ジロ・デ・イタリア2025 第20ステージはハーパーが逃げ切り初優勝/S・イェーツが総合首位
イタリアで開催中の第108回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月31日に北西部ヴァッレ・ダオスタ州のヴェレスからピエモンテ州に位置する標高2033mでカテゴリー3のセストリエーレ頂上にゴールする205kmで、今大会最後の山岳区間となった第20ステージを競い、オーストラリアのクリス・ハーパー(チーム ジェイコ・アルウラー)が独走で逃げ切り、30歳でグランツール区間初優勝を果たした。
この日、マリア・ローザを着ていたメキシコのイサーク・デルトロ(UAEチーム・エミレーツ・XRG)は、7分10秒遅れの区間9位でゴール。標高2178mで今大会のチマ・コッピ(最高峰)だったフィネストレ峠でアタックを決めた英国のサイモン・イェーツ(チーム ヴィスマ・リースアバイク)が、1分57秒遅れの区間3位でゴールし、最終日前日に総合首位に立った。
現在32歳のイェーツは、2018年のジロで13日間マリア・ローザを守ったが、まさにこの日アタックを決めたフィネストレ峠で力尽き、総合首位の座を失っていた。その悪夢のリベンジであるかのように、彼は因縁の地でマリア・ローザを取り戻す7年後しのアタックを決めた事になった。イェーツは2018年にスペインのブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)で優勝していて、これで2度目のグランツール制覇が確実になった。
今年最後の山岳ステージ
第20ステージは159選手が出走。今年最後の山岳ステージは序盤に31人の大きな集団が逃げ出し、2つ目の中間スプリント地点でメイン集団に9分差を付けていた。ゴールまで残り46kmで、全長18.5kmのフィネストレ峠の登坂が始まった。今大会のチマ・コッピ(最高峰)だったこの峠は、後半の9kmが未舗装路だった。ハーパーはこの峠で逃げ集団からアタックして独走を続けた。
メイン集団ではフィネストレ峠が始まると、満を持してエクアドルのリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)がアタックしたが、すぐにマリア・ローザのデルトロとイェーツが合流した。イェーツは追いつくとすぐにカウンターでアタックを決め、カラパスとデルトロは彼を逃してしまった。山頂まで3kmでイェーツはデルトロよりも1分半以上先行し、バーチャル・マリア・ローザになった。
先頭を逃げ続けるハーパーは、チマ・コッピの山頂を単独で通過した時、追走するイタリアのアレッサンドロ・ヴェッレ(アルケア・B&Bホテルズ)に1分45秒差のタイム差を付け、イェーツは4分45秒差、マリア・ローザのデルトロとカラパスは6分25秒差だった。ハーパーはそのまま逃げ切り、チームに今大会区間2勝目をもたらした。
北米メキシコ出身で21歳のデルトロと南米エクアドル出身で31歳のカラパスが下りで協力体制を築けなかったのとは対照的に、イェーツには逃げ集団に加わっていたベルギーのワウト・ヴァンアールト(チーム ヴィスマ・リースアバイク)が合流し、2人でゴールのセストリエーレを目指した。
イェーツはデルトロに3分18秒差を付けてゴールし、区間3位で4秒のボーナスタイムも獲得して最終日前日に7年越しのマリア・ローザを着る事ができた。その一方で、デルトロは11日間守ったマリア・ローザを失ったが、3分56秒遅れの総合2位に留まり、新人賞のマリア・ビアンカを着て最終目的地のローマを走る事になった。
最終日の6月1日は、首都ローマで143kmの第21ステージが行われる。最終ステージはカトリック教会の25年に1度の聖年を祝し、公式スタート前のニュートラル走行でヴァチカン市国を史上初めて通過し、新教皇レオ14世が選手たちを出迎える予定だ。
■区間初優勝したハーパーのコメント
「体力的にも精神的にも厳しいジロだった。総合成績を狙ってここに来た。最初の1週間は調子が良いと感じていたが、2回目の休養日に病気になってしまった。体調が良くなく、総合争いからは脱落し、ステージ優勝に集中し始めた」
■第20ステージ結果
[5月31日/ヴェレス~セストリエーレ(ヴィアラッテア)/205 km]
1. HARPER Christopher (TEAM JAYCO ALULA / AUS) 5:27:29
2. VERRE Alessandro (ARKEA-B&B HOTELS / ITA) +1:49
3. YATES Simon Philip (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / GBR) +1:57
4. GAROFOLI Giacomo (SOUDAL QUICK-STEP / ITA) +3:52
5. ROCHAS Rémy (GROUPAMA-FDJ / FRA) +3:57
6. MARCELLUSI Martin (VF GROUP BARDIANICSF-FAIZANE’ / ITA) +4:31
7. VERONA QUINTANILLA Carlos (LIDL-TREK / ESP) +4:31
8. POOLE Max David (TEAM PICNIC POSTNL / GBR) +6:45
9. DEL TORO ROMERO Isaac (UAE TEAM EMIRATES XRG / MEX) +7:10
10. PELLIZZARI Giulio (RED BULL – BORA – HANSGROHE / ITA) +7:10
13. CARAPAZ Richard (EF EDUCATION – EASYPOST / ECU) +7:14
■第20ステージ後の総合成績(マリア・ローザ)
1. YATES Simon Philip (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / GBR) 79:18:42
2. DEL TORO ROMERO Isaac (UAE TEAM EMIRATES XRG / MEX) +3:56
3. CARAPAZ Richard (EF EDUCATION – EASYPOST / ECU) + 4:43
4. GEE Derek (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN) + 6:23
5. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) + 7:32
6. PELLIZZARI Giulio (RED BULL – BORA – HANSGROHE / ITA) + 9:28
7. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) + 12:42
8. RUBIO REYES Einer Augusto (MOVISTAR TEAM / COL) + 13:05
9. MCNULTY Brandon (UAE TEAM EMIRATES XRG / USA) + 13:36
10. STORER Michael (TUDOR PRO CYCLING TEAM / AUS) + 14:27
[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ): PEDERSEN Mads (LIDL-TREK / DEN)
■山岳賞(マリア・アッズーラ): FORTUNATO Lorenzo (XDS ASTANA TEAM / ITA)
■新人賞(マリア・ビアンカ): DEL TORO ROMERO Isaac (UAE TEAM EMIRATES XRG / MEX)
◆J SPORTS「ジロ・デ・イタリア2025」全21ステージ独占生中継&完全LIVE配信
◆「2025サイクルロードレース選手名鑑」発売中!
UCIワールドチーム&プロチーム全35チームのデータを完全掲載!