女子Qリーグ、中学生Nリーグ2025-2026シーズン開幕戦:しもふさクリテリウム5月 結果
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サイクルロードレースの女子リーグ「クイーン・リーグ(Qリーグ)」、中学生リーグ「ニュー・エイジ・リーグ(Nリーグ)」第6期 2025-2026シーズン開幕戦「しもふさクリテリウム 5月」が5月4日(日)、朝から穏やかな天候のなか、千葉県成田市・下総運動公園内にて開催された。
今大会はサイクルロードレース協会東日本(MATRIX)主催で、1周回・約1.5kmの常設サイクリングコースで行われた。今回もトップクラスはもちろん、ジュニアやキッズ、女子も多くの参加者が集まり、今シーズンもリーグ開幕戦として対象レースをQリーグとNリーグ中学生女子NWは「レディースクラス」、Nリーグ中学生男子Nは「中学生クラス」に設定している。

コース図を示しながらサイクルクリニックをおこなう福田氏と参加ライダー達(Photo:QNリーグ事務局)
この日のスケジュールはサイクルクリニックからスタート。今回もハムスタースピン代表・福田昌弘氏が指導を担当し、走行前のヘルメット装着や自転車のチェックから、今大会のコースで注意するべきポイントなどきめ細かいアドバイスをしてコース試走へ導く。
5回あるレース試走ごとにこの流れを毎回行うので、初めての参戦や久しぶりの出場になるようなライダーはもちろん、普段レースに出場しているライダーにとっても再度確認にもなる。参加すれば安心・安全にレースに臨める。さらにサイクルクリニックの時間外でも、会場内にハムスタースピンのブースで福田氏のアドバイスを受けることができるのも、このマトリックス主催大会の魅力の1つだ。
また今回はうれしいサプライズも。なんと成田市のマスコットキャラクター“うなりくん”が登場、一緒にサイクルクリニックを受講し、レース表彰式を盛り上げ、会場に居合わせた観客や参加者の皆さんとの撮影にも応じてくれた。成田市は昨年、市政70周年を迎え、市内で長年定期的に開催されてきた定番自転車レースとして“うなりくん”、特別に来場してくれた。
“うなりくん”は「ゆるキャラグランプリ 2017」優勝の人気者で、さまざまなイベントに呼ばれ、成田市民でも直接会える機会が少ない。しもふさクリテリウム 5月で会えた皆さんは非常にラッキーだったのですよ!

成田市うなりくんは大人気!表彰式後も写真撮影に応じ会場を盛り上げた(Photo:QNリーグ事務局)
レースは大会ホストチームで Jプロツアーを中心に活躍するチーム MATRIX POWERTAGの所属選手達が、第1レースとなる120分エンデューロで参戦ライダーをエスコートしながら大会を温め、その後は個人タイムトライアル、キッズの年齢別クラスレースを経て、かなり暑くなってきた昼過ぎから「エンデューロ・トゥ・スタディ」がスタート。
こちらは昨年の同大会から始まったクラス。集団走行に馴染みがないビギナー向けに、ハムスタースピン福田氏が安全講習を実施。試走時間を使ってコース試走をしてもらってから、ライダースミーティングをして、チーム MATRIX POWERTAGの所属選手達や福田氏とグループごとにスタート。2列縦隊で30分走行して模擬レースゴール後には記念撮影。参加記念ボトルを受け取った皆さんの笑顔が印象的だった。
「レースイベント参加に不安を感じている方や以前、レースに参加したことはあるが期待ほどの結果を残せず参加を諦めてしまった方などのために、今回30分の疑似レースを経験してもらいたい」という経緯での新設クラス、さまざまな自転車レースにチャレンジしてみたいと考える選手達には、コースの特性の完熟も含めて良い機会になったはずだ。
レディースクラスは岡田愛裕來が僅差のゴールスプリントを制す

緊張のなか、レディースクラスのスタートを待つ女子選手達(Photo:Takashi Saito)
ビギナー向け「エンデューロ・トゥ・スタディ」がゴールし、しばらく後に「レディース」クラス、そして小学生チャンピオンクラスが時差スタートとなる。
スタート地点には、昨シーズン年間総合ポイントリーダーのQリーグ・アメジストジャージを着用した根本香織(Team一匹狼)、Nリーグ中学生女子NW・バトルマリンジャージの岡田愛裕來(ブラウ・ブリッツエン U15)が最前列に陣取り、MCノゾミ氏からの紹介に笑顔で手を振り声援に応える。
その横には 2021-2022シーズンで Nリーグ中学生女子NW、翌2022-2023シーズンはQリーグの年間総合ポイントリーダーに輝き、この4月からは大学生になったばかりの岡本彩那(SPECIALIZED UTSUNOMIYA)、そして昨シーズンのQリーグシリーズ戦で活躍を見せた佐藤直美(Yahoo! JAPAN Cycle Racing team)の姿もある。

スタート最前列に並ぶアメジストジャージのTeam一匹狼の根本(Photo:Takashi Saito)

スタート最前列に並ぶブラウ・ブリッツェン岡田(同右)は、年間総合ポイントリーダー特別賞のサングラスAirflyを装着し準備万端だ(Photo:Takashi Saito)
定刻スタートのレースには13人が出走。1周回1.5kmのコースを5周回する1周回目は集団が1つだが、ラップタイムが 2分20秒近くと女子としては速めのペースでレース序盤が進む。そのため2周目のコントロールラインに至るころには、メイン集団は9人となりタイムも2分30秒まで落ち着いてくる。

レース序盤は安藤雅子(内房レーシング・写真中央)を先頭に集団が 1つで進む(Photo:Takashi Saito)

前期ポイントリーダー獲得もあった Yahoo佐藤(写真中央の赤いジャージ)は岡本とともに積極的な走り(Photo:Takashi Saito)
しかし、そのままでは後半に向けて集団の人数を減らすタイミングがなくなる。そんな状況に対して、岡本彩那や佐藤直美などQリーグのアメジストジャージ着用経験のある選手を中心に動きが活発となり、3周目には再びペースアップ。
残り1周を迎えたコントロールラインでは8人となった集団から、先に仕掛けたのは岡本。その岡本の動きをしっかりと見ていた岡田愛裕來が岡本を捕らえて一騎打ちとなり、お互いにハンドルを投げるゴールスプリントで僅かタイヤ差リードしていた岡田に軍配が上がった。3位には黒川真理子(Cinq Morseau)が入り、表彰台を獲得した。

レディース、ゴール前の攻防。かなり早い段階から集団の先頭を引く岡本の動きをロックオンする岡田(Photo:Takashi Saito)

先行する岡本の動きに、ぴったりと合わせながら追い上げる岡田(Photo:Takashi Saito)

ゴールではお互いにハンドルを投げて、僅かに差し切った岡田に軍配が上がる(Photo:Takashi Saito)
レディースクラス表彰式の後に行われたポイントリーダー授与式では、久しぶりのアメジストジャージの着心地に「めっちゃイイです!」と笑顔でコメントする岡本。レースについては「今回のしもふさ(クリテ)では、積極的にアタックをしていこう!というのを課題にしていた」と課題クリアはできたようだが「ゴールのスプリントがかわせなかったのは悔しかったです」と表情が曇った。
そして以前、中学生時代にはNリーグでも年間総合ポイントリーダーを獲得した経験もある岡本にとっては、岡田との一騎打ちはNリーグポイントリーダー、そしてブラウ・ブリッツェンでも先輩と後輩という立場での闘いとなったことについて「ちょっと恐怖はあります」と謙遜。
しかし Qリーグにステップアップしてからも活躍をみせる岡本を目標として頑張っている後輩に対しては、「自分が尊敬される立場になるというのは初めてなので、新鮮です。今年はアメジストジャージを最終戦まで守って、しもふさで優勝できるように頑張ります!」と今後への意気込みも語ってくれた。この後はリーグシリーズ戦のほか、大学自転車部での活躍も期待したい。

Nリーグ時代から Qリーグへと着実に成長を見せ続けている岡本は丁寧なコメント(Photo:Takashi Saito)

久しぶりの Qリーグ・アスリチューン賞の獲得に笑顔を見せて写真撮影に応えた(Photo:Takashi Saito)
レディースクラスの優勝によって、Nリーグ中学生女子NWの昨シーズン年間総合ポイントリーダーを防衛したかたちとなった岡田は、ブラウ・ブリッツェンの先輩・後輩同士の一騎打ちに持ち込むまでの展開を「アタックがかかったり、その状況を追ったりしながら状況を見ていた」と冷静な判断で動いていたことを、ポイントリーダー授与式で打ち明けてくれた。
最終局面、タイヤ差で決めたゴールスプリントについては「先輩に勝てて良かったです!」と安堵の表情を見せた。中学1年生から3年にわたりNリーグで活躍し、今シーズンがNリーグ最後の年となるわけだが、「今シーズンもバトルマリンジャージを最終戦まで守りたいです」と力強くコメント。
ちょうど 1年前の同大会ではレディース10位に沈み、一時は走りに自信がないことも吐露していたがトレーニングを積んで背が伸び、肩回りがしっかりと大きくなった岡田の走りは今後、要注目となりそうだ。

レディースクラス表彰式。左から 2位・岡本、優勝の岡田、3位・黒川の入賞選手達(Photo:Takashi Saito)

すっかり EXLUB賞の顔にもなっているブラウ岡田は、年間総合への意欲も見せた(Photo:Takashi Saito)
中学生クラスは渡邉公太が優勝、バトルマリンジャージ獲得
次々とレースプログラムが進み、風が強くなってきた。午後3時17分スタートとなったのが Nリーグ中学生男子Nの対象レースとなる「中学生」クラス。今回は22人のライダーがエントリーし、この 4月で中学生になったばかりでNリーグ初登録となったフレッシュな顔ぶれも多い。
そのなかから昨シーズンポイントランキング 3位の渡邉公太(ブラウ・ブリッツェン U15)がMCノゾミ氏からコールされ、スタートライン前方を陣取る。声援のなかスタート 10秒前のコールで「シャッス!!」と元気よく気合い一閃、今大会からコース 8周回に距離が延長されたレースのスタートを切っていった。
昨シーズン年間総合ポイントリーダーとなった西澤崇介は、4月から高校生となり卒業。バトルマリンジャージを座の新たに継ぐのは誰になるのか?ワクワク楽しみなレースが始まった。

スタートする中学生クラス。昼にはジュニア強化クラスに参加した選手も多い(Photo:Takashi Saito)

序盤に集団の先頭を引くTeam一匹狼の関愛絆(写真・右端)(Photo:Takashi Saito)
1周目はラップタイム2分14秒とお互いを見合うようなペースであるものの、Team一匹狼の関愛絆(せきあいき)を先頭にメイン集団は13人にまで一気に絞られ、2周目には集団が11人まで減る展開に。
そして3周目に入り、コースの中ほどで落車があり集団が割れて、4周目にはTeam一匹狼の関に髙橋琉登(Komami.Racing)、神⼾雅渡(保土ヶ谷 Bro)、さらにブラウ・ブリッツェン渡邉が4人の先行集団を形成。そのわずか5秒後に都筑蓮雄、岡本蒼大(#1-PRIMERA-)、田中陽登(COWGUMMA)、そして篠田瑠聖の4人集団が追う展開となった。

悲願のバトルマリンジャージ獲得に向けて集団の前に出るブラウ渡邉(写真中央)(Photo:Takashi Saito)

中盤から先行集団となった、写真左から髙橋、渡邉、関、神戸の 4名(Photo:Takashi Saito)
この状況は残り1周回に入るコントロールラインまで続き、先行する4人集団とのタイム差を詰めたい後続の4人集団とは5秒から10秒、さらには30秒の差と開いていってしまう。
そして最終周回では4人のなかから、渡邉が早い仕掛けで少し笑顔を見せる余裕のあるゴールで優勝を決め、初のポイントリーダー獲得を決めた。2位にはリーグ初登録の Komami.Racing髙橋、3位は保土ヶ谷Broの神戸が入り、積極的な走りを見せたTeam一匹狼の関は4位と表彰台には届かなかった。

勝利とバトルマリンジャージ獲得を確実にして、笑顔のゴールとなったブラウ渡邉(Photo:Takashi Saito)
中学1年生からNリーグに登録し、昨年は総合ランキング TOP3に入る活躍から3年越しで初のバトルマリンジャージ獲得を果たした渡邉は、ポイントリーダー授与式で袖を通したジャージを恥ずかしそうに着用しながら「イイですね」と一言。
レースの最終局面については「昨シーズン最終戦で一緒に闘った柬理(日楠詩)選手など、いつものライバルがいなかったのは寂しかったですが勝てて良かったです」と笑顔。しかし今シーズンからNリーグ登録した新たなメンバー達と闘った今レースでは、なかなか難しい展開を前にいろいろと思考を凝らしたようで、特にゴールに入る前は「早めに仕掛けました」と冷静に狙った動きが結果に繋がったようだ。

中学生クラス表彰式。左から 2位・髙橋、優勝の渡邉、3位・神戸(Photo:Takashi Saito)

初のリーダー授与式では熱が入り、楽しいコメントで会場を盛り上げた渡邉(Photo:Takashi Saito)
渡邉は、「今年は高校受験もあるので勉強もしつつ、バトルマリンジャージを守りたいです!」と今後の目標を元気にコメントしてくれた。ブラウ・ブリッツェンに所属し長年、指導を受けている選手として、バイクコントロールだけでなく戦略の組み立てにも長けている渡邉の活躍はもちろんのこと、今シーズンからリーグ登録を果たしたニューカマー達もぜひ、注目してほしい。

ポイントリーダー特別賞の Airflyロゴタオルを手に笑顔の Nリーグポイントリーダー渡邉(左)と岡田(右)はブラウ・ブリッツェンのチームメイトで練習仲間(Photo:Takashi Saito)
各リーグ ポイントリーダー

写真左よりQ リーグ岡本、N リーグ渡邉、NW 岡田の各ポイントリーダー
今大会のポイントリーダー授与式では、Bioracer(ビオレーサー)より「アメジストジャージ」「バトルマリンジャージ」各リーダージャージが提供された。
また、Qリーグは株式会社隼より「アスリチューン Qリーグポイントリーダー賞」、Nリーグ中学生男子Nは武田レッグウェアー株式会社より「RxLNリーグ中学生男子ポイントリーダー賞」、Nリーグ中学生女子NWはアイリス株式会社より「EXLUBNリーグ中学生女子 NWポイントリーダー賞」、更にはポイントリーダー特別賞として株式会社ジゴスペックより「Airfly特製ロゴタオル」が、それぞれ賞品として提供された。
Qリーグポイントリーダー:アメジストジャージ
Nリーグポイントリーダー:バトルマリンジャージ
提供:Bioracer
アスリチューン賞 Qリーグ(高校生以上女子)
ポイントリーダー:岡本 彩那(SPECIALIZED UTSUNOMIYA)・20p
ランキング2位:佐藤 直美(Yahoo! JAPAN Cycle Racing team)・8p
ランキング3位:根本 香織(Team 一匹狼)・6p
RxL賞 Nリーグ・N(中学生男子)
ポイントリーダー:渡邉 公太(ブラウ・ブリッツエンU15)・28p
ランキング2位:髙橋 琉登(Komami.Racing)・20p
ランキング3位:関 愛絆(Team 一匹狼)・12p
EXLUB賞 Nリーグ・NW(中学生女子)
ポイントリーダー:岡田 愛裕來(ブラウ・ブリッツエンU15)・28p
年間総合ポイントリーダー特別賞:Airfly(株式会社ジゴスペック)
※ランキングにおいて同点者が出た場合、最新のレース着順が優位の選手を上位とする。
※最終戦終了時において、同点者が出た場合は、最終戦直前のランキングで優位の選手を上位とする。
※最終戦については、ポイントテーブルに5 点ずつ加算した点数を付与する(最終戦ボーナス)。
次戦はQNリーグ初の個人タイムトライアルを開催
次戦は、6月7日に福島県相馬市は大洲松川ラインで開催される「そうまタイムトライアル 2025」で、Qリーグ・Nリーグでは初の個人タイムトライアルでの争いとなる。対象レースは20km個人タイムトライアルで、コースは海沿いの堤防にある長い直線・片道5kmを2往復走る。

そうまタイムトライアルの会場となる福島県相馬市・大洲松川ラインの様子。天気が良いと松川浦と太平洋が一望できるダイナミックな直線コースだ(Photo:井上和隆)
タイムトライアルバイクや TTバーなど専用機材の用意を一番に考えるかもしれないが、今後ロードレースを走るときに独走で淡々とペースを崩さずに走ることは大事なポイントである。天候の影響を受けやすい横風はもちろんだが、何よりも正面からの空気抵抗に対する準備が一番対策しやすいだろう。
ヘルメットの被り方やウエアーをダブダブに着ないことや、自転車を漕ぐポジションや低めの姿勢を取るなど、このレース参戦を機会に事前に練習で対策研究をするのも良いだろう。しかも海外のステージレースによっては、個人TTステージでTTバイクの使用が大会特別ルールで禁止になる場合もあるので、普段のロードレーサー機材でペースをキッチリとキープしながら、低い姿勢を維持し効率良いペタリングで走り抜けるトレーニングも試してほしい。
そして、7月の暑い時期に開催となる「そでがうらサマーサイクルロードフェスタ」へ向けて、暑熱順化をしておくことも大事だ。引き続きリーグ登録の選手達には、SNSなどを通じて情報も提供していきたい。
<レポート概要>
写真撮影:Takashi Saito、QNリーグ事務局
テキスト:須藤むつみ(QNリーグ事務局)
協力:サイクルロードレース協会東日本(MATRIX)
*しもふさクリテリウム 5月公式ホームページ
https://shimofusa-criterium.powertag.jp/
現時点の 2025-2026シーズン Qリーグ・Nリーグ対象レーススケジュールはこちらから。
http://www.jbrain.or.jp/q-n-league/race-profile.html
次戦は 6月 7日(土)開催の「そうまタイムトライアル 2025」
https://www.sportsentry.ne.jp/event/t/99976
今大会は Qリーグ・Nリーグともに「参加費無料」となります!まだリーグ登録していない選手は 5月26日(月)までの登録完了で無料枠に組み入れますので、是非この機会に登録をご検討ください。 Qリーグ・Nリーグの登録はこちらから。各対象レース開催日の 3日前まで登録完了すればポイントランキングに反映。今後も女子とジュニア中学生が活躍するリーグにご声援のほどよろしくお願いします!
https://moshicom.com/122291/











