TOJ2025 活躍を見せた日本人選手たちの声 part1

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5月18日〜25日の日程で行われた2025年のツアー・オブ・ジャパン。今大会で活躍を見せた日本人選手たちのコメントを最終東京ステージにて聞いた。

ツアー・オブ・ジャパン2025 日本人選手

大阪をスタートし、東京にフィニッシュする日本最大の8日間のステージレース、ツアー・オブ・ジャパン(TOJ)が今年も幕を閉じた。

UCIカテゴリーを昨年からアジアツアー2.2に下げたことにより、ワールドチームの出場はなく、プロチームは新城幸也の所属するソリューションテック・ヴィーニファンティーニのみで、残りは国内外のコンチネンタルチームとクラブチームで出場チームは構成された。

富士山ステージ2位のJCL TEAM UKYOのアレッサンドロ・ファンチェルが総合優勝、山岳賞も同チームのニコロ・ガリッポが獲得。ポイント賞は最終日までもつれ、岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が手にし、マクサンス・プラス (ワンティ・NIPPO・リユーズ)が総合9位で新人賞を持ち帰った。

 

京都ステージ優勝&ポイント賞ジャージ獲得 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)

ツアー・オブ・ジャパン2025 日本人選手

これまでに堺ステージ、飯田ステージ、相模原ステージで勝利した経験を持つ岡篤志は、今大会ロードレースの初日である京都ステージで初勝利を挙げ、リーダージャージも着用した。

ステージ一勝はしたいなと思っていて、それを最初のステージですることができたので、気持ち的にはだいぶもうやることやったでしょう、みたいな気持ちにもなりました。

リーダージャージをその後守るのは難しいだろうなと思っていて。チームとしても毎日コントロールするのは厳しいと思っていたので、いなべステージで失って、計画通りと言ってはなんですけども、そこは問題はなかったとは思います。
やっぱり飯田ステージ、個人的には一回勝ったことがあるので、そこで遅れてしまったというのはかなり悔しくて。相模原も勝ったことがあったので、そこでいい走りをしたかったなという心残りはあるんですけども

最終日前日の相模原ステージを勝ったベンジャミ・プラデス(VC福岡)と僅か3ポイント差で岡はポイント賞の争いをすることとなった。

東京ステージでは、ソリューションテック・ヴィーニファンティーニが終始集団をまとめながら1回目のスプリント賞を先頭で取り、2回目、3回目は3位で通過。さらに最終着順で7位に入ったことでそのジャージを手に入れた。

結果的に最後このジャージを取れたので、結果オーライかなとは思います

ツアー・オブ・ジャパン2025 日本人選手

昨年まで所属していたJCL TEAM UKYOは今大会で総合優勝、山岳賞、チーム総合をさらった。昨年はメンバーに選ばれず、TOJに観客の一人として訪れていた。

レベルの高いレースへ出場できることに対して後ろ髪を少し引かれつつも、チームを移り、今回こうしてエースとして結果を残すに至った。

おそらく自分が今年TEAM UKYOに残っていたら、TOJは走ることができていなかったと思うので、そういう面では宇都宮ブリッツェンで、こうして自分のためにチームがサポートしてくれる体制を整えてくれて、いいプレッシャーもある中で、練習のモチベーションにもつながってくるので、自分にとっては間違ってなかったのかなという気持ちはあります。
でもやっぱりレベル高いレースを走りたいって気持ちはもちろんないわけじゃない。TEAM UKYOにしかない良さもあったと思いますし。自分の決めたことなので、これはこれで1つの自分のモチベーションを上げる選択だったのかなと思います

TOJ中盤で崩してしまった体調を整え、今度は全日本選手権を目指す。

 

総合10位 日本人最上位 金子宗平(日本ナショナルチーム)

ツアー・オブ・ジャパン2025 日本人選手

総合優勝の行方を占う上で鬼門となる富士山ステージ。多くのヒルクライム大会などでも結果を残してきたTOJ初出場の金子宗平は、パワーメーターも外し、トップのメンバーに馬返しの区間まで「気合いで」食らいついたがその後離され、マイペースに切り替えた。しかし、トップから2分44秒遅れの12位で走り切り、総合10位に躍り出た。

体が重いですね」と話した金子は、「特に富士山では本当に実力がそのまま出るので、それだけまだ全然及んでいないなっていうのは感じます」と続けた。

日本ナショナルチームのエースとして「総合10位以内を目指そうというところだった」そうだ。最終的な結果を受け、「個人的には結構上出来かなと。どこかのステージでやらかして後ろに遅れちゃったりとか、そういう失敗もないので」と金子は話す。

ナショナルチームの小橋勇利監督と共に帯同した清水裕輔から見れば、ステージを経るごとに金子の調子は上がっていき、むしろ、ステージレースへの適性を示していた。チームに帯同したマッサーが体がどんどん柔らかくなっていると言っていたそうで、さらには、飯田ステージでは余裕が残っており、「最後、行けば良かったですかね?」と金子は話していたという。

昨年はナショナルチームで東京ステージに残ったのは森田叶夢だけだった。今年は全員が残り、さらに「全員がリザルトの1枚目(50位以内)に載っている(清水)」ほどの結果。若手が集まる日本ナショナルチームにとっても総合順位を目標にする金子がいたことは良い影響があったようだ。

「やっぱ金子くんみたいな人がいるので、総合もかかっているから、毎日緊張感があって、引っ張られていったんだと思います。意識的なものだと思うんですけど、そういうのが大きいと思います」と清水は話した。

ツアー・オブ・ジャパン2025 日本人選手

金子にまたTOJを走りたいか聞くと、「出たいですね。その時はやっぱりもう少し富士山に向けて準備して」と返ってきた。

 

美濃ステージ優勝 宇田川塁(愛三工業レーシングチーム)

ツアー・オブ・ジャパン2025 日本人選手

愛三工業レーシングチームのホームステージであった美濃ステージで、逃げ切りグループのスプリント勝利を挙げたのは、「ロードレースの初勝利がUCIレースでした」と語る宇田川塁だった。

1周目から逃げに入り、逃げ切りは難しいと最初は考えていたそうだ。しかし、周回数を重ね、最終周を知らせるジャンを聞いた時にタイム差はまだ2分ほどあり、改めて逃げ切りに向けてスイッチを切り替え、スプリントでの勝利を狙った。

しかし、上り区間での他選手のアタックによって宇田川は先頭集団から振り落とされてしまう。それでも振り落とされた2人で前を追っていると、先頭の3人がゴールスプリントに向けて牽制をしている間に再び合流。合流後も牽制が続いたことで宇田川は脚を回復させることができたという。

どんな状況でもスプリントで勝てる自信があったので」と話すバックボーンには、これまでトラック競技、特に短距離種目をメインにやってきたことがあった。

ロード競技の方が好きで、でも結果が出るのがトラック競技や短距離種目だった」と話し、しかし悔いのないよう大学4年生のときにロードレースに力を入れ始めたことで卒業年に愛三工業レーシングチームから声が掛かった。

今年はシーズン序盤から早速トルコや台湾でのUCIのステージレースが続き、そして初めてのTOJ出場だった。

ツアー・オブ・ジャパン2025 日本人選手

最後の直線、最後尾にいた宇田川はスプリントをどのタイミングで仕掛けるかをこう考えていた。「誰かがかけたタイミングで合わせて、合わせて抜けようと思っていました。最後、100m切ったぐらいで捲れば差せるなとか思って」見事にそれを実行し、フィニッシュラインで大きな雄叫びをあげた。

次はエリート初年度となる全日本選手権で「力試し」と言う宇田川。「強力な先輩たちがいるんで。いろいろ学んでいきたいです」と話した。

 

第8ステージを終えての全てのリザルトは以下より。
https://www.toj.co.jp/2025/file_upload/100547/_main/100547_01.pdf

 

UCI公認国際自転車ロードレース『Tour of Japan 2025』(アジアツアー・クラス2.2)     

開催日程:2025年5月18日(日)~5月25日(日)

開催地:大阪府堺市、京都府京田辺市、三重県いなべ市、岐阜県美濃市、長野県飯田市、静岡県駿東郡小山町、神奈川県相模原市、東京都大田区

https://toj.co.jp/2025/