ツール・ド・フランス2025 第11ステージはアブラハムセンが逃げ切り初優勝
フランスで開催中の第112回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、休養日明けの7月16日に南西部のトゥールーズがスタートとゴールの156.8 kmで平坦区間の第11ステージを競い、0kmから逃げ切ったノルウェーのヨーナス・アブラハムセン(ウノエクス モビリティ)が、スイスチャンピオンのマウロ・シュミット(チーム ジェイコ・アルウラー)を一騎打ちのゴールスプリントで下し、29歳でグランツール区間初優勝を果たした。

アブラハムセンが一騎打ちのゴールスプリントでスイスチャンピオンのシュミットを打ち負かし、ツール区間初優勝をノルウェーチームにもたらした (photo : Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2025)
北欧ノルウェーのUCIプロチームであるウノエクス モビリティは、2023年から3年連続して主催者招待でツールに参加しているが、アブラハムセンが遂に区間初優勝をチームにもたらした。
区間3位は7秒遅れでオランダのマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)だった。マイヨ・ジョーヌはアイルランドのベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)が守った。
ピレネーを控えた平坦区間
中央山塊から南西部のトゥールーズへ移動し、最初の休養日を過ごした後、第11ステージは172選手が出走。快晴で気温は30℃だった。ピレネー山脈での山岳連戦が翌日から始まるため、静かな一日になるかと思われたが、オフィシャルスタートの合図と同時にアブラハムセンがアタックし、シュミットとダヴィデ・バッレリーニ(XDS・アスタナ チーム)が付いていって最初の逃げグループになった。
集団からはさらにアタックがかかり続け、74km地点でフレッド・ライト(バーレーン ヴィクトリアス)とマチュー・ビュルゴドー(トタルエネルジー)が合流し、先頭は5人になった。その時メイン集団とのタイム差は1分を超えていた。最初の1時間の平均時速は51.7km/hになった。
集団はコントロールされず、残り65kmでマイヨ・ジョーヌを着たヒーリーやデンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(チームヴィスマ・リースアバイク)もアタックを試みた。その中からワウト・ヴァンアールト(チームヴィスマ・リースアバイク)を含めた追走グループが形成され、ファンデルプールがそこに合流した。
先頭ではゴールまで残り14.3kmのカテゴリー4の丘をアブラハムセンが先頭で越えた後、シュミットがアタックしてアブラハムセンが付いていった。大勢の観客が溢れていた最後のカテゴリー3の丘で、追走グループからファンデルプールがアタックし、あっという間に3番手にまで躍り出たか、頂上で先頭の2人とのタイム差はまだ20秒近く開いていた。
アブラハムセンとシュミットは単独で追撃するファンデルプールから何とか逃げ切り、最後は一騎打ちのゴールスプリントを競い、アブラハムセンが初優勝をもぎ取った。彼はツールで区間優勝した6人目のノルウェー人になった。
昨年ウノエクス モビリティのゼネラルマネージャーに就任したトール・フースホフト(ノルウェー)はツールで区間10勝し、ポイント賞を2回受賞している名選手で、チーム最大の目標を成し遂げたアブラハムセンをゴールで祝福していた。
アルカンシエルのポガチャルが転倒
メイン集団では、最後のカテゴリー3の丘でヴィンゲゴーが攻撃を開始した後、ゴールまで残り6kmで世界チャンピオンのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ・XRG/スロベニア)が他の選手のバイクと接触して転倒するアクシデントが発生した。彼はバイクごと縁石に衝突したが、幸いチェーンが外れただけですぐレースに復帰する事ができた。総合のライバルたちは攻撃をやめ、ポガチャルはすぐ集団に戻る事ができた。
■ウノエクス モビリティにツール区間初優勝をもたらしたアブラハムセンのコメント
「ツール・ド・フランスの区間で勝つのは夢だった。昨日はこのコースを走り、自分にはハードすぎると思ったが、逃げに入らなければならないと思った。今朝、今日は多分勝てるという予感があった。だから最初から逃げるために100%の力を出した。自分はスプリントがとても得意だと分かっていたし、我々は0km地点からずっとスプリントをしていた。終盤は限界だったから、賢く走らなければならなかった。逃げて、追走者に抵抗するために1日中とてもハードに働かなければならなかった。
スプリントでは全力を尽くした。シュミットを追い越すのはとても難しかったが、こう考えた。ツール・ド・フランスのこのステージで勝たなければならない、勝たなきゃいけないんだと。1日中信じて、実際に勝った。信じられないよ。
4週間前に鎖骨を骨折して、ツール・ド・フランスを走れないかもしれないと思って病院で泣いていた。でも、翌日にはホームトレーナーに乗っていた。復帰するために全ての事をやった。可能な限りチームを助けたいという野望を持ってツールには来ていた。そして今、区間優勝者としてここに居られて、全く素晴らしいよ」
■第11ステージ結果
[7月16日/トゥールーズ~トゥールーズ/156.8 km]
1. J. ABRAHAMSEN (UNO-X MOBILITY / NOR) 03h 15′ 56”
2. M. SCHMID (TEAM JAYCO ALULA / SUI)
3. M. VAN DER POEL (ALPECIN-DECEUNINCK / NED) + 00′ 07”
4. A. DE LIE (LOTTO / BEL) + 00′ 53”
5. W. VAN AERT (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / BEL) + 00′ 53”
6. A. LAURANCE (INEOS GRENADIERS / FRA) + 00′ 53”
7. F. WRIGHT (BAHRAIN VICTORIOUS / GBR) + 00′ 53”
8. M. BURGAUDEAU (TOTALENERGIES / FRA) + 00′ 53”
9. Q. SIMMONS (LIDL-TREK / USA) + 00′ 53”
10. D. BALLERINI (XDS ASTANA TEAM / ITA) + 01′ 11”
24. B. HEALY (EF EDUCATION – EASYPOST / IRL) + 03′ 28”
■第11ステージ後の総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. B. HEALY (EF EDUCATION – EASYPOST / IRL) 41h 01′ 13”
2. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES XRG / SLO) + 00′ 29”
3. R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) + 01′ 29”
4. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 01′ 46”
5. M. JORGENSON (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / USA) + 02′ 06”
6. K. VAUQUELIN (ARKEA-B&B HOTELS / FRA) + 02′ 26”
7. O. ONLEY (TEAM PICNIC POSTNL / GBR) + 03′ 24”
8. F. LIPOWITZ (RED BULL – BORA – HANSGROHE / GER) + 03′ 34”
9. P. ROGLIC (RED BULL – BORA – HANSGROHE / SLO) + 03′ 41”
10. T. JOHANNESSEN (UNO-X MOBILITY / NOR) + 05′ 03”
[各賞]
■ポイント賞:J. MILAN (LIDL-TREK / ITA)
■山岳賞 : L. MARTINEZ (BAHRAIN VICTORIOUS / FRA)
■新人賞 :B. HEALY (EF EDUCATION – EASYPOST / IRL)
(※第12ステージは R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) が着用)
■チーム成績:TEAM VISMA | LEASE A BIKE (NED)
■敢闘賞 : J. ABRAHAMSEN (UNO-X MOBILITY / NOR)
ピレネー初日はオタカム超級ゴール
2週目が始まったツールはいよいよピレネー山岳ステージがスタート。7月17日はオシュから標高1520mでカテゴリー超級のオタカム頂上までの180.6kmで第12ステージが行われる。前半は平坦だが、後半には標高1474mでカテゴリー1のスーロール峠とカテゴリー2のボルデール峠を超える。ゴールのオタカムは全長13.5kmで平均勾配は7.8%だ。
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