女子Qリーグ、中学生Nリーグ2023-2024第8戦しもふさクリテリウム・レポート

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サイクルロードレースの女子リーグ「クイーン・リーグ(Qリーグ)」、中学生リーグ「ニュー・エイジ・リーグ(Nリーグ)」2023-2024シーズン第8戦:しもふさクリテリウム MATIRX ヒヤリハンター杯 9月が2023年9月3日(日)、千葉県成田市・下総運動公園にて開催された。

QNリーグ2023-2024第8戦 しもふさクリテリウム

N リーグ対象レース・中学生クラスのメイン集団(photo: Yosuke SUGA)

 

今大会はサイクルロードレース協会東日本(MATRIX)主催で下総運動公園内にある1周回・約1.5kmの常設サイクリングコースで開催。トップクラスはもちろん、ジュニアやキッズ、女子にも人気が高く “しもふさクリテ”の通称で親しまれているレースだ。

今回もリーグ対象レースはQリーグとNリーグ中学生女子NWはレディースクラス、Nリーグ中学生男子N は中学生クラスを走り、順位に基づくポイントを獲得しランキングを競う。

『福島復興サイクルロードレース』のうち、先月の8月に開催が予定されていた19日・QNリーグシリーズ第6戦「ツール・ド・かわうち(かわうちヴィンヤード山岳タイムトライアル)」、そして20日・同シリーズ第7戦「小野こまちロードレース」の連戦が延期となったため、久しぶりのリーグシリーズ戦開催となった今レース。

当日は事前の天気予報を覆して、朝から素晴らしい晴天。残暑が厳しい蒸し暑いコンディションとなったが、風はあまり強くなくて選手達は思い切った走りを各クラスで展開した。

 

レディースクラスはNリーグNWリーダーの岡田愛裕來が優勝

朝7時からのサイクルクリニックを挟みながら、8時過ぎスタートの120分エンデューロ、そしてキッズ選手達が活躍する年齢別レースが終了し、昼12時過ぎからスタートとなったのが「レディースクラス」のレース。WALKRIDEロードシリーズとマトリックス主催チャレンジリーグ東日本地域大会を対象とした小学生ランキング制度の対象となる「小学生チャンピオン」と1分の時差スタートとなった。

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スタート前に談笑する岡田(左)と篠塚(右)は良きライバル同士(photo: Yosuke SUGA)

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雲が晴れて真夏の太陽が照りつけるなか、スタートするレディースクラス(photo: Yosuke SUGA)

 

コース5周のレディースクラスは10人のエントリー。最初の1周目を終えてすぐのコントロールライン通過時点で、早くも先頭集団が7人に絞られる。コントロールラインがあるホーム側では篠塚 萠依(AVENTURA)が集団の先頭を走っていたが、Nリーグ中学生女子NWの現ポイントリーダーである岡田 愛裕來(ブラウ・ブリッツエンU15)のゴール後コメントによると「周回を重ねて4人の集団になってから、追い風基調のホームでは篠塚選手が先頭を引き、(コース裏側にあたる)サッカーゴールの近くは向かい風だったので、根本さんが引いてくれて助かりました」と教えてくれた。

確かに、残り2周回となった時点で岡田と篠塚、そしてQリーグ現ポイントリーダーの根本 香織(Team 一匹狼)、昨シーズンNリーグ中学生NW年間総合ポイントリーダー⻄山 千智(High Ambition 女子サイクリングアカデミー)の4人に絞られてからは集団のスピードが上がり、岡田の走りを根本がフォローしていたようだ。

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積極的な走りの篠塚(右)を追う岡田(左)は冷静な走り(photo: Yosuke SUGA)

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ゴール前では一騎打ちとなった篠塚と岡田、軍配は岡田に上がった(photo: Yosuke SUGA)

 

そんな根本は「お⺟さんの気持ちで下りまでは前を引いて(笑)、ゴール手前の上りからは岡田選手を前方にするローテーションで走りました」とリーグ登録選手同士で集団内をローテしてくれたようだ。

この状態で残り1周回は4人のまま、そしてゴールスプリントとなり、「先頭選手の後ろに控えて、冷静に動きを見られた」という岡田が先着。5月の同レースで優勝した篠塚を抑え優勝を手にし、笑顔でガッツポーズを魅せた。

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下総のコースを得意とする篠塚をスプリントで下した岡田のガッツポーズ!(photo: Yosuke SUGA)

 

さらに、⻄山が粘って3位となり表彰台を獲得。以前のスタミナ不足や集団での固い動きが練習とレース参戦を重ねて改善したようで、今回の結果に繋げることができた。一方、4位でレースを終えた根本は「次回(9/16 わたらせクリテリウム)は得意の平坦コースで、岡田選手を追い越して勝ちたい!」と先輩ライダーとしての意欲を見せた。

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以前はうまく⽴ち回れなかったが、今レースでは見事な動きだった⻄山(photo: Yosuke SUGA)

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Qリーグリーダー根本(左)とNリーグNWリーダー岡田(右)は親子のよう(photo: Yosuke SUGA)

 

ジュニア強化レースにNリーグの選手も参戦

レディースレースの後は、今年から実施されている「ジュニア強化レース」となる。このレースは大会参加者で中・高校生の男女は無料で参戦できる、文字通り“強化育成”を目的としたレースで、Nリーグの中学生男女も参戦した。

その中には昨シーズンのNリーグを盛り上げ、今年から高校生となったNリーグ卒業組も活躍。そのため着順による表彰の代わりに、チームMATRIX POWERTAGの安原 昌弘監督が選出する「敢闘賞」の対象にNリーグ登録選手やNリーグ卒業選手達も多く選ばれ、安原監督との「自撮り記念撮影」に笑顔で加わっていた。

安原監督は「今後の自転車レースの発展には、ジュニア強化育成の機会作りが大事。チームMATRIX POWERTAG の活躍もジュニア選手達の目標になるから、ワシも選手達に活を入れていくで!」と授与式後にコメントを寄せた。

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MATRIX POWERTAG 安原監督を囲んでジュニア強化レース敢闘賞選手と記念撮影(photo: QN リーグ事務局)

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夕方近くなり、日差しが落ち着いたなかでスタートを待つ中学生クラス(photo: Yosuke SUGA)

 

中学生クラスはNリーグNリーダーの落合 隼が優勝

そして最終ブロックとなる午後3時近くに、Nリーグ中学生男子Nの対象レースとなる「中学生クラス」がスタート。

33人がエントリーするコース6周回のレースは序盤に大きな集団を形成していたが、2周回目で昨シーズンのNリーグ年間総合ポイントリーダー稲葉 恵人(Team BFY Racing)がアタック。次の3周回目でも再度アタックをするも、現ポイントリーダー落合 隼が素早くチェックし再び1つの大きな集団に戻る。

その後も今レースからNリーグに加わった大藤 優作(Team 一匹狼)もアタックするが、全てを落合が落ち着いてチェック。その度に集団のスピードが上がり、最終周回に入る直前のコントロールライン通過時点で当初25人近くいた集団は15人に絞られた。

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積極的に仕掛ける稲葉(写真中央)だが、追うメイン集団の勢いが落ちない(photo: Yosuke SUGA)

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周回ごとにスピードの上がる集団では中学1 年生の選手も健闘(photo: Yosuke SUGA)

 

残り1周回に入った直後、落合が満を持して渾身のアタック!「1人逃げをしたかったので、早めに仕掛けた」とポイントリーダー授与式でコメントしたように、力強い走りで後続を突き放し、ラストの周回ラップタイムは2分を切る1分58秒で逃げ切り単独でゴール。今回もレース優勝でリーグ最高ポイントを積み上げリーダー防衛に成功した。

この後のシリーズ戦に向けては「全戦で勝ちたいと思います!」と宣言。このレースゴールで天に向かって大きく拳を突き上げた。力強い走りであった。Nリーグシリーズ後半戦も是非ご注目いただきたい。

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後続を大きく引き離して優勝を決めた落合(photo: Yosuke SUGA)

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Nリーグ前半戦を勝ち続ける落合、バトルマリンジャージ姿が板につく(photo: Yosuke SUGA)

 

さらに、この中学生クラスでは表彰台をNリーグ登録選手が独占した。

まず2位となった成瀬 謙太(FECT)は中学2年生。「集団の人数が減っていくのは、ある意味チャンスに繋がるので、最後の上りに向かうコーナーをイン側から差しました。惜しくも2位でしたが、完全燃焼できて嬉しかったです」と満足気にコメントしてくれた。

そして3位に入った中学1年生の渡邉 公太(ブラウ・ブリッツエン U15)は「最終局面では体力が足りなかったんですが、何とか最後にゴールスプリントができて良かったです」と安堵の笑顔。

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中学生クラスの表彰台を独占したNリーグ登録選手達。左より2位・広瀬、優勝・落合、3位・渡邉、プレゼンターはサイクルクリニック講師を務めたハムスタースピン福田 昌弘氏(photo: Yosuke SUGA)

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ゴール後にコメントをくれた成瀬(左)と渡邉(右)は、普段も仲良し(photo: Yosuke SUGA)

 

次戦「わたらせクリテリウム第2戦」に向けての抱負を聞くと、前回のわたらせクリテで惜しくも落車してしまった成瀬は、Nリーグ絶対王者となりつつある現ポイントリーダー落合と同じクラス出走になることも意識して「今度こそ落車しないで1位を目指して頑張りたい」とコメント。中学1年生のため、次戦は成瀬と違うクラスでの出走となる渡邉は「前回の(わたらせクリテ該当クラス)レースで優勝をしていますが、もっと体力を上げて後続を大きく離して優勝したい」と意気込みを語った。

 

各リーグの最新ポイントリーダー

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<写真左よりQリーグ根本、Nリーグ落合、NW 岡田の各・最新ポイントリーダー>

 

アスリチューン賞 Qリーグ(高校生以上女子)リーダー:根本 香織(Team 一匹狼)・160p
ランキング2位:蒲原 琴音(Team 一匹狼)・35p
ランキング3位:小田 恵利花(フィッツ)・28p

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8月のグランフォンド世界選手権でもアスリチューンを活用した根本(photo: Yosuke SUGA)

 

 

RxL 賞 Nリーグ・N(中学生男子)リーダー:落合 隼・140p
ランキング2位:渡邉 公太(ブラウ・ブリッツエンU15)・74p
ランキング3位:稲葉 恵人(Team BFY Racing)・52p

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ポイントリーダー授与式でアールエルの副賞目録を笑顔で受け取る落合(photo: Yosuke SUGA)

 

 

EXLUB賞 Nリーグ・NW(中学生女子)リーダー:岡田 愛裕來(ブラウ・ブリッツエンU15)・91p
ランキング2 位:⻄⼭ 千智(High Ambition 女子サイクリングアカデミー)・60p
ランキング3 位:小田島 寛奈(#1-PRIMERA-)・56p

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EXLUB目録とNW特製の副賞セットを手にした岡田(photo: Yosuke SUGA)

 

今大会のポイントリーダー授与式では、Bioracer(ビオレーサー)より「アメジストジャージ」「バトルマリンジャージ」各リーダージャージが提供された。また、Qリーグは株式会社 隼より「アスリチューン Qリーグポイントリーダー賞」、Nリーグ中学生男子Nは武田レッグウェアー株式会社より「RxL Nリーグ中学生男子ポイントリーダー賞」、Nリーグ中学生女子NWはアイリス株式会社より「EXLUB Nリーグ中学生女子NWポイントリーダー賞」がそれぞれ提供され授与された。

 

しもふさクリテリウムMATIRX ヒヤリハンター杯9月(チャレンジリーグ主催)公式ホームページ
https://shimofusa-criterium.powertag.jp/2023/9/outline.html

次戦は9月16日(土)、栃木県栃木市・藤岡渡良瀬運動公園内わたらせサイクルパークで開催の「わたらせクリテリウム第2戦」となります。
https://watarase-criterium.jp/race/483/

2023-24シーズンのQリーグ全15戦、Nリーグ全13戦で、シリーズ戦を予定しています。
http://www.jbrain.or.jp/q-n-league/race-profile.html

Qリーグ・Nリーグの登録はこちらから。
各対象レース開催日の3 日前まで登録完了すればポイントランキングに反映します。
https://moshicom.com/83733/

今後も女子とジュニアが活躍するリーグにご声援のほどよろしくお願いします!

<レポート概要>
写真撮影:Yosuke SUGA、QNリーグ事務局
テキスト:須藤むつみ(QNリーグ事務局)
協力:サイクルロードレース協会東日本(MATRIX)