平塚吉光さんイチオシコース!大分県・由布岳でサイクリング&トレーニングを

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元プロロード選手であり、現在はさまざまな自転車メディアでコメンテーターやライターとして活躍する平塚吉光さん。現在は自転車アドバイザーとしてさまざまなエリアに脚を伸ばしている彼は、2023年3月に熊本県阿蘇エリアを訪れたことにかこつけて、自身の「とっておきのサイクリングエリア」を訪れることに。熊本からは車で1時間半程度と少々時間はかかるし通る道は山道。けれどそれを抜けて行くだけの価値がある場所、それが”大分県”だ。
そこで今回は平塚さんが、大好きな由布岳を中心に行程を組み、サイクリング&トレーニングを楽しんだ旅の様子をお届けする。

帰りたくなる場所

1度訪れて以来、何度も行きたくなる場所がいくつかある。大分は、私にとってその一つでお気に入りの場所だ。

もちろん大分と言えど幅広い。その中での絶対的お気に入りは、世界的にもネームバリューがある湯布院の温泉街から登坂をする『由布岳』だ。
阿蘇と別府を繋ぐやまなみハイウェイにあるシンボル的な山は4年前に訪れて以来、あそこへ行きたい! あそこを走りたい! と思わせる場所になった。

もはや今は大分へ行くと必ず訪れる由布岳。それほど特別な場所のせいか、まだ大分の他の街に”まだ行けていない”というが正直なところでもあるが、しかしそれほどまでに魅力あふれる場所と言える。

そんな由布岳を中心としたコース設定で、今回はサイクリングを楽しんでみた。

 

発着地を選ぶポイント

宿泊地には大分市をセレクト。輪行や移動を続けるとトラブルが起きる可能性もあり、私の場合は何かあった時(トラブル)の対応ができる場所を旅の拠点として選ぶことが多い。
UCIコンチネンタルチーム『スパークルおおいた』の拠点でありカフェ及び自転車店である『COLORS(カラーズ)』が大分市にあり、宿泊地点選定に大きく影響している。
大分駅から1km程の距離にあり、鉄道輪行、車移動共に行きやすい場所にある。

 

カラーズ

COLORS前にて(写真はサイクリング後)

 

そんなCOLORS近くのコインパーキングに車を停め、サイクリング日和の大分に繰り出そう。

まずはJR大分駅に向かい、早速であるが自転車を輪行袋で包む。時間に限りがあった為、時間節約で輪行移動を行程に含めるのだ。そして大分駅から電車に乗り込み向かった先は湯布院駅!
目的である由布岳の麓にワープし、いきなりおいしい景色にチャレンジすることを選択した。輪行移動を入れるのも旅の楽しみ方の一つであり移動時間に軽く仕事ができるメリットもある。到着までの少しの時間で、仕事ができる風を醸し出して車窓から景色を眺めていた。

 

インバウンドが戻りつつある温泉の名所は少しずつ賑わい始めている。

駅前で自転車を組み立て、いよいよ由布岳に向かうタイミングでスパークルおおいたの黒枝士揮選手と住吉宏太選手が登場!
トレーニングがてらおもてなしに湯布院まで来てくれた2人に挟まれ、早速由布岳に向かった。(2人が来なければ湯布院でカフェする予定だったことは秘密)

 

湯布院駅から見る由布岳

湯布院駅から見る由布岳

 

「豊後富士」とも言われるのが由布岳だ。今まで時期的に緑色の姿を見ていたが、今回は一味違った。
名物野焼きを実施した後の由布岳は、黒く耀く神秘的な山へ進化していた。元々素晴らしい景色が、野焼きで一層素晴らしく神秘的になる。

また、行先に見える山もさることながら山の上から見る、湯布院の街も最高に綺麗だ。中間地点の狭霧台で休憩を挟み景色を堪能したのち一気に頂上を超え、そのまま一気にダウンヒル! こちらも温泉の街『別府市』を目指して下っていく。

気持ちがいい森林浴の道から、急勾配だが広くて安全な道へ続く下り坂は、車が多いながらも爽快感がすごく、気持ちがいい。

 

温泉の街で楽しむカフェタイム

一気に降りきり体が冷えたところで、別府市内のコーヒーショップへ立ち寄ろう。

自らもカフェを運営し、コーヒーにこだわりを見せるスパークルおおいた。そんなチームの選手たちがお勧めするのは『オセロスペシャリティーコーヒーロースター』だ。

 

オセロスペシャリティーコーヒーロースターの店内

オセロスペシャリティーコーヒーロースターの店内

 

温泉の街にあるシンプルなデザインのお店には焙煎機からコーヒーの香りが漂い、コーヒー好きにはたまらない。各産地のコーヒーをその時の気分に合わせて選び、味わうことができる。

店先で待つこと数分。ドリップしたてのコーヒーが手元にやって来た。サイクリング中のコーヒーはなぜこんなに美味しいのだろう? そして、そんなコーヒーを味わいつつ仲間と過ごすのんびりタイムもまた格別である。

 

店先でのんびりカフェタイムを楽しむ

店先でのんびりカフェタイムを楽しむことができる

 

爆走警報!?の別大国道

ゆっくりと休憩をしたのち、目指すは大分市内。彼らの拠点であり車を停めたCOLORSへ、改めて自転車で向かう。

別府〜大分間を結ぶ別大国道と呼ばれる国道10号は、別府湾を眺めながら走ることができ2車線で、路肩も広い国道。それによって地元サイクリストにとっても“しっかりと漕げる”と評判の、愛される道だ。

カフェタイムの雰囲気で覚悟はしていたが、黒枝選手と住吉選手の2人はトレーニングの途中だった……結局私もしっかりと踏まされることになる。

私のバイクはサイクリング仕様のグラベル車。その前を颯爽と走る2人。引き摺り回しの刑と化した区間は、ただただ現役選手ってすごい! と思い知らされた時間であった。

かなり苦しんだが、追い込んだ後は美味しいものを……ということで、大分名物唐揚げをおねだり。若鳥からあげの『丸福』へ立ち寄り、揚げたての唐揚げを食そう。

鶏肉の並ぶショーケースから部位を選んで揚げてもらう。そんな最高のお店は、地元出身黒枝選手が「大分イチ!」とオススメする唐揚げ店なのだ。

しっかりと下味のついた唐揚げは最高に美味しく、ここでもうビールを手に取りたいところだがまだサイクリングの途中ということでグッと我慢。とはいえこの原稿を書いている今も、よだれが出てくるほど!あの味はまた訪れたい!

 

丸福

黒枝選手おすすめのからあげ『丸福』

 

ゴールはサイクリング後の補給場所

ボトルの水でささっと手を洗い、油を落として、いよいよゴール地点に設定したCOLORSへ。
最後の区間は大分市の街中をのんびり走れば、本日のライドはフィニッシュだ。

サイクリング後にはやはり、しっかりとご飯を食べたいところ。好調な2人のアテンドにより、きっちりお昼時ちょうどにたどり着いたこともあり腹ペコ状態! COLORSのカフェスペースでの昼食が待っている。

今日のランチメニューでは、大好きな鶏ハムと悩んだが今回は、タコライスの大盛りを選んだ。
野菜に肉にチーズにお米。ライド後にはカンペキなメニューだ。

 

鶏ハム

写真は隣の方が召し上がっていた鶏ハム

 

しっかりと噛み締めて食事を楽しみ満腹になった後は、住吉選手が淹れたコーヒーを飲んで大変満足!
楽しく充実した1日プランを提供してくれた黒枝士揮選手と住吉宏太選手に改めて感謝である。

「大分県・由布岳」コースの魅力

こうして由布岳コースの魅力にハマってしまった私だが、昨年だけでも3回は訪れているものの、その季節によって全く違う顔を見せることを改めて知ったのが、今回の大分の旅だった。
夏の緑、秋の紅葉、春の野焼き。まだまだ見たいと思わせてくれる、魅力たっぷりの山域だ。

 

大分県レポ

 

そして下っては、大分が誇る温泉地の一つ、別府が待っている。実はまだ別府の温泉に入ったことがない私。次回は温泉ライドもやってみたい。

海岸線沿いを走る別大は国道であり車の量は多いが、余裕のある道幅から爽快に走ることができる素晴らしい道路である。
横には広い自歩道もあることから、速度域の低いサイクリングの場合でも、安心して通行できるだろう。

山も海も上りも下りも平坦も、あらゆる地形を自転車で楽しめるというこのバランスの良さも評価できる。

 

今回のコースは電車を使わずにフルで走っても総獲得標高1000m、距離約90kmで走ることができる。そこに今回のように鉄道輪行でワープすることで、獲得標高450m、距離約40kmに短縮すれば、時間がない中でもカフェタイムなどしっかりと楽しむことができるのだ。
トレーニングからサイクリングまで活用できるルートは、自転車を楽しむ多くの人がチャレンジしがいのあるコースと言えるだろう。

 

各県を繋ぐロードレースツアーである「ツール・ド・九州」の開催が決定していることもあり、さらなる盛り上がりを見せる九州エリア。
そしてその中でも大分県は、他県に負けず劣らず、むしろ九州を先頭で“引っ張り続ける”機関車”のように、ロードレースやサイクリングを盛り上げる存在である。

そしてスプリンターを多く抱える大分の地元チーム「スパークルおおいた」は、上昇の発車台にもなるだろう。

 

Webサイト『サイクリングおおいた』では今回のルート(こちらの逆走)をはじめ大分県のサイクリング情報を記載している。
大分を訪れる際には一度目を通すことをお勧めしたい。

そして今度は温泉(SPA)とサイクリング(RIDE)を同時に楽しむ『SPA RIDE』で、おんせん県の自転車旅を楽しんでみよう!