ジロ・デ・イタリア2025 第8ステージはプラップが逃げ切り初優勝し、ウリッシがマリア・ローザ

イタリアで開催中の第108回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月17日に中部アブルッツォ州のジュリアノーヴァからマルケ州のカステルライモンドまでの197kmで、中級山岳区間の第8ステージを競い、オーストラリアのルーク・プラップ(チームジェイコ・アルウラー)が独走で逃げ切り、グランツール区間初優勝を果たした。
 

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オーストラリアのプラップが独走で逃げ勝った (photo : LaPresse)

 
区間2位は38秒遅れでオランダのウィルコ・ケルデルマン(チーム ヴィスマ・リースアバイク)、3位はイタリアのディエーゴ・ウリッシ(XDS・アスタナ チーム)だった。この日マリア・ローザを着ていたスロベニアのプリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)は、4分50秒遅れでゴールし、35歳のウリッシが総合首位になり、初めてマリア・ローザに袖を通した。

開催国イタリアの選手がマリア・ローザを着用するのは、2021年のアレッサンドロ・デマルキ以来だった。ウリッシは長年UAEチーム・エミレーツに所属していたが、今季XDS・アスタナ チームへ移籍していた。彼はトスカーナ州出身で、第9ステージはマリア・ローザを着用して地元を走る事になった。
 

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35歳のウリッシがマリア・ローザを初めて獲得した (photo : LaPresse)


20人の大きな逃げ集団

第8ステージは173選手が出走。スタートからアタックと吸収が続き、最初の1時間の平均時速は49.5km/hだった。100人ほどになった集団から83km地点で20選手の大きなグループが逃げ出す事に成功し、プラップもそこに加わっていた。中盤にはカテゴリー1のサッソテット峠があり、山岳賞のマリア・アッズーラを着たロレンツォ・フォルトゥナート(XDS・アスタナ チーム)がチームメイトのウリッシと一緒に逃げ集団に加わり、104.9kmのサッソテット峠山頂を先頭で通過して山岳ポイントを稼いだ。

逃げ集団で総合成績が最も上位だったのはフォルトゥナートで、マリア・ローザのログリッチに2分57秒遅れの総合25位だった。逃げと集団のタイム差が3分以上になった時、フォルトゥナートが一時バーチャルリーダーになったが、彼はサッソテット峠を越えた後、逃げ集団から遅れてしまった。

カテゴリー3のモンテラーゴ峠で、先頭の逃げはケルデルマン、ウリッシ、後から合流したプラッブ、イゴール・アリエタ(UAEチーム・エミレーツ・XRG)の4人に絞られた。ウリッシはログリッチに4分1秒遅れの総合30位でバーチャルリーダーだった。ゴールまで残り45.6kmの、モンテラーゴ峠の頂上が近づいた所でプラップがアタックし、これが決定打になった。
 

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4人に絞られた逃げグループ (photo : LaPresse)

 
プラップは下りでタイム差を広げ、追走グループに一時1分以上の差を付けて独走を続け、そのままカステルライモンドまで逃げ切った。ウリッシはゴールスプリントでケルデルマンに負けて区間3位になり、マリア・ローザ集団の到着を待った。

マリア・ローザ集団は、スペインのフアン・アユソ(UAEチーム・エミレーツ・XRG)がゴール目前で飛び出し、ログリッチよりも1秒早くゴールする事に成功した。ログリッチは4分50秒遅れでゴールし、ウリッシの総合首位が確定した。

■区間優勝したプラップのコメント
「正直言って信じられない。オーストラリアの夏だけを目標にしていて、ヨーロッパでは結果を出せなかったのは本当に長い道のりだった。去年のジロでは何度も惜しい所まで行っていた。今日、それを成し遂げる事ができてとても特別だ。我々は数週間前からこのステージを狙っていた。今朝はバスの中でとても興奮していたよ。逃げるための闘いは信じられないほど難しかった。

残り45kmで1人で行ったのは、スプリントでは誰にも勝てないと分かっていたからだ。最初に動いた者は常に有利だ。とにかく挑戦してみようと思った。去年のオリンピックから2月の手首の手術、そしてこのジロの最初の個人タイムトライアルでの落車があり、この勝利は全ての挫折を乗り越えるための努力に報いるものだ」

■35歳でマリア・ローザを初めて着たウリッシのコメント
「感情に流されやすいわけではないが、マリア・ローザを渡され、そこにXDS・アスタナの文字を見た時は感極まったと認めなければならない。ボクは35歳で、もうすぐ36歳だ。ジロで区間8勝して、自分の自転車競技キャリアにはとても満足していたし、3人の娘を持つ素晴らしい家庭を築いた。だからこのジャージを最初に見た時、家族全員を思い出し、特に子どもの頃にボクをレースに連れて行ってくれた人々の事を思い出した。

ゴールまで全力で走らなければならないと聞いた時、マリア・ローザを取るチャンスがあるのだと理解した。正確なタイム差を知らせないという選択は、ボクを動揺させないための最善策だった。自転車競技で長い経験を持っているが、マリア・ローザを持った事は決してなかった。明日はこれを守るために全力で努力するだろうが、運も必要な難しいステージだ。マリア・ローザを着てトスカーナに到着するのは特別になるだろう」
 

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ウリッシは4年ぶりで開催国イタリアにマリア・ローザをもたらした (photo : LaPresse)

 
■第8ステージ結果

[5月17日/ジュリアノーヴァ~カステルライモンド/197 km]
1. PLAPP Lucas (TEAM JAYCO ALULA / AUS) 4:44:20
2. KELDERMAN Wilco (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / NED) +0:38
3. ULISSI Diego (XDS ASTANA TEAM / ITA) +0:38
4. ARRIETA LIZARRAGA Igor (UAE TEAM EMIRATES XRG / ESP) +1:22
5. PRODHOMME Nicolas (DECATHLON AG2R LA MONDIALE TEAM / FRA) +1:35
6. VENDRAME Andrea (DECATHLON AG2R LA MONDIALE TEAM / ITA) +1:48
7. FORTUNATO Lorenzo (XDS ASTANA TEAM / ITA) +1:48
8. STEINHAUSER Georg (EF EDUCATION – EASYPOST / GER) +2:59
9. BARDET Romain (TEAM PICNIC POSTNL / FRA) +3:02
10. MARTINELLI Alessio (VF GROUP BARDIANICSF-FAIZANE’ / ITA) +4:37
11. AYUSO PESQUERA Juan (UAE TEAM EMIRATES XRG / ESP) +4:49
12. ROGLIČ Primož (RED BULL – BORA – HANSGROHE / SLO) +4:50

■第8ステージ後の総合成績(マリア・ローザ)
1. ULISSI Diego (XDS ASTANA TEAM / ITA) 29:21:23
2. FORTUNATO Lorenzo (XDS ASTANA TEAM / ITA) +0:12
3. ROGLIČ Primož (RED BULL – BORA – HANSGROHE / SLO) +0:17
4. AYUSO PESQUERA Juan (UAE TEAM EMIRATES XRG / ESP) + 0:20
5. DEL TORO ROMERO Isaac (UAE TEAM EMIRATES XRG / MEX) + 0:26
6. TIBERI Antonio (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) + 0:44
7. POOLE Max David (TEAM PICNIC POSTNL / GBR) + 0:47
8. STORER Michael (TUDOR PRO CYCLING TEAM / AUS) + 0:50
9. MCNULTY Brandon (UAE TEAM EMIRATES XRG / USA) + 0:51
10. YATES Simon Philip (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / GBR) + 0:56

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ): PEDERSEN Mads (LIDL-TREK / DEN)
■山岳賞(マリア・アッズーラ): FORTUNATO Lorenzo (XDS ASTANA TEAM / ITA)
■新人賞(マリア・ビアンカ): AYUSO PESQUERA Juan (UAE TEAM EMIRATES XRG / ESP)
 

第9ステージはストラーデ・ビアンケ区間

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●第9ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)

 
今年のジロの最初の週を締めくくる5月18日は、中部ウンブリア州のグッビオからトスカーナ州のシエナまでの181kmで、後半にグラベル(未舗装路)を走る“ストラーデ・ビアンケ(イタリア語で白い道)”区間の第9ステージが行われる。グラベルのセクションは5カ所あり、総距離は約29kmだ。
 

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(photo : LaPresse)

 

ジロ・デ・イタリア公式サイト

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