ツール・ド・フランス2025 ピレネー初日オタカム頂上ゴールの第12ステージはポガチャルが圧勝してマイヨ・ジョーヌ
フランスで開催中の第112回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月17日に南西部オクシタニー地方のオシュから標高1520mでカテゴリー超級のオタカム頂上までの180.6kmで、ピレネー山岳区間初日の第12ステージを競い、世界チャンピオンのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ・XRG/スロベニア)が、デンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(チームヴィスマ・リースアバイク)に2分10秒の大差を付け、第4ステージ、第7ステージに続いて今大会3勝目を上げた。
これでポガチャルのツール区間通算優勝数は20勝になった。この日マイヨ・ジョーヌを着ていたアイルランドのベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)は、13分38秒遅れの区間25位でゴール。ポガチャルが総合首位に戻り、マイヨ・ジョーヌを獲得した。
灼熱のピレネー山岳ステージ
ピレネー初日の第12ステージは171選手が出走。オランダのケース・ボル(XDS・アスタナ チーム)が病気でスタートしなかった。快晴で気温は30℃を超えるピレネーらしい暑い一日だった。オフィシャルスタートからアタックが始まり、17km地点で52人の大きな逃げ集団が形成され、マチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)やマイヨ・アポワを着たレニー・マルティネス(バーレーン ヴィクトリアス)が加わっていた。最初の1時間の平均時速は51.9km/hになった。
ゴールまで残り58.3kmでカテゴリー1のスーロール峠が始まった時、逃げ集団はメイン集団に2分以上のタイム差を付けていた。11.8km続く登坂が始まると逃げ集団は小さくなり、ファンデルプールやマイヨ・アポワのマルティネスは遅れた。メイン集団はチームヴィスマ・リースアバイクが引き続け、頂上まで残り7.7kmでマイヨ・ブランを着たレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)が脱落した。
更に頂上まで残り5kmでは、マイヨ・ジョーヌのヒーリーもメイン集団に付いていけなくなった。暑さにやられたヒーリーは、逃げ集団から合流したチームメイトのハリソン・スウィーニー(EFエデュケーション・イージーポスト)にボトルの水をかけてもらいながらゴールを目指した。
逃げ集団はスーロール峠で5人に絞られ、そこから頂上まで残り1.5kmでカナダのマイケル・ウッズ(イスラエル・プルミエテック)がアタックし、先頭で頂上を通過した。しかし、彼は下りで追走グループに追いつかれてしまった。次のボルデール峠(カテゴリー2)のふもとで、先頭の逃げグループから地元フランスのブリュノ・アルミライユ(デカトロン・AG2Rラモンディアル チーム)がアタックし、後続に50秒差を付けて頂上を通過した。
UAEチーム・エミレーツ・XRGがコントロールを開始したメイン集団は、下りでアルミライユ以外の逃げを全て吸収した。その後方では、マイヨ・ブランのエヴェネプールが追いついていた。
先頭を逃げるアルミライユはゴールまで残り13.6kmで最後のオタカム(カテゴリー超級)の上り坂が始まった時、15人ほどに絞られたメイン集団に1分50秒差を付けていた。しかし、その差はあっという間に縮まっていった。UAEチーム・エミレーツ・XRGが引くメイン集団では、上りが始まると再びエヴェネプールが遅れてしまった。
ポガチャルがアタック
ゴールまで残り12kmで、アルミライユとのタイム差が1分を切った時、メイン集団の先頭からジョナタン・ナルバエス(UAEチーム・エミレーツ・XRG)がポガチャルを連れてアタックし、付いていけたのはヴィンゲゴーだけだった。しかし、そこからポガチャルが飛び出すと、ヴィンゲゴーには為す術がなかった。
アルカンシエルのポガチャルはゴールまで残り11kmでアルミライユを追い抜いて先頭に立つと、翌日のタイムトライアルの予行演習のような独走を開始した。彼は前日のステージで転倒し、左腕に打撲と擦過傷を負っていたが、その影響は全くないようだった。
ポガチャルは追走するヴィンゲゴーに2分以上のタイム差を付けていたが、フィニッシュラインで万歳は見せず、通過後に右手を上げて人差し指で天を指した。第12ステージはスタート前に、イタリアのアンダー23のステージレース『ジロ・デッラ・ヴァッレ・ダオスタ・モンブラン』の落車事故で命を落とした19歳のサムエーレ・プリヴィテーラに黙祷を捧げていた。
■ピレネー初日を制したポガチャルのコメント
「この上り(オタカム)を初めて走った時から、ここでレースをするのが楽しみで、2022年のツール・ド・フランスでそれが叶った。その時は、マイヨ・ジョーヌを取り戻すために全力を尽くしたが、ユンボが強すぎた。その事はもうほとんど忘れていて、ただ今日を楽しみにしていたが、周囲がこれはリベンジかとか何とか言い出したのさ。
落車の後の体の反応は決して分からないものだ。でも、そんなにひどい落車ではなかった。アクロバットな動きをすればお尻が痛むけど、ここでは自転車に乗っているだけだからね。
ツールはまだ終わっていない。明日はタイムトライアルもあるし、次の日は別の難しいステージで、トリッキーな日々が続く。我々は落ち着いて、このペースを維持しなければならない。
この勝利はプリヴィテーラと彼の家族にも捧げる。(彼の訃報は)朝一番に読んで、最後の数kmは彼の事を考えていた。このスポーツがどれくらい厳しいものになり得て、どれほどの痛みを伴うものなのかってね…」
■第12ステージ結果
[7月17日/オシュ~オタカム/180.6 km]
1. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES XRG / SLO) 04h 21′ 19”
2. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 02′ 10”
3. F. LIPOWITZ (RED BULL – BORA – HANSGROHE / GER) + 02′ 23”
4. T. JOHANNESSEN (UNO-X MOBILITY / NOR) + 03′ 00”
5. O. ONLEY (TEAM PICNIC POSTNL / GBR) + 03′ 00′
6. K. VAUQUELIN (ARKEA-B&B HOTELS / FRA) + 03′ 33”
7. R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) + 03′ 35”
8. F. GALL (DECATHLON AG2R LA MONDIALE TEAM / AUT) + 04′ 02”
9. P. ROGLIC (RED BULL – BORA – HANSGROHE / SLO) + 04′ 08”
10. C. RODRIGUEZ (ARKEA-B&B HOTELS / ESP) + 07′ 26”
25. B. HEALY (EF EDUCATION – EASYPOST / IRL) + 13′ 38”
■第12ステージ後の総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES XRG / SLO) 45h 22′ 51”
2. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 03′ 31”
3. R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) + 04′ 45”
4. F. LIPOWITZ (RED BULL – BORA – HANSGROHE / GER) + 05′ 34”
5. K. VAUQUELIN (ARKEA-B&B HOTELS / FRA) + 05′ 40”
6. O. ONLEY (TEAM PICNIC POSTNL / GBR) + 06′ 05”
7. P. ROGLIC (RED BULL – BORA – HANSGROHE / SLO) + 07′ 30”
8. T. JOHANNESSEN (UNO-X MOBILITY / NOR) + 07′ 44”
9. F. GALL (DECATHLON AG2R LA MONDIALE TEAM / AUT) + 09′ 21”
10. M. JORGENSON (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / USA) + 12′ 12”
[各賞]
■ポイント賞:J. MILAN (LIDL-TREK / ITA)
■山岳賞 : T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES XRG / SLO)
(※第13ステージは L. MARTINEZ (BAHRAIN VICTORIOUS / FRA) が着用)
■新人賞 :R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL)
■チーム成績:TEAM VISMA | LEASE A BIKE (NED)
■敢闘賞 : B. ARMIRAIL (DECATHLON AG2R LA MONDIALE TEAM / FRA)
ピレネー2日目は山岳個人TT
7月18日はフランス南西部オート・ピレネー県のルーダンヴィエルから標高1580mでカテゴリー1のペラギュード頂上までの10.9kmで、山岳個人タイムトライアルの第13ステージが行われる。
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