ツール・ド・フランス2025 第15ステージはベルギーチャンピオンのウェレンスが逃げ切り初優勝
フランスで開催中の第112回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月20日に南部のミュレからカルカソンヌまでの169.3kmで丘越え区間の第15ステージを競い、ベルギーチャンピオンのティム・ウェレンス(UAEチーム・エミレーツ・XRG)が独走で逃げ切り、34歳で区間初優勝を果たした。
ウェレンスは既に2016年にジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)、2020年にブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)で区間優勝しており、通称トリロジーと呼ばれる3大ツアー全てで区間優勝した113人目の選手になった。
区間2位は1分28秒遅れでベルギーのヴィクトール・カンペナールツ(チームヴィスマ・リースアバイク)、区間3位は1分36秒遅れでフランスのジュリアン・アラフィリップ(チューダー プロサイクリングチーム)だった。メイン集団は6分7秒遅れでゴールし、スロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ・XRG)がマイヨ・ジョーヌを守って2週目を終えた。彼のマイヨ・ジョーヌ着用日数は48日になった。
ヴィンゲゴーとリポヴィッツが序盤に落車
第15ステージは166選手が出走。ベルギーのレネルト・ヴァンエートヴェルト(ロット)がスタートしなかった。オフィシャルスタートの合図と同時にアタックがかかり始めた集団では、17km地点で大きな落車事故が発生し、総合2位のヨーナス・ヴィンゲゴー(チームヴィスマ・リースアバイク/デンマーク)、総合3位でマイヨ・ブランを着たドイツのフロリアン・リポヴィッツ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)、アラフィリップが巻き込まれてしまった。しかし、UAEチーム・エミレーツ・XRGは彼らを待つためにペースを落とし、大事には至らなかった。
27km地点でオランダのマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)がアタックしたのをきっかけに9人が逃げ出し、ウェレンスを含めた6人が合流して15人の逃げ集団が形成された。カテゴリー3の丘を2カ所越える間に先頭の逃げ集団は遅れる選手と合流する選手でメンバーが代わったが、ウェレンスは前に留まり続けた。
3カ所目のパ・デュ・サン峠(カテゴリー2)で逃げ集団からマイケル・ストーラー(チューダー プロサイクリングチーム)がアタックし、カンペナールツ、クイン・シモンズ(リドル・トレック)、ウェレンスが合流して先頭は4人になった。ストーラーは頂上間近でもう一度アタックしたが、抜け出す事はできなかった。
ベルギーチャンピオンのウェレンスがアタック
ゴールまで残り52.7kmでパ・デュ・サン峠の山岳賞ポイントを通過した後も上りは続いた。そして残り43.6kmでアタックしたベルギーチャンピオンのウェレンスには誰も付いていけなかった。彼はそのまま独走で逃げ切り、ゴール前ではさながらシクロクロスの様に観客が差し出す手にタッチをして初優勝を満喫していた。
■ツール区間初優勝を果たしたウェレンスのコメント
「明日はベルギーの建国記念日だと知っていて、でも休養日たから今日勝てて良かったよ。素晴らしいステージで、あんな大きな逃げ集団にはチームから誰かが入って前に居る必要があった。そして実際に、最も難しかったのは正しい逃げに加わる事だった。
それから最後は、我々の中のわずかな者だけになり、小集団でゴールしたら勝てないと分かっていたから、ボクは決断をしなければならなかった。カンペナールツはボクら2人が最も強い選手だと分かっていると思ったから、まだ少し上っているセクションで彼に攻撃を仕掛けるのがベストだった。
明らかにこれはボクにとって最高の勝利だ。ツール・ド・フランスの区間優勝に勝るものはない。ベルギーチャンピオンジャージで勝てた事でより大きな意味を持った。ボクが数年前から選手として変わったのは確かだが、それは主にボクが今、世界で最高のチームで働いているからだと思うよ。それはボクの競技人生を一変させた。
ボクの唯一の目標はポガチャルのマイヨ・ジョーヌを守る事で、そのために我々はここ来た。今のところはは全てが順調だ。彼のために働くのは光栄だし、この勝利はボーナスだ。3大ツール全ての区間優勝者のクラブに入るつもりでここに来た訳じゃあないのさ」
■マイヨ・ジョーヌのポガチャルのコメント
「ウェレンスが勝ってとても嬉しい。彼は1年を通してボクの最高のアシストの1人だ。彼はクラシックやトレーニングキャンプで一生懸命働き、今月もマイヨ・ジョーヌを守るボクのために働いてくれている。ステージの最後45kmに彼が追走者とのタイムを広げていく様子を、チームの無線で追いかけるのは素晴らしかった。自分が勝った時よりも、彼の勝利の方がずっと嬉く感じる。彼はチャンスを掴んで、それを最大限に活かした。素晴らしいよ」
■第15ステージ結果
[7月20日/ミュレ~カルカソンヌ/169.3 km]
1. T. WELLENS (UAE TEAM EMIRATES XRG / BEL) 03h 34′ 09”
2. V. CAMPENAERTS (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / BEL) + 01′ 28”
3. J. ALAPHILIPPE (TUDOR PRO CYCLING TEAM / FRA) + 01′ 36”
4. W. VAN AERT (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / BEL) + 01′ 36”
5. A. LAURANCE (INEOS GRENADIERS / FRA) + 01′ 36”
6. A. VLASOV (RED BULL – BORA – HANSGROHE / RUS) + 01′ 36”
7. J. STUYVEN (LIDL-TREK / BEL) + 01′ 36”
8. J. JEGAT (TOTALENERGIES / FRA) + 01′ 36”
9. M. VALGREN (EF EDUCATION – EASYPOST / DEN) + 01′ 36”
10. V. MADOUAS (GROUPAMA-FDJ / FRA) + 01′ 36”
■第15ステージ後の総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES XRG / SLO) 54h 20′ 44”
2. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 04′ 13”
3. F. LIPOWITZ (RED BULL – BORA – HANSGROHE / GER) + 07′ 53”
4. O. ONLEY (TEAM PICNIC POSTNL / GBR) + 09′ 18”
5. K. VAUQUELIN (ARKEA-B&B HOTELS / FRA) + 10′ 21”
6. P. ROGLIC (RED BULL – BORA – HANSGROHE / SLO) + 10′ 34”
7. F. GALL (DECATHLON AG2R LA MONDIALE TEAM / AUT) + 12′ 00”
8. T. JOHANNESSEN (UNO-X MOBILITY / NOR) + 12′ 33”
9. C. RODRIGUEZ (INEOS GRENADIERS / ESP) + 18′ 26”
10. B. HEALY (EF EDUCATION – EASYPOST / IRL) + 18′ 41”
[各賞]
■ポイント賞:J. MILAN (LIDL-TREK / ITA)
■山岳賞:L. MARTINEZ (BAHRAIN VICTORIOUS / FRA)
■新人賞:F. LIPOWITZ (RED BULL – BORA – HANSGROHE / GER)
■チーム成績:TEAM VISMA | LEASE A BIKE (NED)
■敢闘賞:M. STORER (TUDOR PRO CYCLING TEAM / SUI)
■ベストチームメート賞(2週目) : N. POLITT (UAE TEAM EMIRATES XRG / GER)
最終週はモン・ヴァントゥ頂上ゴールでスタート
7月21日は今年最後の休養日となり、翌日からはいよいよ最終週がスタートする。7月22日はオクシタニー地方のモンペリエをスタートし、プロヴァンス地方にある標高1910mでカテゴリー超級のモン・ヴァントゥー頂上にゴールする、171.5kmの第16ステージが行われる。“プロヴァンスの巨人”と呼ばれるモン・ヴァントゥは全長15.7kmで平均勾配は8.8%だ。
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