ツール・ド・フランス2025 中央山塊の第10ステージはS・イェーツが逃げ切り優勝し、ヒーリーがマイヨ・ジョーヌ
フランスで開催中の第112回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、革命記念日の7月14日に中南部オーヴェルニュ地方のエヌザからカテゴリー2のピュイ・ド・サンシー頂上までの165.3kmで、今大会最初の山岳区間となる第10ステージを競い、英国のサイモン・イェーツ(チームヴィスマ・リースアバイク)が逃げ切って区間優勝し、2019年の2勝に続く区間通算3勝目を上げた。
区間2位は9秒遅れでオランダのテイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアズ)、3位は31秒遅れでアイルランドのベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)だった。
今年のジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)で総合初優勝した32歳のサイモン・イェーツは、前日までの総合成績で既に25分近く遅れており、この日の逃げグループで総合成績が最も上位だったのは、第6ステージでも逃げて区間初優勝をしていたヒーリーで、3分55秒遅れの総合11位だった。
マイヨ・ジョーヌのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ・XRG/スロベニア)は、4分51秒遅れの区間9位でゴールしたため、ヒーリーが総合首位になり、マイヨ・ジョーヌを着た4人目のアイルランド人選手になった。彼は現在24歳で、新人賞でも総合首位になっている。
革命記念日の山岳ステージ
2週目の月曜日は通常最初の休養日となるが、今年はフランスの祝日である革命記念日だったため、休養日は1日後になり、中央山塊の山岳ステージが行われた。第10ステージは173選手が出走。前日落車したドイツのゲオルグ・ツィンマーマン(アンテルマルシェ・ワンティ)とオランダのマライン・ファンデンベルフ(EFエデュケーション・イージーポスト)がスタートしなかった。
革命記念日を祝う今年最初の山岳ステージは、カテゴリー2の峠を6カ所、カテゴリー3の峠を1カ所越え、カテゴリー2のピュイ・ド・サンシー頂上にゴールするハードなステージで、獲得標高は4450mだった。オフィシャルスタートと同時にアタックが始まり、最初のカテゴリー2の峠で28人の逃げ集団が形成され、サイモン・イェーツとヒーリーがそこに加わっていた。
11.8kmの頂上はフランスのレニー・マルティネス(バーレーン ヴィクトリアス)が先頭で通過して5ポイントを獲得した。逃げ集団の一員だったマルティネスは、5カ所のカテゴリー2の峠を先頭で通過してポイントを稼ぎ、山岳賞総合首位になった。彼は45年前の革命記念日にツールで区間優勝した祖父のように区間優勝する事はできなかったが、マイヨ・アポワを着て表彰台に上がる事ができた。
メイン集団はUAEチーム・エミレーツ・XRGがコントロールを続けたが、タイム差はどんどん開いていった。逃げ集団は3カ所目の峠でアタックが始まり、15人に絞られて後半戦に突入し、メイン集団は5分遅れていた。逃げ集団では更にアタックが続き、残り20kmで6人になった。メイン集団はチームヴィスマ・リースアバイクが先頭を引き始め、マイヨ・ジョーヌのポガチャルはチームメイトを失ってしまった。
先頭では、ゴールまで残り3.5kmのピュイ・ド・サンシーのふもとでサイモン・イェーツがアタックし、ベン・オコナー(チームジェイコ・アルウラー)が付いていったが、アレンスマンが合流する瞬間にイェーツはもう一度アタックし、独走でゴールを目指した。彼はそのまま逃げ切り、チームヴィスマ・リースアバイクに今年最初の区間優勝をもたらした。
メイン集団ではマイヨ・ブランのレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)のアタックが失敗に終わった後、ゴールまで残り1.5kmでマイヨ・ジョーヌのポガチャルがアタックし、デンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(チームヴィスマ・リースアバイク)だけが付いていく事ができた。しかし、ポガチャルはここでライバルたちに大差を付ける気はなく、マイヨ・ジョーヌを失う事も気にしなかった。
■区間優勝したサイモン・イェーツのコメント
「ツールで最後に区間優勝したのは随分前だ。ここに戻って来られて嬉しいよ。ジロでの勝利の後で、ボクにとって素晴らしい1年だ。ここでチャンスが巡ってくるとは本当に期待していなかった。総合成績はヴィンゲゴーに集中している。今日も前に出て何かを試し、レースをアグレッシブにしたいと我々は望んでいた。やる気は満々だ。タイムトライアルではちょっと痛手を受けたと言ってもいいだろう。しかし、自転車競技はそういうものだ」
■マイヨ・ジョーヌに初めて袖を通したヒーリーのコメント
「これはまさにおとぎ話で、夢が叶った。このツール・ド・フランスに来る前に、自分がまず区間優勝して、その後でマイヨ・ジョーヌを着てここに居るなんて言われても、信じなかっただろう。
全く計画にはなかった。UAEチーム・エミレーツがあんなに大差を許すなんて驚きだった。我々は逃げに4人が加わって有利だった。チームメイトのパウレス、ボーダン、スウィーニーに心から感謝しなければならない。彼らが居なかったらマイヨ・ジョーヌを取るのは不可能だった」
■第10ステージ結果
[7月14日/エヌザ~ル・モン・ドール ピュイ・ド・サンシー/165.3 km]
1. S. YATES (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / GBR) 04h 20′ 05”
2. T. ARENSMAN (INEOS GRENADIERS / NED) + 00′ 09”
3. B. HEALY (EF EDUCATION – EASYPOST / IRL) + 00′ 31”
4. B. O’CONNOR (TEAM JAYCO ALULA / AUS) + 00′ 49”
5. M. STORER (TUDOR PRO CYCLING TEAM / AUS) + 01′ 23”
6. J. BLACKMORE (ISRAEL – PREMIER TECH / GBR) + 03′ 57”
7. A. JOHANNESSEN (UNO-X MOBILITY / NOR) + 04′ 38”
8. L. MARTINEZ (BAHRAIN VICTORIOUS / FRA) + 04′ 51”
9. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES XRG / SLO) + 04′ 51”
10. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 04′ 51”
13. R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) + 04′ 57”
16. P. ROGLIC (RED BULL – BORA – HANSGROHE / SLO) + 04′ 57”
21. K. VAUQUELIN (ARKEA-B&B HOTELS / FRA) + 05′ 37”
100. M. VAN DER POEL (ALPECIN-DECEUNINCK / NED) + 31′ 12”
■第10ステージ後の総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. B. HEALY (EF EDUCATION – EASYPOST / IRL) 37h 41′ 49”
2. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES XRG / SLO) + 00′ 29”
3. R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) + 01′ 29”
4. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 01′ 46”
5. M. JORGENSON (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / USA) + 02′ 06”
6. K. VAUQUELIN (ARKEA-B&B HOTELS / FRA) + 02′ 26”
7. O. ONLEY (TEAM PICNIC POSTNL / GBR) + 03′ 24”
8. F. LIPOWITZ (RED BULL – BORA – HANSGROHE / GER) + 03′ 34”
9. P. ROGLIC (RED BULL – BORA – HANSGROHE / SLO) + 03′ 41”
10. T. JOHANNESSEN (UNO-X MOBILITY / NOR) + 05′ 03”
[各賞]
■ポイント賞:J. MILAN (LIDL-TREK / ITA)
■山岳賞 : L. MARTINEZ (BAHRAIN VICTORIOUS / FRA)
■新人賞 :B. HEALY (EF EDUCATION – EASYPOST / IRL)
(※第11ステージは R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) が着用)
■チーム成績:TEAM VISMA | LEASE A BIKE (NED)
■敢闘賞 : B. HEALY (EF EDUCATION – EASYPOST / IRL)
2週目は平坦区間でスタート
7月15日は今年最初の休養日となり、16日はフランス南西部のトゥールーズがスタートとゴールの156.8kmで、平坦区間の第11ステージが行われる。
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