誰もが試行錯誤を重ねたことだろう。

グラベルクラシックやくらい 前編

1周目からゴールまで逃げ続けた3人。ロードレースの経験値がポディウムを引き寄せた

グラベルクラシックやくらい 前編

エイジ男子50歳以上カテゴリーを制した筧五郎。今回はサイスポチームの一員として見事に優勝。おめでとうございます!

グラベルクラシックやくらい 前編

女子エリートを制したのは渡部春雅。前週にエクステラ丸沼大会を優勝し、カテゴリーを越えた活躍を見せる

 

グラベルクラシックやくらいレース リザルト

男子エリート
1位:沢田 時(宇都宮ブリッツェン)3:29:42.570
2位:織田 聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)+06:57
3位:阿部 嵩之(ヴェロリアン松山)+06:59

女子エリート
1位:渡部 春雅 4:28:28.870
2位:森廣 真奈 +30:35

男子エイジ 19-39歳
1位 瀧 聖人(TRYCLE.ing)1:49:25.310
2位 石川 高史(Elite Test Team)+03:08
3位 森 大地( TRYCLE.ing)+05:56

男子エイジ 40-49歳
1位:大倉 壮(teamYOUCAN)1:55:21.760
2位:高野 淳(TEAM YOUCAN)+01:36
3位:中里 聡史(Gufo Cycle Works)+03:29

男子エイジ 50歳以上
1位:筧 五郎(チーム・サイクルスポーツ)2:01:11.530
2位:三上 和志(cycleclub3UP. )+01:55
3位:Andrew Wood(サンセットストリート柏崎)+05:33

女子エイジ
1位:原 睦(Team CHAINRING)2:27:20.640
2位:河村 ゆき子(SHIDO-WORKS)+04:48
3位:安田 朋子(RX&Co)+12:11

 

グラベルクラシックやくらい 前編

最前列には国内トップクラスのレーシングバイクが揃い踏み。愛車スナップは後編にて!

 

 

GRAVEL CLASSIC YAKURAI 2025 supported by Panaracer

開催日程:2025年8月30日(土)~8月31日(日)

8月30日(土)陶芸の里スポーツ公園(宮城県加美郡加美町宮崎新土手浦1)
グラベル レース 【GRAVEL RACE YAKURAI supported by Cannondale SuperX】、ソーシャルライド、EXPOブース、ウェルカムパーティ

8月31日(日)ペンション&レストランKAMIFUJI(宮城県加美郡加美町字味ヶ袋薬莱原1-349)
グラベル グループライド 【EXPLORE GROUP RIDE YAKURAI】

グラベルクラシックやくらい公式HP