ツール・ド・フランス2025 短縮したアルプス最終日の第19ステージはアレンスマンが今大会2勝目

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  • photo A.S.O. /Charly Lopez /Aurélien Vialatte / ©SprintCycling

フランスで開催中の第112回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月25日に南東部のアルベールヴィルから標高2052mでカテゴリー超級のラ・プラーニュ頂上までの93.1kmで、アルプス最終日の第19ステージを競い、オランダのテイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアズ)がピレネーの第14ステージに続いて今大会2勝目を上げた。
 

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たった2秒差で逃げ勝ったアレンスマンは、信じられないとばかりに両手で顔を覆ってゴールした (©SprintCycling)

 
区間2位は2秒遅れで山岳賞総合2位でマイヨ・アポワを着たデンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(チームヴィスマ・リースアバイク)、2位には同タイムでマイヨ・ジョーヌのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ・XRG/スロベニア)が入り、総合首位を守った。
 

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ポガチャルがアルプスでも難なくマイヨ・ジョーヌを守った (photo : A.S.O./Aurélien Vialatte)

 
コースが短縮し、峠が2カ所キャンセル

今大会最後の山岳区間で、アルプス山岳最終日の第19ステージは161選手が出走。前半に通過する予定だった峠で牛の伝染性皮膚炎が発生した影響でコースが変更になり、峠越えが2カ所キャンセルされ、距離は129.9kmから93.1kmに短縮した。

前日同様にオフィシャルスタートからリドル・トレックが列車を組んで集団を引いて逃げを許さず、マイヨ・ベールのジョナタン・ミラン(リドル・トレック)が12.1kmの中間スプリントを先頭で通過した。

その直後からアタックが始まり、最初のプレ峠(カテゴリー超級)でスロベニアのプリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)とフランスのレニー・マルティネス(バーレーン ヴィクトリアス)が加わった逃げ集団が形成された。マルティネスは29.1kmのプレ峠頂上と、次のコルメ・ド・ロズラン峠(カテゴリー2)の頂上を先頭で通過してポイントを稼いだが、山岳賞総合首位のポガチャルのポイントを上回る事はできなかった。
 

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序盤からログリッチ(左) が逃げた (©SprintCycling)

 
41.6km地点のコルメ・ド・ロズラン峠を越えた後、下りでログリッチがアタックし、雨の中を単独で先頭を逃げ続けた。しかし、彼は最後のラ・プラーニュの登坂が始まる前にマイヨ・ジョーヌ集団に捕まってしまった。ベルギーチャンピオンのティム・ウェレンス(UAEチーム・エミレーツ・XRG)が先頭を引き、19.1km続くラ・プラーニュの坂がスタート。ログリッチはすぐ集団から遅れてしまった。彼は結局12分以上遅れてゴールし、総合5位から8位へと後退してしまった。


雨のラ・ブラーニュでアレンスマンがアタック

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アレンスマン(左)は残り14kmでアタックを開始した (©SprintCycling)

 
マイヨ・ジョーヌ集団はデカトロン・AG2Rラモンディアル チームが先頭を引き始め、ゴールまで残り14.5kmでフェリックス・ガル(デカトロン・AG2Rラモンディアル チーム)がアタックして戦いの火蓋が切られた。8人になった先頭グループからアレンスマンがアタックし、マイヨ・ジョーヌのポガチャル、ヴィンゲゴーが付いていった。

アレンスマンは残り13kmでアタックし、ポガチャルとヴィンゲゴーは彼を追わなかった。2人には残り11kmで後続が合流し、マイヨ・ジョーヌ集団は7人になった。残り7kmでアレンスマンはマイヨ・ジョーヌ集団に30秒以上のタイム差を付けて逃げ続けた。そこでポガチャルがアタックし、ヴィンゲゴーと英国のオスカー・オンリー(チームピクニック・ポストNL)が付いていき、新人賞のマイヨ・ブランを着たドイツのフロリアン・リポヴィッツ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)も合流した。

ゴールまで残り1.8kmでオンリーが脱落し、総合3位と新人賞獲得の夢は消えた。マイヨ・ブランのリポヴィッツは先頭を引いてオンリーとのタイム差をさらに広げようと試み、マイヨ・ジョーヌのポガチャルとヴィンゲゴーがその後ろに続いた。最後はどこでポガチャルがアタックして区間優勝を取りにいくのかが期待されたが、それは起こらなかった。アレンスマンはたった2秒差で逃げ切り、今大会2勝目を手中に収めた。
 

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最後の超級ゴールでマイヨ・ジョーヌのポガチャルは区間優勝は取りに行かなかった (photo : A.S.O. /Charly Lopez)

 
ピレネーに続いてアルプスでも勝ったアレンスマンのコメント
「本当に疲れた。信じられない。逃げて区間1勝したのは既に信じられない事だった。でも今、総合のグループに対抗して、世界最強の選手たちに対抗してそれを成し遂げたのは夢を見ているようだし、自分が何をやったのか分からないよ。自分は総合上位に居ないから、たぶん彼らはお互いを見合うんじゃないかと思った。ただトライして、ノーなんて答えは受け取らなかった。ポガチャルとヴィンゲゴーは世界最強で、ほとんどエイリアンで、ボクは人間だ。今日彼らを打ち負かしたなんて信じられない」
 

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初参加のツールで区間2勝を上げた25歳のアレンスマン (photo : A.S.O./Aurélien Vialatte)


■第19ステージ結果

[7月25日/アルベールヴィル~ラ・プラーニュ/93.1 km]
1. T. ARENSMAN (INEOS GRENADIERS / NED) 02h 46′ 06”
2. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 00′ 02”
3. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES XRG / SLO) + 00′ 02”
4. F. LIPOWITZ (RED BULL – BORA – HANSGROHE / GER) + 00′ 06”
5. O. ONLEY (TEAM PICNIC POSTNL / GBR) + 00′ 47”
6. F. GALL (DECATHLON AG2R LA MONDIALE TEAM / AUT) + 01′ 34”
7. T. JOHANNESSEN (UNO-X MOBILITY / NOR) + 01′ 41”
8. B. HEALY (EF EDUCATION – EASYPOST / IRL) + 02′ 19”
9. V. PARET PEINTRE (SOUDAL QUICK-STEP / FRA) + 03′ 47”
10. S. YATES (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / GBR) + 03′ 54”
17. K. VAUQUELIN (ARKEA-B&B HOTELS / FRA) + 06′ 18”
27. P. ROGLIC (RED BULL – BORA – HANSGROHE / SLO) + 12′ 39”

■第19ステージ後の総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES XRG / SLO) 69h 41′ 46”
2. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 04′ 24”
3. F. LIPOWITZ (RED BULL – BORA – HANSGROHE / GER) + 11′ 09”
4. O. ONLEY (TEAM PICNIC POSTNL / GBR) + 12′ 12”
5. F. GALL (DECATHLON AG2R LA MONDIALE TEAM / AUT) + 17′ 12”
6. T. JOHANNESSEN (UNO-X MOBILITY / NOR) + 20′ 14”
7. K. VAUQUELIN (ARKEA-B&B HOTELS / FRA) + 22′ 35”
8. P. ROGLIC (RED BULL – BORA – HANSGROHE / SLO) + 25′ 30”
9. B. HEALY (EF EDUCATION – EASYPOST / IRL) + 28′ 02”
10. B. O’CONNOR (TEAM JAYCO ALULA / AUS) + 34′ 34”

[各賞]
■ポイント賞:J. MILAN (LIDL-TREK / ITA)
■山岳賞:T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES XRG / SLO)
(※第20ステージは J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) が着用)
■新人賞:F. LIPOWITZ (RED BULL – BORA – HANSGROHE / GER)
■チーム成績:TEAM VISMA | LEASE A BIKE (NED)
■敢闘賞:T. ARENSMAN (INEOS GRENADIERS / NED)
 


最終日前日は丘越え区間

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●第20ステージのコースプロフィール (MAP : A.S.O.)

 
今年のツール・ド・フランスもいよいよ残り2ステージ。フランスの首都パリへと向かう前日の7月26日は、中東部のナンチュアをスタートし、ポンタルリエでゴールする184.2 kmで、ジュラ山脈を通過する丘越え区間の第21ステージが行われる。
 

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(photo : A.S.O. /Charly Lopez)

 

ツール・ド・フランス 公式サイト

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