来年のUCIグランフォンド世界選のプレ大会として実施 ニセコクラシック2025

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6月12日〜15日、北海道の倶知安町、共和町、蘭越町、ニセコ町を舞台に「ニセコクラシック2025」が開催された。ロードレース、タイムトライアル、チームリレーとニセコディスカバリーサイクリングの4種目が行われた。

ニセコクラシック2025 レポート

来年この地で開催されるUCIグランフォンドワールドチャンピオンシップのプレ大会としての位置付けで行われたニセコクラシック2025。世界選手権と同じフォーマットにて行えるよう、チームリレーという種目の追加、ロードレースのカテゴリーごとの出走間隔の調整やそれに伴ってこれまでのコースを逆回りすることなど、例年と異なる変更点が加えられる形となった。

 

初開催 チームリレー

初日の6月12日には、倶知安駅前の約2㎞の特設コースを使ったチームリレーが日本初開催となり、7組の選手たちが出場。

チームリレーは、男女混合の4人1組となり、各チームの1人が同時にスタートを切り、1人ずつ3周走ってから交代していくクリテリウム形式のレース。

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チームメイトが見守るなか、レースが進んでいく。トップがフィニッシュしたらそこでレースは終了

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初開催の優勝チームは、Team Okinawa&Hokkaido。2位にMOPS、3位にRoppongi Express

 

来年はこれが国別対抗戦となり、25カ国ほどの出走となるという。それぞれの走力を考えながら出走順を決める戦略の面がおそらくキーとなり、来年はさらに面白いレース展開が期待できそうだ。

 

個人タイムトライアル&ニセコディスカバリーサイクリング

6月13日には、共和町内にて全長約13.5㎞の個人タイムトライアルが行われた。

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羊蹄山やニセコ連峰をバックにひたすら直線を走るコース

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男子40〜44歳カテゴリーでは、宍戸博紀(セレクシオンHKD)が16分54秒(平均時速47.92㎞)で優勝。全カテゴリーの中でも唯一の16分台となった

 

同日にはニセコグラン・ヒラフをスタートし、積丹半島へと向かう100㎞のロングライドコースと、果樹園やワイナリーが立ち並ぶ余市方面を目指す55㎞のカントリーコースの2コースが用意されたニセコディスカバリーサイクリングも行われた。

両コース共にフィニッシュしたら帰りはバスで自転車ごとスタート地点へと帰ってこれるワンウェイのコースが取られており、フィニッシュ地点では参加者たちはグルメや温泉などを堪能していた。

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100㎞のコースは、美しい積丹ブルーの海を眺めながら走れる最高のロケーション

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笑顔を見せる参加者たち

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三船雅彦さんもアンバサダーとして100㎞のコースを走った

 

80km&140km ロードレース

最終日の6月15日には、ロードレース(グランフォンド140㎞、メディオフォンド80㎞)が行われた。これまでは、グランフォンドとメディオフォンドでスタート会場が別となっていたが、今回は全てニセコグラン・ヒラフ会場がスタート/フィニッシュとなった。

また、グランフォンド世界選手権ではカテゴリーができるだけ混ざらないように5分間隔でのスタートとなっており、それに倣う形で一部エントリー数が少ないカテゴリーは混走としつつ全14カテゴリーに分けて6時からそれぞれスタートを切った。

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最初にスタートした140㎞の男子19〜34歳カテゴリーでは、序盤に2人逃げが行き、集団と最大4分以上のタイム差がついたが、コース中最長の上り区間であるニセコパノラマラインに入る頃に吸収され、そのまま20人ほどの集団でゴールスプリントに。

最後は、大石章瑛(備後しまなみeNShare)、大前翔(Roppongi Express)、石井雄悟(MASXSAURUS)の横並びのスプリントを、6月初旬に行われたMt.富士ヒルクライムを制したばかりの石井がハンドル投げで僅かに上回り、勝利を挙げた。

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140㎞の男子19〜34歳カテゴリーは集団スプリントに。右側の石井が僅差で勝利を手にした

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グランフォンド男子19〜34歳カテゴリー優勝は石井。2位に大前、3位に大石

 

140㎞の男子35〜39歳カテゴリーでは、「グランフォンド世界選手権という名誉高いレースが来年ここで行われるので、そこで優勝したいというのがあって、今年はこれをターゲットレースにしてきました」と話す加藤大貴(COW GUMMA)が田中裕士との一騎打ちを制して優勝。

昨年ニセコクラシックに初出場した加藤は、逆回りとなった今回のコースについてこう語る。

「去年はどっちかというとパンチャー向けのコースで、上りも緩くてなかなか勝負が決まりにくいコースだったんですけど、今年は中盤〜終盤に長めのきつい上りができたので、クライマーにも有利なコースになったかなと思います」

残り10㎞、加藤と田中の先頭2人と後続とのタイム差は1分半ほど離れていたため、「スプリントはもう運というか、どっちが勝っても負けても、もうお互い悔いはないレースができたなと話していました」と加藤は話す。来年の世界選手権についても、「世界の名だたる強豪たちと走れることを今から楽しみにしています」と語った。

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優勝は加藤、2位に田中

 

140㎞の男子45〜49歳カテゴリーには、世界チャンピオンジャージを有する高岡亮寛(Roppongi Express)が出場。序盤には高岡のパンクもあり、集団はそれを待ちながらゆったりとした展開が続いた。

後半に入り、パノラマラインの上りで高岡がアタックすると、松木健治(VC VELOCE)、田崎友康(F(t)Racing)ら4人に絞られる。

その後のアップダウンが続く区間や残り20㎞ほどの厳しい上り区間でも仕掛けはあったものの誰も抜け出すまでには至らず、高岡、松木、田崎のお互いの手の内を知ったベテランメンバー3人での探り合いとなった。ラスト2㎞の上りでも「みんな牽制しまくりで、もうおじさん同士の腹の探り合いを最後まで続けていました」と松木は話す。

ラスト400mで3人でのスプリント勝負となり、「この上りスプリントが得意なので」と話した松木が「寄り切り勝ち」。

今回、初めての逆回りということもあったが、「いいコースですね。前よりもきついなって感じです。アップダウンも多くて、結構我慢する時間が長い。下りも気持ち良いです」と松木は話し、「来年の世界選も出ます!」と語った。

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最後は3人でのスプリント勝負となり、松木がスプリント力を見せつけた

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松木が優勝。高岡が2位、田崎が3位

 

80㎞メディオフォンドの男子50〜54歳カテゴリーでは、序盤から早々に集団の人数を減らしていく。ニセコパノラマラインの上りの途中で優勝候補の一人でもある山本裕昭(BONDS静岡サイクルRT)が単独アタックを仕掛けるが、すぐに集団が吸収。

その後、富田岳史(KNTR Cycling Team)を中心にペースを上げ、25.8㎞地点にあるKOM近くまで上るとさらに集団が絞られ、先頭は4人に。KOMポイントをトップで通過したのは富田となった。

下り区間で数名が合流し、先頭は10人ほどの集団になったが、その後のアップダウン区間で5人まで絞られた。もう一人の優勝候補、このカテゴリーでの全日本チャンピオンジャージを着用する山本敦(SBC Vertex Racing Team)や現在サイクルスポーツ編集長を務める筧五郎(都製餡ROADTEAM)もここに残った。

「最後の方はもうやっぱり脚の差がきちんと出ましたね」と筧は話す。

56.6㎞の補給所のカーブのところで山本敦と富田が抜け出し、ペースアップ。置いて行かれた筧と山本裕昭らは暗黙の了解で先頭交代を繰り返しながら追いかける。下り区間で再び先頭2人をキャッチし、先頭は5人のまま最後のスプリント勝負に備える形となった。

逆回りになって例年のコースよりも上りが増えたことで、前日、前々日と念入りに試走を重ねたという山本敦は、「思ったほど上りに関してきついっていうイメージは湧かなかったです。意外と勾配とも緩かったので。同じカテゴリーの走っているメンバーは大体わかっていたので、何とかKOMを超えて先頭で残っていれば、勝機はだいぶあるんじゃないかなという感触は持っていました」と話す。

また、スプリントにも自信を持っていた。

「上りはかなり(筧)五郎さんが強いというのは分かっていたんですけど、スプリント勝負まで持ち込めたら、たぶん抜け出せるんじゃないかなという感覚はありました」

ラスト400mの最終コーナーで最初に仕掛けたのは山本裕昭。少し離れて後ろから山本敦と筧もスプリントを開始。3人が横並びになる瞬間もあったが、ラスト50mで山本敦が完全に一人に前に出て、勝利を確信。

「最後の最後に五郎さんも本当に僅差で迫ってきて、何とか最後のゴールの50m手前ぐらいのところで振り切ることができたので、もうこれはと確信しました」

山本敦は、2024年全日本チャンピオンジャージでの最後のレースを有終の美で飾った。

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スプリントでの伸びを見せた山本敦が勝利

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1位・山本敦、2位・山本裕昭、3位・筧

 

80㎞女子19〜34歳カテゴリーでは、石井嘉子(Team honeyB BIKEBAJU)が独走勝利を決めた。

ニセコパノラマラインのKOMまでラスト1㎞くらいのところで、鈴木友佳子(MIVRO)とミソ・キム(ROUNDEL)がペースを上げて集団を5人程度に絞り込んだが、下りで数名が合流し、先頭は10人ほどになる。

ラスト20㎞ほどの上りでは石井がアタック。それまでに脚をしっかり回復させていたという石井は、「最後の上りで一番下から最後までしっかり踏んだ」と話す。

3人に絞った後も、勾配がきついところでもう一回踏み、ミソと鈴木を振り払い、単独走へと持ち込んだ。

旦那さんの駐在の関係でマレーシアに住んでいるという石井は、「グランフォンド世界選手権も出られたら出たいなと思っていて、夫と一緒に日本のレースで(出場権を)狙って帰って来た感じでした。日本人選手と向こうの選手で脚質がだいぶ違うので、日本でどれくらい走れるかっていうのはかなり不安だったんですけど、とりあえずほっとしてます」と語った。

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優勝は石井、2位に鈴木、3位にミソ

 

ニセコクラシック2025:UCIグランフォンドワールドシリーズ

開催地:北海道ニセコ山系、倶知安町・共和町・蘭越町・ニセコ町

実施日:
2025年6月13日(金)チームリレー(倶知安町内周回コース 17:00~18:00)

2025年6月14日(土)タイムトライアル(共和町コース 7:00~11:00)、サイクリング(後志エリア 9:00~15:00)

2025年6月15日(日)140kmロードレース(ニセコグラン・ヒラフ会場 6:00~12:15)、80kmロードレース(ニセコグラン・ヒラフ会場 6:30~12:15)

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