ジロ・デ・イタリア2025 第18ステージはデンツが逃げ切り区間優勝

イタリアで開催中の第108回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月29日に北部ロンバルディア州のモルベーニョからチェザーノ・マデルノまでの144kmで、スプリント区間の第18ステージを競い、ドイツのニコ・デンツ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が独走で逃げ切って区間優勝し、チームに今大会初の勝利をもたらした。
 

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デンツが逃げ切って区間優勝し、チームに今大会区間初優勝をもたらした (photo : LaPresse)

 
31歳のデンツは2023年に区間2勝していて、これが区間通算3勝目だった。メイン集団は13分51秒遅れでゴールし、メキシコのイサーク・デルトロ(UAEチーム・エミレーツ・XRG)が総合首位を守った。
 

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デルトロのマリア・ローザ着用日数は10日になった (photo : LaPresse)

 
アユソが蜂に刺されてリタイア

第18ステージは162選手が出走。晴れで気温は30℃まで上がった。グラベル区間の第9ステージで落車して膝を負傷し、すでに総合成績は大きく遅れていたスペインのフアン・アユソ(UAEチーム・エミレーツ・XRG)は、チームのためにレースを続けていたのだが、この日は不運にもスタート前に蜂に刺されてしまい、序盤にリタイアした。

スタートからアタックが続いた後、37人の大きな集団が逃げ出し、ポイント賞のマリア・チクラミーノを着たデンマークのマス・ピーダスン(リドル・トレック)や、第6ステージで区間優勝したオーストラリアのケイデン・グローヴズ(アルペシン・ドゥクーニンク)、ベルギーのワウト・ヴァンアールト(チーム ヴィスク・リースアバイク)が加わっていた。

総合成績を脅かす選手は入っていなかったため集団はこの逃げを許し、残り86kmでタイム差は8分半に開いていた。逃げ集団ではゴールまで残り56.9km地点にあったレッドブルKMで区間優勝争いが始まった。最初のアタックが失敗に終わった後、チェザーノ・マデルノのローカルラップに入る直前の残り32.6kmでデンツがアタックし、11人が先行した。この先頭集団は残り25kmでコントロールラインを通過した時、マリア・チクラミーノのピーダスンやグローヴズがいる追走グループに1分25秒差を付けていた。

ゴールまで残り19kmで先頭集団からデンツがアタックし、すぐにリードを広げた。彼はそのまま独走で逃げ切り、区間通算3勝目を上げた。
 

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残り19kmでアタックを決めたベテランのデンツ (photo : LaPresse)

 
■区間優勝したデンツのコメント
「これはおそらく自分のジロでの優勝の中で最も感動的だ。序盤にジャイ・ヒンドリーを失い、その後はスタッフを含めたチーム全体が、プリモシュ・ログリッチがこのジロで勝つのを助けるために全力を尽くした。そのために我々は2カ月間高地トレーニングを行った。このジロの準備のために、ボクは家を3カ月間も離れていた。我々がログリッチを失った時、夢も失われた。これまでのハードワークは無駄だったと我々は思っていた。

幸運にも状況は好転した。ペッリツァーリが総合で良い成績を残せるように、我々は奮起した。(ドイツでの)父の日に、ここで勝てたのは父親のためだ。ものすごく特別だ。ログリッチがジロを去った日に、ボクはガリバルディ(ロードブック)を見直して、今日は計画を立てて自由を得なければならなかった。1回だけアタックをした。後はただ直感に従うだけだった。我々の集団は最後までよく協力しあった。残り19kmで一発やってみようと思った。そうしたら僅かな差を得た。そのまま行って、ボクは今ここにいるのさ」
 

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(photo : LaPresse)

 
■第18ステージ結果

[5月29日/モルベーニョ~チェザーノ・マデルノ/144 km]
1. DENZ Nico (RED BULL – BORA – HANSGROHE / GER) 3:12:07
2. MAESTRI Mirco (TEAM POLTI VISITMALTA / ITA) + 1:01
3. PLANCKAERT Edward (ALPECIN-DECEUNINCK / BEL) + 1:01
4. MAGLI Filippo (VF GROUP BARDIANICSF-FAIZANE’ / ITA) + 1:01
5. EDMONDSON Alexander (TEAM PICNIC POSTNL / AUS) + 1:01
6. DE BONDT Dries (DECATHLON AG2R LA MONDIALE TEAM / BEL) + 1:01
7. HOOLE Daan (LIDL-TREK / NED) + 1:01
8. DE PRETTO Davide (TEAM JAYCO ALULA / ITA) + 1:01
9. CONCI Nicola (XDS ASTANA TEAM / ITA) + 1:01
10. WARBASSE Lawrence (TUDOR PRO CYCLING TEAM / USA) + 1:01
56. DEL TORO ROMERO Isaac (UAE TEAM EMIRATES XRG / MEX) + 13:51

■第18ステージ後の総合成績(マリア・ローザ)
1. DEL TORO ROMERO Isaac (UAE TEAM EMIRATES XRG / MEX) 68:56:32
2. CARAPAZ Richard (EF EDUCATION – EASYPOST / ECU) + 0:41
3. YATES Simon Philip (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / GBR) + 0:51
4. GEE Derek (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN) + 1:57
5. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) + 3:06
6. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) + 4:43
7. PELLIZZARI Giulio (RED BULL – BORA – HANSGROHE / ITA) + 5:02
8. RUBIO REYES Einer Augusto (MOVISTAR TEAM / COL) + 6:09
9. YATES Adam Richard (UAE TEAM EMIRATES XRG / GBR) + 7:45
10. STORER Michael (TUDOR PRO CYCLING TEAM / AUS) + 7:46

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ): PEDERSEN Mads (LIDL-TREK / DEN)
■山岳賞(マリア・アッズーラ): FORTUNATO Lorenzo (XDS ASTANA TEAM / ITA)
■新人賞(マリア・ビアンカ): DEL TORO ROMERO Isaac (UAE TEAM EMIRATES XRG / MEX)
(※第19ステージは PELLIZZARI Giulio (RED BULL – BORA – HANSGROHE / ITA) が着用)
 


第19ステージは峠を5つ越えるクイーンステージ

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●第19ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)

 
今年のジロもいよいよ残り3ステージ。最終目的地である首都ローマへと向かう前に厳しいアルプス山岳区間が2日行われる。5月30日の第19ステージは、イタリア北西部ピエモンテ州のビエッラからヴァッレ・ダオスタ州のシャンポルクまでの166kmで競われるアルプスのクイーンステージだ。頂上ゴールではないが、5つの峠を越えてアップダウンの連続で、累積標高は5000m近くになる。

■決戦を控えたマリア・ローザのデルトロのコメント
「個人的には、このジロをフアン・アユソとジェイ・ヴァインなしで続けるのは大きな損失であると感じるし、最高の状況ではないと思う。しかし我々はこの状況をチームで乗り切るだろう。何も起きないように我々は全力を尽くすだろう。2つの厳しいステージがある。未来は予言できないが、もしも総合争いの選手たちと一緒にいられて、チームでレースをコントロールできたら、それで満足だ。ライバルたちはできる時にはいつでも攻撃しようとするだろうと分かっている。苦しむだろうが、精神的にも肉体的にも準備はできているよ」
 

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(photo : LaPresse)

 

ジロ・デ・イタリア公式サイト

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