ジロ・デ・イタリア2025 クイーンステージの第19ステージはプロドムが逃げ切り区間初優勝
イタリアで開催中の第108回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月30日に北西部ピエモンテ州のビエッラからヴァッレ・ダオスタ州のシャンポルクまでの166kmでアルプスのクイーンステージの第19ステージを競い、フランスのニコラ・プロドム(デカトロン・AG2Rラモンディアル チーム)が独走で逃げ切り、28歳でグランツール区間初優勝を果たした。
フランスはこれで2019年から7年連続、少なくとも1人の選手がジロで区間優勝を上げていて、フランスだけがこの快挙を成し遂げている。
マリア・ローザを着たメキシコのイサーク・デルトロ(UAEチーム・エミレーツ・XRG)は、58秒遅れの区間2位でゴールし、総合首位の座を守った。
アルプスのクイーンステージ
第19ステージは161選手が出走。アルプスのクイーンステージは5つの峠を越え、累積標高は5000m近かった。プロドムは3.7kmから始まった最初のクローチェ・セッラ峠(カテゴリー3)の上りでゲオルク・シュタインハウザー(EFエデュケーション・イージーポスト)、ヤン・トラットニック(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)と一緒に集団から最初に逃げ出した選手だった。
逃げ集団は30人以上に膨らみ、第17ステージのモルティローロ峠で遅れて総合トップ10から陥落していたイタリアのアントニオ・ティベーリ(バーレーン ヴィクトリアス)も加わっていた。マリア・ローザを擁するUAEチーム・エミレーツ・XRGは、この逃げ集団にイゴール・アリエタを送り込み、集団のコントロールを他のチームに任せる事ができた。
この日3カ所目のサン・パンタレオン峠(カテゴリー1)で先頭の逃げグループはプロドム、スペインのカルロス・ベロナ(リドル・トレック)、ティベーリ、アリエタの4人になった。ゴールまで残り56.7kmの山頂では、先頭の逃げとメイン集団のタイム差は2分あった。
次のジュー峠(カテゴリー1)のふもとで先頭は一度7人になったが、上りが始まってベロナがアタックし、付いていけたのはプロドムとティベーリだけだった。マリア・ローザ集団は30人ほどになり、チームヴィスマ・リースアバイクが先頭を引き続けた。UAEチーム・エミレーツ・XRGはここでアダム・イェーツが遅れてしまったが、マリア・ローザのデルトロにはまだラファウ・マイカと復調したブランドン・マクナルティが付いていた。
先頭ではゴールまで残り28.3kmでプロドムがアタックし、独走を開始した。マリア・ローザ集団はチームヴィスマ・リースアバイクのアシスト勢が仕事を終え、逃げグループから戻ったアリエタがまず先頭を引き、続いてマイカが仕事を初めた。
ゴールまで残り20.6kmのジュー峠山頂をプロドムが先頭で通過した時、マリア・ローザ集団とのタイム差は1分を切っていた。マリア・ローザ集団では、頂上近くで新人賞総合2位でマリア・ビアンカを着ていたイタリアのジューリオ・ペッリツァーリ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)がアタックを試みたが、マイカに阻止された。
カラパスがアタック
残り10kmで最後のアンタニョド峠(カテゴリー3)の上りが始まった時、先頭のプロドムはマリア・ローザ集団とのタイム差を1分半以上に広げていた。マイカがコントロールを続けていたマリア・ローザ集団では、ゴールまで残り6.8kmでエクアドルのリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)がアタックしたが、マリア・ローザのデルトロは彼にピタリと付いていった。
プロドムはそのまま逃げ切り、区間初優勝を果たした。その後方ではマリア・ローザのデルトロがゴールスプリントでカラパスを下し、58秒遅れの区間2位に入って4秒のボーナスタイムを獲得した。カラパスのアタックに反応できなかった英国のサイモン・イェーツ(チーム ヴィスマ・リースアバイク)は1分22秒遅れのグループでゴールし、総合でのタイム差は1分21秒に開いてしまった。
■区間初優勝したプロドムのコメント
「このジロのためにたくさん働いた。総合を競いたくはなく、区間優勝にトライしたかった。この勝利を長い間待ち望んでいた。3週間前に初優勝したばかりだった(ツアー・オブ・ジ・アルプス)。でも、ジロ・デ・イタリアでワールドツアーの勝利を得られてとても嬉しい。素晴らしい日だ。
我々の逃げは大きなタイム差を得なかった。最初のアタックに付いていった時、最高の調子だとは感じていなかった。最初の上りでは脚が硬かった。1kmごとにバイクの上で調子が良くなっていった。ジュー峠では、リスクを犯さないと何事も進まないと気がついた。リスクを犯さなかったから、2ステージで区間5位だった。今日は勝つためにプレイすると決めていた。結果はとても良かったよ」
■クイーンステージでマリア・ローザを守ったデルトロのコメント
「まず、もっと多くの攻撃が見られなかった事に驚いた。でも、風が彼らを苦しめていると分かっていた。風は向かい風だったり追い風だったりした。一日の、そしてこの数週間のダメージも脚にあった。良いパフォーマンスがもう一度できたなんて信じられないよ。おそらくヴィスマは第16ステージのようにボクを苦しめて、もう一度クラックさせたかったんだろう。
ここにまだいられて嬉しいよ。明日は今日と同じになると思う。間違いなくいくつかのチームが攻撃しようとするだろう。我々は一緒にいて注意を続けなければならない。明日の夕方フィネストレ峠の後、まだジロをリードしていたら、それはボクにとっては魔法のような事だ」
■第19ステージ結果
[5月30日/ビエッラ~シャンポルク/166 km]
1. PRODHOMME Nicolas (DECATHLON AG2R LA MONDIALE TEAM / FRA) 4:50:35
2. DEL TORO ROMERO Isaac (UAE TEAM EMIRATES XRG / MEX) + 0:58
3. CARAPAZ Richard (EF EDUCATION – EASYPOST / ECU) + 0:58
4. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) + 1:22
5. MCNULTY Brandon (UAE TEAM EMIRATES XRG / USA) + 1:22
6. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) + 1:22
7. YATES Simon Philip (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / GBR) + 1:22
8. MAJKA Rafal (UAE TEAM EMIRATES XRG / POL) + 1:22
9. TIBERI Antonio (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) + 1:22
10. RUBIO REYES Einer Augusto (MOVISTAR TEAM / COL) + 1:22
■第19ステージ後の総合成績(マリア・ローザ)
1. DEL TORO ROMERO Isaac (UAE TEAM EMIRATES XRG / MEX) 73:47:59
2. CARAPAZ Richard (EF EDUCATION – EASYPOST / ECU) + 0:43
3. YATES Simon Philip (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / GBR) + 1:21
4. GEE Derek (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN) + 2:27
5. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) + 3:36
6. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) + 5:13
7. PELLIZZARI Giulio (RED BULL – BORA – HANSGROHE / ITA) + 5:32
8. RUBIO REYES Einer Augusto (MOVISTAR TEAM / COL) + 6:39
9. STORER Michael (TUDOR PRO CYCLING TEAM / AUS) + 9:11
10. MCNULTY Brandon (UAE TEAM EMIRATES XRG / USA) + 9:33
[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ): PEDERSEN Mads (LIDL-TREK / DEN)
■山岳賞(マリア・アッズーラ): FORTUNATO Lorenzo (XDS ASTANA TEAM / ITA)
■新人賞(マリア・ビアンカ): DEL TORO ROMERO Isaac (UAE TEAM EMIRATES XRG / MEX)
(※第20ステージは PELLIZZARI Giulio (RED BULL – BORA – HANSGROHE / ITA) が着用)
第20ステージはチマ・コッピを越えてセストリエーレで頂上ゴール
最終日前日の5月31日は、イタリア北西部ヴァッレ・ダオスタ州のヴェレスをスタートし、ピエモンテ州に位置する標高2033mのセストリエーレ頂上にゴールする第20ステージが行われる。今年最後の山岳区間は距離が205kmと長く、終盤に標高2178mで今大会のチマ・コッピ(最高峰)となるフィネストレ峠を通過する。ゴールのセストリエーレは全長16.2kmの坂で平均勾配は3.8%だ。
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