ツール・ド・フランス2025 ファンデルプールが逃げた第9ステージはメルリールが今大会2勝目
フランスで開催中の第112回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月13日に中部サントル・ヴァル・ド・ロワール地方のシノンからシャトールーまでの174.1kmで、山岳ポイントが1カ所もない平坦区間の第9ステージを競い、ヨーロッパチャンピオンのティム・メルリール(スーダル・クイックステップ/ベルギー)が、集団ゴールスプリントでマイヨ・ベールのジョナタン・ミラン(リドル・トレック/イタリア)を打ち負かし、第3ステージに続いて今大会2勝目を上げた。
区間3位はベルギーのアルノー・ドゥリー(ロット)だった。マイヨ・ジョーヌはスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ・XRG)が守り、最初の休養日の前に行われる今年最初の山岳ステージを迎える事になった。
ファンデルプールがチームメイトのために逃げた
第9ステージは176選手が出走。中央山塊を目指して南下を続けるツールは、連日気温が30℃を超えている。オフィシャル・スタートの合図と同時に集団から飛び出したのは、ベルギーのヨーナス・リカールト(アルペシン・ドゥクーニンク)だった。すぐにチームメイトのマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク/オランダ)が合流し、8km地点で1分50秒のタイム差を付けた。
24.2kmの中間スプリントは、ファンデルプールが先頭で通過して20ポイントを獲得。ポイント賞のポイントを稼ぐ目的は果たされたかと思われたが、アルペシン・ドゥクーニンクの2人は逃げの脚を止めなかった。ミランが先頭で中間スプリントを通過した集団は、既に3分41秒遅れていた。最初の1時間の平均時速は46.6km/hになり、タイム差は5分半を超えたが、リドル・トレックが集団をコントロールし、それ以上にはならなかった。
横風の中、終盤に入ってチーム ヴィスマ・リースアバイクが先頭を引き始めると集団は分断したが、主要な選手は遅れていなかった。ゴールまで残り6kmでリカールトは力尽き、先頭はファンデルプールだけになり、30秒後に迫る集団から逃げ続けた。集団は主導権を握るチームが居ないまま、じりじりとタイム差を縮め、残り1kmのフラム・ルージュで先頭のファンデルプールを5秒差にまで追い詰めた。
ファンデルプールはゴールまで残り760mで集団に吸収され、最後は先にスパートしたマイヨ・ベールのミランを、ヨーロッパチャンピオンのメルリールが追い抜き、今大会2勝目を勝ち取った。これでメルリールのツール区間通算優勝数は3勝になった。
リカールトが敢闘賞
ゴール後、TV局のインタビューに応えたファンデルプールは、この日の逃げが中間スプリントでポイントを稼ぐためでも、自分が区間優勝するためでもなかった事を明かした。彼はチームメイトのリカールトが、ツールの表彰台に一度上がるのが夢だと語ったのを聞き、2人でそれに挑戦したのだと言った。区間優勝はできなかったが、リカールトがこの日の敢闘賞を取れたと聞いたファンデルプールは、とても嬉しいと喜んでいた。
リタイアしたアルメイダが1週目のベスト・チームメイト賞受賞
ミュール・ド・ブルターニュにゴールした第7ステージで落車に巻き込まれ、負傷しながらレースを続けていたポルトガルのジョアン・アルメイダ(UAEチーム・エミレーツ・XRG)は、この日の中盤にレースを棄権した。彼は今年新設された特別ボーナス賞である『ベストチームメイト賞』の1週目を受賞した。この賞は、3週間にわたる各週の終わりに、審査員が最もすぐれたチームメイトだった選手を選出する賞だ。
■今大会2勝目を上げたメルリールのコメント
「今日は集団の中に居て全く問題がなかったが、終盤はエシェロン(集団の分断)の試みがあり、最後の60kmは水分補給が全くできず、少しオーバーヒートしてしまった。それ以外は、ナーバスではあったが今日は全く問題がなかった。
ミランを打ち負かしたのは2回目だが、彼は本当に強いスプリンターだ。我々が2人で素晴らしい闘いを見せられるのは全く素晴らしいよ」
■敢闘賞を初受賞したリカールトのコメント
「ツールの表彰台に一度立つという目標が達成された! 今日はとてもハードだった。それはちょっとした冗談から始まったのに、どんどん真剣になっていった。計画どおりだった。昨日、ボクがツールの表彰台に1度立ちたいなあと言ったら、ファンデルプールが2人で前に行こうと言ったんだ。他の選手たちは我々を行かせてくれないだろうと思っていたけど、彼らはそうしてくれた。
彼らは我々が中間スプリントまで行くと思ったんだと思う。でも、目標はゴールまで行く事だったんだ。我々はトライし、ほとんど成功した。タイム差が40秒にまで縮まった時、もう終わったと思ったけど、どういう訳かまた1分20秒になった。そうしたら信じるしかない。我々はそのために行った。
エネコ・ツールでゲラント・トーマスと一緒に同じような努力をした時の写真が家にあるんだ。今度はその隣にファンデルプールと一緒の写真を飾るよ」
■第9ステージ結果
[7月13日/シノン~シャトールー/174.1 km]
1. T. MERLIER (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) 03h 28′ 52”
2. J. MILAN (LIDL-TREK / ITA)
3. A. DE LIE (LOTTO / BEL)
4. P. BITTNER (TEAM PICNIC POSTNL / CZE)
5. P. PENHOET (GROUPAMA-FDJ / FRA)
6. B. GIRMAY (INTERMARCHÉ – WANTY / ERI)
7. P. BAUHAUS (BAHRAIN VICTORIOUS / GER)
8. J. MEEUS (RED BULL – BORA – HANSGROHE / NED)
9. S. EDVARDSEN-FREDHEIM (UNO-X MOBILITY / NOR)
10. K. GROVES (ALPECIN-DECEUNINCK / AUS)
68. M. VAN DER POEL (ALPECIN-DECEUNINCK / NED) + 00’ 17’’
■第9ステージ後の総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. T. POGACAR (UAE TEAM EMIRATES XRG / SLO) 33h 17′ 22”
2. R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) + 00′ 54”
3. K. VAUQUELIN (ARKEA-B&B HOTELS / FRA) + 01′ 11”
4. J. VINGEGAARD (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / DEN) + 01′ 17”
5. M. JORGENSON (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / USA) + 01′ 34”
6. M. VAN DER POEL (ALPECIN-DECEUNINCK / NED) + 01′ 46”
7. O. ONLEY (TEAM PICNIC POSTNL / GBR) + 02′ 49”
8. F. LIPOWITZ (RED BULL – BORA – HANSGROHE / GER) + 03′ 02”
9. P. ROGLIC (RED BULL – BORA – HANSGROHE / SLO) + 03′ 06”
10. M. SKJELMOSE (LIDL-TREK / DEN) + 03′ 43”
[各賞]
■ポイント賞:J. MILAN (LIDL-TREK / ITA)
■山岳賞 : T. WELLENS (UAE TEAM EMIRATES XRG / BEL)
■新人賞 :R. EVENEPOEL (SOUDAL QUICK-STEP / BEL)
■チーム成績:TEAM VISMA | LEASE A BIKE (NED)
■敢闘賞 : J. RICKAERT (ALPECIN-DECEUNINCK / BEL)
■ベストチームメート賞(1週目) : J. ALMEIDA (UAE TEAM EMIRATES XRG / POR)
革命記念日の第10ステージは中央山塊山岳ステージ
フランスの祝日である7月14日の革命記念日は、フランス中南部オーヴェルニュ地方ピュイ・ド・ドーム県のエヌザからル・モン・ドールのピュイ・ド・サンシー(カテゴリー2)頂上までの165.3kmで、今大会最初の山岳区間となる第10ステージが行われる。コースは中央山塊のカテゴリー2の峠を6カ所、カテゴリー3の峠を1カ所越え、最後に標高1324mのピュイ・ド・サンシー頂上でゴールする。最初の週の締めくくりは獲得標高が4400mだ。
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