ダウンヒルシリーズ2025 第4戦 白馬岩岳MTB PARKで土屋聖眞が開幕から4連勝
DOWNHILL SERIES 2025 #4 白馬岩岳MTB PARK(長野県)が2025年7月5日(土)〜6日(日)に開催された。
1990年代からMTBの聖地として名を馳せる白馬岩岳MTB PARK。現在は世界基準のオールシーズンマウンテンリゾートへと進化し、2024年冬には新ゴンドラが開業。今大会もそんなますますの盛り上がりを象徴するかのように、昨年を超える194人のライダーが集まった。

2024年冬に開業した新しいゴンドと旧ゴンドラ「ノア」

メイン会場にはメーカー・ショップの出展ブースがずらりと並んだ
コース全長は2.2km、標高差330m。スタートは標高1,087mにある通称「サニー小屋」。コースは今年も、DHSコース担当・新沢武雄と白馬岩岳ディガーチームが1週間かけて特設コースを整備。昨年のコースをベースにしつつも、ウォッシュボードの新設やジャンプのスケールアップなど、随所にアップデートが加えられた。
岩岳らしく面がバチバチに仕上がったバームセクションに加え、今年は新たにオフキャンバーを所々に追加。ニュースクールとオールドスクールをミックスする形とし、普段から走り慣れているローカル勢が有利になりすぎないよう配慮しながら絶妙なバランスのコースを設定した。
また、今回のハイライトのひとつが終盤の「KOREEDA」セクション。レース時には多くの観客がコース脇に並び、海外のレースかと錯覚するほどの大盛り上がりを見せたこのセクションはもともと2m近い藪が茂っていたが、草刈りし、テクニカルなオフキャンバーの連続区間を新開拓。さらにゴール直前のテーブルトップは、あえてエスケープラインを設けず全開放することによって、速さか、スタイルか、ライダーの選択が試される演出となった。
梅雨明け宣言もないままに、現地は連日30度近い真夏日。乾ききった路面に砂埃がバフバフに舞い上がる超ドライコンディション。昨年までの旧ゴンドラだと200人近いライダーが集まると乗車待ちが1時間を超えることもあったが、新ゴンドラの導入で待ち時間は大幅短縮。熱中症対策としても効果を発揮した。

キッズライダーたちも大人と全く同じコースを駆け下りる

今大会も松本情報工科専門学校スポーツバイシクル学科の生徒さんたちがインターンとして参加。マーシャル業務を担当してもらった
午後から始まったシーディングラン。それと同時に雨が降り始めたが、路面に影響はなし。トップタイムを記録したのは、土屋聖眞(カトーサイクル)。3分10秒301というタイムで、2位・幾田悠雅(輪娯館/vittoria/FOX)に5秒以上の大差をつける走りを見せた。
決勝日の日曜も朝から快晴。前日からの強い日差しと気温上昇で体調を崩すライダーも発生。先日2位のタイムを出した幾田選手も顔色がよくない。
午後からは決勝がスタート。エリート女子は藤森美空(KAMIHAGI Cycle)が3分41秒037で優勝。

エリート女子クラス優勝の藤森美空
エリート男子は土屋が再び圧倒的な走りを披露。自身のシーディングタイムをさらに縮める3分9秒701でフィニッシュ。2位には羽口鉄馬(洛和会音羽病院/アールズサイクル)の3分11秒495、3位には朝倉佑太が3分17秒250で続いた。
ライダーたちはみんな、3週間前に全日本選手権を終えたばかり。土屋は全日本選手権前週の公式練習でクラッシュし、脳震盪により欠場という悔しい出来事があったばかり。今大会が復帰戦となったが、危なげない走りで開幕からの4連勝をサラリと決めた。

4連勝を飾った土屋聖眞(カトーサイクル)
レース後、土屋は「昨日からずっと気持ちよく走れていて、今日の練習もすごくいい感触でした。コースは楽しくて、特にキャンバーが最高でした。ただ、走るたびに石の位置が変わるので神経を使うコースでもありました。決勝では中盤の漕ぎセクションでちょっとしたトラブルもあって少し焦りました。ベストではなかったけど、勝ててよかったです」と話してくれた。
2位の羽口は今年の全日本チャンピオン。レース後には、「いかにスピードを殺さずに下り切れるか、というコースでした。(土屋)聖眞が速すぎて、もう世代交代かも…(笑)」と4歳年下の土屋の凄さを笑いを交えて語った。
実際、2016年以降の9年間、九島勇気・井本はじめ・清水一輝といったベテラン勢が交互に手にしてきた全日本タイトルを、21歳の羽口が塗り替えたことは大きな意味を持つ。そして今大会、エリート表彰台に立った5人のうち3人が10代。全日本選手権に続いて、世代交代の始まりを感じるレースとなった。

DOWNHILL SERIES2025 #4 MTB PARK 白馬岩岳(エリート男子)
1. 土屋 聖眞(カトーサイクル)3:09.701
2. 羽口 鉄馬(洛和会音羽病院 アールズサイクル)+1.794
3. 朝倉 佑太 +7.549

DOWNHILL SERIES 2025 #4 MTB PARK 白馬岩岳(エリート女子)
1. 藤森 美空(KAMIHAGI cycle)3:41.037
2. 中川 弘佳(Lovespo Canyon)+13.959
3. 渡邊 美里(WanderVogel/gennoji)+38.189
次戦は8月3日(日)、長野・富士見パノラマリゾートで開催されるスピンオフイベント「DOWNHILL SERIES in MTBファンミーティング」。
年間ランキングには影響しないものの、ここ数年キッズライダーの登竜門として注目を集めているこのレース。今回のキッズクラスでも勢いは顕著。昨年からは出場条件を厳しく設定したにも関わらず、小学3〜6年生の17人がエントリーしたということもあり、今年からは「KIDS OF JAPAN」の冠を掲げ、小学生ダウンヒルライダーの“学年別日本一”を決める大会として開催する。1年に1度、キッズにとっての大きな目標となるようなレースを育てていきたい。
もちろん、今までどおり中学生以上のビギナーも大歓迎。1day開催のお気軽なDOWNHILL SERIESを楽しんでほしい。
DOWNHILL SERIES in MTBファンミーティングは現在エントリー受付中。
https://dhseries.jp/2025-downhill-series-in-mtbfanmeeting2025/

決勝後に開催された「WHIP OFF コンテスト」は大盛り上がり。田中航太選手が優勝。













